1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 離婚慰謝料が貰えない場合

離婚慰謝料がもらえない場合について慰謝料請求する際の注意点とは

皆さんの中には、離婚をするときは必ず慰謝料がもらえると思っている方はいませんか?しかし、それは間違いです。離婚の原因や経緯によっては、離婚しても慰謝料がもらえないケースもあるのです。反対に、慰謝料がもらえるケースなのにそれを知らず、泣き寝入りしてしまう方もいます。

そこで今回は、離婚で慰謝料がもらえないケース、慰謝料がもらえるケースの慰謝料額の目安などについて解説したいと思います。

そもそも離婚の慰謝料とは何か?

一般的に、「慰謝料」とは精神的苦痛に対する損害賠償のことをいいます。つまり、相手の故意(わざと)または過失(うっかり)で気持ちが傷つけられた場合に、その精神的なダメージをお金でカバーするものが慰謝料です。離婚の慰謝料の場合は、性質によって次の2つに分けて考えることができます。

  • 離婚原因慰謝料:夫や妻の行為(暴力や不貞行為など)によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料
  • 離婚自体慰謝料:離婚によって夫や妻という立場を失うことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料

どちらにしても、離婚に至った原因について、配偶者の一方に責められて当然の理由がある場合に、はじめて離婚慰謝料が認められるのが原則です。また、もし精神的苦痛を受けた事情があったとしても、離婚によってその苦痛が消えることもあるので、裁判になった場合には離婚以外に慰謝料まで認めなくてもよいと判断されることもあります。

離婚慰謝料がもらえない6つのケース

上記のように、離婚慰謝料は、離婚原因について相手を責められる理由がないと請求できません。では、具体的に、どのようなケースでは離婚慰謝料がもらえないのか、見ていきましょう。

(1)離婚原因が性格の不一致の場合

司法統計によれば、日本の離婚でもっとも多いのが性格の不一致です(2017年司法統計「婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所」)。しかし、性格の不一致が原因で離婚した場合は、原則として慰謝料の支払いが認められません。

性格の不一致は、お互いの価値観の違いが根底にあり、いわばお互いさまとも言えるミスマッチです。この場合、相手の性格が気に入らなかったとしても、相手の性格が離婚原因になったことや、それによって精神的苦痛という損害がどの程度発生したかを立証するのは困難です。

(2)離婚原因が配偶者の家族との不仲の場合

配偶者の家族や親族との不仲によって離婚した場合、原則として慰謝料を請求することはできません。というのも、性格の不一致同様に、どちらかが一方的に悪いと言えるものではないからです。

例外的に、配偶者が義両親との不仲を知りつつ放置したり、義両親と一緒に精神的苦痛を加えていた場合は、慰謝料を請求できる場合があります。ただしこの場合も、請求できるのは配偶者に対してで、義家族に離婚慰謝料を請求することはできません。もしどうしても義家族を訴えたい場合は、別に不法行為に基づく損害賠償請求を行うことになります。

(3)離婚原因が配偶者の信仰や宗教にある場合

日本国憲法で信仰の自由が保障されています。そのため、配偶者が特定の信仰を持っていたり、宗教を厚く信じていたために離婚に至った場合、原則として慰謝料を請求することはできません。

ただし、信じている宗教の活動のために定職に就かない、寄付やお布施をするために家にお金を入れない、信者でない配偶者にも信仰を強制するなどの事情がある場合は、慰謝料の請求が認められる可能性があります。この場合は、後でお話する、慰謝料が請求できる場合である「悪意の遺棄」や「モラハラ」に該当する可能性があるからです。

(4)婚姻関係が既に破綻してから離婚する場合

離婚の原因が仮に不倫や浮気にあったとしても、婚姻関係が既に破綻した場合は、慰謝料を請求できないのが原則です。具体的には、家庭内別居で夫婦の会話がなかった、別居して交流がなかった、離婚に向けた話し合いが進んでいたといったケースです。

ただし、別居していても交流があったり、冷却期間のための別居だったり、単に単身赴任で別居していただけのような場合は、婚姻関係が破綻しているといえません。この間に不倫をして離婚した場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

(5)本来離婚慰謝料を請求できるが証拠がない場合

婚姻関係が破綻する前の不倫・浮気が原因で離婚する場合でも、不倫の証拠がなければ慰謝料の支払いは認められません。もちろん、証拠がなくても相手を問い詰めて、相手が任意で払ってくれる分には構いませんが、もめて調停や裁判になった場合には、証拠がない慰謝料請求は認められないのが原則です。なお、不倫が原因で離婚する場合の証拠は、「不貞行為」、つまり配偶者以外の異性との性交渉があったことを示す証拠でなければいけません。

(6)配偶者に慰謝料の支払い能力がない場合

実際に、離婚慰謝料が請求できるケースで、相手に請求をしたとしても、相手に支払い能力がなければ、慰謝料を受け取ることはできません。この場合は、相手が払ってくれない場合は財産に強制執行をかけてでも回収できるように、慰謝料に関する合意内容を「強制執行認諾付きの公正証書」という書面にしておくことが有効です。また、配偶者に資力がない場合は、不倫相手に請求していくなど、弁護士と相談しながら、少しでも確実に回収できる方法をとっていくことがお勧めです。

離婚慰謝料がもらえるケースと慰謝料の目安

そもそも離婚は、当事者で合意すれば理由は何でもいいのですが、話し合いがまとまらずに裁判などを起こして離婚する場合には、法律で決められた一定の理由が必要です。この理由を「法定離婚事由」といい、慰謝料が請求できるケースも含まれています。

(1)不倫・浮気

一般的に不倫というと、キスやデートなども含むと考える方もいると思いますが、慰謝料が請求できる不倫は、法律的には「不貞行為」を指します。不貞行為とは、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて配偶者以外の異性と性的関係をもつこと」をいい、夫や妻以外の異性とセックスしたことをいい、法定離婚事由のひとつです。不倫による離婚慰謝料の目安としては、10~300万円が相場ですが、相手の財力や社会的地位によって、もっと高くなることもあります。

(2)DV

DVやモラハラは、法律で明文に書かれた法定離婚事由ではありませんが、法定離婚事由である「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に含まれると考えられます。また、暴力を奮う行為は、たとえ家族であっても刑法の暴行罪に当たるので、離婚に際しては損害賠償を請求することができます。この場合の慰謝料の目安は50~500万円と幅が広く、DVやモラハラの程度、期間などによってかなり異なります。

(3)悪意の遺棄

「悪意の遺棄」とは、生活費を家に入れない、働かない、同居しない、家出せざるを得ないように追い込むなどの行為をいい、法定離婚事由のひとつです。結婚している夫婦には、一緒に住み、相互に助け合うという同居義務・相互扶助義務という義務がありますが、悪意の遺棄はこの義務を拒否する行為にあたります。
悪意の遺棄で離婚する場合の慰謝料の目安は50~300万円といえるでしょう。

(4)そのほか

理由なくセックスを拒否したり、逆に望まないセックスを強要するなどの好意が原因で離婚に至った場合、常識の範囲を超えた飲酒癖やギャンブル癖が離婚につながった場合など、「婚姻を継続しがたい重大な事由」と認められれば、離婚慰謝料を請求できる可能性があります。

ただし、この場合は、相手の行為が離婚につながったという証拠を示して主張しなければいけないので、日常生活の様子を記録するなど、十分な準備が必要になることも多いです。

離婚で慰謝料請求したいなら知っておきたい5つの対応

(1)離婚原因の証拠集め

離婚慰謝料を請求するには、その原因となる証拠を、請求する側が自分で集める必要があります。具体的には、不貞行為の場合は、性交渉があったことを示すメールやSNSの通信内容、ラブホテルに一緒に出入りしている写真、ラブホテルの領収書や不貞行為の感想を書いた手紙や日記などがあります。

DVやモラハラの場合は、けがをした場合には診断書や暴行の跡を撮った写真、モラハラをしている音声データなども有効です。悪意の遺棄に関しては、生活費の状況を示す家計簿や日々の日記なども残しておくとよいでしょう。いずれにしても、裁判になった場合に客観的にその事実を証明できる証拠が必要です。

(2)慰謝料の合意内容を公正証書にしておく

離婚慰謝料について合意した内容は、「公正証書」にしておきましょう。公正証書とは、公証役場というところで作成してもらえる、証拠能力や強制力が高い公文書のひとつです。中でも、「もし慰謝料の支払いなどが滞ったら、財産を差し押さえても構いません」という内容を記した、「強制執行認諾付きの公正証書」にしておくと安心です。相手が慰謝料の支払いの約束に応じなかった場合に 、相手の財産を差し押さえて換金したり、給料の一部を差し押さえてそこから回収することが可能になります。

(3)円満離婚したい場合の慰謝料請求

円満離婚したい場合は、お互いに慰謝料の請求を放棄することもあります。離婚慰謝料が発生するような離婚原因がある場合でも、あえて「慰謝料」という名目にせず、離婚時に夫婦の財産をわけあう「財産分与」の際に、離婚原因を加味して多めにもらうなどして調整するのも方法です。

(4)専門家への相談

離婚慰謝料を請求するのに、専門家に相談することは一番の近道ともいえるでしょう。慰謝料は、まずは口頭で請求し、応じない場合は「内容証明郵便(郵便局が差出人・受取人・手紙の内容を証明してくれる郵便)」で請求し、それでも応じなければ、第三者を入れて話し合う調停に移行し、最終的に裁判で請求していくことになります。

弁護士に相談すれば、タイミングや相手の出方に応じた請求方法のアドバイスが受けられますし、弁護士に依頼して代わりに請求してもらうことで、相手に本気度が伝わり、応じてもらいやすくなるメリットもあります。また、調停や裁判に代わりに出てもらえるので、会社や生活に支障をきたさずに解決に近づけるという効果もあります。

(5)離婚慰謝料の時効に注意

不倫や悪意の遺棄、DVやモラハラなどが原因で慰謝料を請求する場合、慰謝料は、法律的には、「不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)」と考えられます。不法行為に基づく時効は3年と法律で決められており、時効が完成した後は慰謝料を請求することはできません。

具体的には、不倫やDVといった不法行為の場合は、その事実があったときや不倫を知ったときから3年のカウントがスタートすることになります。一方で、これらの原因により離婚した場合は、離婚から3年以内であれば離婚自体慰謝料を請求することもできます。離婚自体慰謝料は、結婚している間は時効がカウントされません。時効が迫っている場合は、離婚原因慰謝料を請求するのか、離婚自体慰謝料を請求するのかで、慰謝料を請求する権利が時効消滅しているかどうかの分かれ目になることもあります。

心配な場合は、どのような方法で請求すべきか、弁護士にできるだけ早くご相談ください。

まとめ

今回は、離婚するのに慰謝料がもらえない場合があることや、その具体例についてお話させていただきました。離婚するときは必ず慰謝料がもらえると思っていた方もいるかと思いますが、反対にもらえる場合は、しっかりと証拠を押さえておくことも必要です。

離婚慰謝料の請求には、時効の問題や、できるだけ確実に慰謝料を払ってもらうための請求相手の検討など、気を付けるべきポイントが多くありました。お悩みの場合は、まずは法律の専門家である弁護士にお気軽にご相談下さい。

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