1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 浮気はLINE・メールだけで証明できる?

旦那の浮気はLINE・メールだけで証明できる?証拠集めの注意点を解説

「旦那に浮気されたので証拠を集めて慰謝料請求したい!」と考えるのは簡単です。
しかし実際には、旦那にバレずに証拠を集めたり、慰謝料請求したりするにはいくつか注意点があります。

特に気をつけたいのが、浮気の証拠がLINEやメールしかない場合です。これらの証拠だけで、はたして慰謝料請求が可能なのか、不安に思う人もいることでしょう。

そこでこの記事では、浮気を法的に証明する方法を説明した上で、LINEやメールしかなくても不貞行為を証明できるのか、また慰謝料請求が可能なのかについて、ポイントをわかりやすく解説します。

あわせてLINEやメールで浮気の証拠を確保するときの注意点にも触れます。
「旦那が浮気しているのはほぼ確実なのだが、LINEやメールをチェックして決め手となる証拠を確保したい」と考えている人は参考にしてください。

旦那の浮気はLINEやメールで発覚することが多い

配偶者の浮気を見つける方法は様々ありますが、LINEやメールはその典型です。

電話は声が外部に漏れるので、浮気相手との連絡には使いにくいツールです。そのためか、浮気をする人が連絡手段として活用する方法は、「インターネットを介して」「文字だけで意思疎通できる」ことが条件となります。LINEトークやメールはこの条件に合致します。

(1) LINEやメールで浮気がバレるきっかけは?

LINEやメールを浮気相手との連絡手段として使うとき、浮気をしている本人は挙動不審に陥ります。たとえば次のような行動を見せるようになったら、浮気をしている可能性が大いにあります。

  • 配偶者がそばにいるときはスマホの画面が見えないようにする
  • 配偶者がいる場所にスマホを置きっぱなしにしない
  • 配偶者の外出時間や睡眠中に頻繁にLINEやメールをしている

携帯電話やスマートフォンの利点は、いつでも持ち歩ける優れた携帯性や、メッセージアプリやEメールでこっそり連絡できる秘匿性です。だからこそ「浮気ツール」として利用されるわけです。

つまり、携帯やスマホを常に肌身離さず持ち歩いたり、人目を気にしながら使ったりする配偶者は、「私は浮気をしています」と自ら申告しているようなもの。バレるのは時間の問題と言えるでしょう。

LINEやメールだけで浮気の証拠になる?

LINEやメールだけで浮気(=不貞行為)の証拠になるかどうかは、浮気相手とのやりとりを具体的に見てみないと判断できません。

そこでまず、浮気を法的に証明する方法を簡単に説明した上で、LINEやメールにどのようなやりとりがあれば、法的に証明可能と言えるのかを詳しく解説していきます。

(1)浮気を法的に証明する方法

法律上、一定の事実を証明する証拠は、「直接証拠」と「間接証拠」の2つに大別できます。

直接証拠とは、法律が定める一定の効果(たとえば慰謝料請求権)の根拠となる事実を直接的に証明する証拠です。性行為の写真や動画などがこれに当たります。

他方、間接証拠とは、法律が定める一定の効果(たとえば慰謝料請求権)の根拠となる事実を間接的に証明する証拠です。不倫を認めるLINEトークやメールなどがこれに当たります。

直接証拠があれば浮気はほぼ確実に証明できます。たった1本の動画や1枚の写真でも、それが浮気相手との性行為を撮影したもので、しかも2人の顔や声がはっきり収録されていれば、不貞行為の動かぬ証拠になります。

しかし、間接証拠しかない場合は、一つでは足りず複数の証拠が必要になります。間接証拠は「浮気があったかもしれない」と推測させる力しかないからです。

(2) LINEのトーク履歴だけで浮気の証拠になるか

LINEのトーク履歴だけで浮気の証拠になるかどうかは、前述した直接証拠と間接証拠の区別にしたがって段階的に判断します。

たとえば、LINEトークに「昨夜のあなたは最高だったわ」「君も素敵だったよ」といった言葉のやりとりがあったとしても、これだけでは浮気があった断言することはできません。つまり、間接証拠にもなりません。

「君とはセックスの相性がいいみたいだ」「私もよ。次はいつしよっか?」というように、肉体関係があったことをより直接的に示す言葉があれば、間接証拠として認められる可能性はあります。

ただし、LINEトークはアプリで偽造できるため、証拠を押さえるときは疑われないように工夫する必要があります。

以上に対して、LINEトークに、性行為の様子を撮影した写真や動画を貼り付けていた場合には、不貞行為の直接証拠になります。特に動画は、比較的偽造の容易な写真とは異なり、偽造するのに高度な技術を要するため、不貞行為の決定的な証拠として採用されます。

したがって、浮気の証拠がLINEトークの履歴しかないとしても、言葉だけでなく動画が貼り付けられていれば、それだけで浮気の証拠になると言えるでしょう。

(3)メールの内容だけで浮気の証拠になるか

メールでのやりとりは、通常ほとんどが文字だけです。したがってメールの内容だけで浮気の証拠とするためには、浮気をはっきり認める言葉が書かれていることが必要でしょう。

たとえば「あなたと不倫してそろそろ2年になるわね」「そうだな。これからもよろしく」などといったやりとりがあれば、浮気を推認できる証拠となるでしょう。

もちろん、言葉だけでなく、肉体関係を直接示す写真や動画が添付されていれば、不貞行為をさらに証明しやすくなります。

LINE・メールだけの関係(肉体関係なし)でも慰謝料請求は可能か

ここまでは、LINEやメールの内容だけで浮気を証明できるかについて説明してきました。

では少し視点を変えて、「肉体関係が一切なく、LINEやメールで親密な言葉をやりとりしているだけ」の状況でも、不貞行為があったとみなして慰謝料請求できるのかを考えてみましょう。

(1)慰謝料請求原因としての不貞行為の定義

不貞行為には2種類あります。離婚原因となる不貞行為と慰謝料請求となる不貞行為です。

離婚原因となる不貞行為が成立するためには、婚姻関係を破綻させるだけの肉体関係が必要です。

たとえば配偶者と浮気相手が抱き合ったりキスをしたりする程度では、一般的な不法行為には該当するかもしれませんが(東京地方裁判所平成28年9月16日判決)、肉体関係があるとは言えません。

他方、慰謝料請求の原因となる不貞行為が成立するためには、そこまで厳しい条件は不要です。抱き合ったりキスしたりするだけの関係でも、それが長期間にわたって続いてたような場合、浮気をされた配偶者は精神的に大きなショックを受けますから、慰謝料請求の可能な不貞行為だと言えるでしょう。

(2)性的行為なしに慰謝料請求はできない

以上の検討からわかるように、慰謝料請求の原因となる不貞行為が成立するためには、セックスとまではいかないまでも、なんらかの具体的な性的行為が必要となります。LINEやメールのみではこの条件を満たしませんので、慰謝料請求は困難だと言わざるをえません。

LINEやメールで浮気の証拠を確保するときの注意点

肉体関係の存在しない、LINEやメールだけのやりとりでは、法律上不貞行為とは言えず、慰謝料請求もできないことを説明しました。

とはいえ、浮気をされる側からすれば、たとえ肉体関係が存在しなくても、キスや抱擁、あるいはちょっとしたデートをしていたとすれば、心が傷つくことに違いはないでしょう。

また現時点では浮気をされていないとしても、旦那が非常にイケメンで女性にモテまくるような人だとしたら、「私に隠れて職場の若い女と浮気するのでは?」と不安に駆られ、ついつい旦那のスマホを勝手にチェックしてしまう女性も多いのではないでしょうか。

そこで以下では、旦那の浮気探しのためにLINEやメールをチェックしてみようと考えている女性に向けて、浮気の証拠を確保する際の注意点について説明します。

(1)LINEトークで浮気を見つけた場合

「LINEトークの履歴をチェックしていたら、浮気をほのめかすようなやりとりが見つかった……」

動揺する気持ちはよくわかりますが、深呼吸し、落ち着きを取り戻したら、すぐに証拠確保に向けて行動しましょう。

LINEトークの履歴を証拠として押さえる際は、次の点に注意してください。

①すぐに「自分のスマホ」で撮影する

浮気をほのめかすLINEトークを見つけても、焦ってスクショを使ってはいけません。スクショは簡単に偽造できます。もし裁判で慰謝料請求をすることになったら、LINEトークのスクショを提出しても、有力な証拠とは認められないおそれがあるのです。

また、スクショ動作があったことを知らせる監視アプリにも注意が必要です。もし旦那が、浮気を始めたのをきっかけに、監視アプリをスマホにインストールしていたらどうなるでしょうか。

LINEトークの画面をスクショしようとすると、その動作が旦那にバレてしまうでしょう。一度バレたら最後、旦那の行動は一層慎重になり、スマホ上には一切証拠を残さなくなるかもしれません。そうなると、浮気の証拠確保が非常に難しくなります。

したがって、浮気の証拠となりそうなトークを見つけたら、あわててスクショをせずに、落ち着いて自分のスマホでトーク画面を撮影してください。

②浮気の決定的なトークだけでなく、その前後も含めた一連のトークを撮影する

トーク画面を撮影するときは、浮気の決定的な証拠となりうるトークだけでなく、その前後のトークも含めた一連の流れを撮影してください。一部のトークだけだと、相手方から「偽造だ!」と主張されるおそれがあるからです。

たとえば、浮気相手らしき女性から、「昨夜のあなたは凄かった。あんなに激しく動けるなんて……うっとりしちゃった」といったメッセージが届いたとしましょう。

「凄かった」「激しく動ける」「うっとり」という言葉には、見方によっては性的なニュアンスがあるかもしれませんが、肉体関係を示唆していると断言するのは微妙です。

たとえば、旦那と相手女性が、たまたま同じフィットネスクラブを利用していて、同じエアロビクスのプログラムに参加していたとしたらどうでしょう。「凄い」「激しく動ける」「うっとり」という言葉が出ても不自然ではありません。

ところが、女性のメッセージに続いて、旦那が「君の腰の動きだって激しかったじゃないか。ベッドが壊れるかと思ったよ」などと返信していたらどうでしょう。女性のメッセージだけでは曖昧だった性的なニュアンスがより明確になります。

浮気チェックをしている最中は、心拍数も上がり、手が震えることもあるでしょう。そのためトーク画面を冷静に見ることができず、うっかり一部の言葉や文章だけを撮影しがちです。しかしそれでは、せっかく勇気を振り絞って撮影したのに、証拠不足で浮気追及を諦めることにもなりかねません。

③撮影対象が旦那のスマホであることを示す情報も必要(スマホケースなど)

撮影データにトーク画面しか写っていないと、その画面が本当に旦那のスマホ画面なのか判断できません。

旦那のスマホであることがわかるように、ボディの全体やスマホケースなど、持ち主の特定の使えそうな情報も撮影しましょう。

(2)メールで浮気を見つけた場合

メールで浮気の証拠を見つけた場合の注意点も、LINEトークのときとほぼ同じです。以下はメール特有の注意点なので確認してください。

①転送しない

証拠となるメールを自分のメールアドレスなどに「転送」すると、履歴が残り、詮索していることが旦那にバレるので注意。
メール本文は、転送ではなく自分のスマホで撮影することを厳守してください。

②未読に戻す

開いたメールは、そのままだと「勝手に読んだ」とバレてしまいます。開いたメールは必ず未読に戻すのを忘れないようにしましょう。

まとめ

浮気の証拠集めは大変です。浮気現場となるであろう相手のマンションやラブホテルを突き止めるためには、探偵に高額の報酬を払い、24時間体制で尾行してもらわなければ不可能です。

その点、LINEトークやメールをターゲットとする浮気チェックなら、探偵の助けもいりません。今回紹介したポイントを押さえながら、慎重に証拠を確保していけば、旦那の浮気を確実に追及できます。

浮気の証拠を押さえたら、すぐに弁護士に相談してください。証拠の確保までは1人でできても、慰謝料請求をするとなれば、自力で手続きを進めることは非常に難しいからです。浮気問題の早期解決を望むなら、浮気問題や慰謝料請求に通じた弁護士に処理を任せるのがおすすめです。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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