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ポリアモリー(複数愛)を理由に離婚や慰謝料を請求する方法について解説

複数人と同時に交際するため、浮気性と勘違いされやすいポリアモリー 。
浮気性とポリアモリーの共通点は、複数人と付き合う点だけです。
実は浮気性よりもポリアモリーの方が、パートナーを大事にしている傾向があります。

本記事を読んでいる方は、結婚後にポリアモリーだと告白されたもしくはした方が多いのではないでしょうか。

今回はポリアモリーを理由に、離婚や慰謝料を請求する方法について解説します。
また、慰謝料請求されないようにする方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

ポリアモリー(複数愛)とは?特徴や浮気性との違いについて

離婚や慰謝料の請求を考える前に、ポリアモリーという用語について確認しておきましょう。
本記事を読んでいる方の中には、突然配偶者 (夫もしくは妻) からポリアモリーだと告白された方もいるのではないでしょうか。
ポリアモリーという用語を知って「何それ」「浮気性と同じではないのか」と感じている方が多いでしょう。

ポリアモリーとは、簡単に説明すると複数愛のことです。一方、一般的な交際はモノアモリーと呼ばれています。
ポリアモリーとモノアモリーの大きな違いは、交際する人数です。
交際している人を愛する気持ちは変わりません。

  • ポリアモリー :複数人と交際する
  • モノアモリー:一人と交際する

一見するとポリアモリーは浮気性のようですが、実は別物です。
ポリアモリーと浮気性の違いについて確認してから、離婚や慰謝料を請求するか決断しましょう。

(1)パートナー全員が複数愛に合意している

ポリアモリーと浮気性の決定的な違いは、パートナー全員が複数愛に合意している点です。

ポリアモリーの場合は、交際する前に「他にもパートナーがいる (もしくはできる可能性がある) 」と教えてくれます。
複数人との同時交際を隠すことはありません。
そして、複数愛の合意を得られる場合のみ交際を開始します。

一方、浮気性の場合は、黙って配偶者以外の人と交際を始めることが多いです。
あくまで一対一の恋愛をしている体で、複数人と同時交際する傾向があります。

つまり、配偶者が結婚後に「実はポリアモリーなんだ」と告白してくる場合は、浮気性な可能性があります。
ただ、浮気していない状態でポリアモリーだと告白された場合は、今まで言い出せなかっただけの可能性もあるので注意しましょう。

(2)パートナー全員を平等に愛している

ポリアモリーはパートナーに順位づけしません。交際するパートナー全員を平等に愛しています。
特定の誰かだけを贔屓して、他のパートナーを放置するようなことはありません。
配偶者と同じように、他のパートナーと肉体関係を持つこともあります。

一方、浮気性の場合は、パートナーに順位づけします。
配偶者への愛情よりも、浮気相手に対する愛情の方が強いことが多いです。
浮気相手を贔屓して、配偶者との関係を疎かにする傾向があります。

ポリアモリーの交際は、一見すると自己中心的です。
「複数人と同時交際するのは、欲求を満たしたいだけだ」と感じる方もいるでしょう。
しかし、実は浮気性よりもパートナーを大事にしていることがほとんどです。

ですので、配偶者との関係を蔑ろにしておきながら「ポリアモリーだ」と告白する場合は、浮気性の可能性があります。

(3)パートナー同士で隠し事をしない

ポリアモリーはパートナー同士で隠し事をしないため、関係を崩さずにいられやすいです。
パートナー全員を平等に愛しているので、他のパートナーのことも話します。
もちろん、配偶者が相手でも、他のパートナーと同じように話します。
パートナー同士でオープンな関係を築いているため、交際関係で揉めることはほぼありません。

一方、浮気性の場合は、配偶者に浮気相手のことを話しません。
浮気相手に配偶者のことを話す可能性はあるでしょう。

パートナー同士でオープンな関係を築けるかどうかも、ポリアモリーと浮気性の大きな違いです。
配偶者以外にパートナーがいると発覚したあと「実はポリアモリーなんだ」と告白された場合は、ただの浮気性である可能性が高いです。

ポリアモリーだと結婚後に発覚した場合は離婚や慰謝料を請求できる?

先ほど解説した通り、結婚前だけでなく結婚後に配偶者からポリアモリーだと明かされるケースがあります。
ポリアモリーについて配偶者から聞いたり調べたりしたものの「やっぱり受け入れられない」「浮気を許せない」と感じる方がいるのではないでしょうか。
受け入れられなければ、離婚や慰謝料の請求を考えることになります。

結論から言うと、ポリアモリーだと結婚後に発覚した場合は、離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。
可能性があるだけなので、必ず離婚や慰謝料を請求できるとは限りません。

本項目では、離婚や慰謝料を請求できるケースとできないケースを解説していきます。

(1)ポリアモリー発覚後に離婚や慰謝料を請求できるケース

ポリアモリーを理由に離婚、慰謝料請求するときは、配偶者が不倫している証拠を集めましょう。
配偶者が浮気ではなく不倫していると証明できれば、離婚、慰謝料請求が認められやすいです。
ポリアモリーというよりは、不倫を理由に離婚や慰謝料を請求することになります。
集める証拠に関しては後ほど解説します。

浮気と不倫の違いは以下の通りです。

  • 浮気:配偶者以外の異性または同性と恋人関係にあるが肉体関係はない
  • 不倫:配偶者以外の異性と肉体関係を持っている (不貞行為を働いている)

ポリアモリーであれば、配偶者だけでなく他の異性とも肉体関係を持っている可能性があります。
不貞行為を働くことは、民法第七百七十条に離婚の訴えを提起することができる項目として定められています。
ですので、不倫している証拠があれば離婚請求は認められやすいです。

そして、慰謝料を請求できる条件は、民法第七百九条と第七百十条に定められています。
慰謝料は配偶者だけでなく、不倫相手にも請求できます。
不倫相手が配偶者を既婚者であると知りながら不貞行為を働いてた場合は、慰謝料請求が認められやすいです。
ポリアモリーはオープンな関係を築くため、配偶者が既婚者であると知っている可能性は高いでしょう。

ちなみに、配偶者が離婚、慰謝料請求を受け入れる場合、証拠は不要です。
とはいえ、素直に受け入れる可能性は低いので証拠を集めておきましょう。

(2)ポリアモリー発覚後に離婚や慰謝料を請求できないケース

ポリアモリーを理由にした離婚、慰謝料請求は、配偶者の不倫を証明できなければ認められにくいです。
配偶者が他の異性と交際していても、肉体関係を持っていなければ浮気に該当します。

例えば、配偶者が他のパートナーとLINEをしたり出会ったりしているだけでは、不倫に該当しません。
離婚、慰謝料請求が認められやすいのは、配偶者が他の異性と不倫している事実を証明できたときです。

そして、不倫していると証明できても、以下のような状況では慰謝料請求が認められにくいです。

  • 不倫し始める前に夫婦関係が破綻していた
  • 不倫相手を特定できない
  • 不倫相手が配偶者を既婚者だと認識していない
  • 不倫を知ってから3年以上経過して時効が成立している
  • 不貞行為があった日から23年以上経過している

不倫相手が配偶者を既婚者だと認識していない場合は、不倫相手への慰謝料請求が認められにくくなります。
配偶者への慰謝料請求は認められやすいです。

不貞行為から23年以上経過しておらず不倫相手を特定できる場合は、以下の手順で時効を中断させましょう。

  • 時効を6ヶ月中断:慰謝料の請求書を内容証明郵便で送付
  • 時効が完全に中断:裁判を起こす

また、配偶者とポリアモリーを認める旨の同意書を交わしている場合も、離婚、慰謝料請求が認められにくいです。
ポリアモリーの方と結婚するときは、あとから心変わりしないかをよく考えましょう。

ポリアモリー発覚後に離婚や慰謝料を請求する方法

ポリアモリーを受け入れられない方は、離婚、慰謝料請求の準備を進めましょう。
離婚や慰謝料を請求できるケースに当てはまる場合は、これから解説する方法で手続きを進めてください。
詳しく見ていきましょう。

(1)離婚や慰謝料の請求が認められやすい証拠を集める

先ほど解説した通り、ポリアモリーを理由に離婚、慰謝料請求するときは、配偶者が不倫している証拠を集めましょう。
配偶者が離婚、慰謝料請求を拒否すれば裁判に発展します。
裁判では集めた証拠を用いて、配偶者が不倫したと裁判官に認めてもらう必要があります。
より確実に離婚や慰謝料を請求するために、証拠能力が高い物を集めましょう。

主な証拠能力が高い物は以下の通りです。

  • 不倫を認める動画や音声データ
  • 2人でラブホテルに出入りしている写真
  • LINEや手紙のやり取りを撮影した画像データ
  • 探偵事務所や興信所が作成した不倫調査報告書

動画、音声、画像データを集めるときは、なるべく日付や時間を確認できるように設定して保存しましょう。
不倫が継続的なものだと確認できるほど、証拠能力が高くなります。
また、日付がわければ、夫婦関係が破綻する前から不倫していたと証明できるので、離婚や慰謝料を請求しやすくなります。

証拠を集めるときは、配偶者や不倫相手にバレないようにしてください。
離婚や慰謝料の請求の準備を進めていると気づけば、証拠を隠滅する可能性があります。

証拠を集めづらくなるので、感情的になって問い詰めたり無理に証拠を集めたりしないようにしましょう。
盗聴、盗撮、窃盗で逆に訴えられるリスクもあります。

個人で証拠を集めるのが難しい場合は、探偵や興信所に不倫調査を依頼するのがおすすめです。
不倫調査のプロが、うまく証拠能力が高い物を集めてくれます。
そして、不倫調査報告書は裁判時に証拠として提出可能です。
料金前払いだけでなく、成功報酬制で依頼を引き受けてくれる事務所もあります。
より確実に配偶者の不倫を証明したい方は、探偵や興信所に不倫調査を依頼してみましょう。

(2)証拠を集めたら弁護士に相談する

配偶者が不倫している証拠を集めたら、弁護士に相談しましょう。
離婚や慰謝料を請求するために必要な書類の作成から、配偶者、不倫相手との交渉まで行ってくれます。
さらに、なるべく裁判に発展しないように交渉してくれます。

個人だとどうしても感情的になってしまい、うまく交渉できない方もいるでしょう。
手を出したり暴言を吐いたりしてしまうと、暴行や脅迫などで逆に訴えられるリスクがあります。

より確実に離婚や慰謝料を請求したい方は、弁護士に相談してみてください。
探偵や興信所のように、弁護士も成功報酬制で依頼を引き受けてくれる事務所があります。
一人で悩まずに、まずは相談してみましょう。

ポリアモリーを認めたあとに離婚や慰謝料を請求されないようにする方法

本記事を読んでいる方の中には、配偶者がポリアモリーを認めておきながら「やっぱり認められない」といわれ離婚、慰謝料請求されないか心配な方もいるのではないでしょうか。
ここからは、ポリアモリーを認めた配偶者から離婚、慰謝料請求されないようにする方法を解説していきます。

一度ポリアモリーを認めたにも関わらず「やっぱり自分だけを見てくれないのはつらい」と、心変わりする方は少なくありません。
離婚だけならともかく、慰謝料まで請求されることもあります。
意中の人に交際を申し込む前に、これから解説する内容を確認しておきましょう。

(1)交際する前にポリアモリーであることを告白する

意中の人に交際を申し込む前に、自身がポリアモリーであることを告白しておきましょう。
「認めてもらえなかったらどうしよう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、告白が遅れれば遅れるほど、お互いにとって最悪な結末を迎える可能性があります。

たとえば、結婚して子どもができたあとにポリアモリーが発覚すると、離婚だけでなく慰謝料や養育費なども請求されかねません。
また、パートナーは再婚するまで、一人で子育てすることになります。
お互いのためにも、交際する前に自身がポリアモリーであることを告白しましょう。

(2)ポリアモリーを認めたと証明できる同意書を作成する

パートナーがポリアモリーを認めたら、同意書を作成しておきましょう。
口約束だけでポリアモリーを認めると、あとから「やっぱり認められない」といわれたときに離婚や慰謝料を請求されやすいです。

たとえば、配偶者に「他のパートナーと肉体関係を持った」と話せば録音されている可能性があります。
ポリアモリーを認めた証拠がなければ、自ら不倫を認めることになります。

口約束だけでポリアモリーを認めてもらうのはハイリスクです。
必ず同意書を交わしておきましょう。
万が一、離婚や慰謝料を請求されても、同意書があれば認められることはありません。

(3)ポリアモリーを貫く上での注意点を確認する

ポリアモリーを貫いて複数人と同時交際する前に、以下の内容を確認しておきましょう。
自身だけでなく他のパートナーにも関わる内容なので、目を通しておいてください。

①同意書の内容に反すれば離婚や慰謝料を請求される

配偶者がポリアモリーを認めたと証明する同意書を交わしたからといって、離婚や慰謝料を請求されないわけではありません。
当然ですが、配偶者との夫婦関係を蔑ろにすれば、同意書の内容に反したとして離婚や慰謝料を請求されます。
他のパートナーとの関係が不倫扱いになるので注意しましょう。

②他のパートナーとの間に子どもができても相続権はない

配偶者がいる場合は、他のパートナーとの間にできた子どもに相続権はありません。
財産や権利などは、配偶者もしくは配偶者との間にできた子供に継承されるので注意しましょう。

③他のパートナーは生活費を請求できない

配偶者以外のパートナーには、生活費を請求する権利がありません。
ですので、他のパートナーと子どもを作るときは注意しましょう。

④他のパートナーと事実婚関係にあると判断されやすい

配偶者と同じように他のパートナーとも生活している場合、事実婚関係にあると判断されやすいです。
他のパートナーが何かの手当を受給していると、減額されることもあります。
ポリアモリーを貫くときは、パートナーの生活も考慮しましょう。

まとめ

結婚後に突然ポリアモリーだと告白されて受け入れられないときは、配偶者が不倫している証拠を集めましょう。
配偶者からポリアモリーだと事前に聞かされていない場合は、ただの浮気性である可能性が高いです。
成功報酬制の探偵、興信所、弁護士事務所を探して、離婚、慰謝料請求の準備を進めましょう。

ポリアモリーの方は、パートナーと交際する前にポリアモリーであることを告白しておきましょう。
そして、結婚するときは、パートナーがポリアモリーを認める旨の同意書を交わしてください。
口約束だけでポリアモリーを認めてもらうと、あとから「やっぱり認められない」と言われかねません。

万が一、同意書を交わしていない状態で離婚や慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談しましょう。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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