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そろそろ家庭内別居を解消したい!家庭内別居から次のステップへ

夫婦でもすれ違いが生じることや、関係が悪くなってしまうことは誰にでもあります。
そんな時に家庭内で別居を行い、今後の夫婦関係について考え直そうとする方もいるでしょう。

しかし、家庭内別居が長引いてくれば家庭内別居を解消して、次のステップに進みたいと考えるものです。
そこで今回は、家庭内別居から次のステップに進む方法ついて解説します。

家庭内別居とは

家庭内別居とは、同じ家で生活しながらも別居状態にあることを指します。
夫婦の関係性は破綻しているものの離婚や別居はせずに、同居を続けている場合に家庭内別居と呼びます。
家庭内別居の定義は法律では明確に定められているわけではないため、夫婦の関係性が破綻しているかどうかが焦点になってきます。

同居しているものの別の部屋で過ごしているような場合や、家事や生活費を別々にしている場合、会話がなく互いに無視している場合などが家庭内別居に当てはまります。

家庭内別居を解消した後の選択肢

子供への影響や経済面など何らかの理由があり、家庭内別居状態を維持しているという方も多いでしょう。

しかし、いつまでも家庭内別居を続けるわけにもいきません。
家庭内別居を解消する場合、その後の夫婦関係にはどのような選択肢があるのでしょうか?

(1)夫婦の関係修復を目指す

夫婦といってももともとは他人なので、共に生活をしている中でさまざまなすれ違いが生じることは当然です。
そこで喧嘩が生じることやストレスを感じることで夫婦関係が悪化することもあるでしょう。

しかし、家庭内別居という形で互いに距離を置いてみることで、これまでの不満やストレスが軽減される可能性があります。

また、家事や子育て、収入を得るための仕事など互いの役割の重要性に気付くことができる機会にもなります。
そのため、一度冷却期間として家庭内別居を行ったとしても、互いの存在価値を再認識できれば家庭内別居を解消して夫婦関係を修復することは不可能ではないと考えられるでしょう。

(2)本格的に別居生活を始める

家庭内別居から夫婦のどちらかが家を出て本格的に別居を始めるという選択肢もあります。
家庭内別居では同じ家に住んでいるため顔を合わせることがありますし、生活の中でストレスに感じることもあるでしょう。
別々に生活を始めてみることで互いの大切さに気付ける場合もあれば、反対に新しい生活を始める決意がつくような場合もあります。

そのため、別居は夫婦関係を修復するきっかけになるケースもあれば、離婚の前準備になるケースもあると言えます。

(3)離婚する

家庭内別居をした上で夫婦関係の修復が難しい場合には、離婚をするかどうか考えることになります。
家庭内別居をすることで夫婦関係が修復できるケースもありますが、距離を置くことで修復が難しくなってしまうケースもあります。

これ以上互いに努力をしても関係の修復が難しい場合には、離婚について具体的に検討してみましょう。

家庭内別居から関係修復を目指す場合にできること

家庭内別居から本格的な別居や離婚をすることを回避するには、夫婦関係を修復しなければなりません。
夫婦関係を修復するには夫婦間に生じている問題を解決する必要があり、夫婦の問題を解決するには次の3つの方法が挙げられます。

(1)夫婦で話し合う

まずは夫婦で話し合う機会を作り、お互いの考えていることを話し合ってみましょう。
互いにどういった点が問題であるのか理解し合うことができれば、改善や今後の対処法についても考えることができるはずです。

ただし、話し合いを行う際には感情的になってしまうことや、相手を責めること、相手の話を否定するようなことは避けましょう。
感情的になって相手を責めたりすれば、喧嘩や関係の悪化に繋がる恐れがあります。
落ち着いて互いの言い分を聞き合い、歩み寄ろうとすることが大切です。

(2)カウンセラーに相談する

夫婦だけの話し合いで問題解決が難しい場合には、夫婦カウンセラーなどのカウンセリングを利用してみるという選択肢もあります。

カウンセラーなど第三者が間に入ることで、話し合いがスムーズに行われやすくなります。
カウンセラーはそれぞれの言い分を聞き、夫婦の現在の問題点を客観的に整理してアドバイスを行います。

夫婦揃ってカウンセリングを受けることもあれば、夫婦の片方のみがカウンセリングを受けることもできます。

(3)夫婦関係調整調停(円満)を申し立てる

夫婦関係調整調停(円満)とは、夫婦関係の修復を行うことを目的に行われる調停です。
調停というと離婚を行う際に申立てを行うイメージがあるかもしれませんが、「円満調停」とも呼ばれる夫婦関係調整調停(円満)では調停委員が間に入って夫婦関係の修復に必要な助言などを行います。

カウンセラーと同様に第三者が間に入ることで、客観的に夫婦関係の問題点を探ることができるという利点があります。
夫婦関係調整調停(円満)は家庭裁判所に申立てを行うことで利用できます。

家庭内別居を解消して別居をする際の注意点

家庭内別居から本格的な別居を開始することを選ぶ場合、別居を始めるにあたっていくつかの注意点があります。

別居後にトラブルになって夫婦関係が悪化することや、離婚で不利になってしまわないようにするためにも事前に注意点について知っておきましょう。

(1)必ず相手の同意を得る

本格的な別居を始める前に、相手の同意を必ず得るようにしましょう。
夫婦には「同居義務」というものがあり、共同生活をして扶助し合うことが民法752条にも定められています。

転勤や病気などのやむを得ない理由がある場合や、夫婦の合意のある場合を除いては一方的に家を出て行くことは法律上の義務に違反することになってしまうのです。

もし相手の同意を得ずに別居を始めてしまうと、民法770条に定められた法定離婚事由の1つである「悪意の遺棄」だと判断されてしまう恐れがあります。
そうすると、配偶者から離婚請求される可能性があるだけではなく、婚姻関係を破綻させた原因と作った有責配偶者だと判断されて慰謝料を支払わなければならない可能性もあります。

そのため、別居する際には理由を明らかにし、別居に互いに合意している旨を書面に残しておくようにしましょう。
書面が準備できない場合には、メールなどのやりとりの文章でも証拠になります。

(2)離婚を想定していない場合は貞操義務がある

夫婦には貞操義務というものがあり、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは不法行為である不貞(不倫)に該当します。
離婚を想定していないような場合には、別居をしたとしても夫婦の貞操義務が存在しています。

そのため、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは法定離婚事由に該当し、慰謝料請求される可能性もあります。

しかし、別居を始めるにあたって離婚の話をしているような場合には、婚姻生活は既に破綻していたと判断され、配偶者以外の異性と肉体関係を持っても貞操義務違反にはなりません。

(3)共有財産を事前に確認しておく

別居を始める前に、夫婦の共有財産を確認しておくようにしましょう。
もし離婚することになれば、夫婦が婚姻生活中に協力して築いた財産は「共有財産」は「財産分与」として夫婦で分配することになります。

別居をしている場合には、財産分与は離婚時ではなく別居を開始した時に持っていた財産が対象になります。
そのため、別居を始めた時点で夫婦の共有財産がどれだけあるのか把握できていなければ財産分与で損してしまう可能性があるのです。

また、別居してからでは財産の把握が難しくなることや、相手に財産を隠蔽されてしまう可能性もあるので、別居を始める前に把握して控えなどを証拠として残しておく必要があります。

(4)子供がいる場合には親権について予め考えておく

子供がいる場合には、別居するにあたって親権について考えておく必要があります。
なぜならば、もし別居後に離婚することになれば、親権争いに発展することになります。

裁判で親権を決めることになれば、どちらの親に親権がある方が子供の利益になるのかという点が重視されるため、長く一緒に住んでいる親に親権が認められやすい傾向があります。

そのため、子供の親権を持ちたいと考えている場合には子供と一緒に別居することをおすすめします。
ただし、無理矢理子供を連れだすようにして別居をすれば不利になってしまう可能性もあるので、事前に別居する場合に子供の面倒はどちらがみるのか話し合いをする必要があります。

家庭内別居から離婚はできるのか?

家庭内別居から夫婦関係の修復は難しく、別居ではなく離婚をしたいと考えるケースもあるでしょう。
その場合、家庭内別居から離婚をすることは可能なのでしょうか?

(1)話し合いでは離婚できる

本人同士の話し合いで離婚の合意に至った場合、離婚原因は関係なく離婚が成立します。
この話し合いによる離婚を「協議離婚」と呼びます。
家庭内別居から離婚をする際にも協議離婚であれば、理由は関係なく夫婦が合意すれば離婚することが可能です。

協議離婚では離婚条件についても話し合いで決めることになるため、離婚条件は離婚公正証書などで書面化しておくようにしましょう。

(2)裁判離婚では法定離婚事由が必要

協議離婚で合意に至らない場合には「調停離婚」に進みますが、調停離婚でも合意が得られなければ「裁判離婚」を行うことになります。
裁判離婚になれば合意がなくても裁判官に認められれば法的に離婚をすることが可能になります。

ただし、協議離婚や調停離婚とは異なり、裁判離婚では法的に認められる離婚原因が必要になります。
この理由を「法定離婚事由」と呼び、法定離婚事由には「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度の精神病」「婚姻を継続し難い重大な事由」の5つが挙げられます。

(3)家庭内別居は法定離婚事由の「別居」とは認められにくい

裁判離婚するには法定離婚事由が必要になりますが、家庭内別居は法定離婚事由として認められない場合もあります。
長年別居をしていれば夫婦関係が破綻していると判断され、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められます。

しかし、家庭内別居の場合は同じ家で生活しているため、別居している状態とは認められにくいからです。

ただし、家庭内別居でも夫婦の生活が完全に別々になっていることや、夫婦カウンセリングなどでも修復不可能であったことなど夫婦関係が破綻していることを証明できれば離婚が認められる可能性もあります。

家庭内別居を解消して離婚するためにすべきこと

家庭内別居を解消し、離婚をするには事前に準備をしっかりしておく必要があります。
準備をせずに相手に離婚の意思を告げてしまえば、相手に証拠や財産を隠されてしまう恐れがあります。
そのため、相手に離婚の意思を告げる前に次の準備を進めるようにしましょう。

(1)離婚原因の証拠を集める

離婚をするには、離婚原因となる証拠を集める必要があります。
配偶者が不倫をしている場合であれば、不倫相手と肉体関係があることを証明するための証拠が必要です。

DVを受けているのであれば、暴力を受けた証拠を集めましょう。
別居のみが離婚原因である場合には、結婚生活が破綻していることや、家庭内でも別居状態であることが分かる証拠を集めます。

小さな証拠でも組み合わせて使うことで証拠として認められることもあるので、できるだけ多くの証拠を集めてください。

(2)経済的に自立する準備をする

離婚をするには、新しい生活を始めるための資金が必要です。
離婚で財産分与や慰謝料などのお金を獲得することはできますが、離婚前から少しずつ貯金をするなどして経済的に自立する準備を行いましょう。
離婚前に新しい住居や仕事を決めておけば経済的に自立しやすくなります。

(3)離婚条件を決めておく

離婚をする際には夫婦で離婚の条件を決めることになります。
夫婦には婚姻生活で協力して築いた財産があるため、財産分与で分配を行います。

また、慰謝料や年金分割などさまざまな条件について話し合う必要があります。
子供がいる場合には親権者の決定や養育費、面会についても決めることになります。

離婚条件を少しでも有利にするためには事前に財産を把握しておくことや、子供と一緒にいる時間を増やして親権獲得しやすいようにするなど準備しておくようにしましょう。

(4)弁護士に相談する

家庭内別居から離婚をする場合、証拠集めや離婚条件、離婚の手続きなど準備が非常に多いものです。
弁護士に依頼すれば法的なアドバイスを得られるだけではなく、面倒な手続きや交渉を任せることができることや、離婚を有利に進められることなどメリットが多くなっています。
よりスムーズに離婚を進めるためにも弁護士にまずは相談してみましょう。

まとめ

今回は家庭内別居を解消して次のステップに進む方法について解説しました。
家庭内別居から夫婦関係を修復することができるケースもありますが、本格的な別居や離婚に発展するような場合もあります。

家庭内別居から離婚を考える場合には一人で悩まずに、弁護士に相談して新しいステップに進むためのアドバイスや手続きを行いましょう。

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