1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 強制執行(給与の差し押さえ)

不倫慰謝料が未払いの相手に強制執行や給与差し押さえで対処する方法

「夫や妻が不倫をして慰謝料を請求したが、いつまでたっても払ってくれない」
「不倫をして裏切った相手から慰謝料をどうしても回収したい」

など、不倫慰謝料が支払われずお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。不倫慰謝料が不払いのまま放置していると時効にかかって消滅し、それ以降請求できなくなるリスクもあります。しかし、確実に慰謝料を払ってもらうにはどうしたらいかわからないという方もおられるかもしれません。そこで今回は、不倫の慰謝料を確実に払ってもらうために、強制執行や差し押さえをする方法について解説したいと思います。

不倫慰謝料の未払い率は80%!?踏み倒しを防ぐための方法とは

不倫の慰謝料は、どのくらいが確実に払ってもらえると思いますか?不倫慰謝料は一括払いが原則ですが、不倫した側から分割払いの支払いを要求されることも多いです。分割払いという点では養育費も同じですが、厚労省の調査では約80%が未払いになると言われています。養育費同様、分割払いにした不倫慰謝料も、途中で不払いになり困る方は少なくありません。

不倫慰謝料を確実に払ってもらい、踏み倒されることを防ぐためには、「強制執行」をかけて、相手の財産を「差し押さえ」られるようにしておくことが有効です。強制執行とは、相手が約束したことを履行しない場合に強制的に権利を実現することをいい、差し押さえはその方法のひとつです。預貯金などを差し押さえる「債権執行」、不動産を差し押さえる「不動産執行」、相手の貴金属や絵画などを差し押さえる「動産執行」という種類があります。

強制執行で差し押さえできる財産とは

強制執行で差し押さえができる財産には、次のようなものがあります。

  • 債権(金銭的価値がある権利):給与、退職金、商売をしている場合の売掛金など
  • 不動産(土地など):土地、建物など
  • 動産(不動産以外のもの):車、貴金属、骨董品、株券など
  • その他:生命保険の解約返戻金請求権、著作権、不動産がある場合の賃借権など

財産が豊富にある人は上記のように土地建物を差し押さえて売却するなどしてお金にかえ、慰謝料を回収することができますが、不倫した夫が一般のサラリーマンのようなケースでは、なかなか差し押さえできる財産があるわけではありません。そのような場合は、相手の給料(給与債権)を差し押さえることが確実です。とはいえ、全額差し押さえると相手も生活ができないので、手取り額の4分の1までしか差し押さえできないのが原則です。給与を差し押さえた場合には、通常は相手の勤務先が手取り給与の約4分の1を天引きして指定した口座に振り込む方法がとられます。

不倫慰謝料を回収するために事前にやっておくべき準備とは

(1)強制執行認諾付きの公正証書を作成する

強制執行や差し押さえは最終手段といえる強力な方法なので、実行するには、裁判所の許可を受けて裁判所の主導のもとで行うのが原則です。しかし、裁判を起こすのは、時間的精神的に負担が大きいのが実情です。そこで、裁判を起こさなくても強制執行をかけられるように、事前に準備できる方法があります。

それは、慰謝料の支払いについて夫婦で合意した内容を、「公正証書」にしておくことです。公正証書とは、公証役場で作成する、法律にのっとった文書をいい、判決と同じ効力が認められます。そして、この公正証書に、「もし慰謝料を支払わなくなったら、財産を差し押さえて構いません」という内容の条項を入れておくことで、いざというときに裁判を起こさなくても強制執行をかけることができます。

公正証書を作成するには費用が掛かりますが、(慰謝料額が100万円までの場合は5000円、500万円までの場合は11,000円、1,000万円までの場合は17,000円など)、後々のトラブルを考えると、相手の支払い能力に不安がある場合は、このような強制執行認諾付きの公正証書にしておくことをおすすめします。

(2)財産の調査をする

慰謝料を払わない相手が、強制執行をかけられる財産をどの程度持っているかは、強制執行をかける側が調べなければいけません。夫婦の間の方が資産状況は調べやすいので、離婚を検討している方は別れる前に調べておくとよいでしょう。また、離婚したとしても、強制執行では財産分与の対象にならない独身時代からの預貯金や独自に相続した財産なども含まれるので、あきらめずに調査してください。

具体的には、相手の給与を差し押さえるための勤務先情報、相手名義の預貯金や生命保険、不動産、相手が契約している証券会社、所有している絵画や自動車などがないか、調べておきましょう。

公正証書がなくてもあきらめない!慰謝料を回収するための4つの手続き

(1)交渉で示談

示談とは、当事者間の合意のことをいいます。相手が慰謝料の支払いに遅れ始めたからと言っていきなり強制執行を検討するのではなく、まずは当事者で話し合い、今後の支払いについて合意を目指しましょう。それでもだめなら「内容証明郵便」(郵便局が手紙の内容と送った事実を証明してくれる郵便物)で請求し、さらにだめなら弁護士に依頼して弁護士から請求してもらいます。相手に本気度が伝わり、支払いに応じる可能性が高まります。

(2)裁判で和解する

裁判を起こし、その中で話し合いをして解決することを「裁判上の和解」といいますが、和解した内容を「和解調書」という書面にしてもらうと、判決と同じ強い効果をもちます。差し押さえをするためには、これに加えて「執行文」という、強制執行ができることを書いた書面がつけられていることを確認しましょう。

(3)裁判で判決を受ける

判決は、通常「被告(慰謝料請求を訴えられた側)は、原告(訴えた側)に対して金●●円を払え」というような形で出されます。判決が出ればそれに応じる相手は多いですが、応じない場合に、判決をもって相手のもとに押し掛け、所有する車を勝手に売り払って回収できるかというとそうではありません。判決を受けても応じない相手には、次の強制執行をかけて回収する最終手段を取ることになります。

(4)強制執行をして財産を差し押さえる

強制執行とは、約束に従って慰謝料などを支払われないケースで、相手の財産を強制的に差し押さえ、支払いを実行する制度をいいます。日本では勝手に相手の財産を奪うことはできないので、裁判所の許可のもとで相手の財産を取り上げて慰謝料を回収することになります。公正証書がなくても裁判で判決をもらい、加えて執行文を得ることで、相手の財産に強制執行をかけることができるのです。

強制執行するための手続きとは

強制執行の手続きは、上記でお話しした不動産執行、動産執行、債権執行のどれを取るかによっても変わりますが、次のような手順を踏みます。

(1)強制執行を申し立てる前の手続き

強制執行をするためには、事前に「債務名義」(裁判所などが強制執行を許可した文書で、誰が、誰に、何を、どの範囲で請求できるかを証明した書面)と、「執行文」(強制執行をしてもよいという旨の書面)を得ておくことが必要です。

強制執行認諾付きの公正証書がある場合は、公正証書の正本、戸籍謄本などの証明書類、印鑑や印鑑証明書と一緒に、公正証書を作成した公証人に執行文を作成してもらいます。裁判所で和解調書などを作ったり判決がある場合には、その裁判所の書記官に執行文の付与を作ってもらいます。これらの債務名義は、慰謝料を支払う側に郵送しなければいけませんが、送ったことを証明する「送達証明書」も発行してもらいましょう。

(2)強制執行の流れ

①債権執行の場合

相手の預貯金などを差し押さえる債権執行では、債権差押命令申立書、当事者目緑、請求債権目録、差押え債権目録に債務名義と送達証明書を添えて裁判所に差し押さえを申請します。申請が受理されると、裁判所から「債権差押命令」が出され、これにより預貯金を差し押さえられるようになります。

②不動産執行の場合

相手の土地・建物などを差し押さえる不動産執行では、不動産強制競売申立書、資格証明書、委任状、当事者目録、物件目録に債務名義と送達証明書を添えて、不動産がある土地の裁判所に差し押さえを申請します。受理されると、裁判所が不動産の調査をして最低競売価格を計算します。価格と競売の日時が決まり、誰かに落札されると不動産の売却代金が未払いの慰謝料に充てることができます。

③動産執行の場合

相手の貴金属などを差し押さえる動産執行では、執行文つきの債務名義をもって執行官に申立てを申請します。動産を差し押さえる際は、相手の自宅で執行業者が差し押さえますが、現金は直接受け取り、その他の宝石などについては競売で売られた代金を受け取るまで待つことになります。

まとめ

今回は、慰謝料が未払いの場合に強制執行をかけて回収する方法をご紹介しました。実際に差し押さえをしようとすると、手続きが複雑で驚かれた方もいるかと思います。強制執行や差し押さえは、強力な手続きであるだけに厳格なルールが決められており、おひとりで行うのは難しい場合も多いです。このようなケースでは、法律の専門家である弁護士にご相談ください。難しい書類の手続きや交渉も任せることができます。慰謝料の未払いでお困りの方は、まずは弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

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