1. 不倫慰謝料請求ガイド
  2. 不貞行為を証明する7つの方法

不貞行為を証明する7つの方法・慰謝料請求に欠かせない証拠の集め方と注意点

配偶者に浮気(不貞行為)をされた人が真っ先にすべきことは「証拠集め」です。

浮気をされると、悲しみ、悔しさ、怒りといった負の感情に襲われ、冷静な行動ができなくなりがちです。
しかし感情的になり、配偶者をただバッシングするだけでは何も解決できません。

そこでこの記事では、浮気をされた人や、配偶者の浮気を疑っている人を対象に、不貞行為を証明する方法や証拠集めのポイントをわかりやすく解説します。

また集めた証拠を使って、配偶者や不倫相手に慰謝料請求をする場合の注意点も合わせて解説します。

「浮気をされたので、慰謝料請求をして痛い目に遭わせてやる!」と考えている人は、この記事の内容を参考にしながら、今後の対策を練ってください。

不貞行為とは

夫婦(婚姻、内縁の関係にある当事者も含む)の一方が、配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶことを「不貞行為」と言います。

法律が規定する不貞行為は、浮気や不倫といった漠然とした行為とは区別されます。
それは、慰謝料請求などの法的責任の追及を想定しているからです。

以下、不貞行為となる条件について説明します。

(1)「配偶者以外の者」との「肉体関係」があること

法律上の不貞行為と認定されるためには、配偶者以外の者と肉体関係があることを必須とします。
この配偶者以外の者とは「異性」であることが必要で、同性の相手と肉体関係があっても、不貞行為とは認められません。

ただし、セクシャルマイノリティの議論が成熟し、法制度に組み込まれる時代になれば、「配偶者以外の者」の中に、同性の浮気相手が含まれるようになるかもしれません。

また不貞行為があったと言えるためには、必ず「肉体関係=性行為」が必要です。
デートやキスをした程度では、不貞行為にならないので慰謝料請求はできません。

(2)慰謝料請求の対象となる不貞行為のポイント

前述のように、不貞行為は日常用語である浮気や不倫とは概念上区別します。
慰謝料請求などの法的責任の根拠たりうる行為だけが、不貞行為と呼ばれるわけです。

では不貞行為とは、具体的にどのようなケースを想定しているのでしょうか。
注意すべきポイントは2つです。

①一夜限りの肉体関係でも慰謝料請求は可能

一夜限りの肉体関係でも、れっきとした不貞行為です。一度きりであっても、浮気をされた側の配偶者は計り知れないショックを受けるからです。

ただし継続的な不倫関係のケースと比べると、慰謝料として認められる金額が少なくなる可能性はあります。

②不貞行為を理由とする慰謝料請求を直接認める条文はない

不貞行為を理由に慰謝料請求をする場合、根拠となる法律は民法の不法行為の規定です(民法第709条、710条)。
不貞行為について定めた特別の規定は存在しませんので覚えておきましょう。

不貞行為を証明する方法

ここからは、不貞行為を証明する方法について、具体例を挙げながらわかりやすく説明していきます。

(1)動画

不貞行為を最も直接的に証明できる方法は、性行為の様子を撮影した動画です。
浮気をした配偶者と不倫相手の顔や声がはっきり映った動画は、不貞行為の動かぬ証拠になるため、慰謝料請求が認められやすくなります。

(2)写真

不貞行為を証明する方法として、動画の次に有効なのが写真です。性行為を撮影した写真だけでなく、ラブホテルに2人で出入りした様子を撮影した写真も、肉体関係があったことをうかがわせる証拠になります。

(3)メール

メールが不貞行為の証拠となるためには、かなりハードルが上がります。
メールは基本的に文章だけでやりとりをするため、「私たち、最近いい関係よね!」といった単に仲の良さを示すだけの言葉では、肉体関係の存在を証明する証拠にはなりえません。

メールの文章を不貞行為の証拠とするためには、「君とするセックスは最高だ」「昨夜はすごく激しくてびっくりしちゃった。次はいつにする?昨日エッチしたばかりなのに、もう会いたくなって困る」というように、配偶者と不倫相手に肉体関係があることを強く示唆する直接的な言葉が必要です。

ただし、このような直接的な言葉がなくても、実際に性行為をしている様子を撮影した動画や写真がメールに添付されていれば、不貞行為の強力な証拠となることは言うまでもありません。

(4)LINEトークの履歴

LINEトークの履歴も、メールと同様にテキスト中心ですので、肉体関係を直接示唆する言葉がない限り、不貞行為の証拠にはなりません。

ただし、LINEトークは簡単に偽造できるため、肉体関係を直接示唆する言葉があっても、不貞行為の証拠として認められないケースもよくあります。
言葉とは別に、性行為の動画や写真を貼り付けてあれば、もちろん証拠として使えます。

(5)SNS(ツイッター、Facebookなど)

ツイッターやFacebookには、特定の相手とメッセージをやりとりできる機能があります。
このダイレクトメッセージに、不倫相手との肉体関係を証明する言葉や動画等があれば、不貞行為の証拠となります。

(6)探偵会社の調査書

不貞行為を推定する強い証拠を確保したいとき、探偵会社は非常に強い味方となります。

たとえば、配偶者と不倫相手がラブホテルで肉体関係におよんでいる事実を証明したいとしましょう。
そのような事実を証明するのに最も有効なのは、行為の様子を捉えた動画や写真です。

しかしラブホテルに同行することはもちろん不可能ですし、部屋に設置されている監視カメラのデータを入手することは、ラブホテル側もコンプライアンスを重視する昨今、以前ほどは容易でなくなっています。

したがって、次善の策として、配偶者と不倫相手が腕を組みながらラブホテルに出入りしている事実を押さえれば、不貞行為をうかがわせる強い証拠となりえます。

ラブホテルの出入りする様子を明瞭に撮影することだけなら難しくはありません。
たとえ夜間でも、高性能の赤外線付きカメラを使えば、顔や服装がはっきりわかる状態で撮影可能だからです。

実は、浮気の証拠となりうる動画や写真の撮影で最も困難なのは、「決定的チャンスを物にするまで絶対にあきらめないこと」なのです。

探偵会社による浮気調査では、調査対象となる当事者の個人情報に基づき行動パターンを予測し、24時間監視しながら、ラブホテルなどの浮気現場に出入りする瞬間を絶対に見失わないよう尾行しつづけます。

そのような気の遠くなるような調査活動を、配偶者が仕事や家庭を抱えたまま行うのは不可能です。

このような事情があるため、探偵会社の作成する詳細な調査書は、不貞行為をうかがわせる証拠として非常に有効だとみなされます。
不貞行為の有無を争点とする訴訟でも、探偵会社の調査書が有力な証拠として採用され、結論に影響を与えることもしばしばあります。

(7)当事者の不貞行為を認める発言

当事者が不倫を認めた発言を記録すれば、そのデータは不貞行為を証明する証拠として十分に活用できます。

たとえば、「旅行から帰宅すると、配偶者と不倫相手が性行為の真っ最中だったので、現場に踏み込み、不倫の事実を認めさせた」といった場合です。

そのようなケースで証拠となるのは、不倫の事実を認める署名付書面が典型的です。
署名があるので、後にその書面の真実性が争われたときでも、筆跡鑑定をして直筆であることを証明できます。

また、書面よりもさらに強力なのが動画です。性行為の発見から、その後の詰問で不倫を認めた発言に至るまで、一部始終をすべて録画したデータがあれば、不貞行為の存在を証明する最強の証拠となります。

不貞行為の証拠を集める際に注意すべきこと

ここまで不貞行為を証明する具体的な方法を解説してきましたが、それらの証拠を集める際には、以下の点に注意してください。

(1)携帯電話やスマホの画面を撮影するときはスクショを使わない

配偶者のスマホの画面を証拠として撮影するときは、スクショではなく、開いた画面と共に、スマホ本体の外観も映るようにしてください。

たとえばLINEトークの画面をスクショしただけだと、相手から「LINEトークの画面は簡単に偽造できる。
そのスクショが本当に彼のスマホ画面なのか、証明せよ」と反論されることがあります。

その反論に対して、無事に証明できればいいのですが、証明手段がない場合は、せっかく証拠として押さえたスクショが無駄になってしまいます。

(2)「偽造」を疑われないようにする

先ほど触れたように、LINEトークは簡単に偽造できてしまいます。
偽造を疑われないためには、不倫を示唆する言葉がならぶ画面をスクショすることは避け、自分のスマホやデジカメなどで、対象となるスマホ画面を撮影してください。

またインターネットで「LINEトーク画面 偽造 アプリ」などと検索し、その履歴が残ったまま放置していると、後日相手方から「そんな検索をするくらいだから、このスクショだって偽造したに違いない。
違うというなら証拠を見せろ!」と余計な突っ込みをもらうおそれがあります。

したがって、相手方と争う段階になったら、インターネットの検索履歴を削除するのはもちろん、偽造アプリを自分のスマホにインストールするような軽率な行為も避けてください。

(3)バレないように注意する

配偶者のスマホを目の前に操作できるほど仲の良い夫婦でも、いざ不倫が始まると、当然、その配偶者は自分のスマホを他人に触らせないよう注意深くなります。

そのため、浮気をした配偶者のスマホをチェックして、浮気の痕跡の有無を調べることはかなり難しくなるはずです。

そこで多くの人が試みるのが、「相手が熟睡している深夜などの時間帯を見計らって、こっそりスマホを操作し、不貞行為の証拠がないかチェックする」という方法です。

しかし、たとえこっそり操作したつもりでも、メールやLINEトークは「既読」の状態になるため、浮気のチェックをしたことが簡単にバレてしまいます。

したがって、深夜などに配偶者のスマホをチェックする際は、一度既読になったメールやトークを「未読」に戻す操作も忘れずに行ってください。

(4)悪質な探偵会社に注意

先ほど、探偵会社の調査書は強力な証拠になると説明しました。
ただ、中には悪質な探偵会社もあるので注意しましょう。次の2つをチェックしてください。

①料金が標準的な報酬よりも大幅に安い

前述したように、探偵が行う浮気調査はきわめてハードです。業務時間の区別はなく、契約期間が満了するまでは、24時間体制で調査にあたります。
だからこそ、高額な報酬を請求しても、依頼人はごねることなく支払うわけです。

調査報酬が他社よりも大幅に安いときは、「安かろう、悪かろう」だとみなし、依頼しないほうが賢明です。

②調査の途中経過を一切教えてくれない

調査依頼をしたのに、途中経過についてまったく報告がなく、挙げ句の果てに「調査を尽くしましたが、浮気の事実は見つかりませんでした」などと簡単な報告書1枚で仕事を切り上げてしまう探偵会社もあります。

そのような悪質な探偵会社を見分けるのは困難ですが、目安の一つとなるのが、先ほど挙げた報酬金額の低さです。
あえて他社よりも大幅に安く設定するのは、浮気調査に対して素人が抱く「心理的な敷居」を下げるのが狙いです。罠にかからないよう注意しましょう。

不貞行為を証明して慰謝料請求をする際の注意点

ここからは、不貞行為に基づき慰謝料請求をする際の注意点を4つ説明します。

(1)弁護士選びが肝心

不貞行為をめぐって配偶者と徹底的に争う場合は、必ず弁護士に依頼してください。
弁護士は法律の専門家です。不法行為の一種である不貞行為を取り扱うのは、弁護士が専門です。

ただし一口に弁護士と言っても、企業法務や刑事事件に専念する人もいます。
そのような弁護士に慰謝料請求事件を依頼しても、あたかも眼科医が心臓手術をするようなもので、上手に解決してもらえないこともあります。

不貞行為を理由に相手方と本格的に交渉したり争ったりする場合は、不法行為事件の受任経験が豊富な弁護士か、不倫問題に詳しい弁護士に依頼するのがおすすめです。

(2)証拠収集を弁護士に一任すると上手くいかない

誤解している人が多いのですが、弁護士は「証拠収集のプロ」ではありません。

たしかに弁護士は、弁護士会照会を利用すれば、一般市民では絶対に知りえない情報を入手できます。

しかし、浮気調査に弁護士会照会は無力です。不貞行為を証明する事実を集めるためには、当事者の行動を監視し、決定的瞬間を撮影するなど、時間と体力をありったけ使う地道な調査が不可欠だからです。

弁護士は多忙ですから、そのような地道な調査はほぼ不可能です。依頼人の配偶者の行動を自ら監視し、ホテル街で尾行する暇などありません。

つまり、不貞行為に基づき慰謝料請求をする場合、代理人となるのは弁護士ですが、肝心の証拠集めは探偵に任せるのが通例なのです。

この点を理解できていないと、「なぜわざわざ高い実費を払って探偵を雇うのだ!」と不満を抱いてしまうので注意しましょう。

(3)慰謝料請求にかかる費用

慰謝料請求は弁護士に依頼するのが通例です。慰謝料請求の弁護士費用は、交渉、調停、訴訟と段階が上がるにしたがって増えます。

書面等を用いた私的な交渉だけで済めば10万円ほどですが、調停や訴訟になると30万円前後は見ておく必要があります。

弁護士の報酬は、着手金と成功報酬に大別できます。

着手金は、依頼を受けて、代理人弁護士として正式に事件処理を受任することを契約し、業務を開始することを保証する費用です。
つまり、着手金以外にも交通費や印紙代など様々な実費を請求される点には注意が必要です。

成功報酬は、法律事務所ごとにパーセンテージなどが微妙に異なるので、初回の相談の際によく確認しておきましょう。

(4)不倫相手にのみ慰謝料を請求することは可能か

慰謝料を請求する相手は、配偶者と不倫相手両方とは限りません。
何らかの事情で配偶者に対する慰謝料請求をあきらめ、不倫相手にのみ慰謝料を請求することもあります。

たとえば、浮気をされた妻が、夫に対して慰謝料請求をしてしまうと、夫婦関係が険悪になり、離婚に至ることさえあります。
もし離婚した妻に自活する力がなければ、子供を連れて新たな生活をスタートさせることは難しくなるかもしれません。

また夫の給料や預金が乏しいケースでは、夫への慰謝料請求が認められたとしても、現実には支払ってもらえないこともよくあります。

このような事情があるために、不倫相手にのみ慰謝料請求するケースが、実際ありうるのです。

そこで問題となるのが、「不倫を起こしたことに重大な責任がある配偶者に慰謝料請求をしないのに、不倫相手にのみ慰謝料請求をするのは許されるのか?」ということです。

結論としては、不倫相手にのみ慰謝料請求をすることも許されます。

一見すると、不倫相手にのみ責任を押しつける格好となるため、世間の常識からすれば「なぜ不倫の張本人である夫を免罪するのか?」と批判されるかもしれません。

しかし慰謝料請求は、不法行為によって精神的損害を受けた当事者に与えられた権利です。
権利を行使するかどうかは、本人の裁量に委ねられます。したがって、不倫相手にのみ慰謝料請求することは、法的にはなんら問題ありません。

ただし、不倫相手にも慰謝料を支払えるほどのお金がないケースもあります。
不倫相手と浮気をした配偶者の両方に慰謝料を請求したほうが、訴訟戦術としては合理的だと言えるでしょう。

まとめ

不貞行為を証明する方法は様々あります。自分と配偶者の関係(スマホを気軽に触らせてもらえるか等)を考慮しつつ、自分の適した証拠を集めると良いでしょう。

また慰謝料請求をする際は、必ず経験豊富な弁護士に相談することも再確認してください。
慰謝料請求が訴訟になった場合、弁護士に腕が悪いと敗訴するおそれもあるので、弁護士選びは慎重に行いましょう。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

ページトップ