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別居婚で浮気・不倫した場合の離婚や慰謝料請求|財産分与や親権獲得の対応法を解説

別居婚と言っても、そのタイプはさまざまです。
単身赴任など仕事の都合でやむを得ず別居している夫婦もいれば、普段は別々に暮らして週末だけ一緒に過ごすことが夫婦円満の秘訣と考えてあえて選択している夫婦もいます。

特に、自ら選んで別居婚をしている夫婦の場合、お互いの異性関係には干渉しないという方もいるかもしれません。
しかし実際は、別居婚をしていても、「夫が他の女性と不倫するのは許せないので慰謝料請求したい」「信じているから別居婚したのに浮気した妻とは離婚したい」という方もいます。

そこで今回は、別居婚が法律上そもそも認められるのか、別居婚で慰謝料請求はできるのか、離婚する場合に通常の同居夫婦とは異なる点があるのか等、別居婚で不倫した場合の問題点についてご説明したいと思います。

別居婚の夫婦でも浮気したら慰謝料請求できるか?慰謝料請求の5つの条件

別居婚をするかどうかは夫婦の自由のようにも思えますが、別居に至った事情によっては問題になることもあります。
そこで、まずは別居婚が法律上問題ないのか、別居婚で慰謝料が請求できるのかを解説します。以下を参考にしてみてください。

(1)そもそも別居婚は法律違反になるか?

別居婚とは、結婚はしているけれど、夫婦が同居しない結婚スタイルのことをいいます。

日本では、民法752条で、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」として、同居義務、協力義務、相互扶助義務という3つの義務が定められています。
とすると、別居婚は、そもそもこの法律に違反したスタイルのようにも思えます。

しかし、同居義務は絶対的なものではありません。単身赴任の場合や、配偶者からDVを受けているような場合、喧嘩が絶えないので冷却期間を設ける場合などに加え、お互いが別居に合意している場合は、同居義務違反になりません。
同居義務違反が問題になるのは、配偶者が突然理由なく蒸発したり、自由を求めて勝手に出て行ったり、生活費を払いたくなくて家を出ていくような場合です。

このように一方的に別居を強行するような場合でも、犯罪ではないので原則として警察に被害届を出すようなことはできません(配偶者が病気や障害等で保護が必要なのに放置して出て行ったような場合は、刑法218条の保護責任者遺棄罪に該当する可能性はあります)。
民事上の問題として、調停を申し立てたり、生活費もいれたりしないような場合は「悪意の遺棄」として、出て行った配偶者に慰謝料を請求することが考えらえます。

(2)慰謝料請求の5条件とは

日本の法律では、上記の民法752条の規定に加え、重婚が禁止され(同法732条)、不貞行為が裁判上の離婚事由(同法770条1項1号)とされていることから、結婚した夫婦は「貞操義務(配偶者以外の異性と性交渉をしない義務)」負うとされています。

夫婦のいずれかが不倫をすると、貞操義務に違反したことになり、不倫された側は、平和な婚姻関係を壊されて精神的苦痛を受けたことに基づいて、その苦痛を金銭で賠償するための慰謝料を請求できるのが原則です。

しかし、不倫したら必ず慰謝料を請求できるわけではなく、夫婦の平和な婚姻生活という守られるべき利益が、不当に侵害されたことが必要です。
その判断基準として、次の5つが慰謝料請求の条件になります。

①結婚中の夫婦であること

貞操義務は、法的に結婚した夫婦が負うものです。したがって、婚姻届けを出した夫婦間で問題になります。
夫婦同然の生活をしている内縁関係の夫婦では、例外的に準婚関係として貞操義務が認められ、不倫に際しては慰謝料を請求できます。

②婚姻関係が破綻していないこと

不倫で貞操義務が侵害され、夫婦の平和な生活が壊されて精神的苦痛を被ったといえるには、守るべき平和な婚姻生活があることが必要です。
そこで、既に離婚に向けて別居している等、婚姻関係が破綻した後に不倫した場合は、守るべき夫婦の利益がないので慰謝料請求が認められません。

③性交渉があること

貞操義務は、配偶者としか性交渉をしないことを指します。
そのため、不倫慰謝料が請求できるのは、不貞行為をした場合、つまり異性とセックスした場合に限られます。
夫婦でキスやハグも浮気や不倫と考えて、慰謝料を請求して相手が勝手に払うのは自由ですが、もめて裁判になった場合は慰謝料請求の対象になりません。

④不倫相手に故意・過失があること

不倫慰謝料は、貞操義務違反によって不倫された側(サレ妻・サレ夫)に精神的苦痛を与えたという、不法行為に基づく損害賠償請求という性質を持ちます。
この場合の損害賠償が認められるには、「故意(わざと)または過失(不注意)で相手の権利を侵害した」ことが必要です。

そのため、不倫慰謝料の場合は、不倫相手が、既婚者と知って故意で不倫をしたか、既婚者だと過失で気付かず不倫をしたことが必要です。
配偶者が独身だと巧妙な嘘をつき、不倫相手が知り得ない場合は、不貞行為があっても慰謝料請求ができません。

⑤自由意思にもとづく関係であること

不倫慰謝料を請求するには、自由な意思で不倫したことが前提です。
強姦や、性交渉を強要した場合は、慰謝料請求できないのは当然、犯罪に該当する重大な違法行為です。
慰謝料どころか、実刑判決で刑務所行になる可能性もあります。

別居婚が不倫の慰謝料請求に与える影響

不倫慰謝料の金額は、法律で決められているわけではないので、当事者が自由に決めて請求することができます。
しかし、裁判になればこのくらいは認められるだろうという大まかな相場はあります。
具体的には、

  • 不倫が原因で別居や離婚をした場合:100~300万円
  • 不倫したけれど別居や離婚に至らない場合:50~200万円

というのが目安です。
しかしこれはあくまでも一般的な目安であり、これに夫婦の事情や、不倫の程度など、個別の状況が考慮されて、実際の慰謝料額が決まります。

(1)慰謝料を増額させる理由

次のような事情がある場合は、不倫慰謝料の増額事由として判断されやすくなります。

①不倫期間が長く不貞行為の回数が多い


不倫期間が概ね1年以上を超える場合や、不貞行為の回数が多い場合は、配偶者の精神的苦痛が大きいとして慰謝料を増額させる事由になりえます。

②不倫の程度が悪質な場合


過去に何度も不倫していたり、別れると約束したのに不倫を続けたりした場合、不倫相手が家庭を崩壊させようと行動していたような場合は、不倫の程度が悪質で反省がないとして慰謝料を増額させる事情になります。

③夫婦の結婚期間が長い


不倫した既婚者の結婚期間が長いと、夫婦間の信頼も大きくなり、裏切られた精神的苦痛が大きくなるため、慰謝料を増額する事情になります。

④夫婦に子供がいる


夫婦に未成年の子供がいる場合、子供自身は原則として慰謝料を請求できませんが、子供への影響も考慮して慰謝料増額の事由になり得ます。

⑤不倫当事者の地位や収入


不倫した当事者の社会的地位が高い、収入が多い場合は、慰謝料が増額される事情になります。

⑥不倫の事実を認めない


証拠から不倫の事実が明らからなのに、認めずに謝罪をしない場合は、反省の色がなく配偶者の精神的苦痛を大きくさせたとして慰謝料増額の事情になります。

⑦不倫相手が妊娠したこと


不倫相手が妊娠するなどすると、夫婦関係が破壊される可能性が高まり、配偶者の精神的苦痛も大きいとして慰謝料が増額される事情になりやすいです。

(2)慰謝料を減額させる理由

反対に、事情によっては不倫慰謝料が減額されることもあります。

①不倫期間が短く不貞行為の回数が少ない


不倫期間が数か月から半年以内で、不貞行為の回数が概ね10回以下のような場合は、慰謝料を減額させる事情になります。

②受け身の不倫だった


慰謝料を請求する相手の方が不倫関係に消極的だった場合は、慰謝料を減額させる理由になります。ただ、請求者の怒りを逆なでしないように注意が必要です。

③夫婦の結婚期間が短い


夫婦が結婚して1年から数年以内の場合は、結婚期間が長い夫婦に比べて慰謝料は低くなります。

④夫婦仲がよくない


そもそも夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料請求しても払わなくてよくなりますが、破綻に至らなくても夫婦仲が悪かった場合は、慰謝料減額の理由になり得ます。

⑤不倫当事者の収入や地位


不倫当事者の収入が低い場合は、慰謝料は低くなる傾向にあります。年収200万円の不倫相手に数千万円の慰謝料請求をする等の行為は、公序良俗に反するとして無効になり得ます。

(3)別居婚の場合の不倫慰謝料の考え方

別居婚でも夫婦が婚姻関係にあることに変わりはないので、お互いに貞操義務があり、どちらかが不倫をすれば、不倫された側は慰謝料を請求できます。

ただし、別居婚が長期にわたり、夫婦のコミュニケーションがほとんどないような状態だと、夫婦関係の破綻までは行かなくても、慰謝料が減額される可能性があります。

反対に、別居婚をしていても、頻繁に会っていて良好な夫婦関係が続いている場合や、単身赴任の場合、出産や病気の療養などの場合は、別居婚が長期にわたっても、夫婦関係が破綻しているとは認定されず、通常の慰謝料が認められやすいです。

ただし、別居婚で、配偶者が不倫した場合、不倫相手が既婚者だと知らなかったり、夫婦関係が破綻して別居していると思っていたといったケースでは、不倫相手の故意・過失が認められず、慰謝料請求そのものが認められなかったり、減額される可能性もあります。

別居中に配偶者が浮気したら離婚できる可能性

別居婚も夫婦関係は続いているので、不倫した場合は裁判上の離婚事由(同法770条1項1号)にあたり、夫婦で離婚に合意できない場合は裁判で離婚を争うことができます。
実際、長期間別居婚・週末婚のような状況が続いた夫婦でも、ある時お互いに愛情を持てないことに気付いて離婚したり、そのような状況から不倫に走って離婚したりする夫婦もいます。

別居婚であっても、配偶者の浮気で離婚できる可能性は高いですが、離婚する場合は、別居婚では、財産分与に通常の離婚とは違う影響が生じる可能性があることに注意が必要です。

別居中の夫婦が離婚する場合の注意点

別居婚の夫婦でも、離婚はできますが、特にお金が関わる面で同居の夫婦が離婚する場合と違いが生じることがあります。

(1)婚姻費用分担請求

夫婦には、相互扶助義務(民法752条)があるため、収入の多い側は少ない側に、お互い同等の生活が送れるように生活費を渡さなければいけません。
これを「婚姻費用」と言います。婚姻費用の目安は、家庭裁判所で、お互いの収入状況に応じて基準となる金額が設定されています。

婚姻費用は、法律的に婚姻している夫婦であれば、収入が少ない側は請求する権利があり、相手が払わない場合は審判や裁判といった手段によっても請求することができます。

しかし、別居婚や週末婚の場合は、双方が同意して別居しているため、夫婦で収入差があるとしても一方に二重生活の負担を強いるのは不公平であることから、婚姻費用分担請求をすることが難しくなるケースが多いです。

また、婚姻費用分担請求が認められても、支払う側に大きな負担になることから、想定していなかった離婚に繋がる可能性もあります。

(2)財産分与

離婚の際、財産の名義を問わず、婚姻後に夫婦が協力して築いた財産を原則等分に分けることを「財産分与」と言います。
同居している夫婦が別居を始めた場合は場合、別居するまでに築いた財産が、夫婦が協力して築いた財産として財産分与の対象になります。

別居婚の場合は、夫婦のそれぞれが自分で生計を立てて生活することに合意していたとして、夫婦が協力して築いた財産はないということもありえます。
このような合意をしていた場合は、財産分与の対象になる財産はないことになります。
別居婚でも財産分与を求める場合は、生活が別でも財産を蓄えるのに協力をしたこと等について、具体的な証拠を示して立証しましょう。

(3)親権獲得

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、子供の親権を決めることが離婚の条件になります。
親権の決定に当たっては、子供の利益を最優先に考慮されます。

具体的には、転校せずに従来の学校生活を維持できることや、兄弟がいる場合はできるだけ一緒に生活すること、十分な教育を受けられるように親の仕事がきちんとあることなどです。

別居婚をしている夫婦が離婚する場合、子供と暮らしていなかった配偶者が親権を取るのは、子供の生活を大きく変えるため難しいのが実情です。
また、子供と同居していた配偶者が不倫をしたとしても、有責配偶者が必ず親権を取れないわけではありません。

別居している子供の親権を取りたい場合は、専門家である弁護士に相談して、ご自身と子供のこれまでの関係や今後の生活、受けられる周囲のサポートなどを整えて、綿密に交渉をしていくことをお勧めします。

別居婚中の浮気であえて離婚をしないメリット・デメリット

別居婚の夫婦の場合、浮気や不倫が原因で離婚すると、上記のように金銭面で通常の同居している夫婦と異なる面もあります。
そこで、不倫や浮気があっても会えて離婚しないメリット・デメリットをご紹介します。

(1)離婚しないメリット

別居婚の夫婦が離婚しないメリットとして、対外的な影響がないこと、離婚に伴う負担を避けることができる点にあります。
日本では夫婦別姓が認められていないため、別居婚の夫婦でも結婚に伴い氏を変更して、配偶者の姓で社会生活を送る方は多いです。
離婚すると、原則として旧姓に戻るため、離婚しないことで日常生活への影響を抑えられるメリットがあります。

また、各自で生計を立てている別居婚では、離婚しても生活への影響は小さいと考えがちですが、離婚は離婚届けを出して終了ではありません。
財産分与は本当にないのか、子供がいる場合は親権や養育費の支払いはどうするのかなど、検討すべきことは多いです。
離婚しないことで、離婚に伴う諸手続きをしなくて済むメリットもあります。

また、未成年の子供がいる夫婦にとっては、子供への影響を及ぼさない点もメリットです。
別居婚であれば、離婚による影響は小さいと思うかもしれませんが、親権者ではない親は面会交流権の範囲で会うということになると、子供はその変化を感じることもあります。

(2)離婚しないデメリット

離婚しないデメリットとしては、対外的なものより、ご自身の気持ちに関するものがあります。
まず、夫婦が合意して始めた別居婚は、各自自立した関係を築いているため、お互いへの信頼関係が根底にあるケースが多いです。
その配偶者が不倫をしたことで、離婚しないとしても相手への信頼が損なわれることも多く、精神的に辛くなるケースもあります。

また、今回の不倫や浮気を許して離婚しなかったとしても、配偶者が不倫関係を継続するとか、場合によっては不倫相手と新たな家庭を築くような状況になるなど、事態が悪化する恐れもあります。

また、子供のために離婚を避けることが、子供に両親の不仲が自分のせいだと考えてストレスを与えるなど、逆にマイナスに影響する可能性も否定できません。

別居婚の不倫問題を弁護士に相談するメリット

別居婚の夫婦が不倫した場合、別居婚に至った理由や夫婦の関係で、慰謝料や離婚の請求などの対応が変わります。
婚姻関係という法的な関係を解消する際には、別居だから大きく状況は変わらないと簡単に考えず、弁護士に相談することでその後の問題を回避したり、最善の結果に繋げられたりする可能性が高まります。
別居婚の不倫問題を弁護士に相談するメリット・デメリットは、以下をご参考ください。

(1)別居婚の不倫問題を弁護士に相談・依頼するメリット


別居婚の夫婦の場合、別居中の婚姻費用や離婚の際の財産分与など、金銭面で、一般的な同居の夫婦と異なる点も多いです。

また、不倫相手に慰謝料を請求する際も、別居婚であることを理由に、不倫相手が慰謝料の支払いを拒否したり、減額を請求してきたりする可能性もあります。
このような場合は、弁護士に相談することで、別居婚でも婚姻関係が破綻していないことや、不倫相手に故意過失があることを具体的な証拠を示して主張し、適切な慰謝料額を請求したり、財産分与も寄与の度合いを示して請求したりするなどの対応やアドバイスを受けることが期待できます。

(2)別居婚の不倫問題を弁護士に相談・依頼するデメリット


一方で、別居婚の不倫問題を弁護士に相談・依頼するデメリットとして、費用面を心配する方も多いと思います。
別居婚の場合は、自立して生計を立てている方も多く、離婚しても生活が大きく変わらないので弁護士に頼るまでもないと考える方もいます。

しかし、できるだけご自身の負担を少なく、今後の問題の再燃を防いで慰謝料請求や離婚問題を解決するには、専門家のアドバイスを受けておくことが有効です。
最初の法律相談は無料の弁護士事務所も少なくありません。
実際の弁護活動を依頼した場合の費用は、大きく揉めない場合は10~数十万円が相場と言えるでしょう。

ただし、弁護方針や夫婦の状況によっても費用は異なるので、法律相談で見積もりを出してもらい、明朗会計の弁護士に依頼するようにしましょう。

まとめ

今回の解説では、別居婚の夫婦の浮気・不倫について、慰謝料請求や離婚の問題など、金銭面を中心にご説明しました。

昨今は、夫婦のスタイルも多様化し、別居婚を選択する夫婦も少なくありません。
同居していなければ関係性が薄いわけではなく、法的に結婚している以上は、相互に義務や権利が発生しています。

そのため、別居婚の不倫や浮気に際しては、慰謝料請求や離婚について、しっかり検討することが重要です。

一方、別居婚の不倫の場合は、夫婦の事情や別居の態様によって、対応が異なるケースも多いです。
別居婚中の不倫でお悩みの場合は、夫婦のトラブルや法律問題に詳しい弁護士に、まずはお気軽に相談されることをお勧めします。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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