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熟年離婚で後悔しないために|慰謝料や年金など準備すべき注意点

「長年連れ添った夫だが、もう一緒には暮らせない」「妻と離婚して余生は自分の生きたいように生きていきたい」など、この記事に目をとめられた方の中には、熟年離婚を検討している方も多いと思います。
熟年離婚というと、大人同士、円満な離婚をする人が多い印象をお持ちかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
また、離婚に向けてしっかり準備をしなければ、老後の生活に苦労することにもなりかねません。

そこで今回は、熟年離婚で後悔しないために準備しておくべきポイントについて解説します。

熟年離婚の原因をランキングで紹介

熟年離婚という言葉はよく耳にすると思いますが、定義はありません。一般的には、熟年者の離婚を指すのではなく、一定の長期間、おおむね20年以上の結婚生活を経て離婚すること言うとされています。

「人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)によれば、日本における離婚は、2002年以降やや減少傾向にありますが、20年以上同居した夫婦の離婚件数は増加傾向にあり、同居年数別の離婚割合を見た場合、約20%を占めるに至っています。

では、実際に熟年離婚ではどのような原因が多いのでしょうか。最高裁による司法統計データ(婚姻関係事件数 終局区分別申立人及び申立ての趣旨別)によると、次のようなランキングになります。

  1. (夫側・妻側)性格の不一致男女ともに、性格の不一致が離婚原因の第一にあげられています。
  2. (夫側)精神的虐待:(妻側)生活費を渡さない妻によるモラハラが男性の離婚原因の2位にあげられています。女性側の離婚原因である生活費を渡さないという理由は、「悪意の遺棄」という法律で定められた離婚原因のひとつにもなり得ます。
  3. (夫側)その他:(妻側)精神的虐待妻にとっても、夫によるモラハラは離婚原因の第3位と多くなっています。
  4. (夫側)異性関係:(妻側)暴力妻の不倫が、夫側の離婚原因の4位の一方で、妻側の離婚原因の4位は暴力、いわゆるDVとなっています。DV は命に関わる問題です。
    また、若者だけでなく、年配者でDV被害にあっている人も少なくありません。DVでお悩みの場合は、まずは警察か弁護士に相談してください。
  5. (夫側)家族親族との不仲:(妻側)異性関係親族関係に悩むのは妻が多い印象をお持ちかもしれませんが、価値観の多様化、介護問題で悩む男性も多いのが現状です。
    また、夫自身が義両親と折り合いが悪いことだけでなく、妻が実両親と折り合いが悪いという事情も含まれます。異性関係による離婚が、夫より妻の方が少ないのは、離婚後の生活の観点などから、妻側が離婚を我慢する傾向にあるとも言えます。
  6. (夫側)性的不調和:(妻側)その他性的不調和の内容には、いわゆるセックスレスや性交渉の拒否などが含まれます。夫婦の生活のペースの違いなど様々な原因がありますが、早期に話し合いの機会を持ちたい問題です。
  7. (夫側・妻側)浪費男女ともに、浪費することが離婚原因の7位にランクインしています。
    何が浪費に当たるかは、ギャンブルや買い物などの内容に関わらず、家庭の経済状況から、家計を明らかに圧迫するような内容ならば浪費に当たります。
  8. (夫側)同居に応じない:(妻側)家庭を捨てて省みない夫婦には、同居して互いに協力しなければいけないという「同居義務・相互扶助義務」が法律で定められています。
    単身赴任などの事情があれば別ですが、同居をしない理由をたどると、不倫や暴力などほかの原因があることもあります。
    妻側の原因の内容には、育児への不協力や多量の飲酒癖など、夫婦生活を続けることが難しい事情が含まれます。
  9. (夫側)暴力:(妻側)性的不調和昨今、妻から夫へのDVが新聞に載ることがありますが、男性側の離婚原因にも妻からの離婚がランクインしています。
    また、夫に性交渉や子作りを拒否される、逆に性欲が強すぎるなどの事情が妻側の離婚原因にもなっています。
  10. (夫側)家庭を捨てて省みない:(妻側)家族親族との不仲昨今、共働きの夫婦も多いため、妻だけが家事育児に専念する意識は昔ほどではありません。しかし、妻による家事や育児の放棄は男性側からの離婚原因になっています。
    また妻側の家族親族との不仲は、男性と同様、自身の不仲だけでなく、夫の実両親との不仲も含まれます。

熟年離婚のメリット・デメリット

(1)熟年離婚のメリット

上記の熟年離婚の原因を見ると、男女ともに順位に差はあるものの、夫婦それぞれがお互いに同じような不満を抱いているということが言えます。熟年離婚のメリットとして、このような悩みから解放され、老後にむけて悠々自適な生活を送れることがあります。

熟年離婚の特徴として、子供がいても既に成人して独立していることが多いこと、親の介護が避けられない問題のひとつになり得ることがあります。
子供の親権や養育費などに縛られず自由に今後の人生のスタートを切れること、折り合いが悪かった義両親の介護という大きな負担を避けられるメリットは大きいといえるでしょう。

(2)熟年離婚のデメリット

熟年離婚はメリットだけではなく、結婚生活が長かった分、デメリットもあります。
まず、経済状況の変化は避けられません。先日、老後の必要資金は2000万円と発表されたニュースがありましたが、60歳以上の単身世帯での消費支出は月約16万円になると言われています(総務省|家 計 調 査 報 告 家計収支編 年平均結果の概要)。

長い結婚生活の間、専業主婦(主夫)だった方、扶養控除内のパート収入だった方などは、離婚後の生活費の確保は十分準備しておく必要があるでしょう。
また、老後にどのような生活をするのかも考えておかなければいけません。

特別養護老人ホームは月額5万から15万円、有料老人ホームは月額10万から50万円と費用が掛かる上、直ぐに入居できるとは限りません。
また、熟年離婚で新しい人生が始まる一方で、孤独感から精神面に不調を来し、家事全般に不慣れなために離婚後に健康を害するデメリットもあります。

熟年離婚で慰謝料請求できるケースとは

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償のことをいいます。
法律では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています(民法709条)。
これは、わざと(故意)またはうっかり(過失)相手に損害を与えた場合は、その損害を償わなければいけないというものです。

そして、通常この償いはお金でしますが、損害が精神的なものだった場合のお金のことを、特別に「慰謝料」というのです。
これを離婚についてみると、離婚原因が相手にあり、そのせいで気持ちを傷つけられた場合に限って、離婚せざるを得なくなったことで受けた精神的苦痛を損害として、慰謝料が請求できることになります。
具体的には、不倫やモラハラ、DV、生活費を入れなかったことなどがあげられます。

なお、これらの離婚原因がある場合、不倫やDVなどの行為自体についても、慰謝料を請求することができます。
離婚しなくても不倫慰謝料や、DVの慰謝料を請求できるのはそのためです。
しかし、離婚する場合は、こうした離婚原因自体の慰謝料と、離婚せざるを得なくなった離婚慰謝料を一緒に請求するので、区別することに意味はありません。

反対に、離婚原因の1位である性格の不一致は、どちらが悪いというものではないので、慰謝料を請求することは原則としてできません。
また、親族との不仲も、配偶者自身に原因があるわけではないので、慰謝料を請求するのは難しいケースと言えるでしょう。

熟年離婚の慰謝料の相場の目安とは

離婚慰謝料は、当事者が納得した金額になるので、決まりはありません。ただし、離婚の原因によって、おおむねの目安や相場があります。
不倫(不貞行為):100万~300万モラハラ・DV:50万~150万悪意の遺棄(生活費を入れないなど):50万~300万性的不調和(セックスレスなど):50万~100万

ただ、上記はあくまで目安であり、例えば不倫の期間が長い場合や、不倫相手が妊娠した、離婚工作されたなど悪質性が高い場合、慰謝料は高額になります。
また、結婚期間が長いことも慰謝料を増額させる原因の一つになるため、一般的な相場よりも慰謝料は高くなることが多くなります。

熟年離婚で慰謝料以外に考えておくべきお金の問題

上記でお話したように、離婚後の生活の変化に対応するのは大変です。そこで、離婚後に備えて、考えておくべきお金の問題があります。

(1)財産分与

夫婦が離婚する際は、結婚期間中に築いた夫婦の財産を原則として折半します。
これを財産分与と言います。熟年離婚でも、通常の離婚と同じく財産分与が行われます。

熟年離婚では、夫の退職時にこれまで耐えてきた妻から離婚を言い渡される、というケースもありますが、夫の退職金が問題になることが多いです。
夫の多くが、退職金は自分独自のお金・財産と考えていますが、既に受け取っている退職金は勿論、将来もらうことが予定されている退職金も財産分与の対象に含まれます。

また、住宅ローンが残っているマイホームがある場合などは、不動産の評価額とローン残高のどちらが多いかで、財産分与の計算方法が変わるなど、複雑な計算が必要です。
熟年離婚の場合は、財産分与すべき財産関係も複雑になりがちなので、弁護士に相談することをおすすめします。

(2)年金分割

年金分割は、離婚した後に、配偶者の一方が納めてきた年金保険料の納付実績を、他方の納付実績として扱う制度のことです。支給される年金そのものを分ける制度ではありません。
そうすると、大きな意味を持たないように思われるかもしれませんが、特に夫が会社員(厚生年金保険加入)で妻が専業主婦の夫婦の場合、妻は自分で保険料を払うことなく国民年金の第3号被保険者として扱われ、将来国民年金を受給できることになるので、この支払い実績は老後の収入に重要な要素を持つことになるのです。

熟年離婚で後悔しないためにやっておくべき3つの準備

上記のように、熟年離婚では検討しておくべき事柄が多くあります。離婚後に後悔しないために、次の3つは準備しておきましょう。

(1)財産の調査

財産分与に備えて、夫婦で築いた結婚期間中の財産がいくらあるか、土地建物などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても調査しておきましょう。

(2)離婚原因の証拠集め

離婚原因が配偶者の不倫やDV、モラハラなど相手にある場合、証拠を集めておきましょう。具体的には、配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真や性交渉があったことを示すメールの文面、DVを受けた傷跡の診断書や写真、モラハラの音声データなどです。
かえってこじれると思うかもしれませんが、証拠があることで慰謝料の請求や離婚がスムーズに進むことも多いです。
証拠を集めたら、まずは弁護士に相談してください。

(3)離婚後の生活の確保

結婚期間の長短で「熟年」離婚かどうか判断されるとはいえ、熟年離婚する夫婦はある程度高齢なのも事実です。
とすると、実家に戻ったり、所有不動産があったり、頼れる人がいるならいいのですが、単身で不動産を借りるのは、難しいことが多いです。
離婚して家を出る予定の場合は、事前に借りられる家を探しておくなど、少なくとも住まいという生活の基盤は確保しておくようにしましょう。

まとめ

今回は、熟年離婚で後悔しないための準備や慰謝料などについてお話しさせていただきました。
熟年離婚でも、検討すべき内容が多いことに驚いた方もいるかもしれません。また長年連れ添ったからもめることはないということもありません。
熟年離婚で後悔せずに新しい人生を切りたいとお考えの方は、ご自身は勿論、長年連れ添ったお相手の為にも、まずは今後の対応を専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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