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  2. 不倫トラブルの法的問題

不倫トラブルの法的問題に関して事例とあわせて解説

「配偶者が不倫をしているようだ」「不倫相手に慰謝料を請求したい」「交際相手が独身と聞いていたのに、実は結婚していて配偶者から慰謝料を請求された」「不倫の事実を不倫相手の勤務先に伝えたら不倫相手から名誉棄損として訴えられた」このように、不倫に関するトラブルの内容は千差万別です。既婚者であると知らずに交際していた場合などもありますから、不倫トラブルに巻き込まれる可能性は誰にでもあるといえます。

そこで今回は、不倫トラブルの種類、不倫トラブルが裁判に至る理由、不倫トラブルを大事にしないための対応策などを解説し、不倫トラブルが裁判になってしまった事例をご紹介します。

不倫トラブルにはどんなものがある?

(1)配偶者・不倫相手に対する慰謝料請求

不倫トラブルで多いのが、夫(または妻)の不倫が発覚して、妻(または夫)が夫(または妻)やその不倫相手に対して慰謝料を請求するというものです。

(2)不倫の事実を第三者に知らせる

夫(または妻)の不倫を知った妻(または夫)が、親族、知人、勤務先などに不倫の事実を知らせることがあります。たとえ不倫が事実であっても、場合によっては名誉毀損、人格権の損害に当たりうるので、逆に不倫をした配偶者や不倫相手から慰謝料を請求されるおそれがあります。

どんな場合に不倫トラブルが裁判に発展する?

不倫トラブルは、不倫をされた妻(または夫)から、内容証明郵便で1週間ないし10日程度の一定の期限内に慰謝料を支払うよう請求されることから始まるのが一般的です。期間内に何の連絡もせずに放置した場合は、裁判に発展する可能性が高いといえます。ですから、裁判を避けたいのであれば、期限内に対応を決めなければなりません。

不倫をしたことが事実である場合には、法外な請求をされているような例外的なケースを除いて、裁判に時間と費用をかけるより示談での解決を目指した方がいいでしょう。

これに対し、不倫がそもそも事実ではない場合、不倫相手が夫(または妻)が既婚者であると知らなかった場合、既婚者であることは知っていたが、婚姻関係が破綻していた場合など、不倫相手が自分には落ち度はないと考えるケースも少なくありません。これらの理由で慰謝料の請求を拒んだ場合も、裁判に発展する可能性が高いでしょう。

不倫トラブルが裁判になった事例

(1)既婚者であることを知らなかった事例「東京地裁平成29年11月30日」

①事案の概要

原告が、被告が原告の夫であるAと不貞行為に及んだことにより、Aとの別居を余儀なくされて婚姻関係が破綻し、精神的苦痛を受けたと主張して慰謝料を請求したのに対し、被告が、自分はAから、自分は離婚していて独身である旨を聞かされ、これを信じて交際していたおり、被告には、Aが既婚者であることの認識がなく、認識しなかったことに過失もないと主張した事案。

②裁判所の判断

Aの年齢等、被告はAが会社経営者であり娘もいることを認識していたこと、Aの身だしなみが整っていたことは、Aが既婚者であることを直ちに被告に認識させるに足りるものということはできず、被告が、Aは既婚者であると考えるに足りる事実を認識していたことを認めるに足りる証拠はない。

被告は、自分は離婚しているというAの説明を信じたものであるところ、同説明内容そのものに不自然な点があるとはいえず、被告においてAの説明をそのまま信じたのにも無理からぬところがあったというべきであって、Aが実は既婚者であると認識すべきであったということはできない。したがって、被告のAとの交際に故意または過失があったということはできないから、被告に不法行為は成立しない(慰謝料請求は認められない)。

(2)婚姻関係の破たん後に不倫をした場合「東京地裁平成29年3月14日」

①事案の概要

原告が、妻と不倫相手が不貞行為に及んだ結果、妻との婚姻関係が破綻するに至り、精神的苦痛を被ったとして、不倫相手と妻に対し慰謝料を請求したのに対し、被告らが、原告と妻との婚姻関係は不倫相手とは無関係に破たんし、破たんした後、妻と不倫相手が親密な関係になったと主張した事案。

②裁判所の判断

原告と妻との婚姻関係が破綻する以前に、被告ら(妻と不倫相手)が性的関係をもったとまでは認めることができず、被告らによる不法行為は成立しない。

(3)不倫を第三者に知らせた事例

①配偶者の親族に知らせた事例「東京地裁平成30年3月29日」

【事案の概要】

原告が、当時の配偶者である被告2と被告1が不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったと主張して、被告らに対し、不法行為に基づき、慰謝料を請求したのに対し、被告2が、原告が被告2の両親に宛てて送付した手紙の内容が被告2の名誉を毀損し、人格権を侵害するとともに脅迫に当たると主張して、原告に対し、不法行為に基づき、慰謝料を請求した事案。

【裁判所の判断】

本件手紙は、被告2の両親のみに宛てて発送されたものであり、その内容も被告Yの両親にとって拡散を望まないものであることに照らすと、被告2の両親が本件手紙の内容を不特定又は多数の第三者に開示することはにわかに想定し難く、開示を受けた被告2の姉等の特定の親族がこれをさらに伝播する現実的な危険性も認められないから、本件手紙の送付は、公然性を欠くというべきであり、被告2に対する名誉毀損を構成するものではない。

また、本件手紙の文面は、比較的穏当な表現を用いて不貞行為に至る経緯や今後の方針についての原告の考えを述べる形式となっており、ことさら被告らに対する人格攻撃に当たるような表現方法が用いられたものではないというべきであるから、これが直ちに被告2の人格権を侵害するものとは認められない。

②勤務先等に知らせた事例

名誉毀損等を否定した裁判例

東京地裁平成29年12月13日

【事案の概要】

原告が被告に対し、被告が原告の夫Aとの間で不貞行為をしたとして、不法行為に基づき、慰謝料を請求したのに対し、被告が原告に対し、原告が被告の自宅及び勤務先を訪問して一方的な内容の手紙を投函したりした行為が違法であり、これにより名誉、信用及び生活の平穏等を害されたと主張して、不法行為に基づき、慰謝料を請求した事案

【裁判所の判断】

原告が被告の自宅及び被告勤務先会社を訪問したのは1日限りであり、その後も繰り返し訪問しているわけではない。被告が不在であったことから、手紙を被告勤務先会社の従業員及び本件マンションのコンシェルジュに封をしない手紙を託したことはいささか穏当さに欠ける面があることは否定できないものの、相応の根拠をもって被告により自己の円満な婚姻生活を侵害されたと考えていた原告のとった行動として、社会通念上許容できない行為とはいいがたく、原告の手紙の交付行為が、社会的相当性を逸脱し、これにより被告の名誉、信用や生活の平穏が害されたとは認めがたい。

東京地裁平成27年6月3日

【事案の概要】

原告が、被告において原告と被告の夫が不貞をしたという虚偽の内容を記載した内容証明郵便を原告の勤務先や実家に送付して原告の名誉を毀損し、さらに原告の勤務先に脅迫電話をかけるなどしたと主張して、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料等を請求したのに対し、被告が、原告に対し、原告と被告の夫が不貞行為をしたと主張して、不法行為に基づき、慰謝料を請求した事案。

名誉毀損を肯定した裁判例

【裁判所の判断】

被告が原告の勤務先の支社長宛てに原告の不貞行為の事実を摘示した内容証明を送付したことにより、同事実が支社長を通じて本社人事担当者ら不特定の者に伝播し、原告の社会的評価が低下したことが認められる。

被告は、内容証明は特定人に対する文書である旨主張するが、会社としての対応を要求している以上、原告の不貞の事実が社内の必要な部署に伝播することは当然に想定されていたといえる上、現実に伝播していることは上記説示のとおりである。

③知人・子供の友人やその保護者に知らせた事例

東京地裁平成27年9月16日

【事案の概要】

原告が、元妻である被告に対し、被告の不貞行為により離婚せざるを得なくなったとして慰謝料の支払を求めたのに対し、被告が原告に対し、原告から脅迫及び名誉毀損を受けたとして慰謝料等の支払を求めた事案。

【裁判所の判断】

被告は、離婚届の署名捺印を行った際、原告から被告に対して「不倫したことを皆にばらしてやる」「〇区から住ませなくしてやる」「とことんやってやるからな」と述べたとするのに対し、原告は、「離婚した事実関係を説明する」との趣旨を言ったに過ぎないとする。
原告が、被告の不貞により離婚となったと周囲に説明するとの趣旨を述べたことについては、被告に対する脅迫と認めるには足りず、その余の原告の発言があったことについてはこれを認めるに足りる証拠がない。

被告は、○○競技場において子ども達の陸上クラブの大会が行われた際、子ども達及びその友人ら少なくとも約10名並びにその保護者らを合わせた少なくとも約20名の前で、原告が被告に向かって「なんで不倫をしている奴がここに居るの?不倫をしている奴はこの競技場から出て行け」と述べ、子供の友人の母が子ども達の前だからと言って原告の更なる発言をするのを止めた旨を述べており、上記発言は、被告の不貞行為の存在を前提としても、被告の名誉を毀損する行為と認められる。

④国会議員に知らせた事例

東京地裁平成28年10月17日

【事案の概要】

被告が原告の妻と不貞行為をしたとして、原告が、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料等の支払を求めたのに対し、原告が一部黒塗りした訴状等を被告に関係のある国会議員の議員会館事務所等にファクシミリにより送信したことが名誉毀損に当たるとして、被告が、原告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料等の支払いを求めた事案(原告、妻、被告はいずれも国家公務員)

【裁判所の判断】

原告が、約25名程度の国会議員の議員事務所に宛てて送信した書面は、要旨、被告の所属部署と氏名を明らかにした上で、被告が原告の妻と肉体関係を含む不貞行為に及んだものであり、原告が多大な精神的苦痛を受けたため、慰謝料1000万円を請求すること、それらを記載した訴状を裁判所に提出して訴えを提起したこと、原告において不貞行為の確実な証拠を有していると認識していることなどの事実を摘示するものであり、これらの内容は、単に原告が被告に対して訴訟を提起したという事実を摘示するにとどまるものではなく、被告が原告の妻と不貞行為を行ったこと、少なくとも被告が原告からその妻と不貞行為を行ったことを相当に高度な確度をもって疑われ訴訟提起されるに至った人物であるとの印象を与えるものであり、被告の社会的評価を低下させ、その名誉を毀損するものであることは明らかである。これに反する原告の主張は採用することができない。

不倫トラブルの問題を大きくしないためにできる対処方法

不倫トラブルを未然に防ぐ最良の方法は、当たり前のことですが、不倫をしないことです。不倫は民法が定める不法行為にあたるために慰謝料を請求することができるのですが、不法行為は、故意がある場合だけでなく、過失しか認められない場合にも成立します。

したがって、交際相手が既婚者であると知らなかったとか、既婚者であるとは知っていたが、婚姻関係が破綻していると信じていたといったように、故意がなかったとしても、知らなかったことや信じたことに過失がある場合、不法行為が成立し、慰謝料を支払う義務を負うことになります。

「妻(夫)とは離婚する予定だ」などの交際相手の言葉を安易に信じないようにしましょう。ただ、どれだけ注意をしていても、不倫トラブルを完全に予防することは難しいでしょう。不倫トラブルに巻き込まれてしまった場合、大事にせずにできるだけ穏便にすますには、最初の対応が重要です。

上でも解説したとおり、慰謝料請求はまずは内容証明郵便の形をとることが一般的です。
多くの方にとって裁判はなじみがないものですから、配偶者の不倫に傷つき、あるいは腹を立てているとしても、積極的に裁判をしたいという方はほとんどいません。

ですから、相手の請求に対して適切に対応すれば、裁判を避けることができる可能性は十分にあります。たとえば、不倫したことが事実である場合、事実を認め、慰謝料の額や支払方法に絞って交渉することで交渉による解決(示談)ができる場合もあります。

また、配偶者に不倫をされた場合も注意すべきことがあります。配偶者や不倫相手に社会的制裁を加えたいという思いから、勤務先などに知らせたいと思われるかもしれませんが、名誉毀損は伝えた内容が事実であっても成立します。安易に勤務先等に知らせると、相手の態度が硬化して話し合いにならなくなってしまい、結局裁判で双方が慰謝料を請求するという事態に陥る可能性があります。親族に相談するなどを除いて、不倫の事実を第三者に伝えるのは控える方がいいでしょう。

まとめ

今回は不倫トラブルについて解説しました。不倫トラブルに巻き込まれてしまった場合、最初の対応を誤ると裁判に発展するなど思わぬ事態に陥りかねません。不倫トラブルに巻き込まれてしまった場合、早急に弁護士に相談して対応を決めることをお勧めします。

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