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不倫相手がわからない時の対処方法!名前を調べて慰謝料請求するには

皆さんの中には、夫や妻が不倫をしているけれど、相手がだれかわからない、慰謝料を請求したいけれど名前も住所もわからないなど、行動を起こしたくても不倫相手の情報がなくお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。不倫相手について、配偶者に聞いても教えてくれない、問い詰めたらかえって関係が悪化したなど、お悩みの方もいるかもしれません。しかし、不倫相手の名前や住所がわからなくても、できる対応方法があります。そこで今回は、不倫相手がわからない場合の対処方法や、あきらめずに慰謝料請求をする方法などを解説します。

不倫相手がわからない場合にやるべきこととやってはいけないこと

(1)これだけはやっておくべきただ1つのこと

夫や妻が不倫をしていることが明らかなのに、不倫相手の情報がなく、何をしたらいいかわからないという方もいらっしゃるでしょう。そのような場合でも、ただ一つ、やっておくべきことがあります。それは不倫の証拠集めです。なお、ゆくゆくは慰謝料請求や離婚も視野に入れているのならば、ここで集めるべきは法律上の不倫の証拠、つまり不貞行為のあった証拠です。

不倫というのは一般的な概念なので、デートでもキスでも不倫と考えても構いませんし、他人とキスをした配偶者に「傷ついたから慰謝料を払え」と請求して相手が応じるのには問題ありません。しかし、相手が応じなかった場合、法律的に慰謝料や離婚を請求するためには、法律上の不倫をしていることが必要です。法律上の不倫は、不貞行為をさします。不貞行為というのは、性交渉があったこと、広く解するなら射精を伴う性交類似行為があったことまでを指します。性交渉がなければ、どれだけ高価なレストランでデートをしていても不貞行為をしたことにはならないので、裁判で慰謝料は請求できないのです。

そこで、集める不倫の証拠も、不貞行為があったことを証明できるものになります。具体的には、ラブホテルの領収書、性交渉があったことやあったことをにおわせるようなSNS、メールのやり取りなどです。とはいえ、デートをしたと思しきレストランやシティホテルのレシート、高価なプレゼントの領収書なども、他の証拠と一緒に用いることで不貞行為の悪質さを証明し、慰謝料増額に使えることもあるので、できるだけ保存しておきましょう。

(2)やってはいけない2つのこと:その1(配偶者を問い詰める)

不倫が明らかなのに相手の情報がない場合、思い余って相手を問い詰めたくなることもあると思いますが、これはやってはいけません。かえって相手の態度がかたくなになり、特に夫婦関係の修復を希望している場合には逆効果です。さらに、問い詰める時に激高して、配偶者を脅したり、胸倉を掴んだり、押したり叩いたりすると、暴行罪などの犯罪に問われる場合があります。話の中でかまをかけてみる、それとなく聞いてみるのはいいですが、問い詰める前に証拠を集めておきましょう。

(3)やってはいけない2つのこと:その2(違法な証拠収集)

上記のように、不倫相手がわからない場合でも、証拠集めはやっておくべきです。しかし、その方法は違法な手段によらないように注意しましょう。具体的には、特に次の3つがありがちなのでご注意ください。

①暴行・脅迫

配偶者のスマホに情報があると考え、暴行をふるって奪い取ったり、危害を加えるようなことを伝えて脅し取るなどすると、たとえスマホに不倫相手の情報や不倫の事実を示す証拠が見つかっても、裁判では証拠になりません。しかも、ご自身が暴行、脅迫などの容疑で逮捕される可能性もあります。くれぐれもしないようにしてください。

②情報の完全コピー

配偶者のSNSやメールのやり取りを全て丸々コピーする行為はやってはいけません。メールをはじめとするメッセージの送受信の内容は、当人間のみが見られる信書と同等にプライベートなものと判断されます。そのため、当事者の許しなくコピーすることは認められず、勝手にコピーしたデータの中に不倫の証拠があっても、裁判で証拠になりません。

③プライバシー権を侵害する行為

配偶者のメールをコピーまでしなくても、盗み見るような行為もプライバシーの侵害に当たると判断される可能性がありえます。そうすると、盗み見たやり取りの中に不倫の証拠があっても、やはり裁判では証拠になりません。また、プライバシー権を侵害したとして、配偶者から損害賠償請求をされてしまう可能性もあります。

不倫相手がわからない場合に相手の住所を調べる4つの方法

(1)自分で調べる

不倫相手を調べるのに、まずは自分で調べる方法があります。具体的には、不倫相手は会社の同僚のケースが多いと言われているため、配偶者の勤務先を張りこんだり、待ち伏せてあとをつけたり、名前が分かったら住民票や戸籍の附票を役所で請求し、住所などを調べる方法があります。これらは、費用が掛からないメリットはありますが、住民票などの請求は正当な理由が必要とされていること、あとをつけるなどしていると不審な行為から職務質問を受けたりストーカー規制法違反に問われるリスクが高いというデメリットがあります。

(2)行政書士に依頼して調べる

不倫相手の名前まで分かったケースになりますが、一般人では相手の住所を調べるのが難しい場合に、行政書士に依頼する方法があります。行政書士は、法律文書の専門家なので、業務に必要な範囲で住民票などの書類を請求、入手することが可能です。

(3)弁護士照会で調べる

不倫問題を弁護士に相談、依頼する場合、慰謝料を請求するために、利用の条件を満たせば弁護士照会という制度を利用して相手の住所を調べることができます。相手の名前、メールアドレス、電話番号、車のナンバープレート、銀行の口座番号などの情報から・車のナンバープレートなどの情報から、不倫相手の住所が調べられる強力な制度です。ただし、フリーメールやLINEアカウントでは弁護士照会も難しいと言われています。加えて、弁護士もむやみに調べることができるわけではなく、依頼者の紛争の解決のために必要な範囲の資料を取り寄せられるにとどまります。

(4)探偵に依頼して調べる

不倫相手の情報がない場合に頼れるのが探偵です。探偵は調査のプロなので、配偶者の行動を負って不倫相手の情報を調べることができます。不倫、つまり不貞行為の事実を示す証拠も併せて入手してもらえれば、今後慰謝料を請求する際の証拠として利用することができます。探偵は、調査のプロとして頼みやすいメリットがある反面、費用が掛かるというデメリットがあります。

不倫相手の身元調査を頼む場合に知っておくべき探偵の選び方

(1)探偵と興信所の違いとは

探偵も興信所も、調査機関のひとつです。探偵は、戦前に刑事を引退した男性が基盤を作ったものです。刑事として培った尾行や張り込みなどの技術を生かして、個人の依頼を受けて調査をすることに主眼を置いていました。一方の興信所は、明治以降の商工業の発展を背景に、企業が取引先の信用調査をする必要性から、日本銀行の理事が設立したものが母体です。身分を明かして調査をすることがメインで、個人というより企業が対象という特徴がありました。このように、スタートこそ異なった二つの組織ですが、昨今は大きな違いはありません。名称よりも、ご自身に合うか、依頼しやすいかで選ぶとよいでしょう。

(2)探偵の選び方のポイント

探偵は、資格や免許があるわけではありません。しかし、探偵業をする際は、管轄する警察署を経由して、各都道府県の公安委員会に届け出を提出することが義務付けられています。提出すると交付される「探偵業届出証明書」は、事務所のわかりやすい位置に掲示しなければいけないという義務があります。探偵を選ぶ際は、必ずこの届出をきちんとしている事務所を選ぶようにしましょう。加えて、料金体系が明確に示されていることもポイントです。場合によっては調査が長引くこともあり、タイムチャージ制をとっている場合は思わぬ高額になることもあります。上限はいくらか、トータルでいくらくらいになるのか、しっかり示してくれるところを選んでください。

(3)調査を依頼するなら用意しておくべきもの

いくら探偵がプロの調査機関でも、まったく情報がなければ動くことは難しいです。名前がわからなくても、配偶者の同僚と思われる場合は職場の情報、通勤経路や利用している交通手段があればそれらの情報、写真があればその画像など、少しでも利用できる情報があれば、探偵に伝えられるように準備しておきましょう。

不倫相手の住所がわからなくても慰謝料請求する方法

不倫相手に裁判で慰謝料を請求するためには、名前と住所が必要です。この住所宛に、「あなたに対して裁判を起こした」という訴状を送ることで、知らないうちに裁判が始まっていたという事態を避けるためです。しかし、相手の住所が不明でも、あきらめてはいけません。住所不明でも慰謝料を請求できる方法があります。

(1)勤務先に送付する

配偶者の不倫相手が同僚であるとか、ジムのインストラクターであるなど、勤務先が分かる場合には、勤務先に訴状を送ることができます。これは、法律で認められた方法です。ただし、相手が不倫相手とあからさまに分かるように送ると後で問題になる恐れもあるため、事前に弁護士に相談しておかれることをおすすめします。

(2)公示送達を利用する

相手の住所がわからない場合は、裁判所などに掲示することで、相手のもとに書類が届いたのと同じ効果を発生させる「公示送達」という制度を利用することができます。公示送達をするには、不倫相手に書類を届ける意思を示した通知書を作成し、公示送達申請書に必要事項を記入して、収入印紙(1,000円)貼り、予納郵便切手(計1,034円分)を添えて、資格証明書や相手の住民票、不在住証明書などの書類と一緒に提出します。不足があっては裁判所が受け付けてくれませんが、こうした書面の準備は専門的でそろえるのは大変です。ご自身で対応することが不安な場合は、弁護士にご相談ください。

まとめ

今回は、配偶者が不倫をしているけれど不倫相手がわからずご不安な方のために、名前や住所を調べて慰謝料請求をする方法について解説しました。相手の情報が分からないと、一層不安や悩みが募りがちだと思いますが、その段階でもご自身なりにできること、そして頼れる専門家がいます。名前や住所がわからず、配偶者の不倫でお悩みの方は、まずは弁護士にお気軽に相談してみられることをおすすめします。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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