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離婚慰謝料不払いの不安をなくすために知るべき回収方法について

離婚をする際に慰謝料の取り決めをしたのに約束どおりに支払ってもらえない、そういった悩みを抱えている方は少なくありません。そこで今回は、不払い慰謝料を回収する方法として、強制執行や財産調査などについて詳しく解説します。

慰謝料の支払いについて債務名義があるかが重要

相手方が決められた慰謝料の支払いをしない場合、何とか強制的に支払わせる手段はないだろうかと思われるでしょう。相手方が任意に債務の履行(約束どおりの支払い)をしない場合に、強制的に権利を実現させる制度があります。この制度を「強制執行」と言います。

強制執行は、相手方(債務者)の財産を強制的に差し押させて換価(売却)することができるなど、非常に強力な効果があります。ただし、そのような強力な効果を認めるからには、その前提として、権利の存在や範囲、債権者、債務者などが公的な文書によってきちんと確認されていることが必要とされています。このような文書を、「債務名義」といいます。

ですから、不払いの離婚慰謝料を請求する場合、慰謝料についての債務名義が存在するかどうかが重要になります。債務名義の代表的な例としては、裁判所の確定判決、和解調書、調停調書、公証人が作成する強制執行認諾約款付公正証書などがあげられます。

強制執行をするにはどうすればいいか

(1)債務名義がない場合

口頭で慰謝料の支払いを約束した場合や当事者間で慰謝料の支払いについての文書を作ったにすぎない場合など、債務名義がない場合、ただちに強制執行をすることはできず、まず債務名義を取得する必要があります。

公正証書は、相手方の協力があれば比較的簡単に作成してもらうことができますが、慰謝料を支払わない相手方が公正証書の作成に協力することは期待できないでしょう。そうなると、調停や訴訟などで裁判所の債務名義を獲得しなければならなくなり、相応の時間がかかってしまいます。

債務名義を取得した後の流れは、(2)の債務名義がある場合と同じです。

(2)債務名義がある場合

すでに債務名義がある場合、あらためて調停や訴訟をする必要はありません。執行文という文書(債務名義の執行力が現に存在することを証明する文書)を付与してもらえば、強制執行の申立てをすることができます。

債務名義と執行文の関係がよくわからないという方がいらっしゃるかもしれませんが、「債務名義が執行開始を求めるためのキップだとすると、執行文の付与はそのキップが有効期間内のものかどうか確認するための改札のようなものといえる」(平野哲郎「実践民事執行法民事保全法【第2版】」(日本評論社、2013年)73頁)と例えればイメージできるでしょうか。

執行文の付与は、事件の記録の存在する裁判所の書記官か公正証書の原本を保管する公証人が行うことになっています。執行文付与の方法は、債務名義の末尾に、「債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる」旨を付記することになっています。

相手方の財産を調査する方法

(1)債務名義がない場合

債務名義がない場合、相手方の財産に対する公的な調査の制度はありません。相手方が離婚後に新たに不動産を取得したり、預貯金口座を開設したり、転職したりする可能性は十分にありますが、慰謝料を請求する側で新たな財産や勤務先を調べなければならないのです。

(2)債務名義がある場合

これに対して、債務名義がある場合、次のような方法で財産調査をすることが可能です。

①23条照会

金融機関によって扱いは違いますが、債務名義がある場合、弁護士に依頼をして弁護士会から照会(弁護士法23条の2に基づくので、23条照会と言います)をすれば、債務者名義の預金口座の有無等を回答してもらえる場合があります。

②財産開示手続

執行力のある債務名義を有している場合、一定の要件を満たせば裁判所の財産開示という手続を利用することができます。財産開示の要件は、過去6ヶ月以内になされた強制執行で完全な弁済を得られなかったか、または分かっている財産に対して強制執行をしても完全な弁済を得られないことの疎明があったことです。

財産開示手続では、期日を指定して債権者と債務者を呼び出し、債務者は財産目録を提出しなければならず、期日において宣誓の上、財産について陳述し、裁判所・債権者の質問に答えなければならないとされています。債務者の不出頭、宣誓拒否、不陳述、虚偽供述については30万円以下の過料という制裁が定められています。

この財産開示手続によって、債務者の財産が判明することがあります。

各財産の請求

債務者の財産等を把握できた場合、強制執行によって強制的に権利を実現させることになります。強制執行の方法や流れは、財産の種類によって異なります。

(1)債権に対する強制執行

金融機関に対する預貯金債権や勤務先に対する給与債権といった債権を指し押さえることが可能です。

債権に対する強制執行の申立てを受けた裁判所は、債務者と金融機関や勤務先などの第三債務者(債務者の債務者)に債権の差押命令を送ります。また、第三債務者に対しては、「陳述催告」という書類をあわせて送り、差押えの対象となった債権が本当に存在するか等について回答を求めます。

第三債務者の回答によって債権の存在やその額が明らかになれば、債権者は債務者に代わって第三債務者に取り立てをし、取り立てた金銭で自分の債権を満足させることができます。

ただし、給与債権は債務者の生計の維持のために必要ですから、差押えができるのは4分の1まで(税金等を控除した額が44万円を超えるときは33万円を超える部分)とされています。

(2)不動産に対する強制執行

債務者が不動産を所有している場合、その不動産に対する強制執行をすることが考えられます。不動産に対する強制執行は、「強制競売」という方式がとられます。具体的にいうと、不動産の差押登記をしたうえで強制的に不動産を競売にかけ、買受人が決まって代金が納付されたときは、そこから債権者に配当するということになります。

(3)動産に対する強制執行

動産(不動産ではない物)に対しても強制執行をすることができます。動産執行の場合、申立て時に目的物を特定する必要はなく、債務者の住所、事務所など物の所在地を特定すれば足ります。これは、通常、債務者がどのような動産を所持しているか、債権者は知りえないからです。

動産執行の申立てをすると、執行官(裁判の執行の事務などを行う裁判所職員)が指定された債務者の住所等に立ち入り、価値のありそうな動産を差押え、競り売りなどの方法で売却して債権者に配当をします。

ただし、債務者の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具、66万円までの現金などは差押えてはならないとされています。また、形式的に差押えが禁止されている動産に当たらなくても、執行官が価値がないと判断した動産は差し押さえられることはありません。

そのため、債務者が会社員などごく一般的な方の場合、動産執行は債権回収の方法としてはそれほど効果的ではありません。

慰謝料の不払いは弁護士に相談を

これまで債務名義や強制執行について解説してきましたが、慰謝料の不払いについては、次の理由から弁護士に相談・依頼をするのが最善の対処法といえます。

まず債務名義がない場合、訴訟や調停などの法的手続をしなければならないことになる可能性が高く、専門的な知識・経験がなければ難しいので、弁護士に相談をした方が良いと言えます。

また、債務名義がある場合でも、23条照会をするには弁護士に慰謝料の請求を依頼する必要があります。また、相手方の財産を把握できているときでも、迅速に強制執行をしなければ相手方が執行までに財産を処分してしまう恐れがあります。ですから、債務名義がある場合でも、やはり弁護士に相談・依頼をするのが望ましいといえるのです。

まとめ

不払いの離婚慰謝料を請求する方法について解説しました。離婚慰謝料の不払いでお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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