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  2. 子なし夫婦の離婚慰謝料相場

子供なし夫婦が離婚する際の慰謝料相場とは|慰謝料で後悔しないための注意点

離婚を検討している方の中には、慰謝料でお悩みの方も少なくありません。
「離婚を考えているけれど、子供がいない夫婦でも慰謝料を請求できるだろうか」など、子供がいないご夫婦の場合でも悩みは同様です。

この場合の慰謝料相場は、子供がいないことが離婚原因なのか、離婚原因が他にあるのかによって変わってきます。
また、慰謝料が発生する場合は、きちんと払ってもらうように準備をしておかないと、最終的に相手が払わないまま、うやむやにされてしまう恐れもあります。

そこで今回は、子供がいないご夫婦が離婚する場合の慰謝料相場や、慰謝料請求の際に後悔しないための注意点についてご説明します。

子供なしの夫婦が離婚慰謝料を請求できる場合

(1)離婚の際に慰謝料を請求できるケース
離婚する際に、すべてのケースで慰謝料を請求できるわけではありません。
そもそも、慰謝料は、民法709条で定められた「不法行為」が根拠になっています。

【民法709条 不法行為】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

これは、わざと(故意)または不注意(過失)で相手の権利や利益を傷つけた人は、相手に与えた損害をお金で償わなければならないというものです。
そして、慰謝料は、その中でも特に「精神的苦痛に対する損害賠償」のことをいいます。

つまり、配偶者の行為で精神的に傷つけられた場合に、その苦痛を補うお金が慰謝料になります。
そのため、離婚で慰謝料を請求できるのは、配偶者が離婚原因を作った次のような場合になります。

  • 不貞行為…性交渉を伴う浮気や不倫です
  • DV…家庭内暴力や精神的虐待(モラルハラスメント)も含みます
  • 悪意の遺棄…蒸発した、同居していても生活費を渡さないなどです
  • 性的不調和…特別な理由なくセックスを拒否し続けたり異常性癖があったりする場合です

(2)慰謝料を請求できない離婚がある
反対に離婚の原因が相手にない場合、いくら離婚で辛い思いをしたからと言って、相手が自主的に払ってくれる場合を除き、原則として慰謝料は請求できません。

  • 性格の不一致…離婚原因で最も多いものですが、原則として慰謝料は発生しません
  • 回復の見込みがない精神障害…離婚原因にはなりますが、慰謝料は発生しません

(3)子供がいないことで慰謝料請求できるか

子供がいない夫婦が、上記のような慰謝料を請求できる理由によって離婚する場合は、子供の有無にかかわらず慰謝料を請求できます。
しかし、子供がいないことを理由に離婚する場合、慰謝料の請求対象になるかは問題があります。

配偶者のどちらかが子供が欲しくないという考えを持ち離婚に至った場合は、価値観の違い、性格の不一致によるものといえるので、慰謝料請求はできないのが原則です。
ただし、結婚前に子供が欲しいことを伝え、お互い納得していたにもかかわらず、結婚後に子供をつくることを拒否され離婚に至ったような場合は、その他の事情を踏まえて慰謝料が請求できる可能性があります。

また、夫婦ともに子供が欲しいけれど、不妊症等の事情があり子供が授からず離婚に至るような場合は、原則として慰謝料は請求できないと言えるでしょう。

子供なしで離婚する場合の慰謝料額の相場とは

離婚の慰謝料額に、法律で決められた相場はありません。双方が話し合って合意すれば、慰謝料は何円でも構いません。
ただ、慰謝料請求でもめて裁判になったような場合は、離婚の原因に対応して、以下のように一定の相場が確立されています。

(1)不貞行為の離婚慰謝料相場

不貞行為が原因で離婚するケースの離婚慰謝料相場は、100~500万円といえます。
金額に差があるのは、不倫した当事者の社会的立場や収入金額、不倫期間や不倫相手との立場、不倫の悪質性などによって慰謝料が変わるからです。

不貞行為は離婚しなくてもそれだけで慰謝料を請求できますが、離婚する場合は、不貞慰謝料を離婚慰謝料として請求するのが通常です。
不貞で離婚する場合の慰謝料は、小さい子供がいる場合は慰謝料増額の要因になり得ます。

しかし、子供がいないからといって慰謝料が減額されることはありません。

(2)悪意の遺棄の離婚慰謝料相場

悪意の遺棄というと他人事のように思われるかもしれませんが、平成29年度司法統計によると、「生活費を渡さない」ことによる離婚は、性格の不一致に続いて多く、妻の約28.9%にも上っています。
参考:司法統計 家事 平成29年度婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別

配偶者による悪意の遺棄で離婚する場合、慰謝料相場はおおむね100万円といえます。
ただし、蒸発期間の長さや、生活費を入れない期間など状況が様々なので、50~300万円程度の幅があると考えておいてよいでしょう。

子供がいない場合でも、蒸発や生活費を入れないこと自体が不法行為になるので、慰謝料に影響はありません。

(3)DVによる離婚慰謝料相場

家庭内暴力やモラハラが原因の離婚慰謝料の相場は、50~300万円程度です。
DVの中でも暴行が頻繁に長期間あったような場合や、程度が酷くけがをしたような場合、うつやPTSDを発症するような場合には、500万円以上の慰謝料が認められたケースもあります。

(4)セックスレスによる離婚慰謝料相場

セックスレスは、配偶者の一方だけが原因とは言えない場合もあります。
ただし、特別な理由がないのに夫婦の一方だけがセックスを拒否し続けたことが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる場合には、離婚の原因になると同時に慰謝料の請求が認められる可能性が高いです。

この場合の慰謝料相場は、0~100万円程度ですが、セックスレスの原因が相手の不貞行為などにある場合は高額になる傾向があります。
また、セックスレスが原因で、結婚前から望んでいた子供が授からなかった場合には、その旨を十分に主張することで慰謝料が増額される可能性もあります。

(5)性格の不一致による離婚慰謝料相場

性格の不一致は、どちらかに離婚原因があるわけではないので、慰謝料は認められないのが原則です。
しかし、性格の不一致が「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると裁判でも認められた場合、慰謝料が認められる可能性はあります。とはいえ、この場合でも相場は高くて50万円と考えられます。

性格の不一致や価値観の違いで子供を持たなかった場合でも、慰謝料の目安は同程度といえるでしょう。

子供の有無と離婚慰謝料額の関係は?慰謝料相場に影響する事情

(1)離婚慰謝料を増額するケース

以下のような事情は、離婚慰謝料が増額される要因になります。

①子供の有無

離婚する夫婦に子供がいる場合は、子供の年齢が幼かったり、子供の人数が多かったりするなどの事情があると、離婚慰謝料が増額されやすいと言えます。

②夫や妻の収入

離婚原因がある側の配偶者の収入が多い場合は、離婚慰謝料が増額される要因になり得ます。

③結婚期間の長さ

結婚していた期間が長い場合は、離婚慰謝料が増額される要因になり得ます。

例えば、千葉県弁護士会によるアンケートでは、さほど悪質ではない不貞行為で離婚する場合の慰謝料額の相場は、結婚1年未満が100万円なのに対し、結婚期間が10年以上の場合は400万円、20年以上の場合は500万円にいたるケースもあることが報告されています。
参考:慰謝料算定の実務 第2版

  • 離婚原因の程度

離婚原因が不貞行為、悪意の遺棄、DVなど、一方的に相手方に非があり、悪質性が高い場合は慰謝料が増額される原因になります。

(2)離婚慰謝料を減額するケース

上記とは反対に、以下のような事情があると慰謝料が減額される可能性があります。

①離婚前の夫婦の不仲

離婚前から夫婦関係が悪化し、別居していたような場合には、慰謝料が減額されたり、そもそも慰謝料が認められなかったりする可能性もあります。

②双方に離婚原因がある場合

直接の離婚原因は相手方配偶者にあっても、元をたどると双方に原因があるような場合は、慰謝料が減額される可能性があります。

なお、子供がいることは離婚慰謝料を増額する原因になり得ますが、子供がいないことは慰謝料を減額する原因にはなりません。

子供なしの夫婦で離婚慰謝料を多く請求する場合のポイント

子供なしの夫婦が離婚する場合に離婚慰謝料を多く請求する場合は、離婚原因を明らかにし、相手に原因がある場合はその悪質性を主張できる証拠を集めることがポイントになります。

配偶者の不貞行為が原因の場合は、不倫期間の長さ、性交渉をした回数、不倫相手が家庭崩壊させようとしていなかったなど、悪質性を証明する証拠(写真やメールの履歴など)を集めましょう。

離婚原因がDVにある場合は、暴行を受けた回数や程度、モラハラを受けた場合はその発言内容を記録しておくなどしておきましょう。

専業主婦が離婚慰謝料を請求する場合にすべき準備

子供がいない専業主婦が離婚する場合、子供がいない分離婚のハードルが低く、再出発もしやすいとも言われています。

しかし、子供がいないので養育費も発生せず、離婚後の生活費用が離婚時の財産分与と慰謝料だけということになると、日々の生活に行き詰まる恐れがあります。

そこで、専業主婦が子供なしで離婚する場合には、次の3点を準備しておきましょう。

(1)慰謝料請求の証拠集め

上記でもお話しましたが、離婚慰謝料を請求できるのは、離婚原因が相手方配偶者にあった場合です。
そして、相手が離婚原因を作ったことを否定し、調停や裁判で争うことになった場合には、請求の根拠になる証拠が必要です。

具体的には、不貞行為があったことを証明する写真やメッセージ、DVがあったことを示す暴行を受けた痕や録音、診断書、生活費を入れなかった場合には通帳の履歴や家計簿などです。
これらの証拠は同居しているうちの方が集めやすいことも多いので、できるだけ早いうちから証拠集めに着手しておきましょう。

(2)夫婦の財産の把握

夫婦が離婚するときは、結婚生活中に築いた財産を按分するのが原則です。これを「財産分与」といいます。
財産分与は、収入が夫の給与だけで、妻が専業主婦だった場合でも、原則として半分ずつ分けます。

しかし、財産状況を把握していないと、配偶者に財産を隠されたり、配偶者名義の預貯金を分与しなかったり、不利益を被る可能性が否定できません。

離婚する際には、結婚後に築いた財産がどれくらいあるのか、調べなおしておくことをおすすめします。

(3)離婚した後で生活のするための収入源と住居

離婚後に戻る実家がある、財産分与で家をもらう等の場合は良いのですが、離婚後に家を出る専業主婦の方は、まず離婚後の住居の確保と、収入の確保をしておきましょう。

実際は、保証人がいないとマンションを借りるのも難しいので、事前に身内や友人に相談しておく、保証人がなくても借りられる住居を調べておくなどして、お住いの市区町村役場の福祉課にも相談してみましょう。

各都道府県によって支援の制度は異なりますが、離婚後に住む家の斡旋や、職業訓練サポートを受けられる場合があります。

子供なしの夫婦の離婚慰謝料を弁護士に相談するメリット・デメリット

子供がいない夫婦が離婚する場合の慰謝料を弁護士に相談するメリットとしては、離婚原因に応じた適切な慰謝料額のアドバイスが受けられること、もめた場合の対処方法を相談できること、相手方と交渉が必要な場合には代わりに交渉して裁判にも出廷してもらえることなどがあります。

他方で、弁護士に相談したり依頼したりするデメリットとしては、費用がかかることが一番でしょう。

具体的な費用の目安としては、依頼前の相談費用として30分5000円程度、依頼した場合の着手金として10~30万円、離婚慰謝料の請求が成功した場合の報酬金として経済的利益の10~20%程度がかかります。
これに加えて、相手方や裁判所に出張した場合の出張日当や、郵便代などの実費がかかるのが通常です。

このように費用はかかりますが、相談から交渉まですべて任せられる点では、大きなメリットがあると言えるでしょう。

まとめ

今回は、子供なしの夫婦が離婚する場合の慰謝料額の相場について、ケース別にご紹介しました。
子供なしの夫婦が離婚する場合は、子供がいる場合に比べてスムーズに話が進みやすいとか、あとくされがないと言われますが、一旦家族を形成した男女が分かれるのは大変な労力とダメージを伴います。

離婚後の生活の不安を抱えている中で、慰謝料の悩みを一人で解決するのは難しいことも多いでしょう。
そのような場合は、まずは身近な法律家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
個別の事情に応じた慰謝料額の目安や、慰謝料をきちんと払ってもらうためのアドバイスまで、幅広い助言を受けることができます。
ご心配な方は、まずは一度弁護士にお気軽にご相談してみてください。

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