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妻と浮気した担任の先生への制裁・退職してもらうことはできる?

妻の浮気相手が子供の担任教師だったとき、慰謝料などの責任追及に加え、担任の転勤や退職を望む方が多いです。
保護者に手を出すような教師は、子供の担任としてふさわしくないという考えからです。

実際のところ、妻と浮気をした担任教師に対して、こういった制裁を加えることは可能なのでしょうか。

この記事では、浮気への対処法と、浮気相手である担任の教師に対してとれる対応を紹介していきます。

妻が担任と浮気していたときにとれる対処法

妻が担任と浮気をしていたとき、どのような対処法が考えられるのでしょうか。
公務員という立場への制裁と、浮気相手としての制裁の二種類のアプローチから検討してみましょう。

(1)浮気の慰謝料を請求する

まず、通常の浮気と同じように、慰謝料の請求が可能です。
浮気の慰謝料は金額が大きく、精神的・経済的にショックを与えられるため制裁として有用な手段の一つといえます。

妻と離婚する場合は慰謝料を再出発のための資金にできますし、関係を再構築するケースでも、同じ相手との再犯防止策として効果があります。

なお、浮気の慰謝料は妻と浮気相手の両方に対して請求可能です。
どちらにいくら請求するかはある程度自分の希望によって変更ができます。

どのように進めるのが良いかはケースバイケースです。以下で詳細を紹介していますので参考にしてください。

(2)都道府県の教育委員会に相談する

「教師が生徒の保護者に手を出した」という事実は、個人間の不倫問題にはとどまらず、教職員としての職務に対する非行にあたります。
そのため、都道府県の教育委員会も巻き込み処分を求めることが可能です。

特に、教職員の生徒の保護者との不倫には厳正な処分で臨む自治体が多く、状況によっては懲戒免職など重い処分の対象となる可能性もあります。

事実、東京都教育委員会では、教員の保護者に対する性的行為は、同意の有無に関わらず免職処分に当たる可能性があると明言しています。

 

慰謝料の支払いとあわせて職場での処分を望むのであれば、教育委員会に相談するのも手段の一つです。

(3)接近禁止を記載した書面を作成する

妻とやり直すのであれば、示談書を作成する際に、浮気相手からの再度の接近や連絡を禁止する内容を盛り込むことをおすすめします。
浮気相手と配偶者は慰謝料の支払い後も水面下で交際を続けることがあるからです。

浮気の発覚後も担任を続けるかどうかによりますが、再度浮気で傷つけられることがないよう対策をしておいた方がよいでしょう。

具体的な方法としては、再度の連絡や面会に対する罰則を示談の条件に含めておくのが一般的です。
実務では罰金の支払い規定を設け、一度につき数万円~10万円程度の金額を支払う、と定めておくことが多いです。

浮気を理由に担任の先生を退職させることはできる?

教員と保護者の浮気で問題となることの一つが、保護者の立場から退職などの処分を求めることができるのかという点です。

実際のところ、教員の浮気では保護者からの要望はどのような立ち位置にあるのでしょうか。

(1)不倫被害者から退職や転勤を要求することはできない

結論から言うと、不倫被害者である夫の立場から、教育委員会に退職や転勤を当然に要求することはできません。

教育委員会から教員に対する処分は、あくまで「教育の信用を失墜させる行為」に対しての処罰であり、その判断に夫として介入することは不可能です。

ただ、不倫の被害者であり生徒の保護者として、教員の処遇に対して「要望」を出すことはできます。
法的拘束力のないお願いにはなりますが、処分の内容に反映される可能性はあるでしょう。

最終的にどのような対応になるかは結果が出るまで分からないといえます。

(2)保護者との不倫は懲戒免職処分の対象となる可能性がある

教員の処分に対する夫からの要望は「お願い」以上の効力はないと述べましたが、保護者と不倫をした時点で、教員には何かしらの処分がなされる可能性が高いです。

具体的な処分内容は教育委員会ごとに異なりますが、都道府県によっては懲戒免職の対象としているところもあります。

東京都教育委員会の基準を例に挙げると、保護者と肉体関係を持ったり、わいせつな行為に及んだりすることは「免職」「停職」「減給」のいずれかの対象となる行為です。

具体的にどの処分が下されるかは、非行の度合いや被害の大きさなどを加味して総合的に判断されます。

(3)教育委員会への相談は弁護士を通すのがおすすめ

教育委員会に、妻と教員の浮気を相談する場合、弁護士に依頼したうえで代わりに行ってもらう、または同伴してもらうことをおすすめします。
弁護士を連れていくことにより、依頼者に代わって教育委員会に対して事の顛末や要望をしっかりと伝えてくれます。

証拠を提示しながら妻の不倫の詳細を説明するのは、被害者である夫にとっては心への負担が非常に大きい行為です。
こんなときは弁護士を代理人に立ててしまった方が楽に相談・交渉ができるでしょう。

浮気を知ってから浮気問題解決までの流れ

妻の浮気が発覚した後、浮気問題の解決まではどのように進めればよいのでしょうか。
解決の準備から順に紹介していきます。

(1)浮気の証拠を集める

浮気の慰謝料を請求するにせよ、教育委員会に対応を求めるにせよ、必要となるのが浮気の証拠です。
証拠がない状態で妻や浮気相手を問い詰めても責任の追及は難しく、また教育委員会も確証がなければ動くことはできません。

浮気の存在を推測できる物証は様々ですが、裁判となった際に客観的に不倫の事実を証明できるレベルのものが望ましいです。

具体的には、ラブホテルに妻と入っていく写真や、肉体関係を匂わせるメッセージのやりとりなどが該当します。

どのようなものが浮気の証拠となるかについては、以下の記事でも紹介しています。参考にしてください。

(2)不倫問題に強い弁護士を探す

次に、不倫問題に強い弁護士を探します。慰謝料の請求などは自分でもできますが、法的に有効な書面の作成や、裁判所への手続きなどは、専門知識がなければ難しい作業です。

また、不倫相手側に弁護士がついた場合、一人で太刀打ちすることは難しいため、不利な条件で示談となる可能性もあります。

弁護士を探す、と言ってもどの弁護士でも良いわけではありません。
とりあえず近所の法律事務所に行ってみる、といった探し方はやや効率が悪いです。というのも、弁護士の職務は多岐に渡り、各事務所・弁護士にはそれぞれ得意とする分野があるからです。

不倫問題の法的解決を目指すのであれば、不倫問題に不慣れな弁護士では思うように結果が出ない可能性もあります。
そのため、不倫問題の解決を専門としている事務所に相談するのがおすすめです。

初回相談は無料の事務所も多いので、複数の弁護士に相談してみてから依頼先を決めるのも良い方法です。

(3)妻との今後を考える

妻との今後をどうしたいのかも、ある程度整理しておくのが望ましいです。というのも、離婚するかどうかで請求できる慰謝料の金額が変わるためです。

なお、浮気を解決するまでの過程で「やっぱり離婚したい(したくない)」と翻意することはよくあります。方針を変更する場合は早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

(4)担任の先生と妻との話し合いをおこなう

浮気相手である担任の先生と妻とそれぞれ話し合いをおこないます。
具体的には、不倫していたことに対して示談の条件を提示し、交渉をおこないます。

妻と浮気相手との話し合いを同時におこなうと、話がこじれスムーズに進まない可能性もあるため個別に機会を設けた方が良いでしょう。

不倫の示談においてしばしば見られるのが、浮気相手からの慰謝料の減額の要望や、お金がなくて払えないという旨の抗弁です。

結論から言うと、浮気相手からの減額の要望は慎重に検討する必要があります。というのも、慰謝料の請求を受けた浮気相手というのは、往々にして「お金がない、慰謝料は払えない」と嘘をつくものだからです。

相手に本当に資力がないのかは、弁護士に依頼して調べてもらうと確実です。鵜呑みにはしないようにしましょう。

(5)必要に応じて教育委員会に相談する

浮気相手である担任の先生に職責上の処分を求める場合は教育委員会に相談します。
教育委員会への相談は必ず行わなければならないものではないため、状況に応じて検討しましょう。

教育委員会に伏せておくメリットは、教育委員会への告発を切り札として持っておくことで、慰謝料のスムーズな支払いが見込めることです。

加えて水面下での再犯防止など精神的な抑止力にもなります。
また、浮気相手が責任を取って自発的に退職する場合、教育委員会に相談してもあまり意味がないケースもあります。

なお、教育委員会への告発をちらつかせ、慰謝料の増加を迫るのは脅迫に当たる可能性があります。うっかり交渉の場で脅してしまわないよう注意が必要です。

担任の先生との浮気を解決するうえでの注意点

妻と担任の先生との浮気問題を解決するにあたっては、いくつか特有の注意点があります。
慰謝料請求や交渉において不利にならないよう、あらかじめ確認しておきましょう。一つずつ順に紹介します。

(1)パパ友やPTAなど関係者には黙っておく

妻と担任の先生との浮気は、パパ友やPTAなど学校関係者には伏せておくのがベターです。
浮気の事実を漏らしてしまい噂が広まると、名誉棄損に該当する場合があります。

また、自分の預かり知らないところで、PTAなどから教育委員会へ浮気の事実を通知されてしまう恐れもあります。
伏せておくことを前提に話を進めていた場合は想定外の方向に事態が進む可能性があるので注意が必要です。

ただ、どうしても胸の内に留めておくのが難しく、誰かに話を聞いてほしいということもあるかと思います。
この際は学校とは無関係の知人への相談や、プロのカウンセラーの利用を検討してみましょう。

なお、知人に相談する場合、浮気相手の素性や名前などは伏せておいた方が安全です。

(2)担任の先生に直接退職を迫るのは避ける

担任の先生に対し、直接的に退職を迫るのは避けた方が無難です。というのも、浮気を理由に無理に退職を求めると、刑法に規定される強要罪に該当する場合があります。

第二百二十三条 強要
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

引用:刑法第二百二十三条|e-GOV法令検索

公務員の職責から考えて、保護者の不倫に対する退職が「義務のないこと」に当たるかは微妙なところではありますが、万が一を考えると控えた方がよいでしょう。

退職や転勤を求めるのであれば、担任の先生に直接要求するのではなく、教育委員会に働きかけた方が安全かつ確実です。
このときも「退職しないと教育委員会にリークする」と脅すのは脅迫になってしまう可能性があるので控えましょう。

このあたりの微妙な塩梅は個人では対処が難しいため、弁護士と相談のうえで進めるのがおすすめです。

(3)妻と離婚しない場合の注意点

慰謝料を受け取った後も離婚しない場合「求償権の行使」「浮気相手の配偶者からの慰謝料請求」の二点に注意が必要です。

①浮気相手からの求償権の行使

浮気相手からのみ慰謝料を受け取っている場合、浮気相手から妻に対して求償権の行使が行われる場合があります。

不倫における求償権の行使を簡単に説明すると「妻が負担する慰謝料を肩代わりした分の返還要求」です。

本来、不倫における責任は浮気相手と妻の両者が共同で負うものなので、どちらか一方のみが支払いをおこなっているケースでは、もう一方の支払い分を肩代わりしてまとめて支払ったと理解できます。
そのため、浮気相手は妻に肩代わりした負担分を返すよう要求できるのです。

離婚する場合は求償権行使がなされても夫には関係ありません。
しかし、夫婦を続ける場合は実質的に夫婦の家計から支払いを行う羽目になることも多いです。
「妻の不倫のせいで余分なお金を払わされた」という意識は再スタートの障害になり得ますので注意が必要です。
以下で求償権行使に対する対策を紹介しています。

②浮気相手の配偶者からの慰謝料請求

浮気相手も既婚者である場合、担任教師の妻からの慰謝料請求にも注意が必要です。
浮気相手の妻もまた不倫の被害者のため、妻に対して慰謝料を請求する権利があります。

どちらの夫婦からも慰謝料の請求が発生する場合、実態としては慰謝料の相殺になってしまうケースもあります。
不測の事態に備えるため、相手方からの慰謝料請求は「あるもの」として考えておいた方が良いでしょう。

ダブル不倫の場合の不倫問題の解決は、弁護士と相談しながら慎重に進めることをおすすめします。

(4)浮気の慰謝料の金額相場は?

浮気の慰謝料はケースバイケースで算出するため、一概に相場を出すのは難しいです。とはいえ一応の平均値は存在し、多くの事例では50万円から300万円の範囲内の金額になります。

浮気の慰謝料をいくら請求できるかは、不倫の態様や夫婦の状況によっても異なります。たとえば、以下は代表的な基準の一部です。

【慰謝料を算出する基準(一例)】

  • 婚姻歴の長さ
  • 浮気相手の資力
  • 不倫の期間の長さ
  • 積極的なアプローチの有無

以上に代表されるように、状況を個別に判断して算出されます。慰謝料の相場については以下でも紹介していますので参考にしてください。

まとめ

妻の浮気相手が担任教師だった場合、通常の慰謝料請求などによる制裁のほか、教育委員会に告発することで公務員としての職責を追及することも可能です。
退職や転勤など公の処分を望むのであれば、教育委員会に相談するのも選択肢の一つとなります。

担任教師との浮気を解決するにあたっては、外部からの手出しによる事態の急転を防ぐため、パパ友やPTAなどには伏せておくことをおすすめします。

浮気相手が教師だということから、正義感から教育委員会に働きかけてしまう人もいるかもしれません。

誰かに相談する場合、守秘義務のあるプロのカウンセラーや、詳細を伏せた上で学校と無関係の知人に話すのが良いでしょう。

教員の不倫という特殊なケースのため、弁護士に依頼して解決方法を検討することをおすすめします。
相談料無料の事務所も多いため、不倫問題に強い弁護士を探してみてください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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