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スピード離婚でも財産分与で損をしたくない方へ|慰謝料や養育費の相場も解説

「結婚したけれど、スピード離婚することになった」「スピード離婚だったので、財産分与が心配」
様々な理由や事情でスピード離婚をした方の中には、財産分与で心配を抱える方が少なくありません。

また、今離婚をお考えの方の中にも、そもそもスピード離婚で財産分与ができるのか、財産分与が慰謝料に影響しないのかなど、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、スピード離婚と財産分与の関係について、財産分与で気を付ける点やスピード離婚特有の財産分与で損をしないための注意点や慰謝料との関係性について説明します。

スピード離婚と財産分与

(1)スピード離婚の目安とは?

スピード離婚とは、結婚してすぐに離婚することを言います。
芸能人の離婚などでもよく耳にする言葉ですが、明確にどのくらい結婚していたかという定義があるわけではありません。
現在の一般的な感覚としては、婚姻届けを提出してから1年以内に離婚した場合に「スピード離婚」と言えるでしょう。

ただし、日本の離婚率は、1970年には0.93%だったものが2000年には2.10%に、そして2019年には1.70%と、年代によっても変化しています。
参考:厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計の年間推移

このような離婚をめぐる社会の状況によって、スピード離婚の期間の目安についても変化する可能性があります。

(2)財産分与とは何か

財産分与とは、夫婦が離婚する際に、婚姻中(結婚期間中)に協力して築いた財産を分け合うことをいいます。
これは、法律でも定められた権利になっています(民法768条1項)。
財産の分け方は折半が通常です。
会社員の夫と専業主婦の妻のようにどちらかが外で働いていた場合でも、妻の内助の功が認められ、2分の1ずつ折半するのが原則です。

ただし、財産の貢献度に夫婦で大きな差がある場合は、財産分与で貢献度に応じた分け方がされる場合があります。
例えば、医師の夫が病院を経営し数億円の共有財産があったケースで、資産形成についての妻の貢献度が低いとして、2,000万円の分与しか認められなかった裁判例があります(福岡高裁昭和44年12月24日判決)。

また、財産分与は、プラスの財産ではなく借金も対象になります。
夫婦で何か資産を購入する際に借金したり、生活費として借金したりした場合は、借金も分け合うことになるので注意しましょう。

(3)財産分与で気をつけるべき特有財産と共有財産

夫婦が結婚中に築いた財産を「共有財産」といい、夫婦が結婚前からそれぞれ所有していた財産を「特有財産」と言います。
財産分与は、前述のように、夫婦が結婚している間に築いた財産を分けあうものです。
そのため、夫婦が結婚前に独自に所有していた財産は、財産分与の対象になりません。
そのため、財産分与の際は、特有財産を一緒に分割しないように注意が必要です。

具体的には、結婚期間中にマイカーを購入した場合、夫が結婚前から保有していた預貯金から資金を出して購入した事情があると、マイカーは共有財産ではなく特有財産になるのが通常です。

他にも、結婚前に妻が購入していた株式は特有財産にあたり、結婚中に株を売却して利益がでたとしても、夫婦が協力して、いいタイミングで売却したなど特殊な事情がない限りは特有財産として財産分与の対象になりません。

このように、共有財産と特有財産を分けて把握しておかなければ、財産分与の際に、本来は相手に分けなくてもいい自分自身の固有の財産まで、一緒に分け与えてしまう可能性があります。
これを阻止する確実な方法は、婚姻届けを提出する前に「夫婦財産契約(民法755条)」を締結し、夫婦の財産に関する取り決めをして、更に登記をしておくことです。

ただし、日本ではほとんど利用されていないのが実情です。
そのほかにも、親から財産を譲り受けた場合には、贈与契約書を作っておくことや、親の財産を相続した遺産分割協議書を残しておくこと、結婚前の預金通帳を保存しておくことで、特有財産であることの証明に役立ちます。

スピード離婚で財産分与できるのか?

スピード離婚は婚姻期間が短いため、財産分与ができるのか、短い結婚期間中に夫婦で協力して財産を築いたと言えるのかが問題になります。

結論としては、スピード離婚でも財産分与は可能です。
ただし、結婚期間の長さは財産分与の額にも影響するため、スピード離婚の場合は財産分与の金額が少なくなります。

それでも、夫婦で協力して築いた財産があれば財産分与は可能なので、あきらめる前に一度弁護士に相談されることをおすすめします。

スピード離婚で後悔しないための3つの注意点

スピード離婚で後悔しがちなのは、財産分与を始めお金の問題をきちんと決めずに勢いで離婚してしまうことです。
一定期間内なら後から請求できるものもありますが、特に次の3点は問題になりやすいので、スピード離婚の際はご注意ください。

(1)財産分与の分け方

財産分与は、結婚中に夫婦で築いた財産を原則として折半するものですが、内容によって3つの種類があります。

  • 精算的財産分与…夫婦が結婚中に築いた共有財産を清算する財産分与
  • 扶養的財産分与…配偶者の一方が経済的に弱い立場にあるため自立を助ける財産分与
  • 慰謝料的財産分与…配偶者の一方に責められるべき離婚原因がある場合の財産分与

一般的な財産分与は清算的財産分与ですが、夫婦に経済格差がある場合や、離婚原因が不倫やDVなどにある場合などは、折半が原則となる精算的財産分与ではなく、それにプラスされた財産が付与される財産分与が認められることがあります。

これらが認められるかどうかは、個別の事情によって左右されるので、夫婦の源泉徴収票やDVや不貞の証拠などがあればできればそれを準備して、弁護士に相談されることをおすすめします。

(2)住宅ローンがある場合の扱い方

スピード離婚でも、結婚中にマイホームを購入する夫婦もいらっしゃると思います。
財産分与で、結婚中に購入したマイホームを夫婦のどちらかが取得するケースは多いです。しかし、住宅ローンも財産分与の対象になるので、マイホームを取得できるかは不動産の価値から検討する必要があります。

まず、マイホームなどの不動産は、通常時価で計算しますが、夫婦で評価額がずれることを防ぐために、夫婦がそれぞれ出した評価額を平均するのが実情です。
不動産の評価額は不動産鑑定士に鑑定してもらうのが最も確実ですが、十~数十万円程度かかるため、不動産会社や銀行などに見積もりを依頼するケースも多いです。

①マイホームの不動産価格>住宅ローン残高のケース

マイホームの不動産価格が住宅ローン残高より高いケースを「アンダーローン」と言います。
アンダーローンでは、マイホームを売却すれば住宅ローンを完済できるので、不動産価格―住宅ローン残高=財産分与対象の価値と言えます。

そのため、夫婦のどちらもマイホームは不要という場合は、売却してローンを完済し、余ったお金を夫婦で折半することになります。
マイホームを売却せずに夫婦の一方が住み続ける場合は、住む側が、出ていく側に、上記の財産分与対象の価値の半分のお金を別途用意して支払う必要があります。
これは、住み続ける側は、マイホームの価値を一人で利用できることになるからです。

②マイホームの不動産価格<住宅ローン残高のケース

マイホームの不動産価格が住宅ローン残高より低いケースを「オーバーローン」と言います。
オーバーローンでは、マイホームを売却しても住宅ローンを完済できないため、この不動産には価値がないと言えます。

夫婦のどちらもマイホームが不要な場合、マイホームを売却して住宅ローン残高に充当しても住宅ローンが残ります。
この残ったローンは財産分与の問題にはならず、ローンの債務者や連帯保証人が、その後も返済していきます。
離婚によって債務者や連帯保証人から外れるわけではないので、誰がローンを返済していくかは、金融機関を交えて交渉する必要があります。

マイホームを売却せずに、夫婦の一方が住み続ける場合は、前述のようにマイホームに不動産価値がないため、財産分与の対象とはなりません。
そのため、住む側は出ていく側にお金を支払わなくてもいいのですが、一方で住宅ローンの支払いは残るため、出ていく側が債務者の場合は、金融機関と交渉して債務者を変更したり、連帯保証人から外れたりすることになります。

(3)年金分割と将来の年金額

年金分割とは、結婚期間中に、厚生年金保険・共済年金の保険料を納付した「実績」を、夫婦で分割する制度をいいます。
あくまでも、保険料の納付実績の分割を受けることができる制度なので、保険料を多く納付した配偶者が将来受け取る年金額の半分をもらえるものではありません。

年金分割の対象となるのは、厚生年金と、厚生年金に含まれる共済年金です。
会社員の夫と専業主婦という夫婦というケースが多いですが、夫の給与は夫婦の協力があって初めて得られるのに、会社で働いていない妻が一切厚生年金に関与できないのは不公平だとして、結婚期間中に厚生年金を納付した期間分を将来考慮してもらえるという制度です。

そのため、反対に配偶者が自営業者のケースや、結婚中に国民年金にしか加入していなかったケースでは年金分割の対象にはなりません。
このような場合は、財産分与で夫婦の公平を図っていくことになります。

結婚1か月のスピード離婚でも財産分与を諦めないための考え方

結婚1か月でスピード離婚した方の中には、内縁関係の期間が長く、ようやく婚姻届けを提出したとたんに破局したという方もいらっしゃいます。

原則として、財産分与は共有財産が対象になるので、財産分与の対象になる財産を築いた期間は結婚期間中ということになります。
しかし、夫婦が結婚前に同棲していたような場合、2人の関係が内縁関係、つまり事実婚状態にあると認められれば、この間に築いた財産は2人で協力したものといえるとされ、財産分与の対象になり得ます。

そのため法的に結婚していた期間が短い場合でも、同棲期間などがある場合はあきらめずに、弁護士に相談されることをおすすめします。

反対に、夫婦がすぐに離婚しなかったとしても、離婚を前提に別居していたような場合は、協力して財産を築く関係になかったとして、その間に築いた財産は財産分与の対象にならないことがあるので注意が必要です。

スピード離婚と財産分与・慰謝料・養育費の関係|性格の不一致や浮気の場合

(1)財産分与と慰謝料・養育費の関係とは

財産分与は、夫婦が結婚中に築いた財産を分けあうものですが、慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償です。
また、養育費は夫婦に未成年の子供がいる場合に、子供が成人して自立するまでの生活費として支払われるものです。

財産分与・慰謝料・養育費の性質は異なるので、財産分与を請求したから慰謝料や養育費が請求できないとか、慰謝料の額が多いと財産分与や慰謝料がもらえないとか、そのようなことはありません。

(2)財産分与と慰謝料の金額

スピード離婚する場合でも、離婚原因によっては慰謝料請求の対象になります。
慰謝料は、故意(わざと)や過失(不注意)で相手に精神的苦痛という損害を負わせた場合に、その苦痛をお金で償うものです。

離婚すれば必ず請求できるわけでなく、離婚の原因が夫婦の一方にあり、それによって精神的苦痛を受けた場合に請求できます。
つまり、不貞行為(不倫・浮気)、DVがあった場合は請求できますが、性格の不一致のような場合はどちらが悪いとは言えないので慰謝料の請求はできません。

財産分与や慰謝料額は、ある程度結婚期間に比例します。
そのため、スピード離婚の場合は、財産分与については夫婦で財産を築く時間が短かったことを理由に、慰謝料については結婚期間が長い夫婦に比べる精神的苦痛が少なかったことを理由に、少額になりがちです。

財産分与の額は客観的に算出されますが、慰謝料は様々な要素を基に算出されます。
そのため、スピード離婚でも、裏切りの程度が大きいなど精神的苦痛が大きかった場合は高額な慰謝料を請求することも可能です。

(3)財産分与と養育費の金額

養育費は、子供の親権者になった親が、ならなかった側の親に対して、原則として子供が成人するまで請求できるものです。
子供の養育費は、夫婦の年収によって計算されるので、スピード離婚かどうかは関係ありません。

なお、前述のように、夫と妻との経済格差が大きいような場合は、経済的に弱い立場の配偶者が自立できるように、扶養的財産分与として金額が増えることもあります。

スピード離婚で財産分与する際に弁護士に相談するメリット・デメリット

スピード離婚をする際の財産分与は、金額の見通しが立てにくく、特有財産と共有財産を混同しがちです。
弁護士に相談するメリットは、勢いで離婚して後悔する前に、ある程度の財産分与の目安のアドバイスをもらえること、結婚前の同棲期間など、プラスの事情があれば考慮するアドバイスを受けられることです。

また、住宅ローンを組んでマイホームを購入したような場合は、スピード離婚をした場合は婚姻中に完済することは難しいでしょう。
アンダーローンか、オーバーローンかによって、マイホームと財産分与の扱い方が変わるので、住宅ローンがある場合は弁護士に相談するメリットは極めて大きいです。

反面、弁護士に相談するデメリットとしては費用がかかることです。
弁護士に相談・依頼した場合の費用は以下をご参考ください。

  • 相談料…30分5000円+税、1時間1万円+税
  • 着手金…10万円~50万円
  • 報酬金…30万円~
  • 日当…裁判などに出向いた場合の費用
  • 実費…郵便代や交通費など

最近は初回無料相談に対応している弁護士事務所も多いですし、着手金や報酬金は事務所によって大きく変わります。

特に財産分与の場合は、一律料金か、経済的利益の何パーセントかという決め方によっても変わります。
まずは、法律相談を利用して弁護士に見積もりを依頼し、じっくり話ながら依頼を検討してはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、スピード離婚した場合の財産分与について、損をしないための注意点や、慰謝料、養育費との関係などについてお話しました。
スピード離婚は勢いでしてしまうことも多いですが、特にマイホームや住宅ローンがある場合はしっかり検討して、離婚後の生活も考えておくことが重要です。

スピード離婚をしたり、または検討したりしている方で財産分与にお悩みの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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