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  2. 不倫や浮気の示談の手順

夫(妻)が不倫!浮気を示談で解決するために知っておくべき手順を解説

「夫が不倫していたけれど離婚はしたくないので示談したい」
「妻が二度と浮気しないように示談書を作っておきたい」
「不倫で示談をしたいけど、どのように進めるか分からない」
「そもそも、自分のケースの浮気や不倫で示談が可能か知りたい」

夫(妻)の不倫でショックを受けたけれど、生活や子どものことを考えて離婚はしたくない、示談で解決したいとお考えの方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
また、話し合いで解決したいけれど、示談はいつできるのか、示談書はどのように作るのか、示談したら示談金はどうなるのかなど、示談について疑問がある方もいらっしゃると思います。

示談は1回限りのチャンスです。示談をするには、適切な内容を、適法な形式で示談書に盛り込んでおかないと、後からトラブルの蒸し返しになったり、望むような解決にならない恐れもあります。
そこで今回は、配偶者の不倫を示談で解決するための手順や押えておくべきポイントについてご説明させていただきます。

配偶者が不倫(浮気)をしても離婚せずに示談で解決できる?

あなたは、夫や妻の不倫は、違法な犯罪行為で、離婚しなければいけないと思っている方はいませんか?

結婚した夫婦は、「配偶者以外の相手と肉体関係を結ばない」という貞操義務をお互いに負っています。

不倫は、この義務に違反する違法な行為ですが、犯罪ではないので、逮捕されたり刑罰を受けるものではありません
また不倫(不貞行為)は、離婚裁判になれば離婚が必ず認められる「離婚事由」の一つですが、不倫したとしても絶対に離婚しなければいけないものでもありません。
ただ、離婚しない場合でも、貞操義務に違反した行為であることに違いはないので、不倫をされた側は不倫をした下側に対して、慰謝料を請求できます。
不倫を示談で解決するなら、こうした内容も盛り込んで示談をすることがポイントです。

「誰が」「誰に」「何を」示談するのか?

示談とは「当事者で行う合意」のことを言います。
不倫の示談は、「不倫の当事者」が、不倫に関して行う合意ということになるわけです。

上記で述べたように、不倫は、夫婦は貞操義務を負っているにも関わらず、夫(妻)と不倫相手が一緒になってこの義務に違反したことを指します。
貞操義務という夫婦の問題に不倫相手は関係ないように思えますが、不倫は1人ではできないので、不倫相手も「共同不法行為者」にあたり、示談金を請求できる相手となります。
ですから、不倫の示談では、「不倫をされた夫婦の一方」が、「不倫をした配偶者と、不倫相手の2人に対して」、「不倫問題をどうやって解決するか」について合意していくことになります。
「不倫問題をどうやって解決するか」は示談に盛り込むべき内容の項目で、後ほど具体的に見ていきましょう。

不倫を示談で終らせるなら示談書を作るべきか?

示談は当事者の合意なので、書面にしなくても成立しますが、口頭だけだと後でトラブルになりやすいので、合意の内容を記録した「示談書」を作成するのが一般的です。
示談書は「合意書」「念書」など呼び名が違うこともありますが、内容や効果は同じです。

示談書には、合意内容の記録だけではなく、慰謝料を請求する場合の証拠になったり、もしまた不倫をして離婚する場合に慰謝料を増額させる根拠になる効果もありますし、配偶者や愛人に再度の不倫をさせない心理的な効果も期待できます。

このように、示談書は作っておいて損はありませんので、示談の際にはぜひ内容を書面にしておきましょう。
示談書は、ワードでも手書きでも構いませんが、次の項目でご説明する最後の署名押印は直筆で書くこと、押印は認印でも拇印でもいいですが、できれば実印を押印しましょう。

配偶者の不倫を示談で終らせるなら盛り込むべき5つの内容

示談は、原則としてやり直しができない1回限りのチャンスです。
そのため、示談をする際には、不倫を解決するために必要な情報をきちんと盛り込んでおうことが重要です。
どのような解決をしたいかという希望にもよって示談の内容は変わりますが、ここでは不倫の示談で、示談書に通常盛り込まれる5つの要素をご説明します。

(1)不倫の事実

まず、配偶者の不倫の事実を、示談書で明らかにして認めさせることが大前提になります。
具体的には、いつ、誰と、どのような不貞行為をした等、内容まで書けるとよいでしょう。
この時に必ず、「不倫」や「浮気」ではなく、「不貞行為」と書いてください
というのも、「不貞行為」は離婚原因になる性的関係を伴う行為という法律上の言葉ですが、「不倫・浮気」は日常用語で人によって捉え方が違うので、後ではぐらかされる恐れがあるためです。
これを踏まえると、実際の書き方の例としては次のようになります。

「●●(不倫をした配偶者)は、▲▲(不倫をされた配偶者)に対し、●●●●年●月から●●●●年●月の間、××(不倫相手)との間で、○○のラブホテルに行くなど複数回の不貞行為を行った事実を認め、謝罪する。」

(2)示談金

「示談金」とは、今回の不倫を解決する一切のお金を指します。
よく耳にする「慰謝料」との違いが分からないという方もいると思いますが、「慰謝料」は、夫(妻)が不倫をしたことで受けた精神的苦痛を損害とする賠償金のことです。
つまり慰謝料は示談金の一部であって、示談金と慰謝料はイコールではありません
離婚をするなら、不動産や貯金の配分(財産分与)が絡むので慰謝料と示談金は分けた方がいいですが、離婚しない場合は不倫のせいで転居を余儀なくされ引越し代がかかった等、精神的苦痛以外の損害が生じた等の事情がない限りどちらでも良いでしょう。

なお、慰謝料・示談金は、不倫した夫(妻)と、その不倫相手の双方に請求できます。
お金はいらないという場合は、0円と書いても、最初から書かなくてもどちらでも大丈夫ですが、慰謝料を請求する場合には、一緒に盛り込んでおきましょう。
示談は合意なので、これから請求する場合でも次のような書き方を参考にして下さい。

「本件不貞行為の示談金として、●●(不倫をした配偶者)は、▲▲(不倫をされた配偶者)に対し、金○○円の支払い義務があることを認める。
●●(不倫をした配偶者)は、上記金○○円を、▲▲(不倫をされた配偶者)の指定する口座に振り込む方法により支払う。」

(3)不倫をやめることの約束

不倫した配偶者と離婚するならまだしも、示談してやり直す以上、相手には二度と不倫をしないように釘を刺しておきたいところです。
今回の不倫相手だけではなく、今後誰とも不倫をしないようにするために、次のように書くとよいでしょう。

「●●(不倫をした配偶者)は、▲▲(不倫をされた配偶者)に対し、××(不倫相手)との関係が、●●●●年●月●日に終了したこと及び、今後××を含むいかなる相手とも不貞行為をしないことを約束する。」

(4)禁止行為

不倫の当事者の中には、別れてもメールのやり取りを続けたり、相手が家に押しかけたり、会社にばらしたりと厄介なことを起こす人も稀にいます。
不倫相手が仕事関係者の場合は二度と会うなとは言えないので下記のカッコ書きを付けざるを得ませんが、関係を完全に断たせる禁止行為を書いておくとよいでしょう。

「●●(不倫をした配偶者)は、▲▲(不倫をされた配偶者)に対し、××(不倫相手)と(仕事上やむを得ない場合を除いては)二度と面会しないこと及び、電話、手紙、メール、SNSなどいかなる手段でも連絡を取らないことを約束する。
●●、▲▲は、本件について互いに口外しない。」

(5)違反した場合のペナルティ

今回の不倫は示談で許すけれど、今後再度不倫をしたり、不倫ではなくとも連絡を取り合った等の約束違反があったら、次は離婚するとか賠償金を払うという一文を添えておくことで、不倫の再発防止になります。
また、次は離婚するにしても現段階で詳細な条件は決められないので、その時に協議すると書いておくことができます。

「●●(不倫をした配偶者)は、▲▲(不倫をされた配偶者)に対し、本示談書記載の事項に違反した場合は、金○○円を支払うこと及び、▲▲からの協議離婚の請求に応じることを約束する。
●●と▲▲は、上記の協議離婚にあたり、財産分与、慰謝料、親権などについては別途協議して定めるものとする。」

上記の内容を盛り込んだら、最後に

「本示談内容を証するため、本示談契約書を2通作成し、各自1通を保有する。」

と書いて同じものを2通作成し、それぞれに●●(不倫をした配偶者)、▲▲(不倫をされた配偶者)が署名押印の上、各人が1通ずつ保管します。

なお、不倫相手と示談する際には、上記の●●(不倫をした配偶者)と××(不倫相手)を入れかえて文章を整え、夫婦にだけ関係する離婚に関する内容を外すとよいでしょう。
そして、最後の署名押印も、▲▲(不倫をされた配偶者)と××(不倫相手)が行い、2通作成して1通ずつ保管することになります。

配偶者の不倫を示談で終らせるための手順と流れ

上記で示談の内容や示談書の書き方を見てきましたが、示談のゴールは示談書を書くことではなく、最良の形で不倫問題を解決し、夫婦が復縁することです。
離婚ではなく復縁するための示談だということを念頭に、次のような順序をとりましょう。

(1)配偶者との示談の流れ

夫(妻)にいきなり示談書を突きつけると、復縁しても関係が悪化したり、相手が態度を頑なにして逆に離婚を切り出してくる恐れもあります。

まずは、不倫の事実を知ったこと、傷ついたこと、離婚しないことを伝えて話し合い、合意できたら示談書を示して署名・押印する流れがベストです。
この時、不倫の事実を証明できる客観的な証拠を準備しておきましょう。
夫婦だけでは感情的になって話ができそうにない場合は、双方の親に同席してもらう、離婚カウンセラーに一緒に相談するなどして、合意に向けた意思形成を図りましょう。

(2)不倫相手との示談の流れ

不倫相手と顔を合わせるのは嫌だという方は少なくないと思います。
そのような場合は、弁護士に頼んで代理人になってもらい、不倫の示談を申し入れる旨を伝えて、示談書を内容証明郵便で送付し、内容を確認させるのも一つの方法です。
示談を迅速に解決するためには、最初に高めの示談金を設定し、相手の減額の要求に応じるというのも有効です。
もしそれでも不倫相手が示談に応じない場合は、裁判に移行する旨を伝えましょう。

なお、不倫相手と会って示談する場合は、個室のあるカフェやレストランなど、自宅以外の静かな場所がベストです。
その際は、不倫の証拠、ご自身の印鑑・朱肉、示談書、ボールペン(消せない物)、ボイスレコーダーを持参しましょう。
示談の場で怒りが込み上げても、暴言を吐く、暴力を振るう、脅す、示談の強要などをすると、逆に訴えられたり逮捕される恐れもあるので、絶対にしてはいけません。

もし夫(妻)が自分は独身者であるとウソをついていた場合や、強引に肉体関係を結んだ場合には、こちら側が損害賠償を請求されたり、場合によっては刑事事件に発展することもあるので不倫の経緯もあらかじめ確認しておいてください。

不倫相手と示談で縁を切らせることができるってホント?

示談をすることで、不倫相手と夫(妻)の縁を切らせることができます。

そのためには、上記のように、縁を切らせるための内容を示談に含めて示談書に盛り込み、相手に署名押印させることが必要です。
具体的には、今回の不貞行為(不倫)を認めることに加え、

  • 不倫をやめることの約束
  • 禁止行為として一切の連絡を絶つこと
  • これに違反した場合のペナルティ

を決めておくことで、実質的に不倫相手と縁を切らせることが可能になります。

不倫を示談で解決するために気を付けるべき2つのポイント

不倫を示談で解決する際は、無効な要求をしないこと、違法な行為をしないこと、という2つが大きなポイントになります。

(1)無謀な要求をしない

不倫をした夫(妻)や不倫相手にと示談をする際に、いくら相手に非があるからと言って、社会的に不相当な要求をすることはできません。

たとえば、「今後一生逆らわないことを約束する」とか「再度不倫をした場合は自ら命を絶つことを約束する」といった内容は、社会的に相当ではない「公序良俗に反するもの」として効果は認められません。
また、「示談金として10億円払うことを認める」と言った内容も、収入に比べてあまりにも高額な場合は、裁判になった場合にやはり公序良俗違反として無効と判断されます。

示談をする場合には、社会的相当な範囲内で相手に責任を追及することが大切です。

(2)違法な行為をしない

不倫は、不倫をした当事者が悪いのは当然です。
そして、不倫をされた側が不倫の当事者に対して損害賠償を請求できるのは権利です。
しかし、いくら法律で認められた権利の行使だからと言って、その請求の仕方によっては逆に違法になることがあるので注意してください。

具体的には、暴力を振るう、暴言を吐く、示談を強制すると言った行為が挙げられます。
このような行為をすると、相手が示談書に署名しても「強迫・強要による合意」と判断され、効力が生じなかったり、犯罪として扱われることもあるのです。
ご自身の気持ちが抑えられるか心配な場合は、代理人の弁護士を立てる、第三者を間に入れて示談をするなど、ご自身を守るための対策を考えましょう。

配偶者の不倫でも離婚せずに示談で解決する場合の相談窓口

不倫を示談で解決する流れはある程度分かったけれど、専門家に直接相談したいという方は多いと思います。
ここでは、状況に応じた相談先をご紹します。

(1)復縁について相談したい

夫婦関係を今後うまく復縁させていくことに悩みがある方は、「離婚カウンセラー」という人に相談をするのもひとつです。
離婚カウンセラーといっても離婚を推奨するだけでなく、民間の資格保有者が夫婦関係のあり方などに幅広く対応しています。

(2)示談の内容ややり方について相談したい

示談の内容や示談の進め方に悩みがある場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
示談金の相場がいくらくらいか、どういう条項を示談に盛り込めばよいか等、経験と過去の裁判例などからアドバイスを受けられます。
法律の専門家には、他に司法書士や行政書士がいますが、そもそも専門分野が不動産登記、書類作成と異なりますし、代理人になれないなど制約が多いので、相手の出方が分からない不倫の示談の問題では、弁護士に相談するのが最良の選択と言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、不倫を示談で解決する場合の手順や、示談に盛り込むべき内容について解説させていただきました。
不倫で傷ついた方も多いと思いますが、示談をして復縁をして新しいスタートを切るためにはきちんとした示談をしておくことが大切です。
示談の相談に初回無料で対応している弁護士や弁護士事務所もあるので、お悩みの場合は、まず一度お気軽に相談されてみてはいかがでしょうか?

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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