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別居した夫婦のその後は?離婚か復縁か迷っている場合の検討事項

さまざまな事情で夫婦仲が悪化した結果、夫婦関係は継続したまま別居するという選択をされる方は少なくありません。別居する道を選んだ場合「このまま離婚になるのではないか」という不安を抱える方は珍しくありません。

実際のところ、別居した後の夫婦は、どのような道をたどるのでしょうか。別居を選択した場合の夫婦のその後について解説します。

別居した夫婦のその後は?

別居した夫婦のその後は、主に「離婚する」「復縁する」「仮面夫婦化する」の3通りに分かれます。

(1)離婚する

別居の時点で夫婦仲に致命的な問題が生じていることは多いです。「どちらかの浮気」「価値観の決裂」「義両親との不仲」など、理由はさまざまです。こういった問題の具体的な修復方法がない場合や、話し合いが決裂した場合は、離婚に至るのが一般的です。

離婚に当たっては、財産の分割や慰謝料の有無など、夫婦間で決定しなければならないさまざまな問題が発生します。二人だけではスムーズに話し合いが進まない場合、弁護士など専門家への相談も検討してみましょう。

(2)復縁する

一度は別居するまで夫婦仲が悪化しても、その後復縁するケースも見られます。夫婦の抱える問題に対し改善の兆しが見られた場合や、現実的な解決策が見えた場合は復縁を選ぶことがあります。そのほか、家を飛び出したが冷静になり一度戻って来る場合や、子どもが成長するまでは夫婦を続けるといった理由からも、一時的に復縁を選ぶことがあります。

復縁を希望する場合、夫婦がかかえる問題の原因がどこにあるのか、どのように改善できるのかを考える必要があります。仮にどちらかが我慢して一時的に復縁したとしても、同じ理由で再度別居するおそれがあるためです。どちらかに忍耐を強いる復縁は、最終的に離婚に至ることが多いです。

(3)仮面夫婦化する

夫婦関係は決裂していても、離婚のさまざまなデメリットを考え、仮面夫婦という道を選ぶ夫婦も存在します。もはや夫婦としての仲は崩壊しているが、子育ての協力者が必要な場合や、経済的事情から離婚が難しいケースでこの選択をする夫婦が存在します。

仮面夫婦の在りようはさまざまで、子育てのパートナーとして同居している夫婦から、別居していて籍だけが入っている「卒婚」に近い状況まで、夫婦によって異なります。

別居した夫婦のその後の離婚率

では、統計的に見て、別居した夫婦の離婚率はどの程度なのでしょうか。

厚生労働省の、平成21年度「離婚に関する統計」の報告によると、別居してからの離婚率は、年代平均でおよそ5割という結果でした。

▽妻の場合

▽夫の場合

図表引用元:

平成21年度「離婚に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告|厚生労働省

年代別に見ると、別居後の離婚率がもっとも高いのは「30歳から34歳」。

次いで「35歳から39歳」「25歳から29歳」が高い離婚率を示しました。

男女ともに、働き盛りの年齢は離婚に踏み切る確率が高く、50代以上など、年代が上がるにつれて離婚率は低下しています。

少々古いデータですので、現在の社会情勢とは乖離することが考えられますが、離婚率は年代に応じて大きく異なることがわかります。

なお、このデータはあくまで戸籍上の離婚率を集計したにとどまります。「離婚していないが仮面夫婦化している」「離婚したがその後復縁している」ケースなどは反映されていません。

配偶者と別居したが復縁したい場合はどうすればいいか

配偶者と一時的に別居しているが復縁したい場合や、配偶者が家を出て行ってしまった場合、復縁するにはどうすればよいでしょうか。人間関係にはさまざまな事情があるため「こうすれば必ず復縁できる」という方法はありません。ただし、配偶者とよりよい再スタートを切るための改善策は存在します。

(1)まず別居に至った原因を考える

基本的なことですが、まず別居に至った原因を考えてみましょう。別居の理由をきちんと理解しない限り、根本的な解決は難しいためです。

たとえば、配偶者が浮気を理由に出ていったのであれば、慰謝料の請求など法的な解決方法を含めた対策を、早急に考える必要があります。また、家事や育児の負担が配偶者ひとりにかかっていたのであれば、十分に参加できていたのかを振り返り、具体策を検討しなければなりません。

ただし、配偶者が突然出ていったケースなど「そもそも別居の原因が不明で、心当たりもない」こともあります。こういった場合、早めに配偶者との話し合いの場を持ち、理由を確認することが解決の近道です。

(2)配偶者と冷静に話し合いをする

夫婦仲を修復するには、配偶者と話し合いの場を持ち改善点を探ることが大切です。一時的に復縁できた場合でも、根本的な問題を解決しない限り、再度離婚騒動に発展する可能性が高いためです。

たとえば、夫の趣味の出費が多く「無駄遣いを改善して欲しい」と妻から要望が出ている場合を考えてみましょう。夫からすると「自分のお金は自分の好きに使いたい」と考えていても、妻は妻で「自宅購入や子どものための費用を積み立てたい」と考えているかもしれません。夫婦間で認識や希望が異なる場合、お互いどこまで譲歩できるかを探り、妥協点を見つけなければなりません。

まずは、別居の原因となった問題について「改善を望む理由」「改善が難しい理由」をお互いに伝えあい、落としどころを探っていく作業が必要となります。

(3)自分に問題がある場合は具体的な改善策を考える

酒癖や借金、浮気など、自分に明らかに非があり配偶者が出ていった場合、自ら改善策を考え、提示しなければ復縁は難しいでしょう。すでに行動で信頼を裏切っているため、漠然と「反省している」「別れたくない」「改善の努力をするので信じて欲しい」と伝えても効果は薄いと言えます。

復縁を望むのであれば、実践レベルでの改善策を伝えるようにしましょう。たとえば飲酒が原因で離婚の危機に瀕しているなら「飲み会に行けないよう職場の帰り時間を必ず連絡する」「お酒を売っている店には一人で入らない」などが挙げられます。書面にまとめ配偶者に渡しておくとより効果的です。

(4)義実家に相談してみる

義実家と交流があり、仲が良いのであれば、義両親に相談して仲を取り持ってもらうのも一つの方法です。配偶者が義実家に家出してしまった場合や、着信を拒否されて話し合いをしようにもできないときなどに有効な方法です。配偶者の話を聞かなくとも、親からの働きかけになら応じてくれる場合は少なくありません。

ただし、義実家に助けを求めるのは、状況によってはもろ刃の剣となり得るので注意が必要です。中立的な立場で仲を取り持ってくれそうなケースのみ検討しましょう。義両親が一方的に配偶者の味方につくと、訪問をブロックされてさらに話し合いが難しくなることがあります。

義両親が配偶者を溺愛しておりこちらの話を一切聞かない場合や、逆に義両親と配偶者が不仲な場合などは、協力を仰ぐことは避けた方が無難です。

離婚前提で別居している場合のその後の対処

離婚前提で別居しているのであれば、離婚に向けて準備が必要となります。まずは、離婚にあたりいくつか方針を決定しなければならないことがあります。

離婚準備で固めておくべき内容について紹介します。

(1)慰謝料請求の有無を考える

まず、離婚にあたり配偶者に慰謝料を請求するか否かを考えます。配偶者に夫婦関係を崩壊させた責任がある場合、慰謝料を請求できるからです。慰謝料を請求できるケースには、たとえば配偶者の浮気やDV、悪意の遺棄などが挙げられます。

なお、離婚の慰謝料請求の時効には3年の猶予が設けられています。慰謝料額の決定より、まずは夫婦関係の解消を急ぎたい場合はそちらを優先しても問題ありません。

慰謝料の請求の可否や、具体的な金額についてはケースバイケースです。たとえば浮気が原因の慰謝料の場合、一応50万円から300万円程度が相場とされています。

とはいえ個別の事情に応じて、この範囲に収まらないこともあります。

離婚で請求する慰謝料の金額は、一般人がひとりで算出するのは難しいといえます。迷った場合は早めに弁護士などの専門家に相談してもよいでしょう。

(2)財産分与の方針を検討する

離婚にあたっては、夫婦の共有財産の分配(財産分与)も必要となります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産のことです。

結婚してから増えた預貯金や不動産、自動車などが代表的です。

資産が共有財産かどうかには「どちらの名義になっているか」は関係ありません。

仮に夫名義の預貯金が結婚後に増えたとしても、増加には妻も貢献しているとみなされるため、この分は共有財産となります。

ちなみに、見落とされがちですが、借金などマイナスの財産も夫婦の共有財産に編入されます。家の住宅ローンなど、夫婦の生活に必要な資金のための借り入れであれば、共有財産となるので注意してください。

離婚時に適正な財産分与を行うため、対象の財産がどの程度なのかと、どの程度請求または支払うのかを整理しておきましょう。

(3)子どもがいる場合の親権について

子どもがいる場合、親権をどちらが取るのかも重要な問題です。自分が引き取るのであれば、養育費はどの程度受け取るのか、配偶者が引き取るのであればいくら支払うべきか、転校手続きは必要なのかなど、事前に整理しておくと後がスムーズです。

なお、離婚について具体的な話し合いを始める段階になると、配偶者が親権を争って調停・訴訟を提起することもあります。この場合の対処法も考えておく必要があります。養育費の算出なども一人では判断が難しいポイントですので、専門家の見解を仰ぐことをおすすめします。

(4)まずは弁護士探しからスタート

離婚前提で別居したのであれば、より有利な条件で離婚できるよう、サポートしてくれる弁護士を探しましょう。円満離婚であれば必ずしも弁護士は必要ありませんが、夫婦仲が悪化したうえでの離婚なら、離婚協議が決裂して紛争に発展することも多いためです。

弁護士を探す際は、かならず夫婦関係問題の実績が豊富かどうか確認しましょう。配偶者の不倫が直接の離婚原因であれば、不倫問題の解決実績も必要です。各弁護士には、実力を発揮できる得意ジャンルがあるため「とりあえず近所の弁護士事務所に相談」するのは避けた方が無難といえます。

まずはWebサイトなどで実績をチェックし、離婚に強い弁護士事務所を何件かピックアップしてみましょう。その候補のなかから、依頼先を選ぶと失敗しにくいです。

離婚か復縁か迷っている場合の検討事項

一時的に別居している夫婦のなかには「勢いで飛び出してしまったけれど離婚を迷っている」「離婚するか否かを決めかねている」という方も多いでしょう。

こういった場合、離婚するかどうかはどのように考えればよいのでしょうか、離婚するか否か整理する基準をいくつか紹介します。

(1)今後やり直せる見込みがあるか

今後配偶者とやり直せる見込みがあるかは、重要な判断基準の一つです。

たとえ無理やり元の鞘に戻しても、夫婦の間の問題が解決しなければ、再び離婚騒動に発展する可能性はあります。

たとえば、生活習慣が合わないことによるすれ違いなど、夫婦の努力で改善が可能なトラブルが原因であれば、二人で解決策を模索した方が良いこともあるでしょう。その一方、たとえば配偶者の義両親と折り合いが悪く、配偶者の仲立ちも期待できない場合など、改善が難しいこともあります。

夫婦として同居を再開し、再構築を試みても同じ問題が解消できないのであれば、離婚も選択肢の一つといえるでしょう。

(2)配偶者に非がある場合改善が期待できるか

配偶者に明らかな非があって別居に至ったケースでは、配偶者に改善が期待できるかが重要な判断基準となります。

夫婦仲の維持は夫婦双方が協力して取り組むべきですが、一方的な事情で苦しめられているのであれば、まずは配偶者の改心が望まれます。

たとえば配偶者が浮気をしている場合、借金をしている場合、モラルハラスメントをする場合などが代表的です。

これらのケースでは「もうしない、ごめん」といった口約束はあまり信用できないことも多いです。夫婦を継続するのであれば、問題に対する具体的な対策と、配偶者の反省が不可欠といえます。

(3)自分の経済力は十分か

配偶者と離婚した後、ひとりで生活できるだけの経済力が自分にあるかどうかも、離婚の可否の基準となります。とくに、現在配偶者の収入に頼って生活しており、頼れる相手もないのであれば、即座の離婚は踏みとどまったほうが良いこともあります。

ただし、経済的に不安があるからといって、離婚ができないわけではありません。将来的には離婚したいのであれば、配偶者の収入があるうちに、資格取得や就職に役立つスキルを磨くなど、経済基盤を整えておくこともできます。アルバイトやパートタイムで働き、まとまった金額の貯金を作っておくのも良いでしょう。

現状の経済力が不十分であれば、まずは「離婚の準備をする」ことから始めるのも一つの方法です。

(4)とりあえず離婚しないのもあり

「今離婚したら後悔する気がする」など、離婚することに不安がある方もいるでしょう。こういった場合、いったん現状の改善に努めることにし「とりあえず離婚しない」という道もあります。離婚そのものはいつでもできますので、不安があれば保留という形にするのも選択肢の一つです。

ただし、保留にする場合も、現状夫婦が抱えている問題の改善が可能かどうかは、しっかりと考えておく必要があります。改善の見込みがない場合に離婚を先延ばしにしても、夫婦関係で苦しむ時間をいたずらに伸ばすことになりかねません。この点には注意してください。

まとめ

別居した夫婦の多くはその後離婚を選んでいます。年代から見ると働き盛りの若年層の離婚率が高く、50代以降になると離婚率は低下する傾向にありました。一度別居に至ると離婚率は高いため、離婚を望まない場合は相応の対策が必要となります。

離婚したくない場合、配偶者と話し合いを行い、夫婦間の問題を解決しなければなりません。一方、離婚する場合も離婚に向けて準備を進める必要があります。

別居から、不倫問題や親権をめぐり夫婦間の紛争に発展した場合、より有利な形で収束させるため、家庭問題の解決実績が豊富な弁護士にサポートを依頼することをおすすめします。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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