略奪婚されるのは許せない!不倫相手との再婚への対処方法を解説
皆さんの中には、夫や妻の不倫が原因で離婚することにはなったけれど、
「離婚後に不倫相手と再婚することは許せない」
「略奪婚されるのはいやだ」
とお考えの方は多いのではないでしょうか。芸能人の略奪婚は目にすることはあるけれど、自分が当事者になるのは耐えられないと感じる人は少なくありません。
しかし、略奪婚を防ぐにはどうしたらいいかわからなかったり、不倫相手への怒りがこみあげて自分でも感情が抑えられないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、元妻や元夫、離婚を考えている配偶者が不倫相手と再婚する略奪婚が許せない方に、対処方法や気を付けるべきことを解説します。
夫や妻が不倫相手と略奪婚したら?略奪再婚を防ぐためにできる3つのこと
みなさんの中には、略奪再婚を防ぐための方法をすでにネットなどで検索された方もいらっしゃるかと思います。様々な情報や対処法があり、どうしたらいいかわからず、かえって混乱した方も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は、そもそも不倫された妻や夫側がもっている権利をもとに、その権利を有効に使いつつ略奪再婚を防ぐための効果的な3つの対処法をご紹介したいと思います。
(1)慰謝料金額を高額に設定する
夫や妻が不倫した場合、不倫された側は、不倫した配偶者とその不倫相手に対して、慰謝料を請求することができます。ただ、この「不倫」というのは、法律的な不倫、つまり「不貞行為」があったことを指します。キスやデートでも不倫と考える方もいらっしゃるかとは思いますが、法律的な「不倫」とは、性交渉か性交類似行為(ペッティング、オーラルセックス)などの「不貞行為」があったことを言うのが決まりです。
もちろん、キスやデートも不倫に当たると考え、当事者間で納得して謝罪の意思を込めたお金を払うのには問題ありません。不貞行為の概念が問題になるのは、不倫の事実や慰謝料の支払いについて当事者間では話し合いがまとまらず、裁判所を交えて争うことを想定したケースです。この不貞行為があった場合は、夫婦がお互いに負っている「配偶者以外とは性交渉をしない」という「貞操義務」に違反したことになります。夫婦の一方がこの義務に違反したことで、不倫された側は精神的苦痛を受けたことになり、その苦痛をお金で填補するものが「慰謝料」なのです。
慰謝料の額に決まりはありませんが、目安としては不倫が原因で別居や離婚する場合の慰謝料額は100万円から300万円というケースが多いようです。ただ、不倫期間の長さ、一度別れると約束したのに復縁したなどの悪質性、配偶者や不倫相手の収入などの諸条件によって増減します。
年収が少ない不倫相手などに何千万円もの慰謝料を請求することは実効性がないですし、やりすぎだとして裁判でも認められない可能性はあります。ただし、妥当な金額の中でギリギリの上限金額を請求することで、相手に有効なペナルティを与えることができます。また、慰謝料は、不倫をした配偶者とその不倫相手の双方に請求できるので、両名の生活に大きな影響を与え、略奪再婚を思いとどまらせるのに効果的です。
(2)示談書で復縁を禁止する
不倫をした配偶者と不倫相手には慰謝料を請求できることを上記でお話ししました。慰謝料の支払いを合意する際には、「示談書」を作成するのが通常です。示談というのは、当事者間の合意をいい、その内容を書面にまとめたものが示談書です。
示談書には、夫婦が離婚する場合には離婚の条件や、まだ結婚中の場合は不倫相手との接触を禁止するなどの条項を盛り込むことができます。ですから、不倫した配偶者と婚姻関係を継続する場合は、「不倫相手との関係を解消すること」「不倫相手との復縁・接触を禁止すること」といった内容を盛り込むことは有効です。
ただ、離婚後は夫婦は他人になるので、略奪婚を禁止することはできません。もし示談書に盛り込んだとしても、過度に行動を制約するものとして無効と扱われるのが通常です。一方、慰謝料請求は、夫婦が離婚する前に行うケースも多いので、その場合は復縁を禁止する条項を盛り込んでおくといいでしょう。その文言があるだけで精神的なストッパーがかかり、略奪婚に負い目を感じて腰が引ける人は少なくありません。
(3)子どもがいる場合は親権を獲得する
夫婦に未成年の子どもがいて、不倫が原因で離婚をする場合、子どもの親権は相手に渡したくないと考える人は少なくないのではないでしょうか。もし妻や夫が不倫相手と略奪愛で再婚し、その夫婦に大切な子どもが育てられるようなことになったら耐えられないという声も聞きます。
子どもがいる場合に親権を獲得することは、そうした感情面だけでなく、そもそも略奪婚を防ぐためにも効果があります。というのも、親権者として子どもを監護し育てる親は、そうでない親に対して養育費を請求することができます。養育費は、原則として子どもが成人するまで支払いが続くのがルールです。養育費の金額は、子どもの人数、年齢、元夫婦のそれぞれの収入に応じて、「養育費算定表」という厚労省のサイトでも公開されている表に基づいて算出します。月に数万円の金額を毎月子どもが成人するまで払い続けるのは大変なので、実際には80%が途中で不払いになるといわれています。
参考:http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
そうした事態に備えて、養育費の支払いを決める時には、公証役場に出向いて、合意した内容を「強制執行認諾付きの公正証書」にしておきましょう。こうしておくと、もし将来養育費の支払いが滞った場合に、不倫した配偶者の財産に強制執行をかけて養育費を回収することができます。養育費の支払いは家計を大きく圧迫するので、略奪婚を防ぐのに非常に効果的です。
配偶者の略奪婚で幸せになる人はいるのか?略奪婚で幸せなる、不幸になるケースとは
実際に略奪婚をした夫婦が離婚したとか、略奪婚した夫婦の一方がまた不倫したという話を周りで聴いたことがある人もいるのではないでしょうか。一方で、おしどり夫婦と有名な芸能人の夫婦が略奪婚だったというケースもあります。どういうケースだと略奪婚で幸せになり、略奪婚しても不幸になりやすいのでしょうか。
(1)略奪婚で幸せになれるケースとは
芸能人では、市村正親・篠塚涼子夫妻、故愛川欽也・うつみ宮土理夫妻、安達祐実・桑島智輝(カメラマン)夫妻、石橋貴明・鈴木保奈美夫妻、布袋寅泰・今井美樹夫妻など、仲のよい夫婦とみられているカップルも、実は不倫関係から始まったという人は少なくありません。ただ、一般人の場合、略奪婚で幸せになるには、どうしても広まる噂と周囲の目、資産との兼ね合いの問題は避けられません。
略奪婚で幸せになれるケースの中には、離婚した夫婦に子どもがいなかった、いてもすでに成長していたというように、子どもの問題が生じないことが多いです。また、慰謝料の支払いや、子どもがいて養育費の支払い義務があっても、家計に余裕がある人というのもポイントになります。さらに、もともと暮らしていた地域から離れて静かに暮らす略奪婚夫婦や、反対に周囲に何を言われても気にしない略奪婚夫婦だと、周囲の目を気にせず生活できるので幸せに暮らせるという話もあります。
(2)略奪婚で不幸になりやすいケースとは
略奪婚で不幸になりやすいケースは、まず、離婚した夫婦に子どもがおり、略奪婚しても消えない子どもへの愛情で、略奪婚した夫婦関係にひびが入るケースです。また、慰謝料や養育費の支払いで家計が苦しいと、それだけで略奪婚した家庭に悪影響を及ぼすので、不幸になりやすい一因となります。
さらに、罪悪感にさいなまれるタイプの人、略奪婚であることが周囲に広まり友人・知人と疎遠になってしまう人、家族や親せきからも祝福されない人は、略奪婚を成功させても頼る人や相談できる人もほかにおらず、自分を責めて相手に依存しすぎ、結局不幸になる人もいます。加えて、略奪婚に応じるような人、つまり離婚した妻や夫は、残念ながらそもそも信用に値する人と言えるのか疑問が残ります。略奪婚したとしても、不倫相手は今度は自分が略奪されるのではないかという不安を抱えて生活するので、よほど割り切れる人でないと略奪婚しても不幸になる可能性は高いと言えます。
略奪婚が許せない場合の効果的な復讐方法とは
ここまで読んでいただければ、略奪婚が許せない、不倫した配偶者と不倫相手が許せない場合に、「慰謝料請求」「養育費請求」が相手に有効なペナルティとなることがおわかりいただけたかと思います。慰謝料の請求も、養育費の請求も、本来不倫をされた側や親権を取得した側が持つ権利です。相手に請求するのに何の遠慮もいりません。しかし、権利に基づいたお金の請求といっても、やり方を間違えると後でご説明するような脅迫・恐喝といった刑事事件に発展しかねません。話し合いや示談をする際には、適切な方法をとることが前提です。具体的には以下の流れで行います。
(1)相手に求める要求を書面にする(慰謝料額や支払い方法など)
慰謝料請求書、通知書などと言われますが、すべて盛り込んだ示談書にしてもかまいません。
(2)相手と話し合う
個室の店舗や静かなファミレスなど、話し合いができつつ周囲の目もある場所で行うことが適切です。示談書を示して、その内容で合意するかどうか話し合いを進めます。
(3)話し合いにより合意したら双方署名押印し、1通ずつ保管する
双方話し合いに合意したら、示談書に署名押印します。示談書はあらかじめ2通作成しておき、双方が1通ずつ保管します。とはいえ、示談の内容、交渉の進め方など、一人で行うのは大変なことが多いです。まずは弁護士に相談することをお勧めします。
元夫・元妻が不倫相手と略奪婚してもやってはいけない3つのこと
みなさんの中で「元夫や元妻が略奪婚したら復讐してやる」と決意している方はいらっしゃいませんか?ネットでも、復讐方法についてこのような情報が確かに見受けられます。上記で、効果的な復讐方法は慰謝料や養育費の請求という権利の行使だというお話をしましたが、方法を誤ると警察沙汰になりかねないのでご注意ください。以下では、特に注意いただきたいケースをご説明します。
(1)いやがらせ
元妻や元夫、不倫相手の住まいに汚物を撒く、嫌がらせの手紙を送る、勤め先に怪文書を送るなどの行為はしてはいけません。玄関先に汚物を撒くような行為は、「器物損壊罪」に当たる可能性がありますし、勤め先の不特定多数に社会的評価を低下させるような事実を伝えると「名誉棄損」に当たる可能性もあります。また、嫌がらせの手紙の送付などは、刑罰を受けないにしても民法上の「不法行為」として、損害賠償請求をされる可能性があります。
(2)付きまとい
元夫や元妻へのつきまとい行為は、「ストーカー規制法」に違反するとして、警察から警告を受けたり場合によっては逮捕されるケースもあります。
(3)脅し
慰謝料の請求や養育費の請求は権利ですが、権利の行使でも方法を誤ると脅迫・恐喝になりえます。具体的には「支払わなければ不倫を会社にばらす」「社会で生活できないようにしてやる」など、生命、身体、財産、名誉などに危害を加えるような言い方で要求すると犯罪になります。
また「略奪婚したら子どもに会わせない」というような条件もタブーです。離婚したとはいえ、親子関係は切れるものではありません。親権を持たない親が子どもに会う権利を「面会交流権」といいますが、これを不当に侵害すると裁判を起こされる恐れもあります。また、「決まった日時までに全額揃えて払わなければ3倍の額請求する」などという要求は、不当に過大なものとして無効になる可能性もあるので注意しましょう。
まとめ
今回は、元妻や元夫の不倫で離婚する、離婚した方が、元配偶者と不倫相手が略奪婚することが許せない場合にできる対処方法についてお話しさせていただきました。
略奪婚を防いだり、略奪婚して幸せな再婚生活を送ってほしくない場合に、不倫された側の権利である慰謝料請求や、親権に基づく養育費の請求が有効なことを初めて知ったという方もいらっしゃったかもしれません。ただし、方法を誤るとご自身が逮捕されたり、慰謝料を請求される側にもなりかねません。略奪婚が許せない場合の対処法に悩まれる場合は、まずは専門家である弁護士にお気軽にご相談ください。