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娘の不倫で親が取るべき対応とは|慰謝料請求や離婚を解説

皆さんの中には、お嬢様が不倫をしていることにお悩みのご両親様もいらっしゃるのではないかと思います。
だまされているのではないか、娘に慰謝料の請求が来るのではないか、娘は幸せになれるのかなど、親としてどうしたらいいか、何から検討したらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

お嬢様の不倫は個人の問題とはいえ、親として、娘の不倫問題を解決するための方法を知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、娘の不倫で親が取るべき対応、取りうる対応について解説したいと思います。

娘が不倫していた場合に起こりうる3つのこと

(1)不倫相手の妻から慰謝料を請求される恐れがある

不倫している娘が独身か既婚かに関わらず、既婚男性と不倫している場合は、男性の妻から慰謝料を請求される恐れがあります。

というのも、夫婦には、配偶者以外の異性とは性交渉をしないという「貞操義務」があり、不倫(不貞行為)はこの義務に違反する行為です。そして不倫された側は、この義務に違反されたことで受けた精神的苦痛を、相手に対してお金で償うように請求することができます。これが慰謝料です。

本来、貞操義務に違反したのは既婚男性ですが、不倫は1人ではできないので、一緒に精神的苦痛を与えた不倫相手であるお嬢様にも慰謝料請求ができるという仕組みになっているのです(共同不法行為責任)。
したがって、娘様が既婚男性と不倫していた場合、男性の妻はお嬢様に対して不倫慰謝料を請求してくる可能性があります。

(2)娘も既婚の場合は夫から慰謝料を請求される恐れがある

不倫していたお嬢様が既婚の場合、夫である義理息子がお嬢様に対して不倫慰謝料を請求する可能性があります。
これは、お嬢様が夫婦の貞操義務に違反したからであって、不倫相手の男性が独身でも既婚でも同様です。夫は、お嬢様の不倫相手にも慰謝料を請求できます。
不倫相手が既婚男性というダブル不倫の場合は、お嬢様は自分の夫と、不倫相手の男性の妻の双方から慰謝料を請求される可能性があるということになります。

(3)娘が既婚の場合は離婚される可能性がある

離婚の原因は、夫婦が合意していれば何でも構いません。しかし、夫婦が離婚に合意せず、裁判で離婚を争う場合は、日本の民法では法律に決められた離婚の原因が必要であるとされています(法定離婚事由)。
そして、不貞行為、つまり不倫は、この法定離婚事由のひとつです。

そのため、お嬢様が不倫をして、夫が離婚を望んだ場合、お嬢様が離婚に合意せずにもめた場合は、離婚裁判を起こされてしまう可能性もあります。
もっとも、日本ではいきなり裁判を起こすことはできず、まずは当事者で話し合い、まとまらなければ第三者を入れて話し合いを行う「調停」に移行し、調停でもまとまらなければ裁判所が介入する「審判」に移行し、それでも合意できない場合に「裁判」に移るという流れになります。

しかし、お嬢様の不倫が原因で夫が離婚を希望して争った場合は、最終的に離婚裁判で離婚の判決が下される可能性があることは覚えておいてください。

娘の不倫慰謝料が親に請求される可能性

お嬢様が不倫をしていた場合、それは本人が、わざとあるいはうっかりで夫婦の貞操義務を侵害して精神的苦痛を負わせたという不法行為の問題になります。
よく、芸能人の不倫問題で親が謝罪をすることがありますが、このような道義的な責任は別にしても、法律的な責任を親が負うことは基本的にありません。ですから、お嬢様が払うべき不倫慰謝料の請求が、親に来ることはありません。

もし、お嬢様が未成年の場合、不倫相手の男性の妻が、そもそもお嬢様に慰謝料を請求できるのかと思われる親御さんもいらっしゃると思います。
不倫慰謝料を請求されるのは、お嬢様が、相手が既婚男性であることを知りつつ、自由な意志で性的関係を持ったことが必要です。
お嬢様がその条件を満たし、なおかつ自分が不倫をしている、つまり不法行為という悪いことをしていると判断できる程度の知能(これを責任能力といいます)があれば、お嬢様が未成年の場合でも、本人が慰謝料を払わなければいけません。

この責任能力については、実務では11歳程度が目安と裁判で判断されているので、多くの不倫のケースでは未成年であっても責任能力が認められると言えるでしょう。
もっとも、ご両親が、お嬢様に代わって慰謝料を支払うと申し出られる場合は、先方はご両親に対して慰謝料を請求することも可能です。

娘に子供がいた場合に不倫が子供に与える影響とは

不倫をするお嬢様に子供がいる場合、子供への影響は避けられません。特に子供が未成年の場合は、不倫が家族に与える結果によっても、大きな影響を与える場合があります。
子供は夫婦の仲を敏感に感じ取ります。両親が不仲な環境で育っている子供は次のような影響があると指摘されています。

  • 精神が不安定になりがち
  • 兄弟姉妹に攻撃的になる
  • 学校でも友人や先生に対して攻撃的になり、孤立する可能性がある
  • 夜尿症の再発など退行症状がみられることがある
  • 自分の髪を抜くなどの自傷行為をすることがある

また、不倫が原因で離婚することになった場合、未成年の子供には、次のような影響が生じることが言われています。

  • 親に捨てられるのではないかという不安感から成績が下がる可能性がある
  • 親の愛情への不安を感じる可能性がある
  • 小学校中学年以降の仲間を作り始める時期(ギャングエイジ)に、学校の友達付き合いで悩みやすいが、不仲で不機嫌な親に学校のことを相談できず悩みを深めてしまう
  • 将来自身も離婚する可能性が高まる
  • 親の経済的負担を心配して進学や夢をあきらめる可能性がある

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、子供の親権者を決めることは離婚の条件になります。
子供は、一緒に暮らしていた両親のどちらか一方と暮らさざるを得なくなり、場合によっては苗字が変わったり、転校を余儀なくされたりする等、生活にも大きな影響が生じます。

子供への影響を考えて、不倫が原因でも離婚は子供の学校卒業まで待つ、逆に記憶が残りにくい幼いうちに離婚するなど、家庭に応じて検討する方も少なくありません。
また、子供への負担を小さくするために、子供にはできるだけ事情を隠しておこうという方もいると思います。
しかし、調査(公益社団法人家庭問題情報センター「離婚した親と子どもの声を聴く」家庭問題情報誌ふぁみりお第35号)によると、親の離婚時に小中学生だった子供から、「子どもが何を考えているか話し合ってほしかった」「事情を説明してほしかった」「環境の変化などを説明して安心させてほしかった」といった声が報告されています。

一方で、もともと夫婦仲が悪く、お嬢様が不倫をすることで気持ちの張りや活力を維持しているというケースもあると思います。
多感な時期の子供にとっては、両親の不仲を見ることは何より辛いものです。不倫によって家庭の輪が保たれているという場合もあるかと思いますが、不倫が招くリスクについてはご両親としても把握しておかれるべきでしょう。

娘の不倫を知った場合に親が取るべき対応とは

(1)不倫のリスクを説明する

不倫をすると、上記のように、慰謝料を請求される可能性、離婚を請求される可能性があります。不倫をしている当事者は恋愛に夢中で、不倫のリスクを承知していないこともあります。

慰謝料の目安は、不倫で別居や離婚をしない場合は50万円~200万円程度、不倫で別居や離婚をする場合は100万円~300万円程度が相場と言われています。
これに、不倫期間や経済的状況、年齢などの事情が考慮されて、最終的な慰謝料額が決められます。
慰謝料の支払いは基本的に一括払いが原則なので、数十万円を超える金額を払うのは大きな負担になります。

また、離婚後も、特に結婚中にお嬢様が夫の扶養に入り、専業主婦や兼業主婦だった場合には、離婚後に一人で、あるいは子供を抱えて生活していくのは大変です。
実家でサポートができる場合はいいですが、それだけでは子供の親権が認められないこともあるので、お嬢様自身が自活の道を見つけていかなければいけません。
公的機関のサポートもあるので、市区町村の福祉課などで相談してみるのもよいでしょう。

(2)専門家を紹介する

お嬢様が不倫関係を何とかしたいと思っているような場合は、専門家を紹介してあげてください。
弁護士なら、不倫で慰謝料が請求される可能性や、請求された慰謝料額が高額すぎる場合は減額交渉の可能性も含めた相談に乗ることができます。
また、相手男性が独身と偽って関係を持ったような不倫の事情によっては、そもそも慰謝料の支払いをしなくても良い場合や、逆に男性に損害賠償を請求できる場合もあります。

弁護士に相談というと、敷居が高いと感じたり、躊躇されたりする方もいるかもしれませんが、初回相談は無料の事務所や、最近は女性弁護士も多く、お嬢様が相談しやすい雰囲気の弁護士も多くいます。
不倫の事情はさまざまです。お嬢様が不倫で悩んでいる場合は、まずは弁護士に相談することをぜひおすすめください。

(3)黙って見守る

お嬢様の不倫を黙って見守るのも、一つの対応方法です。特に、責任ある大人の女性としてあえて不倫をしている女性の場合、ご両親に対して申し訳ないという思いを持ちながら不倫関係から抜け出せない人もいます。
そのようなお嬢様をご両親が責めることで、自分を追い込んでしまう可能性もあるからです。

ただ、上述のように、不倫は不倫している本人が大きなリスクを負う行為です。お嬢様が助けを求めてきた場合には、適切なアドバイスができるように、相談すべき専門家や、生じうるリスクなどを知っておいてあげるのも、一つの見守りの方法ではないでしょうか。

まとめ

今回は、お嬢様が不倫しているご両親の方に向けて不倫で生じるリスクや、ご両親に類が及ぶ可能性についてお話させていただきました。
基本的にお嬢様の不倫で親御さんに影響や責任が及ぶことはありませんが、不倫している娘を心配する親の気持ちが解消されるものではありません。
娘の不倫でお悩みの場合は、法律の専門家である弁護士にまずはお気軽にご相談ください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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