浮気・不倫を許すべきか?離婚すべきか?知っておくべきその後の生活
皆さんの中には、夫や妻が不倫や浮気をしたことを知ったけれど、離婚すべきか赦すべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。また、気持ちの面では許せなくても、離婚後の生活を考えると離婚に迷いがある方やこのまま生活を続けることに悩みがある方も多いと思います。
配偶者の不倫を知った場合に、今後のご自身の対応を決めるにも、どういう結果になるかの予想がつかなければ決められないという方は少なくありません。今回は、夫や妻が不倫や浮気をした場合に、相手を許すべきか離婚すべきかを考える材料になるように、その後の生活についてお話させていただきます。
浮気や不倫した旦那や嫁を許す割合はどのくらい?
世の中の不倫された妻・夫は、浮気や不倫をした配偶者を許せる人はどのくらいいるのか気になる方は多いのではないでしょうか。探偵会社が既婚の男女100名ずつに行った調査によると、妻の不倫を許せない夫は57%なのに対し、夫の不倫を許せない妻は76%と、より高い割合を占めるという結果が出ています(http://www.xn--5vv74gn3a033e.nagoya/cat3/post_31.html)。
女性の方が不倫に対して嫌悪感を抱く人の割合が高いものの、離婚後の生活を考えると許さざるを得ないという人もいるのが事実です。
浮気・不倫された場合に許すかどうかの選択肢とは
(1)不倫を許すかどうかの基準になる法律上の不倫の内容
不倫や浮気と言っても、人によって考え方はさまざまです。キスから不倫、デートをしたら浮気と考える方がいても構いません。しかし、今後の夫婦の在り方を考える上では、慰謝料を請求できる不倫か、もめた場合に裁判で離婚できる不倫か、という法律的な基準を知っておきましょう。
法律上の不倫は「不貞行為」があったこと、具体的には、性交渉があったことが必要になります。キスやデートも許せないとして相手に慰謝料や離婚を請求し相手が応じる分にはいいのですが、不貞行為にあたらないので離婚裁判は起こせませんし、慰謝料の請求も裁判で認められません。
夫や妻の不倫や浮気が、上記の法律上の不倫、不貞行為にあたるとしても、次の選択肢があると言えるでしょう。
(2)許してやり直す
不倫を許してやり直す際には、夫婦の話し合いは避けては通れません。やり直したい場合は、相手を責めすぎず、辛い思いをしたことを伝えましょう。不倫をしている配偶者の中には、愛人と別れる寸前だったり、相手がストーカー化しているケースもあるので、そうした場合には、こうした対応は復縁に効果的です。
夫婦関係をやり直す場合は、今回に限り不倫を許すという「合意書」を作成するとよいでしょう。合意書には次の5点を盛り込んでください。
- 不貞行為の事実と、不貞行為を認める文言
- 慰謝料を払う場合は金額と支払方法
- 愛人との不倫関係をやめること
- 今後不倫相手と連絡したり会うことの禁止
- 合意書の内容に違反した場合のペナルティ
やり直す場合、慰謝料は請求しないケースも多く、代わりに再度不倫したら離婚すること、その時は今回の不倫慰謝料も上乗せして請求することを書く場合もあります。
(3)気付かないふりをして今の生活を続ける
配偶者の不倫を知っても、何かをしなければいけないわけではありませんし、今の状況を静観するのも選択肢の一つです。不倫の事実がはっきりしない場合は、相手を信じて待つことも一つです。しかし、不倫が事実ならば、今の生活を続けるにしても不貞行為の証拠は押さえておきましょう。
不貞行為があれば、不倫をした配偶者とその愛人に慰謝料を請求できますが、慰謝料を請求する権利は最後に不倫をした時から3年で時効にかかり、それ以降は請求できなくなります。今は気付かないふりをしても、後々夫婦関係を見直したときに、証拠があれば時効前に慰謝料を請求するなどの対応を取ることができます。
(4)離婚する
不倫をした相手に離婚を請求し、相手が応じればいいですが、もめて裁判になる場合には、離婚裁判を起こせる離婚の原因に該当することが必要です。これを「法定離婚事由」といい不貞行為もその一つです。離婚は、夫婦がそれぞれ離婚に納得するか、裁判で離婚が命じられるかしたら、市区町村役場に離婚届を提出することで成立します。
離婚する際は、慰謝料や結婚中の財産の分け方(財産分与)、未成年の子供がいる夫婦ではどちらが親権者になるかや養育費の金額、支払方法などを決めます。それらの内容は、「離婚協議書」という書面にして、公証役場にもちこんで「強制執行認諾付きの公正証書」という特別な書式にしてもらうと、将来養育費の支払いが泊った場合に、相手の給料や財産から強制的に支払わせることができます。
浮気や不倫を許すメリット、デメリット
(1)浮気や不倫を許すメリット
①夫や妻との関係が強まる可能性がある
夫や妻の浮気や不倫を許し、一緒に不倫問題を考え、乗り越えることで、夫婦の関係が不倫前よりも強くなる可能性があります。
②再度の不倫を防ぐことができる
不倫の原因を検討することで、不倫の再発を防げることが期待できます。また、ご自身も家族の在り方を見直す姿勢を見せることで、上記の夫婦関係が強まることにつながる効果も期待できます。
③子供を守ることができる
不倫を許し、離婚をしないことで、子供の生活を守ることができます。年齢を問わず、両親の離婚は子供に大きなストレスになり、苗字や学校が変わることで生活を大きく変えてしまうこともあります。
④経済的な安定を維持できる
離婚をすると、不倫した側は慰謝料を支払う義務を負いますし、夫婦の収入に差があった場合は、少なかった方は経済的に厳しい状況に置かれます。不倫を許すことで、現在の経済状況は維持できますし、今後許せなくなった場合に備えて、結婚生活を維持している間に職や資格を得るなど自立に向けた準備をすることができます。
(2)浮気や不倫を許すデメリット
①夫婦関係を修復できない可能性がある
不倫や浮気を許しても、夫婦関係が必ず修復できるとは言えません。相手に嫌悪感が残ったり、夫や妻の陰に不倫相手の影を感じてしまうなど、前のような夫婦生活が送れなくなる可能性があります。
②精神的な負担が大きい
信じて結婚した相手が不倫や浮気をしていたことを知ったショックは計り知れません。その事実を受け入れ許すには、大きな負担がかかります。乗り越えたつもりでも、精神的な負担は消えないので、それが心身の不調につながってしまう恐れもあります。
③相手をつけあがらせる可能性がある
せっかくがんばって不倫や浮気を許しても、そのことで相手が不倫しても許されると勘違いし、つけあがってしまう恐れがあります。別れたと言いながら不倫相手と関係を続けたり、別の相手と浮気を繰り返す可能性も否定できません。
浮気・不倫を許すための3つの方法
(1)夫婦で腹を割って話し合うこと
不倫を許すためには、夫婦で本音で、腹を割って話し合うことが大切です。心にモヤモヤとわだかまりを抱えていたのでは、許したつもりでも怒りが再発したり、元の生活が送れなくなる可能性が高まります。
話し合う際には、なぜ不倫相手に惹かれたのか、自分にも原因があったのか、不倫をしたときに妻や夫のことは考えなかったのか、これからどうしていきたいのかなど、逃げることなく話し合いましょう。
非があるのは、不倫をした配偶者です。しかし、相手を追及・糾弾するのではなく、あくまで話し合うことを心がけてください。今後相手を許して、仮面夫婦ではない元の夫婦に戻れるように時間をかけてでも、一つ一つのわだかまりを解いていきましょう。
(2)二度目を許さない体制をとること
上記で、不倫を許すデメリットとして相手をつけあがらせるリスクをご紹介しましたが、もし再度不倫をした場合のペナルティを決めることによって、今回の不倫を反省させ、また浮気の抑止にもつなげることが期待できます。
許した時点で高価なプレゼントや旅行をプレゼントしてもらうことや、子供が喜ぶイベントを行い家庭の良さを再認識させることも有効です。このような不倫問題を乗り越えた場合に思い出せるペナルティもいいですが、もっと状況が深刻な場合は、当初お話ししたような、二度目は許さない旨の合意書を作成することでも、あなたの本気度が伝わります。
(3)夫婦共通の目標をもつこと
結婚当初の二人の目標を思い出して確認したり、不倫問題を乗り越えた後で夫婦でかなえられる目標を持つことも有効な方法です。夫婦でこんな経験がしたい、定年を迎えたときにこうなっていたいなど、短期的な目標でも長期的な目標でもいいのです。お互いが、その夢に向かってどのような役割を果たせるか、夫婦どちらか1人ではかなえられない夢や目標をもつことは、夫婦関係の改善にもきっと役立つことでしょう。
浮気を許すか決められない場合に取るべきただ1つの対処法
夫や妻の不倫が事実だけれど、今の時点では許すか許せないか決められない方もいると思います。そのような場合でもやっておくべき1つのことは、不倫の証拠集めです。不倫の事実に打ちのめされて今後を考えられないときは、無理をする必要はありません。しかし、やはり許せないと思いいたったときに、慰謝料請求や離婚を有利に進めるための証拠は集めておきましょう。
具体的には、次のようなものが不倫証拠になります。
- 配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真や動画
- 不貞行為の最中の写真や動画、音声
- 不倫相手との性交渉をしたことを示すLINEやメールのやりとり
- 探偵の調査報告書
あくまで法律上の不倫、不貞行為があったことを示すものが証拠になりますが、それ以外のキスの写真なども、他の証拠と相まって有効に利用できる場合があるので、保存しておいてください。
浮気・不倫が許せない場合の慰謝料請求
(1)慰謝料が請求できる仕組みとは
法律上の不倫、つまり不貞行為をされた妻や夫は、不倫をした配偶者とその愛人に対して慰謝料を請求できます。
慰謝料は、正式には「精神的苦痛に対する損害賠償」という意味を持ちます。夫婦は、お互いに配偶者以外の異性とは性行為をしないという「貞操義務」という義務を負っています。配偶者がこの義務に違反して不倫したことで、された側は被った精神的苦痛を金銭で補うために慰謝料を請求できるのが法律上のルールになっています。なお、慰謝料は、離婚しなくても請求することができます。
(2)不倫慰謝料金額の目安と相場
慰謝料は、当事者が自由に決めることができるので、厳密には相場や目安はありません。ただ、一般的には、次のような金額が参考になります。
- 不倫したが同居を続ける場合・・・10~200万円程度
- 不倫が原因で別居や離婚する場合・・・100~300万円程度
ただし、不倫期間が長い場合や別れると約束したのにこっそり復縁していた場合、不倫で家庭が崩壊した場合、不倫相手に子供が生まれた場合などは、不倫の悪質性が高いとして慰謝料額が高くなりやすいです。また、不倫相手に社会的立場がある、不倫をした配偶者の収入が多い場合なども慰謝料は高くなります。
(3)不倫慰謝料を請求する場合の注意点
慰謝料は不倫相手にも請求できます。総額300万円の慰謝料を150万円ずつ請求しても、方法に300万円請求しても構いませんが、両方に300万円請求して二重取りすることはできません。
また、不倫相手が100万円程度の収入しかないのに数千万円の慰謝料を請求するなど、社会的に不合理と思われるような額の請求も認められないことがあります。さらに、夫婦関係が不倫前から破綻していた場合は、夫婦の間に守るべき利益がないとされ、慰謝料の請求が認められない場合もあるので注意しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、夫や妻の浮気や不倫を許すかどうか、その判断のポイントや、選択に応じたその後の生活についてお話しさせていただきました。愛しあって結婚した夫や妻の不倫を知ったショックは大きいものです。ましてそれを許すかどうか、離婚するかどうかの結論をすぐに出せないこともあるでしょう。
不倫の後の生活には、法的な問題が絡むことも多いので、配偶者の不倫でお悩みの場合は、こうした問題に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。今後の生活をどうするか、お金の問題をどうするかといった、幅広い視点からアドバイスを受けることができます。まずはお気軽にご相談ください。