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不倫の裁判で請求棄却された場合の対処法|不倫慰謝料や離婚を獲得するための方法

テレビや新聞で裁判のニュースをみると、「請求棄却」「却下」「敗訴」などの言葉をよく目にします。
夫や妻に不倫され、不倫の慰謝料請求や離婚で裁判を起こすことを検討している方の中には、「自分の請求も棄却されるのではないか」「裁判に負けたら泣き寝入りするしかないのか」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

実際、2019年2月19日に、最高裁判所で、不倫の慰謝料請求を棄却する判決が下されました。
不倫相手に責任を問えないのかと驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。

棄却されずに請求を認めてもらうためにはどういうアプローチが良いか、もし棄却されても次にどういう対応を取るべきか、十分に検討することが重要です。

しかし、請求を棄却するか認容するかをご自身で見通しを立てて対策を講じるのは大変です。
そこで今回は、棄却とは何か、不倫の裁判で請求棄却された場合の対処法について解説したいと思います。

棄却は敗訴か?却下との違いとは?不倫裁判の流れを解説

裁判のニュースなどで、「棄却」という言葉を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
同じような言葉に「却下」もありますが、実は意味が違います。
ここでは、裁判上の用語とともに、不倫裁判の流れを見ていきたいと思います。

(1)棄却とは

「棄却」とは、裁判所が一旦訴えを受理して、訴えの内容の実質的な審理をした結果、訴えを退けることをいいます。
訴えた側(原告)と訴えられた側(被告)との間の権利関係を調べて、原告の訴えに理由がないと裁判所が認めた場合に請求が退けられます。

(2)却下との違い

棄却も却下も、訴えが退けられる点で同じです。
ただし、「却下」は、手続き上の不備や裁判の必要性がないなど訴訟要件を満たしていない場合に、実質的に審理せず訴えを退けることをいいます。

つまり、棄却は、裁判所が内容を審査したうえで訴えを退けるもの、棄却は、裁判所は内容を審理せずに門前払いをするもの、という違いがあります。

(3)棄却と敗訴の違いとは

棄却は、裁判所が訴えの内容を審査したうえで、訴えに理由がないと判断して下す判決なので、原告と被告の関係に着目していうと敗訴に当たると言えます。

日本の裁判では、原則として敗訴した側が訴訟費用を負担します(民事訴訟法61条)。訴訟費用は、訴えを申立てる際に裁判所に納付した手数料等をいい、弁護士費用は含まれません。

原告の請求が全面的に退けられると、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」という判決が下され、請求を棄却された原告側が被告の訴訟費用分も支払います。これは訴え却下の判決が出た場合でも同じです。

ただ、訴えの全部が却下されたわけではなく、一部が認められた場合(一部認容判決)は、訴訟費用の負担は裁判所が裁量で決め(同法64条)、原告の訴えが認められた場合(請求認容判決)は、訴えらえた被告側が訴訟費用を負担します(同法61条)。

(4)不倫裁判の手続きの流れ

不倫裁判では、慰謝料の請求や、離婚について争われることが多いです。
これらの類型を民事訴訟といいますが、不倫裁判を含む民事裁判は以下のようなながれで進められます。

①訴えの提起


原告が裁判所に訴状を提出すると民事裁判が始まります。これを「提訴」と言います。
訴状は、原告の主張内容を法的根拠に照らして記載します。
請求するが140万円以下の金銭の請求なら簡易裁判所に、それ以外の場合は地方裁判所に提訴します。

②送達


原告が訴状を提出すると、裁判所が1回目の期日を決めて、被告に訴状と証拠の写しを送ります。これを「送達」いいます。
被告側は、訴状に対する反論をまとめた答弁書を作成して裁判所に提出しますが、被告が反論しない場合は、原告の主張を認めたことになり、請求が認容されて勝訴します。

③第一回口頭弁論


第一回口頭弁論期日では、原則として原告・被告が裁判所に出向きますが、被告は事前に答弁書を提出していれば欠席して構いません。

また、弁護士に依頼した場合は、代理人として出廷してもらえるので、原告・被告とも、弁護士が出れば本人は出廷しなくて構いません。
第一回口頭弁論では、訴状と答弁書の内容や提出された証拠を確認して、二回目以降の予定が決められます。

④主張整理・尋問


二回目以降の口頭弁論期日では、原告と被告の主張・立証が行われます。

具体的には、原告・被告の双方が、法的主張と相手への反論、証拠の提出を繰り返す中で、裁判所が事案の枠組みを明らかにして心証を形成していきます。
主張整理が終わると、尋問が行われます。原告や被告本人に対して行われる「本人尋問」だけでなく、第三者に「証人尋問」が行われる場合があります。

⑤最終弁論期日


尋問期日が終わると、原告と被告は最終意見をまとめた「準備書面」を裁判所に提出し、裁判所は最終弁論期日を設けて最終意見の取りまとめを行います。

⑥判決


全手続きが終わると、最終弁論期日の約1か月後に、裁判所が判決を下します。
判決日は、原告も被告も出廷する必要はなく、実際裁判でも結論だけが読み上げられて淡白に終了します。

出廷しなくても、弁護士に頼めば判決文を取り寄せてもらえます。

⑦和解


民事訴訟では、裁判所からの提案によって、原告と被告が裁判手続きの途中で話合って合意し、裁判を終了させる「裁判上の和解」はよく行われています。
原告が主張を全て撤回する場合は「請求放棄」、被告が原告の主張を全て受け入れる場合は「請求の認諾」になりますが、通常はお互い譲歩して「和解」します。

裁判官が間に入って双方が納得する和解条件を決めていくので、柔軟な解決ができること、敗訴のリスクを避けられること、早く裁判を終了できることなどのメリットが多く、作成される「和解調書」には判決と同じ強制力が認められます。

不倫裁判で請求棄却される原因とは

不倫裁判の典型的な事例は、不倫慰謝料の請求です。
このような不倫裁判で請求棄却される原因、つまり、「原告の主張には理由がない」と判断される理由はいくつかあります。

(1)注意すべき不倫の慰謝料請求ができる5つの条件

不倫慰謝料は、「夫婦は配偶者以外の異性と性交渉をしない」という貞操義務に違反し、平和な夫婦関係が壊されたことによる精神的苦痛をお金で賠償するものです。

そのため、不倫慰謝料請求の条件として以下の5つを満たす必要があります。

  • 結婚していること(婚姻届けを提出した法的な夫婦であること)
  • 夫婦関係が破綻していないこと(離婚を前提に別居などをしていないこと)
  • 不貞行為があったこと(異性との性交渉があったこと)
  • 不倫相手の故意過失があること(既婚者と知っていた、注意しても気づけなかったこと)
  • 自由意思に基づくこと(暴行などで性交渉をした場合は犯罪になります)

これらの条件に当てはめて、「性交渉はしたが夫婦関係が破綻していた」「デートはしたが性交渉はなかった」「不倫相手が既婚者と知らなかった」などの場合は、請求に理由がないとして棄却される可能性があります。

請求棄却をされないためには、提訴する前にしっかり調査をして、不貞行為があった事実の証拠を集めておくことが重要です。

(2)最高裁判所で不倫慰謝料請求が棄却されたケース

冒頭で、2019年2月19日に、最高裁判所で不倫慰謝料請求を棄却する判決が下されました。
判決のタイトルを見ると、不倫相手に責任が問えないように思えますが、そういうわけではありません。

①裁判の事案

1994年に結婚した夫婦が、2010年に妻の不倫が発覚、妻は不倫相手と別れて夫婦関係を再構築しようとしたけれど、2015年に離婚に至ったケースです。
2015年、元夫が妻の不倫相手である被告男性に慰謝料など495万円の請求を求めて提訴しました。

②裁判の経緯


一審、二審とも原告である元夫の主張を認め、198万円の賠償を命じていました。
しかし、最高裁は、元夫の請求を棄却しました。

③裁判のポイント


この最高裁判決は、不倫相手への慰謝料請求を全て否定したわけではありません。
本件で、原告である元夫は、妻との離婚は不倫相手の不貞行為のせいだとして、離婚慰謝料(離婚せざるを得なかったことの慰謝料)を不倫相手に請求しました。

最高裁は、離婚慰謝料は、原則として配偶者に対してだけ請求できること、不倫相手が夫婦関係を破壊させるような行為をした場合は例外的に離婚慰謝料を請求できるけれど、今回はそのような事情がないことから、離婚慰謝料の請求を認めませんでした。

また、慰謝料請求権には3年の消滅時効があり、本件では、離婚時点で不倫発覚から3年以上が経っているため、不倫慰謝料(不貞行為そのものの慰謝料)は消滅時効にかかって消滅していました。

そこで、離婚慰謝料も不倫慰謝料も請求の理由がないとして、請求棄却されたのです。
請求棄却をされないために、この判例を参考に注意すべき点が2つあります。

1つは時効の問題です。不倫慰謝料は不倫が判明してから3年、離婚慰謝料は離婚した時から3年で消滅します。
本件では、元夫は当時から不倫を知っていたため、請求時に慰謝料請求権が時効消滅していました。しかし、不倫を知らなかった、不倫が原因で鬱になり話合いができるまで5年かかった等の事情があれば、請求が認められる可能性があります。

2つめは特殊事情の考慮です。離婚慰謝料は原則配偶者にしか請求できませんが、不倫相手が夫婦関係を破壊しようと家に押し掛けたり、会社に怪文書を送ったり、子供に接触したなどの特殊な事情がある場合は、離婚原因に寄与したとして、不倫相手にも例外的に離婚慰謝料が認められる可能性があります。

不倫慰謝料請求などの不倫裁判で請求が棄却されないためには、同じ慰謝料請求であっても、どういう法律構成で請求するか、綿密に対策を講じておくことが重要です。

不倫慰謝料請求や離婚裁判で棄却された場合の対処方法

不倫裁判で請求棄却されても諦めてはいけません。
判決に不満がある場合は「上訴」することができます。日本では、裁判が確定するまで2階層の裁判所に上訴して計3回まで審理を受けられます(三審制)。
一審判決に対する上訴を「控訴」(民事訴訟法281条)、二審判決(控訴審)に対する上訴を「上告」といいます(同法311条)。

不倫裁判を含む民事裁判では、一審が地方裁判所の場合は、控訴は高等裁判所、上告は最高裁判所で行います(同法311条)。
140万円以下の慰謝料請求訴訟など一審が簡易裁判所の場合は、控訴は地方裁判所、上告は高等裁判所で行います(同法311条)。

この場合、地裁、高裁と上訴し、上告審の高等裁判所の判決に対し不服がある場合は、憲法違反を理由とする場合に限って、最高裁判所に特別上告ができます(同法327条)。

控訴・上告は、請求が全部認められた原告や、請求棄却された被告はできません。
一部勝訴した場合は、原告・被告ともに、自分が敗訴した部分のみについて控訴・上告できます。

具体的には、不倫慰謝料請求が棄却された場合は原告だけが、不倫慰謝料請求が全て認められた場合は被告だけが控訴できます。

不倫慰謝料の一部だけが認められた場合は、原告と被告の双方が控訴できることになります。

控訴は、一審の判決書を受け取った日の翌日から2週間以内に行います(同法285条)。
2週間の最終日が土日祝日の場合は次の平日まで延長されますが、間違えると控訴できないので、裁判所に必ず確認しましょう。

不倫裁判に強い弁護士の見つけ方

不倫裁判は、そもそも慰謝料請求をする権利があるか、条件を満たしているかを判断し、更に時効や請求原因の精査など、多くの事項を法的に考察して提訴する必要があります。

不倫裁判は、弁護士をつけずに自分でもできる訴訟類型ですが、上記のような複雑さを考えると、専門家である弁護士に依頼するのがベターです。

中でも、不倫裁判に強い弁護士に頼むことが、請求棄却をさけたり、棄却されても効果的な対策を取ったりするために重要です。

不倫裁判に強い弁護士を見つけるためには、以下のポイントをご参考ください。

(1)ホームページが分かりやすい


不倫裁判は複雑ですが、あくまで当事者はご自身です。弁護士と意思疎通を図りながら裁判を進めるためにも、わかりやすい視点で書かれているサイトを選びましょう。

(2)請求側の立場に立っている


弁護士は、慰謝料を請求する側、請求される側、どちらの弁護も行います。
両方の経験を持つ弁護士も多いですが、サイトで弁護士のスタンスを確認しておくと相談しやすいです。

(3)最新の裁判例や法律に精通している


実務では、法律の解釈は勿論ですが、過去の裁判例(特に最高裁判例)が判断に大きな影響を与えます。
また、最近は法律の改正が続いています。最新の情報をブラッシュアップしている弁護士か、サイトや法律相談で確認することをお勧めします。

(4)法律相談を利用する


弁護士に依頼すると、事件の成否に関わらず着手金などの弁護士費用が発生し、決して安い金額ではありません。
いきなり依頼するのではなく、まずは法律相談を利用して弁護士と話をして悩みを打ち明け、信頼できる弁護士か確認しましょう。
その際、費用の見積もりも依頼し、明朗会計の事務所を選ぶことも重要です。

不倫の裁判で棄却された場合に弁護士に相談・依頼するメリット・デメリット

不倫裁判で請求が棄却された場合に弁護士に相談・依頼するメリットは、限られた時間の中で最大限の効果を出すアドバイスを受けられることです。

控訴は、一審の判決が出た翌日から2週間という限られた期間内に申し立てなければいけません。
自力で一審を行ったとしても、請求が棄却された原因を踏まえて訴訟方針を転換し、法的書面を整えるのは大変です。

不倫裁判で請求棄却された場合は、まずはできるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

また、実際に依頼した場合は、訴状の作成や出廷も任せることができるので、精神的にも時間的にも、大きな余裕と安心につながるメリットがあります。

一方、弁護士に相談・依頼するデメリットとしては、弁護士費用がかかることです。
慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の弁護士費用は、着手金が20~30万円、報酬金が獲得した慰謝料の10~20%が相場です。

これに加えて、裁判や出張した際には1日または1回あたり数万円程度の日当がかかり、裁判をする際の印紙代として実費がかかってきます。

慰謝料の獲得見込みなどによっても変わってくるので、まずは法律相談を利用し、見積もりを出してもらい、納得した上で委任するようにしてください。

法律相談は、30分5000円+税が相場ですが、無料相談のところもおおいので、まずは相談することをお勧めします。

まとめ

いかがでしたか。棄却と却下の違い、敗訴の意味など、初めて知ったという方もいらっしゃったかと思います。
まずは請求が棄却されないように、勝訴判決を目指して提訴することが第一ですが、棄却されてもあきらめずに次の対策を検討することが重要です。

限られた時間の中でご自身の主張を認めてもらうのに、1人で戦うのは大変です。
法律の専門家として、あなたの味方になる弁護士に、まずはお気軽にご相談してみてはいかがでしょうか。

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