不倫した配偶者が反省していない!再発防止対策はどうすればいい?
配偶者の浮気が発覚した場合、必ずしも「すぐに離婚」ということにはなりません。相手との関係を断つと約束し、土下座をして謝ってきたからもう一度やり直そうと考える人も少なくないでしょう。しかし、残念なことに一度不倫をした人間はかなりの確率で再び不倫をします。不倫の再発を防ぐには配偶者を監視したり、精神的に追い詰めたりしても十分な効果を得ることはできません。そこで、不倫=不法行為であることを自覚させるための文書を作成することをおすすめします。
不倫発覚後、反省しない配偶者は少なくない?
アメリカでの研究によると、不倫を一度すると、その10年後に再び不倫をすることが多いという追跡結果が出ています。しかも、39歳や49歳など、区切りとなる年齢の1つ前の年で不倫に及ぶ確率はそれ以外の年齢よりも約2割上がるとのことでした。ところで、一度は「反省している」「二度としない」と言ってるにもかかわらず、不倫を繰り返してしまう人には、どんな特徴があるのでしょうか。
ひとつは「不倫はあくまでの遊び」という認識の人です。こういう人は、自分が不倫をすることで相手を傷つけていることに気づいていません。「不倫が発覚したら、配偶者の怒りを鎮めればやり過ごせる」と思っているので、ほとぼりが冷めると再び不倫行為に及んでしまいます。
また、配偶者と長期間セックスレスの関係が続いている人も要注意です。精神的な愛情でつながっていれば大丈夫と思いたいところですが、やはり結婚生活を続けるうえでセックスレスは大きな問題。配偶者は性的な満足を他の人に求めてしまいます。夫婦間でしっかりセックスレスについて話し合う必要があるでしょう。
そもそも、不倫を繰り返す人は夫婦間で自分の方が優位に立っているという意識があり、「配偶者は自分と離婚などするはずない」と考える傾向にあります。だから、うわべの反省でごまかしたり、反省の姿勢すら見せなかったりします。実際に半生をしていないことも少なくありません。配偶者の不倫が発覚したら、再び不倫に及ぶ可能性を念頭に置いておきましょう。
精神的な締め付けはかえって逆効果になることも
配偶者の不倫が発覚すると、なんとか再発を防ごうとさまざまな手立てを講じると思います。「配偶者のスマートフォンをチェックすることに同意させ、監視アプリをインストールした」「配偶者の親に不倫のことを話した」「再び不倫をしたら、離婚することを宣言した」といった意見があります。
しかし、監視アプリによるスマートフォンのチェックや、配偶者の親に話すことは配偶者を精神的に締め付けることにもつながるので注意が必要です。アプリを使った配偶者の監視は、相手にとってストレスになり、そこから浮気の再発につながることもあります。なお、配偶者の同意を得ずに、監視アプリを配偶者のスマートフォンにインストールするのは犯罪になるということを知っておいてください。
一方「配偶者の親に不倫のことを話す」という行動は、一時的には精神的な締め付けになりますが、配偶者に「もう二度と不倫をしない」と思わせるような戒めになるか疑問符がつく部分もあります。また、配偶者の親が自分の子に注意をしてくれればよいですが、あなたに非があるかのように責めてくる可能性もあります。いずれにせよ、精神的な締め付けに、配偶者が二度と不倫に走らないようにするための決定力はないと考えた方がよいでしょう。
「慰謝料請求書」「誓約書」など法的対処が効果的
「配偶者が不倫を反省していない!どうすればいいの?」と考えている人は、配偶者が不倫をしてもなお、結婚生活を続けようとしているわけです。上述したような精神的な締め付けのほか、「どれだけ自分を傷つけたか自覚してもらうために、とにかく泣く」といった方法を取る人もいるかと思いますが、それだけでは不倫の再発を防止することは難しいでしょう。
婚姻、つまり結婚は法律で定められた制度です。民法で、婚姻関係にあるふたりはお互いに貞操を守る義務がありますが、法律的にお互いの配偶者として保護されています。婚姻関係にある者が、配偶者以外の異性と性的な関係を持つことは「不貞行為(=不倫)」として、法に触れることになります。なお、民法では、不貞行為は離婚の事由となるとしています。
不倫が法に反する行為であることを配偶者とその相手に自覚させることは、不倫の抑止力になります。自覚させる手段として有効なのが、「慰謝料請求書」や「誓約書」を作成することです。これらの文書を作成しておくと、不倫が再発した時に慰謝料を増額したり、離婚訴訟に発展したときの証拠にもなったりします。それでは、慰謝料請求書や誓約書を作成する際のポイントをご紹介しましょう。
(1)慰謝料請求書
慰謝料請求書は、不倫をされた人が配偶者と不倫相手の両者に慰謝料を請求するためのものです。不倫(民法では「不貞行為」と表現されます)は当事者の連帯責任とするのが法律上の考え方なので、配偶者の不倫相手にも慰謝料を請求することができます。
ただし、不倫相手があなたの配偶者が既婚者であることを知らなかったり、あなたと配偶者が別居状態にあったりした場合は、慰謝料を請求できないことがあるので注意しましょう。結婚生活を続けたいと思う場合は、配偶者には慰謝料を請求せず、不倫相手にだけ請求書を送るパターンが多いようです。慰謝料請求書には法的に決まったフォーマットなどはありません。以下の内容を盛り込んで作成します。
- 不倫の事実に関する記述:配偶者と不倫相手がいつ頃に不倫関係にあったか。
- あなたが受けたダメージ:二人の不倫があなたや夫婦関係にどのようなダメージがあったか。
- 不倫が不法行為であることを記述:不倫はあなたに対する不法行為であり、あなたが受けたダメージに対する慰謝料が発生することを記述。
- 慰謝料の具体的な金額を記述:慰謝料の金額、振込口座、支払期限など。
- 期日までに慰謝料が支払われない場合:法的措置を取るなどの対処について。
- 今後、配偶者との関係を断つことを記述:面会やメール、電話などをしないようにさせる。
(2)誓約書
「今後の結婚生活を続けるに当たり、夫婦関係がギクシャクするのはイヤ」との理由から、慰謝料を配偶者・その不倫相手のどちらにも求めないパターンもあります。そんな場合は、配偶者とその不倫相手に関係を断ってもらうよう、文書で「誓約書」を書いてもらいます。また、不倫相手に慰謝料を請求する場合でも、配偶者には誓約書を書いてもらいましょう。
実際は、あなたが誓約書を作成して配偶者や不倫相手に渡し、署名・捺印をしてもらうことになります。誓約書も決まったフォーマットがないので、以下の内容を盛り込んで作成します。
①配偶者向けの誓約書
- 不倫の事実:不倫関係にあった二人の名前、不倫関係にあった期間、不倫関係にあったことに対する謝罪を記述します。
- 不倫しないことを誓約する:あなたに対して、配偶者が不倫を二度としないことを誓います。
- 不倫相手との関係を断つ:直接会うだけでなく、電話やメールなどどんな手段でも連絡を取らないこと。
- 配偶者の署名・捺印:署名は直筆。
②配偶者の不倫相手向けの誓約書
- 不倫の事実
- 今後、配偶者と不倫しないことを誓約する
- 配偶者との関係を断つ
- 誓約書の内容に違反した場合:違約金を支払うことと具体的な額を記載します。
- 不倫相手の署名・捺印:署名は直筆で。
取り交わす文書は内容証明郵便で送付
配偶者の不倫相手に慰謝料請求書や誓約書を渡す際、「実際に顔を合わせるのはイヤ」という人が多数でしょう。文書を郵送するときは、「内容証明郵便」を利用することをおすすめします。内容証明郵便とは、書面の内容や送付した日付を郵便局が証明してくれる郵便のことです。郵便局によって書面の内容と送付したことが証明されるので、送られた相手が「そんな書面は受け取っていない」と言っても通じません。
このような性格から、内容証明郵便は督促状や契約解除の通知、慰謝料の請求や離婚をめぐる裁判の証拠などに使われます。また、裁判にまで発展しない場合でも、「郵便局が内容や送付したことを証明している」ということから、送付した相手に心理的なプレッシャーを与える効果があります。慰謝料を請求したり配偶者との関係を清算するために、配偶者の不倫相手もあなたとの話し合いに応じないわけにはいかなくなるでしょう。
内容証明郵便を出すには、同じ文書を3通用意する必要があります。1通は「原本」として相手に送るためのもの、残り2通は原本をコピーした「謄本」と呼ばれるものです。2通の謄本のうち、1通は差出人が保存し、もう1通は郵便局に保存されます。内容証明郵便を出すに当たり、謄本には文字数制限があります。謄本は原本をコピーしたものなので、作成する文書はおのずから文字数が限られてきます。文字数は以下の通りです。
- 縦書き:1枚につき1行20字以内×26行以内
- 横書き:1枚につき1行20字以内×26行以内、1行13字以内×40行以内、1行26字以内×20行以内のいずれか
ほかにも、mや㎝などの記号のカウント方法について、細かな規定があります。詳細は日本郵便のHPで確認しましょう。
文書の作成は弁護士・司法書士の手を借りると安心
慰謝料請求書や誓約書は、不倫の防止につながる、あるいは裁判になったときに効力を発揮するようなものを作る必要があります。書面に盛り込む内容を先述しましたが、法律の知識がない人が作成すると、手落ちになることも少なくありません。法律を踏まえた文書を作成するには、弁護士などの専門家に依頼したほうがよいでしょう。あるいは、自分で作成し、専門家のチェックを受けるという方法もあります。
まとめ
不倫を一度すると、数年後のブランクを経て再発することは少なくありません。それでも結婚生活を続けるなら、不倫をした配偶者に「もう一度不倫をしたら許さない」ということを意識させる必要があります。ただし、配偶者のスマートフォンにアプリを入れて監視したり、配偶者の両親に話したりといった方法だけでは、あまり効果的ではありません。慰謝料請求書を不倫相手に送って慰謝料を請求したり、誓約書を作成して配偶者とその不倫相手に署名させたりすることで、不倫=不法行為であることを配偶者に認識させることができます。文書の作成に当たっては、弁護士などの専門家の目を通すとよいでしょう。