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離婚で未就学児の子供の親権は?戸籍や養育費など知るべき離婚条件

幼い子供がいて離婚を考えている方の中には、「離婚が子供に影響しないか心配」、「親権や戸籍はどうなるのか」など、子供のことで悩んでいる方もいるのではないでしょうか。実は、母子家庭になった時点の子供の年齢は、末の子供が5歳までの未就学児が5割を超えるのが実情で、こうしたお悩みは決して少なものではありません(平成23年度全国母子世帯等調査結果報告)。

離婚は夫婦の問題ですが、子供、特に未成年の子供がいる場合は、離婚が子供に与える影響や、親権者をどうするかなど、離婚前に考えておくべきことは多くあります。しかし、未就学児の親権は誰が取れるのか?戸籍は変わるのか?など不安は多くても、どうやって解消したらいいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、未就学児の子供がいる夫婦が離婚をする際に知っておいていただきたい、子供の親権や戸籍の手続き、養育費を確実にもらう方法などについて解説します。

未就学児の子供がいる夫婦が離婚する場合の親権者の決め方

(1)未就学児と親権の関係とは

今回は未就学児の子供がいる夫婦の離婚についてお話ししますが、そもそも未就学児とは小学校などの初等教育機関に入学する前の児童をいい、0~6歳の子供を指します。こうした幼い子供がいる夫婦が離婚する場合に問題になるのが「親権」です。

「親権」は、未成年の子供に関するもので、子供の世話や教育をする「身上監護権」と、子供の財産の管理や法律行為をする「財産管理権」という、2つの権利と義務から成り立っています。夫婦が結婚している間は、両親が共同して親権を行いますが、離婚する場合は、父親か母親のどちらかを親権者に決めなければいけません。未就学児も当然未成年なので、親権者の決定が必要です。

親権を取って子供と暮らしたいと考える方もいると思いますが、そのためには子どもと一緒に暮らす権利である「居所指定権」を含む「身上監護権」を得なければいけません。通常、「身上監護権」と「財産管理権」を一緒に1人の親が持ちますが、身上監護権と財産管理権を持つ親が別々になることもあるのでご注意ください。

(2)親権者の決め方

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、離婚後の親権者を決めることは離婚の条件でもあります。親権者は、第1に夫婦が話し合いで決めます。離婚の話し合いの中で決めて構いません。

第2に、話し合いがまとまらなければ裁判所の調停で調停委員を交えて話し合います。離婚調停と一緒にすることもあれば、親権者の決定だけ調停で行うこともあります。第3に、調停でも合意できなければ、裁判官が子供のヒアリングや調査を踏まえて審判で決定します。審判でも決まらなければ、最終的に訴訟を起こして裁判で親権を決定します。

(3)親権者を決める4つの原則

親権は、夫婦の間では自由に決めて構いませんが、裁判所が関与すると子供の利益になるようにという観点から次の4つの原則が重視されます。

  • 継続性の原則:子供の生活環境をできるだけ変えないという原則
  • 兄弟姉妹不分離の原則:兄弟姉妹がいる場合はできるだけ一緒に生活させる原則
  • 母性優先の原則:子供が幼いほど、母親が優先される原則
  • 子供の意思尊重の原則:15歳以上の子供は、意見を聞くことが義務とされる原則

上記の原則の中でも、未就学児の場合に問題になるのが母性優先の原則です。子どもが幼いほど、母親的な役割を担い、子供を監護してきた人が親権者にふさわしいという考えに基づくもので、年齢によって次のような目安があります。

  • 0歳から10歳:母親が親権者になる可能性が高い
  • 10歳から15歳:両親の生活条件などが同じ場合には母親が優先される可能性が高い
  • 15歳から20歳:子供の意思を尊重して親権者が決定される

つまり、未就学児である0歳から6歳の子供の場合は、母性優先の原則によって、母親が親権者になる可能性が高いです。

父親でも未就学児の子供の親権者になれる可能性

夫婦の子供が未就学児の場合、父親は絶対に親権者になれないかというと、そういうことはありません。

母性優先の原則は、子供が落ち着いて生活できるように、子供の監護者として母親的な役割を担っている人に親権を認めやすくするという原則です。たしかに、日本では、父親で育休を取る人はまだ少なく、母親が専業主婦や時短勤務で子育てに従事している割合が高いため、幼い子供の親権は母親に認められやすいのが実情です。

しかし、父親も、子育てに積極的に関与をしてきたことをしっかりアピールできれば、親権者として認められる可能性が高まります。具体的には、子供の食事の準備や世話をしていたか、入浴や寝かしつけに関わっていたか、幼稚園への送り迎えをしていたか、しつけや遊びを一緒にしていたかといった事情を十分に伝えていきましょう。

また、親権者を決める際は、子供の利益を第一に今後の生活も重視されます。父親の安定した収入があること、心身の健康状態が万全であることなどの父親側の事情と、子供の将来に向けたサポートができること、実家のサポートが得られることなどの子供側の事情の両方の準備をできるだけ整えて、しっかりアピールしていきましょう。

未就学児の子供が親権者を自分で決めることができる?

子供が15歳以上のケースでは、親権者を決める際に、裁判所は子供の意向を聞かなければならず、15歳未満の場合でも、子供の意向を重視するというのが実務の運用です。ただし、子供が幼く、両親のどちらを選ぶかができないような場合や、身近にいる人の影響を受けていて子供の本当の気持ちを伝えにくいと思われるようなケースでは、家庭裁判所調査官という児童心理の専門家が、子供との面談などによって意見を述べることが多いです。

この点については、先日興味深い裁判が行われました。親権者の指定ではありませんが、夫が9歳の長男を含む3人の子供を連れて別居し、離婚したケースで、最高裁判所は父親と生活したいという長男の意思を尊重して、妻への引き渡しを認めませんでした(最高裁平成31年4月26日決定)。親権についても、子供が親権者となる親を直接決めることはできませんが、子供の意思を尊重する形で決められると言えるでしょう。

未就学児の子供の親権者になった場合の養育費の目安とは?

(1)養育費は誰が支払うものか

「養育費」は、未成年の子供が成人するまでの費用のことで、離婚をした夫婦のうち、子供と暮らす親権者(監護権者)になった親が、もう一方の親に請求できます。

親には子供を扶養する義務が法律で決められていて、この義務は離婚したり親権者にならなかったからと言って免れるものではありません。そこで、親権者として子供を監護養育している親は、そのための費用を監護しない親に対して請求できるのです。また、養育費を請求する権利は、子供自身の権利でもあるので、親が請求しない場合は子供が自分で養育費を請求できる場合があります。

(2)養育費の目安

養育費は、離婚した夫婦が話し合いで自由に決めるのが原則なので、金額に決まりはありません。話し合いがまとまらない場合は、裁判所の調停で第三者を入れて話し合い、それでも決まらなければ審判、最終的には裁判で裁判官に決めてもらいます。

養育費の金額を決める際は、夫婦の収入、子供が何歳か、子供が何人いるか、マイホーム購入の借金があるかといった事情を考慮します。しかし夫婦の経済状況を個別に検討するのは大変なので、「養育費算定表」というシートを参考に計算するのが通常です。

「養育費算定表」は、養育費の金額の基準を表にまとめたもので、以下の3つのポイントからご自身の状況にあった養育費の目安を調べることができます。

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf(最高裁判所養育費算定表)

①子供の年齢・人数から養育費算定表を確認

養育費算定表は、子供の人数(1~3人)、年齢(0~14歳、15~19歳)という分類で、9つの種類があります。未就学児の場合は、子供の年齢0~14歳の表を基準に、子供の人数に応じた表を見つけてください。

②親の年収の確認

養育費算定表は、方眼紙のようになっています。縦軸には、養育費を支払う親の年収が、横軸には養育費を請求できる親の年収が書かれています。サラリーマンやパートの主婦など給与所得者の場合は源泉徴収票を自営業の場合は確定申告書を調べて、正しい金額を確認しておいてください。

③養育費の目安の確認

養育費を支払う親の年収(縦軸)から水平に線をひき、養育費を請求できる親の年収額(横軸)から垂直に線をひきます。この2つの線がクロスするところの金額が、毎月の養育費の目安です。養育費算定表では、養育費の金額が「4~6万円」「6~8万円」というように2万円の幅がありますが、これは家庭の状況に応じて金額を調整しやすくするためです。

上記のステップで実際に見てみると、例えば5歳の未就学児の子供が1人いる夫婦で、親権者の母親の年収が100万円、離れて暮らす父親の年収が400万円の場合、養育費算定表では、2~4万円が毎月の養育費の目安ということになります。実際は、この金額に、夫名義のマイホームローンが残っている場合は養育費をマイナスしたり、子供に持病がある場合はプラスするなどして、家族の状況に応じて調整します。

離婚したら未就学児の子供の戸籍はどうなるか

離婚した場合の子供の戸籍は、両親が結婚中の戸籍に入ったままで、自動的に親権者の戸籍に移るわけではありません。

また、子供と親の氏(苗字)が違う場合は、その親の戸籍に入ることはできない決まりです。結婚時に氏を変更した人は、離婚すると法律上自動的に旧姓に戻り、結婚中の氏を離婚後も名乗りたい場合は、別途届け出をしなければいけません。未就学児の子供の場合、離婚すると母親が親権者になるケースが多いですが、同時に、女性の方が結婚で氏を変える人が多いのも実情です。

つまり、未就学児の子供がいる夫婦が離婚して、旧姓に戻った母親が親権者になった場合、子供は結婚中の家族の戸籍の筆頭者である夫(父)の戸籍に残ったままになります。子供を親権者である母親の戸籍に入れるためには、まずは家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てて母親と同じ氏に変更し、次に、氏の変更が許可された裁判所の謄本を添えて子供の本籍地か母親の住所地の役所に入籍届を提出する手続きが必要です。

親の離婚が未就学児の子供に与えるストレスなどの影響とは

未就学児のような幼い子供がいる夫婦が離婚する場合、「離婚によって子供にストレスがかからないか」「将来、精神面で悪い影響がないか」など、心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、親の離婚が未就学児の子供に与えうる影響をご紹介します。

(1)愛情不安に陥る可能性がある

未就学児の幼い子供にとって、両親はどちらも愛すべき頼れる存在です。その両親が離婚することで、子供心に「捨てられた」「パパとママはお互いに嫌っている」などという愛情不安を抱いてしまう可能性があります。離婚にはいろいろな事情があると思いますが、子供の前では離婚してもいい両親であることを示し、子供を愛し続けていることを十分すぎるほど伝えるようにしましょう。

(2)子供が傷つく可能性がある

ドラマなどでは、離婚する夫婦が「パパとママどっちが好きか」「どちらについてくるか」と幼い子供に尋ねる様子が放送されます。離婚の際の親権者の決定には、子供の意思が尊重されるべきですが、親権者の決定を幼い子供に責任を負わせるべきではありません。自分が選ばなかった親を傷つけてしまった、自分のせいで両親が離婚したと、幼心に自分を責めてしまう恐れがあるからです。離婚は夫婦の責任です。子供の負担はできるだけ軽くするようにしましょう。

(3)生活の変化でストレスが生じる

未就学児の子供も、近所の友達や幼稚園の先生などとの人間関係を築き、子供なりの世界があります。離婚して生活してきた場所を離れると、寂しさや孤独を感じて、新しい環境にすぐになじめない子供もいます。離婚後は生活を始めるだけでも大変な時期ではありますが、できるだけ子供と多くの時間を過ごせるように工夫してみてください。

上記のように、未就学児がいる夫婦が離婚する場合は、子供にストレスや不安感を与えてしまうことがあります。一方で、子供が未就学児のうちに離婚した方が、古い家族の記憶を払拭してやり直しやすい、明るい家庭を築いていけるなど、メリットがあるとも言われています。一番重要なのは、両親が離婚しても、その双方の親から子供が愛されていると感じられる環境を作ることと言えるでしょう。

まとめ

今回は、未就学児の子供がいる夫婦が離婚する場合の養育費の目安や子供に関する戸籍や苗字などの手続き上の注意点、子供のストレスを減らすための留意点などについてお話しさせていただきました。

未就学児の子供がいる夫婦が離婚する場合には、戸籍などの手続きは複雑ですし、養育費も子供のために成人するまできちんともらえるようにしなければいけません。幼い子供のためにも、離婚でお悩みの場合は専門家である弁護士にお気軽に相談してみることをおすすめいたします。

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