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離婚慰謝料に税金がかかるのはいくらから?示談金や贈与税の相場とは

皆さんの中には、配偶者の不倫や長年のわがままに耐えかねて離婚を考えている、慰謝料はしっかり貰いたいとお考えの方はいませんか?しかし、離婚の慰謝料で税金がかかる場合があることをご存じでしょうか。せっかく慰謝料をもらっても、高い税金を払わなければいけなくなったのでは、離婚後の生活が躓いてしまう心配もあります。そこで今回は、離婚慰謝料に税金がかかる目安や、示談金の相場などについて解説したいと思います。

離婚慰謝料は税金がかかるか?

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償のことをいいます。離婚せざるを得なくなったことで被った精神的苦痛に対する損害賠償である離婚慰謝料、不倫されたことで被った精神的苦痛に対する損害賠償である不倫慰謝料など名目はさまざまですが、通常、不倫で離婚する場合は離婚慰謝料として一括で請求します。

慰謝料は、お金を相手にあげる(贈与する)ものではなく、損害の埋め合わせをするものなので、贈与税はかかりません。また、所得税法上も、加えられた損害が原因で発生するものとして非課税となっています(所得税法9条1項17号)。ちなみに、慰謝料を「示談金」「解決金」「謝罪金」などの名前で支払った場合も同様です。したがって、慰謝料には原則として税金はかかりません。

ただし、例外的に慰謝料にも税金がかかるケースがあります。それを次にご紹介していきたいと思います。

慰謝料に贈与税がかかる4つのケース

(1)高額すぎる離婚慰謝料のケース

配偶者が支払い受け取った慰謝料が明らかに高すぎる場合は、脱税や資産隠しを疑われ、贈与税がかかる場合があります。離婚慰謝料は、夫婦の事情によって変わるので、厳密には相場というものはありません。ただし、目安としては、不倫や浮気で慰謝料が発生する場合は、100~300万円が相場といわれています。これに、結婚期間が長い、不倫期間が長い、夫婦に幼い子供がいる、不倫をした配偶者の社会的地位が高いなどの事情が加わると、慰謝料が高くなる傾向にあります。

こうした事情を踏まえても、慰謝料が社会通念を超える程度に高額と判断されると、贈与税がかかる場合があるのです。なお、この場合支払うのは慰謝料をもらった側です。贈与税は、年間110万円まで非課税です。この場合は、受け取った慰謝料から基礎控除110万円を引いた慰謝料額に対して贈与税がかかります。

具体的には、

(贈与を受けた金額-基礎控除額110万円)×税率-控除額

で計算します。

この場合の税率は、基礎控除額を引いた金額によって異なり、暦年課税の一般税率で計算します。(国税庁:タックスアンサー贈与税の計算と税率

ここでは、贈与税の相場として、具体例をご紹介します。

「1000万円の離婚慰謝料を受け取ったケース」

1000万円の離婚慰謝料は高額です。贈与税がかかった場合の計算は次のようになります。

1000万円-基礎控除額110万円=890万円(890万円の税率は40%)

890万円×40%=356万円

356万円-控除額125万円=231万円

慰謝料1000万円をもらった場合の贈与税額は231万円

(2)慰謝料代わりに不動産や車をもらったケース

慰謝料を現金ではなく、不動産や自動車、株などを渡した場合は、これらの財産を時価で相手に譲った(譲渡)ものとみなされます(所得税法33条1項)。このケースで、財産を取得した金額より譲渡した金額が上回っている場合は「譲渡益」があるとされ、財産を譲渡した人、つまりあげた側に譲渡所得税がかかります。

一方で、受け取った人にも不動産取得税がかかり、不動産の名義を変える際には所有権移転登記にかかる登録免許税などもかかってきます。ただし、住んでいた家を慰謝料の代わりに譲渡する場合には、譲渡所得税の特別控除を受けたり、長く保有していた家を譲渡した場合には軽減税率の適用を受けることもできます。とはいえ、いずれも離婚後に譲渡することなど条件がありますので、詳しくは弁護士に相談してみましょう。

(3)偽装離婚のケース

偽装離婚をして、慰謝料名目で財産を相手に渡している場合は、もはや損害賠償ではなく贈与となります。この場合は、財産をもらった側に贈与税がかかります。結婚期間の長さなどの条件によっては配偶者控除が受けられる場合がるので、弁護士や税理士に相談してみましょう。ただし、以前男性俳優の事件でニュースになりましたが、偽装離婚によって慰謝料名目で財産を移し、借金の取り立てから逃れようとしたような場合は、税金の問題にとどまらず、詐欺罪に該当して逮捕される可能性もあります。

(4)慰謝料を立て替えてもらったケース

慰謝料を支払う側にお金がなく、親や知人といった第三者に慰謝料を立て替えてもらって払った場合は、贈与税がかかる場合があります。

離婚慰謝料で贈与税がかからないようにする方法とは

(1)現金で支払う方法

離婚慰謝料の支払いで税金がかからないようにするには、現金で支払う方法が有効です。ただしこの場合でも、慰謝料額が社会通念上妥当な金額であること、高額すぎないことは必要です。不動産や車、株などを慰謝料の代わりにもらうと、時価によっては贈与税が発生することがあるからです。また、不動産は、贈与税だけでなく、もらった後の登記の変更や不動産取得税の支払いなど、さまざまな税金がかかってきます。

これらの支払いの負担を考えても、よほど思い入れのある土地建物等でない限り、慰謝料は現金で受け取ることをおすすめします。

(2)離婚前の高額財産の受け取りをしない方法

離婚慰謝料がかかることを避けるためには、慰謝料の代わりに不動産や車などの高額な財産を受け取る時期を、離婚前ではなく離婚後に受け取るようにしましょう。

ただし、受け取る不動産の価値が(時価)が2110万円以下の場合や結婚期間が20年以上の場合には、贈与税が控除される可能性があるので、離婚前に受け取っても税金がかからないケースもあります。しかし、車の場合は時価110万円以上で税金がかかりますし、贈与税が控除される110万円のボーダーラインは、その年にもらった財産の総額が対象になるので、他に財産をもらっていないか注意してください。

不動産の時価や控除の考え方は複雑なので、高額な財産を慰謝料代わりに受け取る予定の方は、事前に弁護士や税理士に相談しておくことをおすすめします。

(3)財産分与や慰謝料授受の書面化

離婚の慰謝料の支払いについては、話し合って合意した内容を「離婚協議書」などに書面化し、できるだけ公証役場に出向いて公正証書にしておきましょう。公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する公の文書で、高い証明力と信頼性があります。公正証書にしておくことで、もしも離婚慰謝料の支払いや受け取りが財産隠しや脱税の疑いをかけられた場合にも、疑いを晴らす証拠になります。

(4)調停を利用する方法

時間と費用はかかりますが、調停離婚を利用して離婚することで、脱税や資産隠しではないことを証明できるので、税金がかからなくてすみます。調停離婚とは、中立な第三者である調停員を間に入れて家庭裁判所で行う話し合いのことで、話し合いがまとまれば、その内容を調停調書という書類にしてもらえます。この調停調書があれば、離婚慰謝料が純粋な損害賠償であることを証明できる証拠になります。

離婚調停は、通常夫婦の間で離婚の合意ができなかった場合に行う方法ですが、慰謝料への税金が心配な場合はあえて利用するのも有効な方法です。

離婚慰謝料にかかる税金が心配な場合に相談できる専門家

(1)税理士

税理士は、税理士法に定められた国家資格者で、税金のプロです。離婚する際には、離婚慰謝料だけではなく、夫婦が結婚期間中に築いた財産を原則等分で分け合う「財産分与」など、いくつものお金の問題が絡みます。このようなケースで、どのような場合にいくらくらいの税金が誰にかかるのか、税金の納付はどうしたらいいのか、少しでも節税して税金の負担を軽くしたい場合はどうしたらいいのか、など、税金全般にかかる相談をすることができます。

税理士というと、会社の税務の相談を扱っているようなイメージがあるかもしれませんが、昨今は、離婚の際の贈与税、所得税や相続の際の相続税など、一般の相談にも広く対応している税理士は多いです。離婚に際して、まず離婚慰謝料の税金について相談したい場合には、税理士に相談されてみるとよいでしょう。

(2)司法書士

司法書士は、不動産登記のプロで国家資格者です。離婚慰謝料の代わりに不動産を譲渡するような場合は、不動産登記の名義変更などが必要になりますので、その際は司法書士の力を借りることが多いです。

また、司法書士の中でも、法務省から認定を受けた認定司法書士の場合は、140万円までの民事事件ならば和解や交渉、訴訟代理人が認められています。そのため、慰謝料や財産分与など、すべてのお金の問題が140万円以下の離婚問題では、簡易裁判所で代理人として裁判に出てもらうこともできます。ただし、140万円を超えると担当できないこと、離婚の慰謝料や財産分与などを含めると140万円以下で収まるケースは多くはないことから、そのような場合は改めて弁護士に依頼しなければいけないというリスクがあります。

(3)弁護士

弁護士は、法律業務をすべて行うことができる国家資格者です。離婚問題についても、話し合いから裁判まで、慰謝料や財産分与の金額に関わらず、すべてのケースを担当することができます。

弁護士に相談、依頼することで、話し合いの段階からご自身に代わって相手と交渉してもらうことができるため、慰謝料の金額交渉やきちんと支払わせるための書面の整備なども任せることができます。さらに、離婚調停や離婚裁判では、ご自身の代わりに裁判所に出向いてもらえるので、仕事への影響も最小限にとどめることが可能です。

また、弁護士の資格を取ることによって、税理士の資格も登録することができるので、税務の知識を持っている弁護士も少なくありません。多くの離婚問題を扱う弁護士は、その中で税金の知識も豊富に有しているので、離婚慰謝料と税金の関係が心配な場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

今回は、離婚慰謝料に税金がかかる場合のケースや税の計算方法についてご紹介しました。思ったよりも様々なケースで税金がかかりうることに驚かれた方もいるかもしれません。また、贈与税がかかった場合は、支払うのは受け取った側であることにも注意が必要です。離婚慰謝料を受け取り、再出発しようとしているところに高額な税金がかかったのでは、再スタートが切りにくくなることもあるでしょう。

離婚慰謝料でお悩みの場合は勿論、これから離婚慰謝料を受け取ることをお考えの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。離婚問題の取り扱い経験豊富な弁護士なら、税金に加え、今後の離婚に向けた対応も広く相談できます。

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