1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 離婚決断前に準備しておくお金

離婚を決断する前に考えるべき事と準備しておくモノやお金

離婚を決断する人の多くが感情のままに離婚という決断に至ることが少なくありません。
「相手が離婚した」「辛いDVに耐えられない」これらは全て離婚の原因になりますし、離婚をすることによって自分や子供の生活を守ることができるかもしれません。

しかし、感情だけで離婚を決断してしまうと、女性は特に後から経済的に困窮してしまうことが多いのです。
このような状況は離婚前にしっかりとお金の計画を立て、配偶者から取るべきものは全て取ることによって解決することができる場合が少なくありません。

離婚を決断する前にどんなことを確認し、何をすべきなのでしょうか?
離婚決断の前に考えるべきことと、離婚をする前の準備について詳しく解説していきます。

離婚を決断する理由

離婚を決断する理由は人それぞれでしょう。浮気やDVなどを理由として離婚を決断する人が多いようです。
まずはどんな理由で離婚を決断する人がいるのか、詳しく見ていきたいと思います。

(1)夫の浮気

夫の浮気によって離婚を決断する人は多数存在します。
一度の浮気だけでも結婚生活を継続することが難しいと考える人もいるでしょうし、度重なる浮気によって我慢の限界に達する人もいるでしょう。

いずれにせよ、浮気をされると、夜寝れなくなる、相手の行動ばかりが気になるなど、精神的に不安定な状態へと追い込まれるので、離婚を決断せざるを得ない人が少なくありません。

(2)自分の浮気

自分の浮気によって離婚を決断するケースもあります。
自分の浮気による罪悪感から浮気を決断する人はそれほど多くはないでしょう。

しかし、浮気相手と一緒にいたいと考えたり、そもそも夫婦関係の亀裂が原因で浮気をしてしまったりした場合には、自分の浮気が原因で離婚に至ることもあります。
この場合には慰謝料を獲得することはできません。
むしろ、相手から慰謝料を請求される可能性があります。

(3)ギャンブルや借金など金銭的な理由

夫のギャンブルや借金などの金銭的な理由によって離婚に至るケースもあります。
ギャンブルや借金によって金銭的に困窮している場合には、配偶者と離婚さえすれば自分は借金などから解放されます。

「このまま一緒にいても経済的に苦しいだけ」と考えて、離婚に至ってしまう人も少なくありません。
自分名義で借金を作られてしまったら、離婚しても金銭問題は残りますので、くれぐれも自分名義で借金はせず、「離婚すれば借金苦からは解放される」という最終的な逃げ場だけは残しておいた方がよいでしょう。

(4)DV

自分や子供への暴力を原因として離婚に至るケースもあります。
自分や子供の身を守るために、このケースはやむを得ないということができます。

自分や子供への暴力から中途半端に逃げようとすると、相手はそれを止めるためにさらに暴力をエスカレートさせることもあります。
DVから逃れるために離婚したい場合には、自分1人で離婚手続を進めるのではなく、行政や弁護士などの力を借りて手続きをした方が安全です。

この他、性格や価値観の不一致から協議離婚する人も今は多数存在します。

離婚を決断する前に考えるべきこと

様々な理由で人は「パートナーと離婚したい」と考えます。テレビなどを見ていると芸能人などの離婚は日常茶飯事のようになっていますが、決してテレビに感化されて簡単に離婚すべきではありません。
芸能人が簡単に離婚することができるのは、離婚後もある程度女性に経済的に余裕があり、彼ら彼女らにはしっかりとした弁護士がついていることが多いためです。
一般の人は実際に離婚をする前に金銭面のことをしっかりと考慮してから離婚をする必要があり、特に子供がいる場合にはなおさらです。

離婚する前に考えるべきお金のことについて詳しく見ていきましょう。

(1)子供の親権

子供の親権をどうするかという問題です。基本的には親権は子供と同居する母親が持つというのが一般的です。
しかし、この問題も当たり前のように決めるのではなく、しっかりと話し合うようにした方がよいでしょう。

また、今は親権を失った親が子供と面会できないということが社会問題化しています。
親権をどうするかという話し合いと同時に子供との面会交流についてもしっかりと話し合っておくべきです。

離婚後には元配偶者の顔は見たくないものですが、それはあくまでも親の事情です。
子供にとっては離婚した親でも唯一の親ですので、子供との面会交流については事前にしっかりと取り決めをして、約束は守るようにしましょう。

(2)離婚後の収入面

離婚後の収入面をどうするのかということも離婚前にしっかりと考慮してから離婚を決断すべきです。
特に離婚前は専業主婦だった人は、あらかじめ仕事を決めておかないと離婚後に生活に困窮することになってしまいます。

離婚後は自ら生計を立てて、場合によっては子供を育てて行かなければなりません。
感情だけで離婚を決断するのではなく、離婚後の収入面もしっかりと計画を立ててから離婚を決断するようにしましょう。

(3)慰謝料

離婚前には慰謝料をどうするのかという問題を決めることも非常に重要です。
相手の不倫によって離婚に至る場合には、相手や不倫相手から慰謝料請求をすることが可能です。

不倫前に正常な夫婦関係だった場合の慰謝料相場は200万円から300万円くらいです。
慰謝料は離婚後の生活や子供の将来に大いに役立てることできるものです。

若い女性の中には、慰謝料請求もせずに「相手と一緒にいたくないから」という理由で離婚してしまう人もいますが、経済的には損をしていることもあるので、慰謝料についてはしっかりと話し合いを行い、取れるものは取ってから離婚した方が得策です。

(4)養育費

養育費についての取り決めは非常に重要です。
離婚する際に養育費の取り決めをしていない夫婦や、取り決めをしても支払っていない父親が非常に多いことが社会問題になり、それが母子家庭の貧困化に繋がっていると言われています。

詳しくは後述しますが、養育費に関してはしっかりと取り決めを行い、確実に養育費が支払われるように離婚前に対策をしておきましょう。

離婚を決断する前に収入面の確保を

離婚を決断する前に収入面についてはしっかりと確保しておく必要があります。
特に子供がいて離婚後に母子家庭となる場合には、収入面の確保なくして離婚することは子供にも迷惑がかかってしまいます。

母子家庭に必要な生活費や児童扶養手当などについて解説します。
離婚後の生活の目処を立ててから離婚するようにしてください。

(1)母子家庭に必要な生活費

母子家庭に必要な生活費を離婚前にしっかりと把握しておきましょう。
離婚後の生活費の目安として、子供が1人の場合の生活費は14万円〜15万円で、子供が2人の場合の生活費は20万円〜21万円程度が最低限必要になると言われています。
働いており、このくらいの収入が確保できているのであれば、離婚後の生活に困ることはないでしょう。

しかし、専業主婦の場合には仕事を見つけ、公的扶助に満たない分の必要な生活費は確保しておく必要もあります。
自分がいくら稼がなければならないかは、公的な扶助をどの程度受け取ることができるかによって左右されます。

離婚後にどの程度公的扶助を受けることができるのか、まず確認しておきましょう。

(2)児童扶養手当はいくらもらえる?

離婚して子供を育てている親には、地方自治体から児童扶養手当という手当を受け取ることができます。
児童扶養手当とは一人親家庭などの児童のために、地方自治体から支給される手当で支給額は以下のようになります。

  • 児童1人で全額支給を受ける場合:42,910円
  • 2人目の加算額:10,140円
  • 3人目以降の加算額:6,080円

また、中学生まですべての子供に一律で支給される児童手当も児童扶養手当と併用して受け取ることが可能です。

  • 0歳〜3歳未満:15,000円
  • 3歳〜小学校終了前:10,000円(3人目以降15,000円)
  • 中学生:10,000円

つまり、子供が1人の場合には、児童手当と児童扶養手当の合計で52,910円〜57,910円の手当を受け取ることができます。

さらに、地方自治体によっては母子家庭の子供への医療費無料や、公営住宅への家賃補助などが行われることもあります。
このような手当を考慮して、「実際に生活していくにはいくら足りないのか」を把握し、不足分を働いて稼ぐことができる準備をしてから離婚を決断しましょう。

慰謝料の相場を離婚決断前に知っておこう

離婚する場合には慰謝料の請求も検討すべきです。
離婚する際には感情が先走ってしまい、本来であれば獲得することができた筈の慰謝料や財産分与などの権利を放棄して離婚してしまう人があまりにも多いのが実情です。

離婚後はお金がかかります。せめて一定のお金を受け取ってから離婚をするようにしましょう。
不倫慰謝料と財産分与について解説していきます。

(1)不倫の場合は200万円〜300万円くらい

夫婦関係が良好なのにも関わらず、配偶者が不倫した場合の不倫慰謝料は200万円〜300万円程度を獲得できる可能性があるでしょう。

慰謝料の支払いに相手が同意したら、公正証書で慰謝料の支払いについて記録しておくようにしましょう。
慰謝料の支払いを相手が行わない場合には、公正証書で契約しておくことで財産を差し押さえることができるようになります。

差し押さえは給料に対しても行うことができるので、慰謝料の支払いを怠った場合には、給料を差し押さえ、分割で慰謝料を支払ってもらうことも可能です。

多くの女性が慰謝料の支払いを受けることができないまま泣き寝入りになってしまう現実がありますので、離婚の際には慰謝料請求についてもしっかりと取り決めと対策を行なっておきましょう。

(2)財産分与も考慮する

不倫などの慰謝料請求ができる離婚でなくても財産分与を受ける権利はあります。財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して蓄積した財産を清算できる方法です。
例えば、仮に結婚生活中に預金を400万円貯めたのであれば、半分の200万円については財産分与として受け取ることができる権利が生じます。

財産が何もなければ分与を受けることはできませんが、預金などの財産があるのであれば、慰謝料がないケースでも財産分与を受けることができるので、請求することを忘れないようにしましょう。

養育費をより確実に確保できる方法

子供がいる場合には養育費も受け取ることができます。
しかし、養育費に関して離婚時に何も決めないまま離婚してしまうことや、約束した養育費を受け取ることができない母親が非常に多いのが実情で、これに関しては社会問題となっています。

養育費の相場や養育費を確実に受け取ることができる方法についてもしっかりと理解しておくようにしましょう。

(1)養育費算定表から養育費の相場を知ろう

まずは、慰謝料をいくらもらうことができるのかを知ることから始めましょう。
裁判所は養育費の目安として養育費算定表というものを公表しています。
養育費算定表は2019年12月に改定され、収入によっては以前の養育費算定表よりも多くの養育費を受け取ることができるようになっています。

裁判所のホームページから養育費算定表を確認することができるので、まずは子供の人数と配偶者と自分の年収から「いくらの養育費を受け取ることができるのか」ということを確認するようにしましょう。
そして、養育費算定表を元に配偶者と養育費の交渉をすれば養育費の交渉は早く進む傾向があります。

(2)養育費は必ず公正証書にすること

養育費の取り決めは必ず公正証書にするようにしましょう。
前述したように、公正証書にした契約は履行されないと裁判なしで財産を差し押さえることができますので、養育費の支払いについて公正証書にしておくことで、相手には大きなプレッシャーになり、養育費の支払いを受けることができる可能性が高くなりますし、最悪の場合には本当に財産の差し押さえが可能になります。

このため、口約束や単なる契約書ではなく、養育の支払いの取り決めについては公正証書を作成するようにしましょう。

(3)行政が養育費の未払い防止をサポートしてくれることもある

養育費の未払いに関しては社会問題化しているため、行政によっては養育費の支払いを受けることができるようにサポートしてくれる場合もあります。

明石市は養育費の支払い義務化を条例にして、支払わない場合には氏名を公表する条例の制定を検討しています。
大阪府は令和2年度から養育費の契約の間に保証会社を入れ、父親が養育費を払わない場合には保証会社が養育費を立て替え、保証会社が父親に取り立てを行うという制度が導入されます。

今後は日本全国でこのような動きが加速していくと予想されるため、養育費の未払いは社会的に許されないという空気と制度がさらに出来上がっていくかもしれません。

最終的に離婚決断は自分の気持ち次第

このように、離婚を決断するためには金銭的な計画を立ててから行う必要があります。
不倫などをされている時には精神的に辛いので離婚をすることがゴールであると考えてしまう人も多数存在します。

しかし、離婚の後には自分が自立して生活し、子供を養って行かなければならないのです。
このため、離婚はゴールではなく新たな生活のスタートだと考えましょう。

新たな生活のためにはいくら必要で、自分が働いていくら稼がなければならないのかを十分に検討し、離婚後の生活に困窮することがないようにしてから離婚しましょう。

また、慰謝料や財産分与など取れるものはしっかり取ってから離婚すると同時に、慰謝料や養育費などの未払いがないように、公正証書によって契約をしておくということも忘れないようにしましょう。
このような金銭的な計画を立てた上で「離婚する」という覚悟が変わらないのであれば、離婚するという決断をするとよいでしょう。

まとめ

離婚を決断する前に考えておかなければならないのは以下のような点です。

  • 慰謝料を請求できるか
  • 財産分与はあるか
  • 養育費をしっかりと受け取るようにしたか
  • 離婚後の公的扶助はあるのか
  • 養育費や公的扶助の中から足りないお金はどのくらいか

これら全てを冷静に検討して、離婚後も生活に支障がないと判断できるのであれば離婚という決断を下すのがよいでしょう。

この段階での離婚は無理だと思うのであれば、初めはパートなどから仕事をして、自立できるという自信がつくまで離婚しないという結論もありえます。
ただし、DVなどの場合には一刻も早く配偶者から離れる必要があるので、このような場合には弁護士などの専門家などに相談するようにしましょう。

いずれにせよ、離婚後には生活が待っています。
離婚は感情的に行われることですが、少し冷静になって金銭的な準備をしてから離婚を決断するようにしてください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

ページトップ