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不倫を問い詰めると妻が家出した!今後の事態の予測と対処法

夫に不倫が発覚すると、多くの妻は形だけでも謝罪し今後の話し合いに応じます。
しかし、なかには不倫の発覚直後に家出してしまう人もいます。

家出されると「とりあえず今は何もできないから妻からの連絡を待とう」と考える方も多いのですが、これはおすすめできません。
妻が夫のあずかり知らないところで離婚準備を進めており、事態が急転する可能性もあるからです。

この記事では、不倫を問い詰めた妻が家出した場合に起こる事態とそれぞれの対処法を紹介していきます。

不倫した妻が家出した後に起こり得ること

不倫をしていた妻が家出した後に、起こり得るのはどのような事態でしょうか。
あらかじめ知っておき対策を練ってみましょう。代表的なものを4点紹介します。

(1)妻の依頼した弁護士からの連絡

「妻も頭が冷えたら帰って来るだろう」と思っていたら、急に妻の弁護士から連絡を受けることがあります。
不倫を問い詰めて家出する妻は、往々にして離婚を本気で検討していることがあるため、このような事態は決して珍しくありません。

夫の中には「弁護士が入ってくれたのならうまく仲裁してくれるだろう」と事態を楽観的にとらえる方もいますが、これは必ずしも正解とはいえません。
妻の弁護士はあくまで妻の利益を最優先に行動するため、夫の望む形で解決できるとは限らないからです。

そのため、弁護士の言いなりに対応するのは危険です。
「慰謝料を不当に低くされる」「望んでいないのに離婚させられた」など、不利な結果で事態が収束する可能性もあります。

妻の弁護士から連絡があった場合は、早急に夫側も弁護士を選び交渉に備えることが必要です。

(2)離婚調停の申し立て

妻が大した話し合いもなく家出し、妻からの連絡を待っているところに、いきなり調停期日通知書が届くケースもあります。
この書面は妻が離婚調停を申し立てたことを通知し、その期日を知らせるためのものです。
いきなり裁判所からの書類が届きあわててしまう人も多いのですが、まずは落ち着きましょう。

調停とは、簡単にいうと裁判所を通しての当事者間の話し合いのことです。
当事者の主張から落としどころを探り問題を解決することを目的とします。

第三者である調停委員も参加しますが、あくまで中立の立場ですので、どちらかを無理に説得しようとはしません。

そのため「調停に出る=離婚させられる」というわけではないため過剰な心配は不要です。
話し合いがまとまらなければ「調停不成立」とされ終了します。
妻が調停を申し立てた場合は、離婚の可否をはっきりと主張することが大切です。

(3)妻による子供の連れ去り

妻が家出するケースでは、妻が子供を自分の生活拠点に連れ去ってしまうケースがしばしば見られます。
夫の不在中に自宅に来て連れて行ったり、保育園や学校の帰りに迎えに来てそのまま連れ去ったりという場合が代表的です。

単に妻の実家や生活拠点に移動しただけならまだ子供へのダメージは少ないといえるでしょう。
しかし、なかには遠方に連れていかれそのまま転園・転校してしまうケースや、浮気相手の自宅での共同生活を強いられることもあります。

このような事態は子供にとっても悪影響が大きいため、連れ去りを防止できるよう何らかの対策が必要となります。

(4)義父・義母の介入

妻の家出先が妻の実家の場合、妻の不倫問題への義父母の介入も考えられます。
妻本人と直接連絡が取れず、実家を訪問しても妻が出てこずに義父母が応対してブロックされてしまうケースです。

本来不倫や離婚問題は妻と夫の間で話し合うことなので、義父母には無関係です。
しかし、実際には実家に引きこもってしまい義父母がかばって会えなくなるケースは珍しくありません。

義父母に面会をブロックされているケースでは、弁護士と共に実家に訪問するのが比較的効果のある方法です。
しかし、それでも妻と会えない場合は家庭裁判所の調停を利用するのも一つの方法です。

離婚を望むのであれば離婚調停を、再構築したい・離婚するか迷っている場合は夫婦関係調整調停を申し立てることができます。

考えられる妻側の行動

家出した妻を話し合いのテーブルに着かせることに成功した場合、不倫をしていた妻はどのような要求をおこなうのでしょうか。
妻が有利に離婚したいと希望している場合に、訴訟や調停で考えられる主張を整理してみましょう。

(1)夫婦関係の破綻の主張

まず考えられるのが、不倫前から夫婦関係が破綻していたと主張し、慰謝料の請求の無効化を狙ってくることです。
夫婦関係の破綻とは、何らかの理由で夫婦関係が回復できないほどに崩壊しており、実態がなく形骸化している状態を指します。

妻から夫婦関係の破綻を主張されると「慰謝料を受け取れなくなるのではないか」と慌ててしまう方も多いです。

しかし、実際には存在しない夫婦関係の破綻を立証するのは非常に困難です。
夫婦関係の破綻が認定されるには客観的な証拠が必要であり、一般的には「長期間(数年間)にわたる別居の有無」「不倫前の離婚協議の有無」などの要素が代表的な基準となります。

基本的には、妻が思い付きで一方的に夫婦関係の破綻を主張しても、証明が難しい場合が多いです。

(2)慰謝料の減額要求

慰謝料を請求していた場合、その減額を要求してくることもあります。

不倫の慰謝料の金額は、基本的には双方の合意によって決定されます。
ただ、裁判になると不倫の態様を個別に評価するため、金額を判断するための基準がいくつか存在します。以下は一例です。

【慰謝料の金額を左右する要素(一例)】

  • 婚姻期間の長さ
  • 離婚するかどうか
  • いつから不倫関係だったのか
  • 不倫相手の子を妊娠したかどうか

こういった要素を基準に、本来請求していた金額より低い金額を提示される場合もあります。
このような判断基準に基づいた慰謝料額の決定は一般人では難しい場合もあるため、可能であれば弁護士に相談し、妻からの減額要求が妥当かどうか判断するのが確実です。

(3)狂言DVの主張

より有利な条件で離婚するため、妻から狂言DV(家庭内暴力)が主張されるケースも散見されます。
しかし、夫から妻に対する暴力を立証する場合にも、客観的な証拠が必要です。

DVの証拠となるものとしては「ケガの写真」「医師の診断書」「夫からの脅迫のメッセージ」などが挙げられます。

裁判や調停の場で、裏付けのないDVの主張を裁判官や調停委員が鵜呑みにすることはないので、こちらも過剰に心配する必要はありません。
同じように経済DVによる「悪意の遺棄」の主張をしてくることもありますが、こちらもお金の流れがわかる客観的な物証が必要となるため、虚偽の経済DVを認めさせるのは難しいといえます。

妻と不倫相手に法的に責任を取らせる方法

妻の不倫に対して、夫が法的に責任を取らせる方法は大きく二つ存在します。
それぞれ具体的な方法を確認していきましょう。

(1)不倫の慰謝料を要求する

不倫の制裁としてもっとも代表的なものが、不倫の慰謝料を要求することです。
不倫は妻と浮気相手による夫への共同の不法行為となるため、夫は両者に慰謝料を請求できます。

慰謝料の金額は個別に事態を評価して判断しますが、一般的な金額は100万円から300万円程度となっています。
経済的にダメージを与えられるため単に浮気相手を撃退したい場合も効果的です。

なお、不倫の慰謝料を妻にも請求するかは人によって判断が分かれるところです。
家計が同じであれば払ってもらっても意味がないとする人から、離婚前提なので全額支払わせる人までさまざまです。

この点は、妻との将来をどうするかなども含め決定することになります。迷った場合は弁護士に相談してみるのも選択肢の一つです。

(2)妻と不倫相手の接近を禁止する

妻と離婚せず関係を再構築するのであれば、妻と不倫相手の示談以降の接近を禁止できます。

具体的には、不倫の示談をまとめる際に、条件の一つとして接近禁止・連絡の禁止を盛り込むのが一般的です。
これにより、不倫問題を解決した後の妻と浮気相手の復縁を防ぐことができます。

なお、罰則を設けないまま条件に盛り込むと再犯される恐れがあるため、実際には5万から10万程度の少額の罰金を付加したうえで示談条件の一つとすることが多いです。

(3)制裁を加える際は法律に抵触しないよう注意が必要

妻や不倫相手に制裁を加える際は、法律に抵触しないように注意が必要です。

たとえば、不倫相手と顔を合わせた際に、熱くなって手をあげてしまった場合を考えてみましょう。
このケースでは、不倫相手が被害届を出せば刑事事件に発展する可能性があります。
また、被害届の取り下げを条件に慰謝料の撤回・減額を求められるかもしれません。

不倫の事実を不倫相手の職場や友人などに広めるのもリスクの高い行為です。
刑法に規定される名誉棄損に該当する可能性があり、同じように減額交渉の材料にされてしまうことがあります。

刑事事件に発展したり、その後の交渉で不利になったりすることがないよう、制裁は合法的に可能な範囲内でおこなうようにしましょう。

妻が離婚を希望し家出した場合の対処法

妻が離婚を希望して家出した場合、夫側も妻の出方を黙って待っているのは得策とはいえません。
きたる離婚交渉に備え、相応の対策が必要です。具体的な対策を二点見てみましょう。

(1)家出した時点で不倫問題に強い弁護士に相談する

妻が家出した時点で、不倫問題が専門の弁護士に相談するのがおすすめです。
不倫を問い詰められて家から出ていく場合、離婚を想定して行動している可能性が高いといえます。

妻側も有利に離婚するためにさまざまな手を打ってくることが考えられるため、弁護士のサポートが必要となります。
離婚する・しないに関わらずほとんどのケースで交渉に発展するため、早めに弁護士に相談しておいたほうが良いでしょう。

(2)子供がいる場合は連れ去りの対策が必要

夫婦に子供がいるのであれば、妻が子供を連れ去ってしまう可能性がありますので、こちらも対策が必要です。
妻の実家や、ひどい場合は浮気相手の家に連れていかれることもあります。

すぐにできる対処法は、園や学校の関係者に事情を説明しておくことです。
ただ、妻が子供を迎えに来た際に渡さないというのは立場上難しい場合もあるため、妻が迎えに来た際に電話で連絡してもらうようお願いしておきましょう。

また、不倫問題と離婚騒動が片付くまでは子供を送迎するのもひとつの方法です。

(3)夫婦を強制的に離婚させられるのは裁判の確定判決のみ

離婚を希望していない場合、妻から離婚を突き付けられると、望まない形で別れさせられるのではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。
一つ覚えておいて欲しいのですが、夫婦をどちらかの意に反して強制的に離婚させることができるのは裁判所のみです。
裁判所の確定判決を得るには裁判を起こすしかないので、妻の希望のみで勝手に離婚されることはありません。

裁判離婚以外にも調停や協議によって離婚することはできますが、夫の同意が必要ですので、一貫して離婚しないと主張することが大切です。

なお、妻によって勝手に離婚届けを記入され提出される可能性はあります。
この場合は「離婚届不受理申出」という手続きで防止できます。
専用の用紙に記入し本籍地の市区町村役場に提出することで効果を発揮してくれますので、心配な場合は検討してみてください。

離婚するかどうか迷った際に整理すべきこと

配偶者に不倫された場合、離婚するかどうか迷ってしまう方は少なくありません。
情は残っていても裏切りを許せないかもしれない、こんな場合はどうすればよいのでしょうか。

一例として、妻と離婚するかどうか迷った場合に、判断基準になる三つのポイントを紹介します。

(1)離婚した場合の経済状況の変化

代表的なのが、離婚後の経済状況にどの程度の変化があるかです。共働き世帯の場合、離婚すると収入は減少するため、その影響の大きさを測る必要があります。

妻と別れても問題なく生活していけるか、子供を引き取るのであればしっかりと育てていけるかなど検討してみましょう。
一人でも十分にやっていけるのであれば、必ずしも離婚を躊躇せずともよいでしょう。

なお、子供を引き取る場合、不倫の慰謝料とは別に養育費も定期的に受け取ることができます。
自分の収入のみでは少々心もとないという場合でも、養育費の支払いを受けられれば暮らしていけることもあります。こちらもあわせて検討してみてください。

(2)やり直した場合に再度妻を信用できそうか

不倫をした妻とやり直すと仮定した場合に、将来的に妻を信用できそうか、その見込みがあるかも重要な判断基準となります。
妻の過去の行動や態度から考えて、関係を再構築できるかどうかを整理してみましょう。

たとえば、不倫を心から悔いており、夫や子供ともう一度暮らしたいと考えているのであれば再構築の余地はあるかもしれません。

一方、過去に子育てや家事に非協力的だったなど問題があり、不倫への反省の態度も見られないのであれば、離婚するのも一つの選択肢となります。

再び妻と円満な夫婦関係に戻ることができそうかどうかも考慮して離婚の是非を検討してみましょう。

(3)子供への影響の大きさ

子供がいるのであれば、妻との婚姻関係を継続した場合に、子供にどのような影響があるのかも考えなければなりません。

たとえば、不倫に手を染めてしまったが、子育てに積極的で子供に愛情を注いでいた実績があるなら、離婚の可否をじっくりと考えた方がよい場合もあります。

一方、不倫に罪悪感がなく、子供より自身を優先する傾向があるなら、再構築しても悪影響の方が大きいかもしれません。

たとえば、離婚して不倫相手の元に子供を連れて行こうとしているなど、子供のメンタルケアや環境の変化に無頓着な場合は再構築のリスクの方が高い可能性もあります。

まとめ

不倫を問い詰められて妻が家出するケースでは、妻は離婚を視野に入れている場合があります。
妻からのアプローチを待って放置していると、思わぬ事態に発展する可能性があるため注意が必要です。
あらかじめ起こり得る自体を知っておきましょう。ぜひ今回紹介した内容を参考にしてください。

妻が家出したとき、夫が最初にやるべきことは信頼できる弁護士の選定です。妻の弁護士からの連絡や調停の申し立てなどに対処し問題を解決するには、法知識のある専門家のサポートが必須となります。

弁護士にはそれぞれ得意とする分野があるため、弁護士を選ぶ際は不倫や離婚など夫婦間のトラブルに精通した弁護士を選ぶのがおすすめです。
相談料無料の事務所も増えてきているため、複数の事務所に相談してから依頼の是非を決めるのも良い方法です。自分と相性の良い弁護士を見つけてみてください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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