GPSを使って自力で浮気調査は可能?GPS履歴は浮気の証拠になる?
配偶者に休日出勤が増えたり、急な出張が頻繁に入ったりすると「もしかして、浮気をしているのではないか…」と心配になるのではないでしょうか。
探偵事務所に頼むのは少し大げさな気もするけれど、怪しい動きがないか確かめたいというときに、便利なのが配偶者の行動を追跡できるGPS機器です。ただし、GPS機器を使う際には注意点もあります。
今回は、GPS機器の仕組みや種類、注意点をご紹介します。独力で配偶者の浮気調査を考えている方は、参考にしてくださいね。
人工衛星からの位置情報を利用するGPS
「GPS」はGlobal Positioning System(全地球測位システム)の略。アメリカが打ち上げた24個のGPS衛星から送られてくる位置情報と時刻をGPS機器が受信し、受信機の位置を確認するシステムです。つまり、GPS機器を配偶者の服や持ち物に取り付ければ、どこにいるか追跡することができます。
24個のGPS衛星は上空約2万㎞の高さで地球の周りをぐるぐる回り、位置と時刻の電波信号を発信しています。GPS機器は電波信号の発信から受信までにかかった時間を測り、その時間に電波の速度をかけ算して衛星からの距離を割り出します。ひとつの衛星からだけの信号では誤差が出てしまうため、複数の衛星(4個以上)から電波を受信して補正し、正確な距離を求めています。
さらに、アメリカ以外の国も衛星システムを持っています。日本では2010年に準天頂衛星初号機「みちびき」を打ち上げ、その後も3機の衛星を追加。2018年からシステムの運用を始めました。他にも、ロシアや中国などでも衛星システムを持っていて、各国の衛星からの信号をGPS機器が受け取ることで、精度の高い位置確認が可能になりました。GPS機器によって割り出した場所と、実際の場所との誤差は屋外で10m程度です。アメリカのGPSにだけ頼っていた頃は、最大50mほどの誤差があったとされ、日本においては「みちびき」からの信号とGPS衛星からの信号を併用することで、誤差が小さくなったのです。
GPS機器の種類
GPS機器は「リアルタイム型」「記録型(ロガー型)」の2種類に分かれます。リアルタイム型は、GPS機器が電波を出して現在位置を知らせるタイプ。記録型はGPS機器に移動履歴を残すタイプのものです。それぞれでメリット・デメリットがあります。
(1)リアルタイム型のメリット
今いる場所を逐一知ることができるのが、最大のメリット。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、インターネットに接続できるさまざまな端末で位置情報を確認できます。
(2)リアルタイム型のデメリット
GPS機器から電波を飛ばすため、機器を購入する場合は通信事業会社と契約する必要があります。機器の購入代金(数万円からのものが多い)のほかに、月々の使用料が発生するのがデメリットでしょう。
(3)記録型のメリット
記録型は、移動履歴を知ることができます。電波を使わないので、機器を買う場合のコストは購入代金のみ(5,000~1万円程度のものが多い)。リアルタイム型に比べてリーズナブルです。
(4)記録型のデメリット
現在位置をすぐに知ることができず、「今、まさに浮気をしているのかどうか」を知ることができません。移動履歴のデータを見るには、機器を回収してデータを取り込む必要があり、位置確認はインターネットに接続したパソコンからのみというものが多いです。※最近は、スマホアプリを利用して移動履歴のデータを収集し、機器を回収しなくてもスマホのブラウザで履歴を確認できるものもあります。
配偶者の行動をリアルタイムで知りたい場合はリアルタイム型、どんな場所に立ち寄っているかの履歴をチェックしたい場合は記録型が適しています。一般的に、リアルタイム型は記録型よりも高価であるうえに、通信会社との契約も必要になります。まずは、記録型を使って配偶者の動きを調べ、怪しい動きがあれば、リアルタイム型を利用してリアルタイムで居場所を確認するといったように、目的に合わせて使い分けるのがよいでしょう。
購入とレンタル、それぞれのメリット・デメリット
GPS機器は安いもの(記録型が多い)で数千円、高いもの(リアルタイム型が多い)で数万円と価格に幅があります。高価なリアルタイム型は、購入という方法を取らずにレンタル利用をするのも手です。リアルタイム型について、購入する場合とレンタルする場合について、それぞれ考えてみましょう。
(1)購入する場合
リアルタイム型のGPS機器を購入する際、機器本体の購入費用に加えて月々の使用量が必要になります。先述したように、電波を利用して現在位置を送信するからです。つまり、携帯電話と同じ仕組みといえます。リアルタイム型GPS機器を購入する場合、大きく2つのタイプがあります。ひとつは、本体価格に一定期間の使用料を含むもの。もうひとつは、本体価格とは別に月々の使用料を含むものです。前者なら1年間の使用料込みで3~5万円程度、後者なら本体価格5,000円程度で月額使用料500円程度となります。
(2)レンタルする場合
最近、リアルタイム型のGPS機器をレンタルする業者が増加。レンタル期間5日間で1万円程度、1か月で3~4万円程度のところが多いようです。レンタル料に通信料も含まれていますが、紛失時には賠償金が発生することもあります。
(3)購入・レンタルそれぞれのメリットとデメリット
リアルタイム型GPS機器を使って配偶者が浮気をしているかどうか確証を得るまでに、少なくとも1~2か月は必要です。レンタル料のことを考えると、「購入した方がかえって安いのでは?」と思う人もいるでしょう。コスト面では、購入のほうにメリットがある場合もあります。
しかし、購入にもデメリットはあります。それは、自分でGPS機器を選ばなくてはならないこと。購入した機器の性能が、万が一イマイチだった場合は買い直す必要もあるでしょう。その点、レンタルなら、3日間コースなどの短期レンタルを選んで性能を試してみることも可能です。また、わからないことがあれば、サポートをしてくれる窓口を設けているのも、レンタル業者のメリットです。自分で吟味して選び、コストは押さえたいなら購入、機器のことに詳しくなく、業者に相談に乗ってほしいならレンタルがおすすめです。
GPS機器で浮気調査をする方法と注意点
GPS機器を使って配偶者の動きを探り、浮気の気配がないかどうか調べることになりますが、どこにGPS機器をつけるのがよいのでしょうか。浮気をする機会として一番考えられるのが会社での仕事が終わり、家に帰ってくるまでの間です。配偶者が車で出勤するなら車、電車や徒歩で通勤するなら通勤に使うスーツやカバンにGPSをつけることになります。
(1)車に仕掛ける場合
見つかりにくく、取り付けやすいのは車の外側です。トランクルームやエンジンルーム、車体の底部などが考えられますが、おすすめは車体底部です。運転者が車体の底部を見ることはほとんどありません。また、取り付けやすいだけでなく、取り外しも簡単です。マグネットがついているGPS機器なら鉄の部分に張り付けるだけ。マグネットがないタイプなら両面テープで固定します。ただし、マフラー付近など高熱になる部分は避けましょう。
(2)スーツやカバンなどに仕掛ける場合
配偶者が使うカバンやスーツの管理をあなたが担当しているなど、配偶者の見えないところでカバンやスーツに仕掛けることが可能な場合は、挑戦してみるのも手です。カバンの場合は、カバンの底部分、または仕切りやポケットなどに仕掛けると見つかりにくいでしょう。スーツなら内ポケットにいれたり、裏地の一部をほどいてGPS機器を入れ、縫い込んだりといった方法があります。
(3)GPS機器を取り付けるときの注意点
①車に取り付けるときは配偶者の車に
あなたがGPS機器を配偶者の車に取り付けることについては、法律に触れることはありません。配偶者の車は夫婦の共有財産とみなされているからです。ただし、配偶者の浮気相手と思われる車、つまり他人の車にGPS機器を取り付けるのはNGです。そもそも、他人の車にGPS機器をつけるために、他人の家の敷地内やガレージに立ち入ると、住居不法侵入とみなされます。
②GPS機器が配偶者にバレるリスクがある
スーツやカバンにGPS機器を取り付けた場合、配偶者にバレる可能性は車に比べると高くなります。何日か配偶者の動きをチェックするごとに、GPS機器を回収したほうがリスクは下げられます。車に取り付けている場合も、なにかのはずみでGPS機器がついていることが配偶者にわかることがあります。GPS機器で配偶者の動きを監視するには、それ相応の覚悟を持って臨む必要があるでしょう。
(4)GPS機器で何ができるか
GPS機器を仕掛けたら、パソコンやスマートフォンで配偶者の動きをチェックします。リアルタイム型なら、文字どおり配偶者が今、どこにいるのか確認できます。また、パソコンやスマートフォンで検索すると「検索履歴」が記録されます。レンタル機の場合、検索履歴は消えてしまうので印刷して残しておきましょう。オプションで印刷サービスを設けている業者もあります。また、検索画面をスクリーンショットで保存し日付や場所のメモを残しておくのもよいでしょう。
一方、記録型の場合はGPS機器を回収し、パソコンで「グーグルアース(衛星写真の閲覧ソフト)」や「グーグルマップ」「カシミール」などの地図ソフトを使って移動履歴を確認します。会社へ行くといって家を出ているのに、会社に行かず別の場所にいたことが判明するかもしれません。数日間、継続して履歴を見ることで、決まった場所に出入りしている傾向などがわかることもあります。
GPSは不貞行為の証拠にならない
上記で、GPS機器の検索履歴や移動履歴を保存しておくことを推奨しましたが、これらの履歴そのものは「浮気(法律用語では不貞行為)の証拠」にはなりません。「不貞行為の証拠」とは、「配偶者以外の異性と性的関係を持ったことがわかるか、そうであると思われる状況が認められるもの」を指します。例として、以下のようなものが「証拠」になります。
- 二人でラブホテルに入る、またはホテルから出てくる写真
- 配偶者が相手の自宅に出入りしている、またはその逆の写真
- 二人で裸になっている自撮り写真
- 配偶者があなたに不貞事実を認めるような発言をした音声
つまり、GPS機器の記録そのものは不貞行為の証拠にならないことがわかります。GPS機器を使って配偶者の現在位置を割り出したり、行動履歴から配偶者が立ち寄りそうな場所を推察したりして、実際に現場に出かけて写真や動画を撮影する必要があります。
尾行や撮影には、相応の技術と経験が必要です。素人が尾行調査をすると、配偶者や浮気相手にバレるリスクも高くなります。GPS機器で配偶者の動きを探り、不審な点が浮かび上がったらデータを持参して、浮気・離婚問題に強い弁護士事務所や探偵事務所を訪ねることをおすすめします。浮気や離婚問題に強い弁護士は、探偵事務所とも連携をしています。探偵事務所では、依頼者から提出されたGPSのデータをもとに尾行調査を行い、配偶者とその浮気相手についての「調査報告書(配偶者や浮気相手の動きをまとめたもの。尾行日ごとに、時間を追って行動がわかるようにまとめられていることが多い)」を作成します。もちろん、証拠写真も撮ってくれます。あらかじめデータを持ち込むことで、GPS機器を使った調査から依頼するのに比べて調査費用を抑えることができます。
まとめ
衛星を利用して、位置情報や移動履歴を把握するGPS機器。取り付ける場所に気をつければ、浮気が疑われる配偶者の動きをチェックすることができます。ただし、GPS機器を使うことで得たデータそのものは、「浮気の証拠」=「配偶者と浮気相手が肉体関係を持っている証拠」にはなりません。二人がラブホテルに出入りしている写真などが必要になります。GPSのデータは、浮気・離婚問題に強い弁護士や探偵事務所に浮気調査を依頼するためのツールとして、活用するとよいでしょう。