新婚なのに浮気・不倫が発覚!スピード離婚の慰謝料相場と財産分与について解説
新婚の時期は夫婦としての絆を作っていくための大切な期間です。
しかし、許しがたいことですが、中には新婚にも関わらず浮気に走ってしまう人も存在します。
浮気が原因で離婚を検討している場合に、直面することの多い悩みの内容について、分かりやすく詳細に解説しています。
スピード離婚を検討している方の参考になりますので、ぜひご一読ください。
新婚での浮気は離婚した方が良いのか
新婚で配偶者の浮気が発覚した場合、頭を悩ませるのが「結婚したばかりなのに離婚してもいいのか」という問題です。
人によっては「みんなに祝福してもらったのに申し訳ない」という思いから、離婚を躊躇してしまうこともあります。
浮気でのスピード離婚を検討するとき、別れるか否かはどう考えればよいのでしょうか。
ここでは三つのポイントを紹介していきます。
(1)新婚を理由に離婚を躊躇する必要はない
結論から言うと、「新婚だから」というだけの理由で離婚を思いとどまる必要はありません。
夫婦関係は未来の生活に大きく影響を及ぼすものです。
無理に夫婦を続けて、再度浮気をされたり夫婦関係が冷え切ったりしてしまうとお互い幸福な生活を続けるのは難しいでしょう。
「結婚したばかりで別れるのは恥ずかしい」
「喜んでくれた家族や友人に申し訳ない」
という気持ちもあるかもしれませんが、離婚を検討する際は一度脇に置き、状況を客観的に判断する必要があります。
(2)関係を再構築できるかで離婚の是非を決める
離婚するかどうかを検討する際、基準となるのが「浮気した配偶者と関係を再構築できそうかどうか」という点です。
夫婦として暮らすには、お互いに助け合うことが不可欠。
信頼できない相手と婚姻関係を続けるのは難しいでしょう。
もし浮気した配偶者が心を入れ替え、今後はパートナーとして誠実に接することができるのであれば、再検討の余地はあります。
一方、これまで何度も浮気をしている場合や、夫婦関係の改善が見込めないような場合は離婚を検討した方が未来は明るいかもしれません。
離婚するかどうか迷うのであれば「今後もこの相手と仲の良い夫婦として暮らせるか」を規準に考えてみましょう。
(3)結婚式のご祝儀は返したほうが良いのか
スピード離婚をした方の中には「結婚のご祝儀は返した方が良いのだろうか」と悩む方もいます。
結論から言うと、スピード離婚したからといってご祝儀を返す義務はありません。
結婚のご祝儀は、あくまでお祝いの気持ちで贈るものです。何かの引換に払うわけではありません。
そのため、もしスピード離婚してしまっても返す必要はないので安心してください。
スピード離婚の際の慰謝料の相場
スピード離婚を決めた場合、慰謝料の相場はどの程度になるのでしょうか。
この章では、スピード離婚での不倫の慰謝料について解説していきます。
(1)浮気のスピード離婚では100万円程度が目安
配偶者の浮気が原因でスピード離婚すると、慰謝料は100万円程度が目安となります。
「思ったより少ない…」と思う方もいるかもしれませんが、これには婚姻期間の短さが関係しています。
不倫の慰謝料は「婚姻期間」「浮気をした配偶者の責任の重さ」が金額を決める主な要因です。
不貞行為の責任は重く、婚姻期間が長ければ300万円ほどの慰謝料になることもあります。
しかし、スピード離婚の場合は婚姻期間が短い分、どうしても慰謝料は少なくなります。
具体的な金額はケースバイケースですが、結果として100万円程度になることが多いです。
(2)慰謝料の増減に影響する要素
離婚の慰謝料には、金額の増減に関係するいくつかの要素があります。
金額については「この条件ならこのくらい」と大体の相場は決まっていますが、ケース別の具体的な金額は、それぞれの状況を考慮して個別の判断が必要です。
慰謝料の額を決定付ける要因には、一例として以下のようなものがあります。
不倫の期間や態様 | ・不倫の期間が長い ・結婚前から不倫相手と関係があった ・自分から積極的に関係を持った など上記は増額要因となる |
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精神病などにかかってしまった | 配偶者の不倫が原因で精神病になった場合などは増額されることがある |
不倫された側の落ち度の有無 | 不倫された側にモラハラを行っていたなど落ち度があれば減額要因となる |
専業主婦(夫)である | 結婚を機に不倫された側が専業主婦(夫)となった場合は慰謝料が増額されることがある |
未成年の子供がいる | 子供がいる場合は増額要因となる |
暴力や経済DVの有無 | 不倫をした配偶者から暴力や経済DV(生活費を入れないなど)があると慰謝料が増額される |
有責配偶者の収入が高い | 収入が多いと慰謝料が増額される傾向にある |
慰謝料の金額を考える際は、このような条件を一つずつ確認して判断します。
(3)慰謝料は配偶者と不倫相手の両方に請求可能
不倫の慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方に対して請求できます。
不倫は「配偶者と浮気相手が共同して侵した不法行為」だからです。
どちらにいくら請求するかは、個別に状況を整理して決定していきます。
①離婚しない場合は不倫相手からの求償権行使に注意
配偶者とやり直すことを決意し、不倫相手のみに慰謝料を請求する場合、不倫相手から配偶者への「求償権の行使」に注意が必要です。
配偶者に対して慰謝料の一部を負担するよう請求されることがあります。
不倫は、不倫相手と配偶者が共同で行う不法行為です。
不倫相手のみが慰謝料を支払うケースでは、不倫相手が配偶者の負担分を肩代わりしていることになり「肩代わりした分を返してほしい」と請求することができます。
この権利が求償権です。
配偶者と離婚しないケースでは、不倫相手に返すお金は夫婦の共有財産から支払うことがあります。
「不倫相手にお金を払わなければならない」という事実は、夫婦関係を再構築するに当たって足かせとなるため、何らかの対策が必要です。
具体的な対策としては、慰謝料の金額についてまとめる際に、求償権の放棄を条件に盛り込み書面にしてしまうことが多いです。
スピード離婚の財産分与
離婚の際、慰謝料と同時に考えなければならないのが財産分与です。
スピード離婚の場合、財産分与の金額はどうなるのでしょうか。
(1)そもそも財産分与とは
財産分与の主な目的の一つは、婚姻期間中に夫婦が共同で作った財産を離婚の際に分配することです。
そのため「婚姻期間中に」協力して獲得・維持してきた財産が対象となります。
具体的には以下が該当します。
- 婚姻中に購入した家具・家電
- 結婚後に増加した預金
- 自動車
- 株や債券などの金融資産
- 自宅や貸しアパートなどの不動産
なお、財産分与の対象かどうかは「協力して作り上げた共有財産かどうか」なので、財産の名義は関係ありません。
なお、実際に財産分与を行う際は、以下のような当事者の希望に応じて様々な分配方法が採用されています。
- 財産の評価額を整理して現金で分ける
- 不動産は夫で預金は妻が取る など
(2)スピード離婚では財産分与額は少ない
スピード離婚の場合の財産分与額は、婚姻期間が長い場合と比較して少額になることが多いです。
というのも、スピード離婚の夫婦には、そもそも共有財産が少ないためです。
離婚でよくある勘違いが、「離婚をしたらお金がたくさんもらえるのではないか」というものです。
スピード離婚の夫婦の場合、これは半分誤りです。
スピード離婚の夫婦は婚姻期間が短い分、分与の対象になる財産も少なくなる傾向があります。
財産分与はあくまで「共有財産の分配」が目的ですので、慰謝料や養育費などのお金とは分けて考える必要があります。
妊娠中のスピード離婚で確認すること
妊娠中のスピード離婚では、通常の離婚の条件とは別にいくつか確認すべき事項があります。代表的なのは以下の4点です。
- 養育費の額を取り決めておく
- 慰謝料が増額できる場合がある
- 生活費の請求はできない
- 子供が元夫の戸籍に入らないよう手続きする
それぞれ詳しく見てみましょう。
(1)養育費の額を取り決めておく
まだ子供が生まれていない場合も、養育費の金額を事前に取り決めておく必要があります。
離婚が成立してからでも養育費の請求は可能ですが、「別れた相手と連絡を取りたくない」といった思いから、本来もらえるはずの養育費を受け取らないケースがあります。
また「離婚のときに約束していなかったのに今さら請求するのも…」と遠慮してしまうこともあるようです。
しかし、シングルマザーは両親が揃っている場合と比較して経済的に困窮しやすいです。
事前に養育費の金額を取り決め、出産後にスムーズに払ってもらえるよう備えておきましょう。
(2)慰謝料が増額できる場合がある
妊娠中の離婚では、協議の上慰謝料が増額できる場合があります。
ひとり親は、乳幼児の面倒を見ながら働くケースが多く、離婚後の生活を見越して、多めの慰謝料を請求することもあるのです。
具体的な金額は個別の事情で判断する必要がありますが、相場より少し上乗せして請求することができます。
(3)生活費の請求はできない
妊娠中に離婚する場合であっても、夫には妻の生活費を支払う義務はありません。
というのも、夫婦が相互に生活を助け合う「婚姻費用の負担義務」は離婚すると消滅するためです。これは夫との子を妊娠していても変わりません。
一方、生まれてくる子供に対する養育費の負担義務は存在します。
こちらは妻の生活費とは別に請求が可能です。
なお、夫には離婚後の生活費を負担する義務はありませんが、話し合いで合意があれば財産分与や慰謝料に上乗せするという形で生活費を受け取ることも可能です。
(4)子供が元夫の戸籍に入らないよう手続きする
妊娠中に離婚する場合、生まれてくる子が元夫の戸籍に入らないよう手続きが必要になります。
通常、離婚後300日以内に生まれた子は戸籍の筆頭者(結婚したときに姓を変更していない方)の戸籍に入ります。
つまり、妻が夫の姓に変更している場合、子供は夫の戸籍に入ることになります。
夫の戸籍に入れたくないのであれば、妻を筆頭者とした新たな戸籍を作り、そこに子を入れることで回避可能です。
なお、戸籍を作っても自動的に母親の戸籍に入るわけではなく、家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可審判申し立て」という手続きを取る必要があります。
参考:
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_07/index.html
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3262
離婚の手続きは弁護士に頼むべきか
配偶者の不倫が原因で離婚する場合、手続きや交渉は弁護士に依頼した方が良いのでしょうか。
詳しく確認していきましょう。
(1)離婚の手続き自体は自分でも可能
まず、離婚の手続き自体は自分でも可能です。
不倫相手や配偶者との協議がスムーズにまとまり、特に難航していないようであれば、全て自分でやってしまっても良いでしょう。
というのも、そもそも弁護士に依頼してやってもらう内容の多くは、依頼者の代わりに行うものだからです。
そのため、知識があればとくに専門家に依頼する必要はありません。
しかし、離婚に際して裁判所への手続きが必要になった場合、全て自分で行うのは難しいでしょう。
では、具体的に離婚の際に裁判所を利用するのはどんな場面でしょうか。
(2)裁判所への手続きは一般人には難しい
離婚協議がスムーズに進めばよいのですが、不倫や離婚は、解決のための条件交渉が難航し、裁判所を利用することがよくあります。
- 配偶者が離婚に応じない場合の調停申し立て
- 不倫相手が約束した慰謝料を払わない際の強制執行手続き
- 子供の親権に関する調停申し立て
こういった手続きは非常に煩雑で、専門知識のない一般人には難易度が高いものです。
もちろん自分で方法を調べて手続きをすることは可能なのですが、ゼロから始めると準備に相応の時間がかかります。
こういったときに、あなたに代わって難しい書類の作成や手続きを代行してくれる弁護士がいると非常に心強いのです。
(3)離婚協議が難航した場合は弁護士に依頼する
離婚協議が難航する場合、弁護士に依頼することをおすすめします。
というのも、法律の知識のない当事者だけでは、話し合いがなかなか進まないことが多いからです。
- 慰謝料の金額で折り合いがつかない
- 相手が弁護士を連れてきた
- 自分も配偶者も離婚協議書の有効な作り方が分からない
- どこまで分与する財産に含めればよいか判断できない
このような場合は弁護士に相談した方が、協議がスムーズに進みます。
「弁護士に依頼するのって莫大な費用がかかるのでは?」と思う向きもあるかもしれませんが、現在は相談料・着手金無料で依頼できる弁護士事務所も増えています。
「スムーズに離婚するのは難しそうだけど、弁護士は費用がどのくらいかかるか不安」
こんな場合は相談料無料の事務所を選び、とりあえず話を聞いて費用見積もりをとることをおすすめします。
まとめ
結婚間もない時期でも、人によっては浮気をしてしまうことがあります。パートナーとの今後をどうするかは、後悔しないよう慎重に決めたいところですね。
離婚するかどうかを決定する際は「夫婦関係を再構築できそうか」を基準に考えることをおすすめします。
「スピード離婚になるから」という理由で夫婦を続けても、浮気癖が今後も直らなければ、パートナーとして信頼しあうことは難しいためです。
慰謝料や財産分与については、婚姻期間が短いため多額を請求することは難しいでしょう。ただ、請求できる金額は様々な要因で増減するため、人によっては相場より大きくなることもあります。
請求金額や離婚の交渉などで迷ってしまった場合、無料相談が可能な弁護士に連絡してみるのもおすすめです。
話し合いをどうすすめればよいか、いくら請求すべきかなど、親身になって相談に乗ってもらえます。
一人で解決できる自信がない場合は検討してみてください。