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不倫相手の会社に電話することの違法性を各問題点をあげながら解説

夫や妻の不倫を知り、不倫相手の会社に電話をかけて浮気を暴露してやりたい。そのような思いを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、感情的に行動すると、名誉棄損などの犯罪になったり、逆に損害賠償を請求されるリスクがあります。

とはいえ、不倫で裏切られた辛さをどうにかして解消したいとお考えの方もいらっしゃると思います。そこで今回は、不倫相手の会社に電話して不倫を暴露することの危険性と、代わりに摂りうる対応について解説します。

不倫相手にやってはいけない3つの制裁

(1)暴力・脅迫行為

不倫相手を許せなくても、暴力行為や、脅迫・強要は絶対にしてはいけません。具体的には、相手を殴る、蹴るだけではなく、胸倉を掴んだり、水をかける行為も暴行に当たります。また脅迫・強要は、相手を怖がらせてお金を要求したり、特定の行為を要求することです。会社を辞めるように強制することも、強要に当たります。

これらの行為は、刑法にも規定された犯罪行為なので、被害届を出されたり、逮捕される可能性も十分にあります。また、刑事事件化は免れたとしても、不倫相手から、不倫慰謝料以上の損害賠償を請求されるリスクもあります。

(2)ストーカー行為

不倫相手がどんな人物かは、気になるところだと思います。しかし、相手につきまといを続けていると、ストーカー規制法違反で警察から警告を受け、それでも辞めなければ逮捕される恐れもあります。また、相手が付きまとわれたことで恐怖を感じたと主張すると、高額の損害賠償を請求される可能性も否定できません。不倫相手の情報を収集したい場合は、探偵に依頼するのも有効な方法です。

(3)浮気相手の職場に電話をかける行為

浮気相手の職場に電話をして、不倫をばらしてやりたいとお考えの方もいるでしょう。しかし、相手の会社に電話をすることは大きなリスクを伴うので、やってはいけません。あとで詳しくお話しますが、不倫相手本人からは、名誉棄損という罪に当たるとして被害届を出されたり、慰謝料を請求される恐れがあります。またそれだけではなく、不倫相手の勤め先の会社からは業務妨害に当たるとして、同じく損害賠償を請求される恐れも否定できません。

不倫相手の職場に電話することの3つの問題点

(1)名誉棄損に当たる可能性

名誉棄損は「公然と」「事実を摘示することにより」「人の」「社会的地位を低下させる」ことによって成立する犯罪です。分かりやすく言うと、不特定の人が知りうる状況に事実を示して他人の立場を悪くさせることです。不倫の事実を不倫相手の会社に電話して伝えることは、電話を受けた人から他の人に伝わる可能性があり、不倫の事実は通常社会的な評価を低下させるものなので、名誉棄損に該当する可能性が高いです。

名誉棄損の罪に当たるとして逮捕され、有罪判決を受けると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が下されるおそれがあります。実際は、よほどのことがない限り刑事罰を受ける可能性は低いと思われますが、名誉を棄損したりプライバシーを侵害して損害が発生したとして、民事上の損害賠償請求をされる可能性は高いです。

(2)業務妨害に当たる可能性

いくら従業員とはいえ、会社にとっては業務と社員の浮気は無関係です。そのため、ご自身の配偶者と不倫相手が浮気をしていることを会社の電話で頻繁に伝えるなどすると、会社は自社から、業務を邪魔されたとして業務妨害罪で訴えられる可能性があります。業務妨害罪には、「偽計業務妨害罪(他人の誤解などを利用する場合)」と「威力業務妨害罪(人の意思を制圧する勢力を利用する場合)」という2つの種類があります。会社に不倫を暴露する場合、電話の内容やかけ方によって、偽計・威力どちらにでもなり得ます。

もし業務妨害罪で有罪になれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が規定されています。

(3)慰謝料を請求しにくくなる可能性

不倫・浮気相手の会社に電話をすると、上記のような犯罪に該当したり、刑事事件にならなかったとしても高額の示談金を払わなければいけなくなる可能性が生じます。そうすると、不倫相手に請求できる不倫慰謝料よりも高額な損害賠償を払わなければいけなくなったり、会社からも損害賠償を請求されるリスクは十分にあります。

浮気相手の連絡先が職場しかわからないケースの対処法

これまでお話してきたように、不倫相手の会社に電話をしたり、押しかけることは極めてリスクが高く、やってはいけない行為です。しかし、不倫相手について、名前と勤務先しか分からないというケースもあるかと思います。

不倫相手の勤務先しか個人情報が分からないようなケースでは、不倫相手の会社に電話するのはやむを得ないといえます。ただし、不倫相手以外の社員に浮気・不倫の事実を伝えることは、名誉棄損やプライバシーの侵害にあたるので注意が必要です。そこで、このような場合は、不倫相手を電話口に呼び出してもらい、本人に直接要件を伝えるようにしましょう。

不倫相手の会社に不貞行為を報告したい場合に取りうる方法とは

どうしても、不倫相手の会社に不貞行為を伝えたい場合はどうしたらいいでしょうか。

(1)内容証明郵便の効果的な利用方法

電話やFAXなどの直接的な方法ではありませんが、会社宛に「内容証明郵便」を送ることで、会社に不貞行為を知らしめるのに役立ちます。内容証明郵便とは、郵便局が、誰が、誰に、どのような手紙を送ったのかということを証明してくれる郵便のことをいいます。内容証明で慰謝料を請求することで「催告」といって時効の進行を一旦ストップさせる効果もあります。

内容証明郵便は、普段利用するものではないので、内容証明郵便で慰謝料の請求が来たりすると、それだけで本気度が伝わり、相手が要求に応じやすくなるメリットもあります。今回のように、内容証明郵便が不倫した社員に届くだけで、ダイレクトに不倫した事実は広まらないまでも、かなりの耳目を集めることは間違いありません。弁護士に依頼して、弁護士名で内容証明郵便を送ると、よりその程度が高まるといえるでしょう。

(2)内容証明郵便を送る場合の注意点

ただし、どんな場合でも職場に内容証明郵便を送ればいいというものではありません。まず、不倫相手の自宅が分かっているような場合は、原則自宅宛てに送り、受け取りを拒否されたような場合に会社に送るようにします。次に、いくら不倫の事実を暴露したいからと言って、他の人の目に触れさせるような行為は避けましょう。たとえば、人事宛に送る、不倫相手の上司宛に送る、あえて宛名を書かずに送る、などです。第三者に不倫の事実を伝えたとなると、上述のように名誉棄損やプライバシーの侵害で訴えられたり、損害賠償を請求されるリスクがあります。

最後に、会社に内容証明を送る場合は、不倫・不貞行為の証拠を得てからにしましょう。内容証明郵便を送るということは、訴訟も踏まえた覚悟ができているという姿勢を示すことにもつながります。相手が反論できないような不貞行為の証拠をしっかり集めておいてください。

不倫相手に制裁を加えたい場合に相談すべき専門家

(1)不倫問題に強い専門家はだれか

不倫されたことで深く傷つき、不倫相手に制裁を加えたいと思う方も多いと思います。しかし、感情だけで動いてしまうと、被害届を出されたり、逆に損害賠償を請求される恐れがあります。

不倫相手に制裁を加えたい場合は、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。弁護士は、法律問題全般を扱うことができる国家資格者です。制裁を加えるならどのような方法が有効か、またどのような方法をとってはいけないかなど、先を見据えたアドバイスを受けることが可能です。

一方で、法律の専門家には、弁護士以外にも「司法書士」や「行政書士」もいて、誰が適切なのか悩む方もいるかもしれません。司法書士は、不動産など登記の専門家です。最近、民事事件も扱えるようになっていますが、金額が140万円以下の案件に限られるなどの制限があります。行政書士は届け出の専門家で、そもそも慰謝料を含む具体的な法律相談はしてはいけない決まりです。

弁護士と聞くと敷居が高いと思う方もいるかもしれませんが、不倫問題でお悩みの場合は弁護士に相談することが、担当できる業務の幅からも一番の近道ということができます。

(2)弁護士を付けるメリット

実際に弁護士に相談して依頼するメリットとしては次のようなものがあります。

  • 合法的で効果的な制裁方法のアドバイスを受けられる
  • 弁護士名で内容証明郵便を送ってもらうことで本気度がより伝わりやすい
  • 会社に内容証明郵便を送る場合でも、弁護士名で送るとより不倫相手が悪目立ちしやすい
  • 当事者の話合いがもめたりトラブルになった場合に、自分の代わりに交渉してもらえる
  • 裁判所の手続きを利用する際は、書面の整備や手続きを任せることができる
  • 裁判になった場合は代わりに出廷してもらえる

(3)弁護士を付けるデメリット

  • 弁護士費用がかかる
  • 不倫問題に不慣れな弁護士にあたると交渉が難航したり長期化するリスクがある

このように、弁護士に依頼するデメリットもありますが、圧倒的にメリットの方が多いのがお分かりいただけるかと思います。初回の相談料は無料という弁護士も多いので、気軽に相談してご自身に合う弁護士にご依頼ください。

まとめ

今回は、不倫相手が勤める会社に電話をして、不倫の事実を暴露することの違法性や問題点、そしてどうしても制裁を加えたい場合に取るべき対応について解説させていただきました。会社に電話をすることが、刑事事件にもなりうること、ご自身の方が損害賠償を請求される恐れがあることなど、リスクの大きさに驚かれた方もいるかもしれません。

不倫相手に制裁をしたいのは尤もです。できるだけ効果的に、しかし合法に制裁・復讐をするには、専門家のアドバイスを受けることが有効です。不倫問題や、不倫相手が許せずにお悩みの方は、まずはお気軽に弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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