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不貞行為の慰謝料請求の時効は何年?未払いで支払い心配な場合の対処

「夫の昔の離婚が許せない」「妻の不倫で離婚したが、今から慰謝料を請求したい」など、不倫の慰謝料をいつまで請求できるか心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
配偶者の不倫が発覚した際は泣きつかれて許したけれど、裏切られたショックが再燃し、離婚の際は財産分与だけで納得した後になって、慰謝料を請求したくなったという方は少なくありません。

しかし、慰謝料を請求する権利には時効があります。
決められた期間内に請求しなければ、慰謝料請求権が時効消滅し、その後、請求できなくなることもあるのです。
特に、離婚後に不倫の事実が発覚した場合は注意が必要です。

そこで今回は、不倫慰謝料の時効が何年なのか、時効が来そうな場合に今すぐ取るべき対処法などについてご説明させていただきます。

不貞行為の慰謝料の時効は何年か

不倫の慰謝料は、正確には配偶者が「不貞行為」をした場合に請求できます。
不貞行為とは、夫婦は配偶者以外の異性とは性交渉をしないという「貞操義務」があるのに、これに違反して他人と性交渉を行うことをいいます。

不貞行為は犯罪ではありませんが、不法行為という違法な行為です。
そこで、不貞行為をされた配偶者は、不法行為によって受けた精神的な苦痛をお金で償うために、不貞行為をした人に対して慰謝料という損害賠償請求ができることになります(民法709条)。

不法行為に基づく損害賠償請求権は、法律で決められた一定期間が過ぎると消滅するのが原則です。
その「一定期間」は、次のように基準が定められています。

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

一で書かれた3年間が、「消滅時効」です。
不貞行為についてみると、配偶者の不貞行為と不貞の相手を知った時から3年間慰謝料請求をしなければ慰謝料請求権は時効消滅します。
3年のカウントは、どのような精神的苦痛に対して慰謝料を請求するかで、カウントのスタート時点を調整することができます。

  • 不貞行為そのもので受けた精神的苦痛に対する慰謝料請求:不貞行為があったことと、不倫相手を知ったときから時効開始
  • 不貞行為によって夫婦関係が壊れたことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料請求:夫婦関係が壊れたときから時効開始
  • 不貞行為が原因で離婚したことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料請求:離婚したときから時効開始

二で書かれた20年という期間を「除斥(じょせき)期間」といいます。
不倫相手が誰か分からなかった場合は「加害者を知った時」に当たらないので時効は開始しませんが、不倫相手が不明だった等の事情があったとしても、不貞が始まったときから20年経つと除斥期間にあたり、慰謝料を請求できなくなります。
除斥期間は事情に関わらず延長できないのが決まりです。

時効と除斥期間は、不貞行為から3年経っても慰謝料請求をしない場合は、慰謝料を請求できる権利が消滅し、不貞行為があった時から20年以上気付かない場合は、請求権そのものが消滅するという関係になります。

昔の不倫や浮気で精神的苦痛を受けた慰謝料請求の時効

不倫や浮気の慰謝料は、3年の消滅時効か20年の除斥期間が来ると消滅し、それ以降は請求できません。
除斥期間は、「不貞関係が始まったとき」から始まるのでカウントしやすいですが、消滅時効の開始時期は、「損害及び加害者を知った時」の捉え方によって変わります。
そのため、昔の不倫や浮気の慰謝料を請求できるかどうかにも影響します。

(1)3年前の浮気の慰謝料請求

不貞行為(不倫・浮気)の慰謝料請求権は3年で時効消滅します。
たとえば、去年配偶者が不貞したことと不倫相手の存在を知ったような場合や、3年前の不貞の事実と不倫相手を先月知ったような場合は、上記でご説明したどのような名目で慰謝料請求をしても、時効にかからないので問題ありません。

しかし、配偶者の3年前の不貞と不倫相手を当時から知っていたような場合は注意が必要です。
3年以上前から知っていた場合は、不貞そのものについての慰謝料は時効にかかって請求できないので、その後当時の不貞が原因で夫婦関係が破綻した事情はないか、離婚はしたか等、状況に応じて慰謝料請求の構成を検討していく必要があります。

なお、「加害者を知った時」については、不倫相手に慰謝料請求ができると考えた時と想定できます。
顔は分かるけれど住所も氏名も不詳という場合は慰謝料を請求できません。
そのため、住所や氏名を知った時から時効がカウントされると考えます。

(2)20年以上前の浮気の慰謝料請求

20年以上前の浮気については、残念ながら慰謝料を請求することができません。浮気(不貞)の慰謝料は、「損害」にあたる不貞行為の事実や「加害者」である不倫相手を知った日から3年以内に請求するのが原則です。
しかし、不倫相手が不明な場合、時効はスタートしません。
この場合は20年の除斥期間でカウントされるため、不法行為から20年以内なら慰謝料を請求できると考えられます。

他方で、浮気から25年後にその事実を知ったような場合は、除斥期間が経過しているので、浮気の慰謝料は請求できません。

しかし、慰謝料を全く請求できないかというと、そういうわけではありません。
不倫相手に対する慰謝料請求は除斥期間にかかり、相手が任意に払わない限り困難ですが、不貞した配偶者に対しては慰謝料請求が可能です。

法律では、夫婦の一方から他方に対する権利は、婚姻解消の時から6ヶ月は時効が完成しないと定められています(民法159条)。
これは結婚している夫婦の間の権利については時効は存在せず、離婚した時点から6ヶ月経過することで時効が生じるという意味です。
つまり、離婚しなければ配偶者への慰謝料の時効は永久に来ないため、20年以上前の浮気が原因で離婚することになった場合は、離婚から6か月以内は不倫慰謝料が請求できることになるのです。

また、6ヶ月経過した場合でも、後述するように離婚に伴う慰謝料は離婚成立から3年以内ならば請求できます。

(3)10年前の浮気で離婚する場合の慰謝料請求

上記のように、不倫慰謝料は、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年か、不貞行為があった時から20年かの短い方で消滅するのが原則です。
とすると、10年前の浮気の事実を知ったのが最近という場合は、その時から時効がスタートし、除斥期間も来ていないので、配偶者と不倫相手の双方に対して慰謝料を請求できることになります。

一方で、10年前の浮気の事実と不倫相手を当時から知っており、その時は許していたけれどやはり離婚するという場合は、時効にかかっているので不倫相手への慰謝料は請求できません。

しかし、上記でお話したように、配偶者への慰謝料請求権は、結婚している間は時効にかからないのが原則です。
そのため、10年前の浮気が原因で離婚をする際は、離婚から6ヶ月以内であれば慰謝料請求をすることが可能です。
また、離婚そのものに関する慰謝料は、離婚から3年以内であれば請求することができます。

(4)離婚後に慰謝料請求する場合

不倫の慰謝料は離婚したら請求できなくなるのではないかと誤解されている方もいますが、これまでお話したようにそれは間違いです。

結婚中の不貞そのものに対する慰謝料は、離婚から6ヶ月以内であれば、配偶者に対して請求できます。
また、6ヶ月を経過していた場合でも、離婚したことそのものに対する慰謝料は、離婚から3年以内であれば請求できます。

逆に、離婚から3年以内に請求しなければ、不貞そのものに対する慰謝料に加え、離婚慰謝料も時効にかかって消滅するため、それ以降は請求できなくなるのでご注意ください。

不貞行為の慰謝料請求の時効を止めるための手順とは

慰謝料請求権には時効があるため、放置しておくとそれ以上は請求できなくなる恐れがあります。
時効が来そうな場合は、以下の対応を直ちに取り、時効のカウントダウンを止める対応を取ることが重要です。

(1)催告をする

催告とは、相手方に対して不倫慰謝料を請求することです。
通常は内容証明郵便で催告します。内容証明郵便とは、郵便局が、誰が誰に対してどのような内容の文書を送ったかを証明してくれる郵便のことをいいます。

催告をすると、時効のカウントが一旦ストップし、催告したときから6ヶ月間は消滅時効が完成することを防ぐ効果が得られます。
ただし、消滅時効の完成を防ぐために催告を繰り返すことはできず、催告は1回しかできないと考える必要があります。

催告してから6ヶ月以内に、不倫慰謝の支払いを求める裁判を提起することで、消滅時効のカウントはゼロに戻り、そこから3年の時効が再スタートするという効果が得られます。

(2)裁判を起こす

裁判を起こすと、その時点で時効のカウントがストップします。これを「時効の中断」といいます。
消滅時効のリミットが裁判中に来た場合でも時効は完成しません。
裁判で判決が出ると、その判決が確定した時から10年間、時効が成立しなくなります。

不倫慰謝料の消滅時効は3年間なのが原則ですが、裁判で判決が出た場合の時効は10年間に延長されることが法律で決められています(民法174条の2第1項)。
裁判を起こすことは、配偶者や不倫相手が慰謝料の支払いに応じていない場合でも一方的にできるので、時効を止めたい場合には有効な方法です。

一方で、時効が迫る中、すぐに裁判を起こすのは難しい場合もあります。
このような場合、まずは催告をして時効の完成を半年先延ばしにし、その間に裁判を起こすと余裕を持って対応をすることができます。

(3)債務承認

債務承認とは、慰謝料を払う義務がある債務者(配偶者・不倫相手)が、債務があることを認めることをいいます。
口頭の約束でも構いませんが、後のトラブルを防ぐためにその内容を書面化しておくのが通常です。

また、相手が慰謝料の一部を支払うことも債務承認に該当します。
債務承認は、裁判を起こすことに比べて負担は少ないですが、相手の同意が不可欠なので、現実的に難しい場合も多いです。

(4)仮処分・仮差押え・差押え

仮処分・仮差押え・差押えは、相手の預貯金などの財産や給料を差押えることを言います。
不貞の事実が発覚した際や、不貞が原因で離婚した際に、慰謝料の支払いに関する合意書を作成し、公証役場で強制執行認諾付きの公正証書にしている場合は、その書類を根拠に相手の資産を差し押さえることができます。

差押えをしたときから時効が中断します。
ただし、不貞が発覚した際や離婚時は、慰謝料の時効を想定していないことも多いので、慰謝料の支払いについて合意はしたけれど公正証書にまでしていないというケースが多いです。

時効で支払い期限が切れた浮気慰謝料は請求できないか?

時効で支払い期限が過ぎた場合、原則として慰謝料を請求することはできません。
ただし、不貞の事実や不倫相手を知らずに時効が完成し支払期限が切れていた場合は、不貞行為があった時から20年がたっていなければ、慰謝料を請求できます。

慰謝料を請求する際は、「請求から2週間以内に慰謝料100万円を払え」「期限内の支払いがなければ直ちに法的措置に移行する」などと支払期限を設けるのが通常です。
慰謝料は一括払いが原則ですが、相手が支払い期限内に払えない場合は分割払いに応じることも検討し、全額の回収を目指します。

不貞行為の慰謝料を弁護士に相談するメリット・デメリット

(1)不貞慰謝料を弁護士に相談するメリット

弁護士に不貞行為の慰謝料を相談するメリットは、まずご自身の夫婦の間で起きた不倫問題が、不倫慰謝料が発生する不貞であったかのアドバイスを受けられること、消滅時効の完成が迫っている場合は催告や裁判によって時効の完成を防ぐ対応を取ってもらえること、また慰謝料を請求する名目を検討することで、時効消滅しない構成で慰謝料の請求ができるアドバイスをもらえることです。

また、委任すれば、本人に代わって適切な方法で消滅時効にかからないように慰謝料請求したり、配偶者や不倫相手や配偶者と交渉したり、裁判になった場合は代わりに出廷してもらうことも可能です。

消滅時効が迫っていると、焦って混乱し、適切な手続きが取れなかったり、行うべき請求ができなかったりすることもあります。
弁護士に相談・依頼することで確実な対応と、心理的・時間的負担を軽減できるメリットがあります。

(2)不貞慰謝料を弁護士に相談するデメリット

弁護士に不貞行為の慰謝料を相談するデメリットとしては、相談料がかかることです。
また、弁護士に依頼すると次のような費用がかかります。

弁護士に相談・依頼した場合の費用は以下をご参考ください。

  • 相談料…30分5000円+税、1時間1万円+税
  • 着手金…10~50万円
  • 報酬金…30万円~
  • 日当…裁判などに出向いた場合の費用
  • 実費…郵便代や交通費 など

このようにみると、弁護士の相談料や費用がかかることに不安を感じる方もいるかもしれません。
たしかに費用がかかるのはデメリットですが、弁護士に依頼することで慰謝料請求の時効を止めたり、適切な額の慰謝料を得られたりするメリットにつながることもあります。

弁護士や法律事務所によって弁護士費用は変わるので、まずは法律相談で見積もりを出してもらったり、ホームページをみたりするなどして検討してはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、不貞行為の慰謝料について、時効の期間や時効にかかりそうな場合の請求の方法、時効を止める方法などについてお話しました。
不倫発覚時や離婚当時は、ショックなどで慰謝料請求権の時効にまで気が回らないことも多いですし、一度は許した不倫が繰り返され、長い間夫婦でいても昔の不倫が許せなくなることも少なくありません。

時効が来そうだからと言ってあきらめる前に、まずは弁護士にご相談ください。
時効を中断したり、適切な名目で慰謝料を請求したりするなどして対応できる可能性が広がります。
慰謝料請求の時効でお悩みの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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