1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 養育費の一括払い

養育費の一括払いは可能か?令和の養育費算定表改定で変わった相場を解説

日本では、養育費の80%が途中で不払いになると言われています。
そうした状況と、子供の成長を考えると、養育費を一括払いで先に払ってほしいと思われる方も多いのではないでしょうか。

養育費は離婚後、成人するまでの子供の生活費にあたるものです。
そのため、そもそも一括払いが可能なのか、可能な場合に一括払いにするメリットがあるのかも気になる方もいらっしゃると思います。

また、令和に入り、養育費を計算する基準が変わり、養育費の額にも影響が出ているので、そのような改定が養育費の一括払いに影響するのか懸念される方もいるでしょう。

そこで今回は、養育費を一括払いすることは可能なのか、また可能な場合に一括払いは得なのかという支払い方法に加え、養育費算定表の改定を踏まえた養育費の算出方法についてもご説明します。

養育費の一括払いは可能か?

(1)養育費を払ってもらうための条件とは

養育費をもらうためには、離婚後、未成年の子どもの親権者になる必要があります。
親権とは、未成年の子供を養育監護し、子供の財産を管理し、子供を代理して法律行為をする権利と義務をいいます。
夫婦が結婚している間は共同で親権を持ちますが、離婚する場合は夫婦のどちらかを親権者として決める必要があります。

親権の内容は、財産管理権(子供の財産を管理したり子供の法律行為の同意権を含んだり)と、監護権(子供を監護し教育する権利義務を含む)に分かれますが、通常親権者になると監護権も持ち、子供と一緒に生活します。

そこで、子供の親権者となった親は、監護・教育に必要な子供の生活費を、もう片方の親に対して請求することができ、このお金が養育費になります。

(2)養育費の一括払いは可能か

養育費の支払いは、定期的な給付、分割払いが原則です。
養育費は、原則として未成年の子供が成人するまで請求できる、子供の生活費です。
日々必要になるお金で、かつ長期的に支払う性質があるため、一括払いにはなじまないと考えられるからです。

しかし、養育費の支払い義務がある側の親が、任意で一括払いに合意した場合は、養育費を一括払いすることも可能です。合意した場合は、その旨を書面にしておきましょう。

ただし、養育費の一括払いは、あくまでも両者が合意しなければなりません。
たとえば、離婚後の親権者である母親が、養育費を支払う義務がある父親が転職を繰り返して将来不安なために一括払いを希望している場合でも、父親が一括払いに同意しない限り、裁判所も月々の支払いを認めるにとどまるのが実務です。

令和4年4月から、成人年齢が現在の20歳から18歳に引き下げられますが、18歳の時点では経済的に自立していない子供が多いとして、養育費は20歳まで支払うべきだと考えられています。
参考:平成30年度司法研究「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」研究報告の概要

一方、現在の運用と同様に、例外的な事情は変わりません。

養育費の一括払いを請求した場合のメリットとデメリット

上記のように、養育費の分割払いが原則ですが、子供の両親つまり養育費を請求する側と支払う側が合意すれば一括払いも可能です。

養育費を一括払いにする場合、次のようなメリットとデメリットがあります。

(1)養育費を一括払いにするメリット

請求する側のメリットとしては、以下があります。

  • 今後、養育費が毎月きちんと支払われるか心配しなくて済む
  • 一度にまとまったお金をもらえるので、離婚後に生活が安定するまで助かる
  • 長期の分割払いだと、支払が止まった場合に連絡が取れない等回収不能の心配がある
  • 将来的に養育費が不払いになった場合に、強制執行の手続きが大変

一方、支払う側としても、以下のメリットがあります。

  • 毎月養育費を支払う精神的・手続き的負担が解消される
  • 一括払いの交渉の過程で、養育費の減額を交渉しやすくなる
  • 将来的な減収や失職などの心配をしなくて済む
  • 不払いになった場合の強制執行で給与を差押えられるなどして会社に知られずに済む

(2)養育費を一括払いにするデメリット

他方で、養育費を一括払いにすると、請求する側に以下のようなデメリットがあります。

  • 事情が変わっても増額が難しい(相手の収入増や子供の出費が増えた場合の追加請求)
  • 一括払いの交渉では、分割払いで払われる総額よりも減額して合意することが多い

また、支払う側にとっても以下のようなデメリットがあります。

  • 支払時に多額の出費が必要になる
  • 親権者の金銭管理が不十分な場合、養育費が子供のために使われない可能性がある
  • 事情が変わっても返金を請求できない(親権者の再婚と養子縁組、自分が再婚など)
  • 将来的に養育費の追加請求をされる可能性が否定できない

上記のように、養育費は一括払いをすると、事情の変更があっても返金を請求したり、追加請求したりすることは困難です。

過去には、親権者が一括払いされた養育費を子供の教育費に使い果たし、追加請求したケースで、親権者が養育費を計画的に使っていれば不足しなかったのに無計画に使い果たした場合では、養育費の内容を変更すべき事情の変更が生じたとはいえないとして、追加請求を認めなかった裁判例があります(東京高裁平成10年4月6日判決)。

ただし逆に言えば、親権者が養育費を自分のために使い果たしたような場合は、子供に責任はないので、子供から親に養育費の追加請求ができると考えられます。

令和の養育費算定表改定|養育費相場の具体例

養育費は、夫婦が合意すれば養育費算定表の額に関わらずいくらでも構いません。
しかし通常は、家庭裁判所で利用されている考え方を踏まえた「養育委算定表」を用いて計算するのが実務の運用です。

この養育費算定表が、令和元年に16年ぶりに改定されました。
2003年に作成された前算定表から、食費や光熱費の増加、スマホの普及による通信費の増加などを踏まえて実状にあうように見直されたものです。

今回の改定これにより、養育費は増額傾向になり、すべてのケースではありませんが、概ね月額1~2万円程度増える傾向にあると言えるでしょう。

具体的には、旧算定表と新算定表では養育費が次のように変わります。

(1)両親ともに給与所得者、子供1人のケース

夫(給与所得者:年収550万円)、妻(給与所得者:年収110万円)、子供1人(7歳)
旧算定表:約5万円
新算定表:約6万円

(2)両親ともに給与所得者、子供2人のケース

夫(給与所得者:年収650万円)、妻(給与所得者:年収100万円)、子供2人(17歳、15歳)
旧算定表:約10万円
新算定表:約12万円

(3)夫が給与所得者、妻が専業主婦、子供2人のケース

夫(給与所得者:年収700万円)、妻(給与所得者:年収0円)、子供2人(10歳、8歳)
旧算定表:約18万円
新算定表:約16万円

年収別・養育費相場の計算方法

養育費を計算するのに用いる「養育委算定表」は、親の年収、子供の人数と年齢を基礎にして、現在の社会で適当だと考えられる養育費の額を表にまとめたものです。

実際の算出の際は、養育費を支払う側と請求する側の親の年収をまず調べておきます。
サラリーマンなどの給与所得者か、自営業者によって若干基準となる金額が異なるので、給与所得者の方は源泉徴収票を、自営業者の方は確定申告書をもとに正しい年収を調べておきましょう。

両親の年収を調べたら、以下の4段階で養育費の目安を調べます。

(1)養育費算定表の選択

養育費算定表は、子供の人数(第一子~第三子)と年齢(0歳~14歳、15歳以上)に区分され、表1から9まで種類があります。
第一に、ご自身の子供の人数と年齢に応じた表を選択してください。

(2)親の年収の確認

養育費算定表を選んだら、縦軸・横軸に記載されている年収を確認します。
縦軸が支払う側の親、横軸が請求する側の親の年収になるので、給与所得者か自営業者か、それぞれ金額の位置を確かめてください。

(3)養育費の確認

縦軸の養育費を支払う親の年収額から水平に線を、横軸の養育費を請求する親の年収額から垂直に線をひき、2本の線が交差した箇所の金額が養育費(月額)です。
実際の養育費では、金額が「4万円~6万円」「6万円~8万円」などと、2万円の幅があります。これは、家庭の事情に応じて一定の調整ができるようにするためです。

(4)個別の事情の考慮

上記で出した養育費金額は、あくまで相場です。
実際の養育費の金額は、子供の学校が公立か私立か、習い事をしているか、子供に治療費がかかるような持病があるか等の事情によっても変わります。

また、親の事情としても、住宅ローンの有無や介護する親がいるか、持病があるか等の事情も検討に加えます。
このようにして、実際の過程ごとの養育費を計算していくことになります。

なお、養育費は、未成年の子供が成人するまでの生活費です。
しかし、子供が18歳で結婚したり、高校卒業後に就職したりした等の事情で親の扶養義務がなくなった場合は養育費を支払わなくてよくなります。

また、親権者が再婚して子供が再婚相手と養子縁組をして扶養に入った場合も養育費の支払い停止や減額が認められる可能性が高いです。

弁護士に養育費交渉を依頼した場合に相場が増額する可能性

養育費を通常通り分割払いする場合、養育費を一度決めても、次のような「養育費額を決めた時点では予測できなかった事情の変化」があれば増額の交渉ができる場合があります。

(1)子供の教育費の増加

子供の進学や授業料の値上げなどの事情があれば、養育費の増額が認められる可能性があります。

(2)子供の習い事

子供が塾通いや習い事を始めたような事情があれば、養育費が増額される可能性があります。

(3)子供の怪我・病気等の治療費

子供が怪我をしたり病気に罹患して治療費がかかる、入院して入院費がかかったり特別な治療が必要になったような場合は、養育費の増額が認められる可能性があります。

(4)親権者である親の病気や収入減

子供と生活する親権者である親が病気に罹患して治療費がかかったり、収入が減少したりした場合は、子供の生活費にも影響することから増額が認められる可能性があります。

しかしこうした事情も、養育費を一括払いした場合は、後から請求するのは困難です。
そのため、養育費の金額を決める際に、できるだけ事後の状況を予測して交渉することが重要です。

具体的には、子供の将来に向けた学習計画表を提示し、教育費がいくらかかるか、進学など特別の出費がいくらかかり、塾にいつから通うかなど、できるだけしっかりしたプランを立てることが肝要です。

たとえば、幼稚園から大学まで公立に進学した場合の教育費は約1,020万円です。一方、私立へ進学した場合、文系で2360万円、理系で2489万円とかなりの差がでてきます。
参考:「平成24年度子どもの学習費調査」文部科学省、及び「平成25年教育費負担の実態調査」日本政策金融公庫

こうした金額の主張を客観的なデータに基づいて行うのは、個人ではなかなか難しいものです。
しかし弁護士に依頼することで、綿密な計画のアドバイスを受けることが可能です。

さらに、養育費と表裏一体の関係にあるのが、親権を持たない側の親の面会交流権です。
養育費の金額交渉の際は、養育費を支払う親と子供との面会交流の機会の維持を提案しつつ行うのが有効なことは多いです。
こうした交渉は弁護士に任せることで、スムーズに進めることが期待できます。

このように、養育費をできるだけ増額させたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

養育費の一括払いを弁護士に相談した場合の弁護士費用の目安とは

養育費の一括払いの交渉は、離婚をした夫婦だけではもめてまとまらないことも多いです。
弁護士に一括払いの相談をした場合、相談料としては以下の金額が目安になります。

  • 有料の場合:30分5000円、1時間1万円

ただし、最近は初回無料といった弁護士事務所も多いので、HPなどで確認するとよいでしょう。

実際に養育費の金額の交渉を含めて依頼する場合の費用の目安は以下のようになっています。

  • 一律料金の場合:20万円~50万円
  • 経済的利益による場合:1年間の養育費の10%程度(30万円~50万円)

他にも、着手金がかかる事務所、報酬だけの事務所など様々あるので、法律相談の際に実際の見積もりを出してもらって検討するとよいでしょう。

このようにみると、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかるのでハードルが上がると思われる方もいるかもしれません。しかし、前述のように、養育費の一括払いにはメリットもありますがデメリットもあります。

将来の子供の進路やご自身の生活プランを考えた際に、一括払いを請求すべきなのかどうなのかの判断は非常に重要です。
また、できるだけ多くの養育費を請求したい場合にも、弁護士のアドバイスや交渉は非常に有効です。

弁護士に相談や依頼をした場合に得られるメリットは、相談料や弁護士費用を超えることが非常に多いので、まずは法律相談を利用して、ご自身の状況や子供の将来を整理してみることをおすすめします。

まとめ

今回は、養育費の一括払いについて、可能性やメリット・デメリットについて解説しました。

請求する側にデメリットがあると初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
養育費は、子供が成人するまでの大切な生活費です。
ご説明したような方法で計算する養育費がきちんと支払われるようにするためには、養育費の計算、交渉、万が一未払いになった場合のヘッジもしておくことがとても重要です。
弁護士ならば、そのすべての過程で、ご相談者様の味方として相談に対応できます。
養育費の一括払いでお悩みの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

ページトップ

自分で解決するには限界があります

実績豊富な弁護士はこちらから