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浮気相手との接触禁止誓約書の作り方・二度と浮気をさせないために

信頼していた配偶者(夫や妻)に浮気をされた方は精神的に深い傷を負います。
家族や自分の今後のために離婚はしないと決意したものの、二度と浮気が繰り返されないようにしておきたい。そう思うのは自然なことです。

ところが残念なことに、現実には一度浮気をした人が同じ相手と浮気を繰り返すというケースは少なくありません。

同じ相手との浮気を防ぐためには、今後二度と浮気相手と会ったり連絡をとったりしないという誓約書を作ることが有効です。
このような誓約書を「接触禁止誓約書」といいます。

今回は接触禁止誓約書がどのようなものなのか、接触禁止誓約書を作るときにはどのような内容を盛り込むべきなのか等について解説いたします。

接触禁止誓約書とは

接触禁止誓約書とは、浮気相手と直接会ったり、メールやLINEなどの手段で連絡を取ったりしないことを約束する書面です。
独立した書面を作成する場合もありますし、慰謝料に関する合意書の中に接触禁止の条項を盛り込むこともあります。(後者を「接触禁止誓約条項」と呼ぶこともあります。)

単に連絡を取らないことを約束するだけでなく、携帯電話などから浮気相手の情報を削除したり、浮気について第三者に口外したりしないことを誓約書の内容として盛り込むこともあります。

接触禁止誓約書に違反して直接会ったり連絡を取ったりしたときの損害賠償の額もあらかじめ約束されるのが通常です。

接触禁止誓約書は浮気をした配偶者との間で作成することもありますし、浮気相手との間で作成することもあります。

たとえばAとBという夫婦がおり、BがCと浮気をした場合、AはBから「今後Cに接触しない」という誓約書をとることもできますし、Cから「今後Bに接触しない」という誓約書をとることもできます。
もちろん、BとCの双方から接触禁止誓約書をとっても問題ありません。

実は「二度と浮気相手と会わない、連絡を取らない」という約束は口頭でも契約として成立します。

しかし、口約束では損害賠償額など契約内容の詳細が証拠として残りませんし、後になって「そんな約束はしていない」と言われる可能性もありますので、通常は書面として残し、約束をした本人が署名・押印を行います。

接触禁止誓約書は不倫慰謝料の交渉において慰謝料を減額するためのカードとして利用されることがあります。

つまり、浮気をした当事者の側から「接触禁止条項を入れるから慰謝料を減額してほしい」という提案を行なったり、慰謝料を請求する側から「接触禁止条項を入れるなら慰謝料を減額してもいい」と譲歩をしたりすることがあります。

あるいは慰謝料を請求しない代わりに接触禁止誓約書を作成し、誓約書の内容が守られなかった場合にあらかじめ定めた慰謝料を支払うという合意がなされることもあります。

接触禁止とよく似た法律用語として「接見禁止」があります。
接見禁止とは、犯罪の疑いをかけられて留置施設に身柄を拘束された人が施設内の接見室で外部の人と会うことを禁止する処分をいい、この記事でご説明する接触禁止とは似て非なるものですのでご注意ください。

接触禁止誓約書を作るべき理由

夫婦の一方が配偶者以外の異性と肉体関係を持ったとき、浮気をされた側の当事者は慰謝料を請求することができます。
これは民法の「不法行為」(第709条)という規定に基づいて行われる請求です。

ところが、この慰謝料は過去に行われた浮気によって生じた精神的損害を補填するものに過ぎず、将来の浮気を防ぐことはできません。

現実には慰謝料を支払った後に同じ相手との間で浮気が継続されるケースは少なくありません。
残念なことに、浮気が発覚して慰謝料というペナルティを支払わなければならなくなったとしても、必ずしも浮気相手への感情が冷めるわけではありません。

一度は反省しても同じ過ちを繰り返す人もいますし、中には「過去の浮気は慰謝料を支払って清算されたのだから、新たに浮気をしてもいいだろう」と考える人もいます。

また、自分自身は浮気を反省しているつもりでも、浮気相手の方から再びアプローチをされ、それに流されて再び浮気をしてしまう人もいます。

もちろん再度浮気が行われたときには改めて慰謝料を請求することができます。しかし、「お金の問題ではない」「もう二度と傷つきたくない」と思われる方が大半ではないでしょうか。

接触禁止誓約書を作成することにより、過去の浮気相手と接触をしただけで賠償金の発生義務が生じるため、浮気の抑止力となります。
このように、接触禁止誓約書は再び同じ相手と浮気が行われることを防ぐことを目的として作成されます。

接触禁止誓約書に書くべき内容

続いて、接触禁止誓約書にどのような内容を記載すべきなのかご説明いたします。
接触禁止誓約書には、「誰が」「誰に」「どのような方法で」接触してはならないか、ということを具体的に規定する必要があります。

「誰が」は、当然ながら浮気をした本人で、あるいは浮気相手です。
「誰に」は浮気相手、あるいは浮気をした本人ですが、場合によって家族、親族、友人などの関係者を含めることもあります。

重要なのは「どのような方法で」という部分です。「会ってはならない」といった限定的な表現や、「接触してはならない」といった曖昧な表現では「メールや電話でのやりとりは禁止されていない」という抜け道を許すことになりかねませんので、「面会、電話、メール、LINE等手段の如何を問わず」というように網羅的な表現をするのがよいでしょう。

当然、接触しないことを約束したとしても偶然会ってしまうことはありえます。
また、もともと会社の同僚という関係であった場合など、業務上の理由で会わざるをえないというケースもあります。

仕事で会わざるを得ない場合などには、「業務上必要な場合を除いて、一切接触をしない」というように例外が定められます。

浮気相手が仕事をしている店や住んでいるエリアに立ち入らないという内容の合意がなされることがあります。

しかし、立ち入り禁止とするエリアを都道府県などあまりに広範囲に設定すると無効とされるおそれもありますので注意が必要です。

賠償金など、誓約書に反して浮気相手と接触したときのペナルティも併せて規定されます。
たとえば「本契約に違反した場合、BはAに対して200万円を支払う」といった条項です。

 「当事者が接触しない限り不貞行為にかかる慰謝料は請求しない」という合意がなされることもあります。つまり、本来は過去の浮気による慰謝料を支払ってもらうところが、誓約書に従って接触をしない間は慰謝料の支払いを猶予する、という約束です。

この場合、当然ながら約束に反して浮気相手と再度接触したときに本来の慰謝料の支払い義務が生じます。

すでに述べたとおり、浮気相手の連絡先を携帯電話などから完全に削除することや、浮気について第三者に口外しないという合意がなされることもあります。

接触禁止誓約書の効力

接触禁止誓約書で賠償金の額が定められると、損害賠償額の予定(民法第420条第1項)として法律上の効力を有します。

つまり誓約書に反して浮気相手と会ったり連絡を取ったりすると、誓約書で定められたとおりに賠償金の支払い義務が発生します。

もっとも、不当に高額な賠償金が定められた場合には公序良俗(民法第90条)に違反するものとして無効となる可能性があります。
賠償金の額は当事者が自由に決めることができます。賠償金の額をなるべく高くしておいた方が浮気の抑止力は強くなりますし、万が一浮気が行われたときに多くの賠償金を受け取ることができます。

ただし、仮に「相手と接触したときには賠償金として10億円を支払う」などと極端に高額な賠償金を定めた場合、公序良俗に違反するものとして無効となる可能性があります。

「元浮気相手と会わなくてもほかの女性と浮気をするのではないか」とご心配されるかもしれません。
残念ながら、接触禁止誓約書は特定の人と接触することを禁止するものですので、誓約書に定めた人以外の異性と接触したことによる損害賠償請求はできません。

もっとも、他の異性と肉体関係に至った場合は不貞行為として慰謝料を請求することができるのは言うまでもありません。
通常、接触禁止誓約書は不貞行為はあったが離婚しないということを前提に作成されます。

では、その後離婚することになったときに誓約書の効力はどうなるのでしょうか。
たとえば、AとBという夫婦がおり、BがCと浮気をしたので、BがAに対して今後Cとは一切接触しないという接触禁止誓約書を作成したとします。
その後AとBが離婚した場合に、BがCと会ったことを理由にAはBに対して損害賠償を請求することはできるのでしょうか。

一般的には、接触禁止誓約書は夫婦が離婚したあとには効力を失うと考えられています。
なぜなら接触禁止誓約書は婚姻関係が継続することは前提に再度浮気が行われるのを防ぐために作成するものであり、離婚して婚姻関係がなくなってしまえばもはや継続する必要性がないと考えられているからです。

また、離婚により婚姻関係がなくなった後にも人間関係を制限し続けることは、人の行動の自由に対する過度の制約とも言えます。

したがって接触禁止誓約書はあくまで婚姻関係が継続している間に限って効力が生じると考えるべきでしょう。

接触禁止誓約書の作り方

最後に、接触禁止誓約書はどのように作成すべきなのかご説明します。

接触禁止誓約書はご自身で作っても問題ありません。
しかし、すでに述べたとおり誓約書の文言によっては思わぬ「抜け道」ができてしまうこともありますので、可能であれば法律の専門家である弁護士に作成を依頼することをお勧めいたします。

相手方に対する慰謝料請求や示談を依頼している弁護士がいれば、併せて接触禁止誓約書を作ってもらう、あるいは示談書の中に接触禁止条項を盛り込んでもらうのもよいでしょう。

接触禁止誓約書には浮気をした人やその浮気相手に自筆で署名と押印をしてもらうとよいでしょう。
双方の当事者が合意する一般的な契約書と異なり、誓約書は相手が自分に対して一方的に約束をするものですので、自分自身が署名や押印をする必要はありません。

接触禁止誓約書の効力を確実なものにしたいときには公正証書にする方法もあります。
公正証書とは公証人法という法律に基づいて公証役場で作成される公文書で、原本は一定の期間公証役場で保存され、万が一当事者が紛失した場合には再度交付を受けることができます。

当事者同士で作った誓約書の場合は、後になって「こんな誓約書を作った覚えはない」「自分以外の者が勝手に署名・押印したものだ」などと争われる可能性がないわけではありません。

また、誓約書に基づく支払いを相手が任意で行ってくれないときには、裁判を提起し、誓約書を証拠として提出した上で自分の主張を裁判官に伝える必要があります。
これには時間と労力、そしてお金がかかります。

それに対して、公正証書は公的に作成された文書ですので、当事者同士で作成した文書と比べて信頼性の高いという特徴がありますし、相手にも「公正証書として誓約書を作ったのだから、守らなければいけない」という心理的なプレッシャーを与えることができます。

また、接触禁止誓約書を公正証書にすると、それに違反する行為が行われたときにわざわざ裁判を提起することなく強制的に賠償金を回収することができるというメリットがあります。

まとめ

配偶者に浮気をされたときには慰謝料を受け取ることができますが、過去の浮気について慰謝料を支払うという約束をしても、将来の浮気を予防する効果はありません。
「二度と浮気はしない」という言葉も口約束に終わってしまうかもしれません。

二度と浮気で傷つきたくないのであれば、接触禁止誓約書を作成することをお勧めいたします。
接触禁止誓約書は浮気の抑止力になるだけでなく、浮気相手に接触しただけで賠償金を請求できる点で大きなメリットがあります。

接触禁止誓約書には接触を禁止する対象者や接触の方法、違反したときの賠償金の額などについて細かく定めなければ、思わぬ抜け道が生じることがあります。

あらゆる可能性を考慮して実効性のある誓約書を作成することができるのが弁護士です。将来の浮気を防止するために接触禁止誓約書を作成したいとお考えの方は、ぜひ弁護士にご相談することをお勧めいたします。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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