セックスレスで夫が不倫している?今後の対応方法と慰謝料請求方法
セックスレスの関係にある夫婦は、どちらかが不倫に走ってしまう可能性が高いと言えます。
セックスレスの原因は、夫婦お互いにあるかもしれませんし、どちらか一方がセックスを拒絶しているかもしれません。
セックスレスが原因で不倫をした場合には、不倫の原因はセックスを拒絶している「不倫をされた側」にあると言えなくもありません。
では、セックスレスが原因で不倫をした場合には、不倫慰謝料を請求することは難しいのでしょうか?
結論的に言えば、セックスレスが原因の不倫でも慰謝料を取ることができます。
しかし、慰謝料は通常の不倫慰謝料よりも少なくなってしまうことが多いようです。
セックスレスでの不倫慰謝料の請求方法や慰謝料を多くとる方法について詳しく解説していきます。
セックスレスは不倫の原因になる?
セックスレスは不倫の原因になると言われています。また、セックスレスによる弊害は不倫だけではありません。
夫婦関係や個人の精神状態を安定させるためにはセックスは必要なものだとされています。
まずは、セックスレスの定義と、不倫とセックスレスの関係性などについて詳しく解説していきます。
(1)セックスレスとは1ヶ月以上性交がないこと
日本性科学会によると、セックスレスの定義とは、1ヶ月以上性行為がないこととしています。
ご自身の夫婦関係に1ヶ月以上セックスがないのであれば、それは医学的にはセックスレスに陥っていると考えた方がよいでしょう。
そして一部調査によると、20代〜30代の比較的若い夫婦でも、半数以上がセックスレスになっていると言われています。
セックスレスはどんな夫婦にも起こり得ることで、決して自分達からは遠い話ではないのです。
(2)セックスレスは不倫の原因となる場合もある
セックスレスはどんな夫婦にも起こることですが、セックスレスは不倫の原因にもなってしまいます。
相模ゴム工業株式会社の調査ではセックスが足りないと感じている男性のうち、実に75%以上の男性が「もっとセックスがしたい」と考えており、女性でも35%以上の人が同様に感じています。
セックスレスになると、パートナーに不満を感じて、他の異性に対して積極的になってしまうことがあります。
そして、これを原因として不倫に走ってしまうケースがあるのです。
つまりセックスレスは不倫の原因になってしまうリスクがあるのです。
ご自身の夫婦関係がセックスレス状態にあるのであれば、不倫のリスクを認識し、セックスができる夫婦関係へと再構築していく努力が必要になります。
(3)セックスレスのその他のリスク
セックスは性的欲求を満たすものですので、セックスレスに陥ると他にも様々な障害が発生します。
ストレスによってホルモンバランスが崩れて生理不順になったり、肌荒れを起こしたり、不眠症になることがあります。
また、セックスで満たすことができない欲求を他のことで満たすためにアルコールやギャンブルに依存してしまうこともあるようです。
セックスレスは夫婦関係のみならず、個人の精神状態や経済状態を崩してしまう深刻な事象であると理解しておきましょう。
セックスレスの不倫は慰謝料請求できない?
セックスレスが原因での不倫は慰謝料請求することができないのでしょうか?
多くの人が、「夫婦間のセックスレスは離婚事由に該当するからセックスレスで不倫があっても慰謝料を取ることは難しい」と考えていることが多いようです。
しかし、セックスレス が原因でも慰謝料請求をすることができますし、実際に慰謝料を獲得している事例もあります。
セックスレスでも不倫はアウトということを理解しておきましょう。
セックスレスと不倫の関係で混同しがちな民法770条とセックスレスでも不倫はアウトになる根拠について詳しく見ていきます。
(1)民法770条
民法第770条には離婚事由として以下のような条文があります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
一項の不貞行為というのは、配偶者以外の異性と性行為があった場合のことをさします。
そして、五項の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という中にセックスレスも該当すると一般的には解されています。
つまり、セックスレスの状況下で不倫をしてもすでにセックスレスという離婚事由があるのだから不倫をしても離婚にならないのでは?と考えることもできます。
しかし、いくらセックスレス状態でも不貞行為は許されるわけではありません。
また、夫婦のどちらか一方が激しく拒絶してセックスをしない場でない限り、セックスレスの原因は夫婦どちらか一方だけにあるわけではありません。
セックスレスは2人双方の問題ですが、不倫は不倫をした側の問題になるので、セックスレスでも不倫することは正当化されません。
(2)セックスレスでも不倫はアウト
セックスレスは確かに離婚事由として挙げることができる行為です。
しかし、セックスレスだからと言って、民法で離婚事由とされている不貞行為を正当化する理由になりません。
「セックスレスは夫婦においては法律上悪いこと。だからセックスレスの夫婦で不倫をすることは悪いことでなない」と主張する人がいますが、これは大きな間違いです。
セックスレスであっても、不貞行為は不貞行為です。
そして夫婦関係にあるパートナーが例えばセックスレス状態であったとしても、不倫をした場合には慰謝料を支払わなければならない可能性が高いと言えます。
セックスレスの状態といえども、不倫をすることはアウトです。
セックスレスで不倫したパートナーと関係を戻したい場合
セックスレスで不倫をしたパートナーと関係を戻したい場合には、事前に自分の中で確認しておくことが2点あります。
- 自分が許せるかどうか
- 配偶者とセックスすることができるかどうか
まずはこの2点を自問自答して確認しておきましょう。
この点は不倫慰謝料を請求するかどうか、今後の夫婦関係をどうするかを決める上で非常に重要です。
まずは自分の中でしっかりと確認するようにしてください。
(1)まずは自分が許せるかどうか
再構築する場合には自分が相手の不倫を許すことができるかどうかが最も重要です。
セックスレスによる不倫の場合には、相手を許し再び受け入れることができないのであれば再構築することは絶対に不可能です。
まずは相手の不倫を許すことができるかどうか自問自答し、許そうと思えるのであれば相手との対話を重ね、少しずつ関係を再構築していくようにしましょう。
(2)配偶者とセックスできるかどうか
そして、セックスレスの場合に最も考えなければいけないことは「再構築した配偶者とセックスできるかどうか」ということです。
セックスレスの夫婦のどちらかが不倫に走る原因はセックスレスです。そして、セックスレスはセックスをすることでしか解決することができない問題です。
不倫をした配偶者を許し、かつ肉体関係まで再構築していくということは簡単なことではありません。
しかし、セックスレスが原因となって不倫をしてしまっている場合にはセックスなしでは本質的に問題を解決することができません。
「相手と再構築していく」ということを決めたら、「相手と再びセックスできるかどうか」もしっかりと考えましょう。
相手とセックスができないのであれば、同じことが再び起きる可能性があるので、やはり再構築は難しいかもしれません。
セックスレスで不倫したパートナーと離婚したい場合
セックスレスで不倫をしているパートナーがどうしても許せないという場合、または関係修復してセックスすることが難しいと考えられる場合には、不倫慰謝料をとって離婚するという方法もあります。
しかし、不倫慰謝料を取りたいのであれば、自分が証拠を集める必要があります。
(1)とにかく証拠を集める
不倫慰謝料を請求したいのであれば、請求する側が不倫の証拠を集めなければなりません。
不倫の証拠とは、自分以外の異性とセックスをしているという証拠です。
基本的に肉体関係を証明しない限りは慰謝料を請求して裁判になった場合には、裁判に勝つのは簡単ではないと考えた方がよいでしょう。
不倫の定義とは、異性と不貞行為に及んだというものですので、客観的に「セックスをしている」という証拠を集めることができない限りは慰謝料請求をすることが難しいのです。
そして、最も確実な証拠が「ホテルに入る現場を抑える」というものです。しかし、一般の人がホテル前にカメラを持って張り込むということは決して簡単なことではありません。
そのため、「またセックスしたい」などの肉体関係があったことを客観的に示すことができるLINEの履歴などを抑える方法が有効でしょう。
「不倫をしているかもしれない」と考えると、感情的になってしまい、相手を問い詰める人も少なくありません。
しかし、証拠なしに相手を問い詰めると、相手も証拠を隠すようになり、慰謝料請求はより難しくなってしまいます。
まずは冷静に「再構築をするか慰謝料を取るか」を考え、慰謝料を取るのであればしばらく泳がし、客観的な証拠を集めるようにしましょう。
(2)探偵に依頼する
探偵に依頼して客観的な証拠を集めるのが最も確実です。探偵であれば、不倫相手とホテルに入る客観的な証拠を集めることができるので、自分がホテル前に待ち構えたり、相手のスマホをチェックしたりする必要はありません。
探偵費用は50万円以上になることも当たり前ですので、決して安くはありません。
しかし、慰謝料請求で数百万円を獲得することができるのであれば必ずしも赤字になるわけではありません。
自分の手で客観的な証拠を集めることができないのであれば、探偵に依頼し、ホテルに入る現場などの客観的な証拠を集められるようにしておきましょう。
セックスレスが原因の不倫慰謝料はいくら?
セックスレスが原因の不倫でも慰謝料を請求することができますし、実際に慰謝料を支払っている人も存在します。
セックスレス状態の不倫慰謝料はどの程度獲得することができるのか相場を確認しておきましょう。
基本的にはセックスレス状態での不倫慰謝料は良好な夫婦関係での不倫慰謝料よりも下がってしまう傾向があります。
(1)セックスレスではない場合の不倫慰謝料は200万円〜300万円
セックスレスではなく正常な夫婦関係であったにもかかわらず、配偶者が不倫した場合には200万円〜300万円程度が慰謝料の相場です。
夫婦の間に子供がいて、セックスも含めた夫婦関係がしっかりと構築できていたにも関わらず、配偶者の不倫によって夫婦関係や家庭が壊れてしまった場合には、配偶者に対する権利の侵害が重いと判断されて、慰謝料は相場よりも高額になる傾向があります。
場合によっては、300万円よりも高額になることもあります。
(2)セックスレス状態の不倫慰謝料相場は100万円〜200万円
一方、すでに夫婦関係がセックスレス状態であった夫婦のどちらかが不倫した場合の慰謝料は、100万円〜200万円程度と、金額的には少なくなってしまいます。
これは、不倫による配偶者への権利の侵害がそれほど重くはないと判断される可能性が高いためです。
夫婦がセックスレス状態だったということは、客観的に見て、セックスを定期的にしている夫婦よりは夫婦関係が良好ではないと判断されます。
つまり、不倫によって夫婦関係や家庭環境へ与えるダメージが、良好な夫婦よりは軽度と判断されるので、慰謝料の金額が少なくなってしまうことが多いのです。
セックスレス状態からの不倫でも慰謝料請求はできますが、金額的には多くを獲得することが難しいと考えておきましょう。
セックスレスが原因の不倫慰謝料を高くする方法
セックスレスが原因での不倫慰謝料は金額が下がってしまう可能性が高いですが、交渉を有利に進めて慰謝料を高くすることができる場合もあります。
慰謝料請求は基本的に交渉によって行われるので、ポイントは「いかに交渉を有利に進めるのか」という点です。
セックスレス状態での不倫慰謝料を高額にすることができる方法をご紹介していきます。
(1)弁護士などの専門家を立てる
慰謝料請求はいきなり裁判所へ申し立てをするわけではありません。
慰謝料請求は基本的に配偶者や不倫相手との交渉によって行うものです。そのため、自分名義で慰謝料請求を行うよりも、弁護士などの専門家を介して慰謝料請求を行った方が相手への圧力は高くなります。
一般の人は、ある日突然弁護士から内容証明郵便で慰謝料を請求されると精神的に萎縮します。自分1人で請求すると相手から軽んじられてしまうこともありますが、弁護士などの専門家を介すことで交渉は有利に進むことがあります。
(2)法的手段に出る可能性を示唆する
相手が慰謝料請求を交渉による和解に応じないのであれば、法的手段に出て、裁判も辞さないという覚悟を示すことも有効です。
一般の人は裁判になると、「不倫をした事実が公になってしまう」と萎縮します。
できる限り、穏便に済ませたいと考えるので、裁判などの法的手段に出られることは多くの人が嫌がるのです。
そのため、「和解に応じないなら裁判も検討する」と事前に示唆しておくことで、セックスレスだからと言って慰謝料を引き下げられる可能性を低減でき、こちら側が要求する通りの金額の支払いに応じる可能性があります。
(3)客観的な証拠を集めておく
慰謝料請求には客観的な証拠集めが大切です。不倫相手と肉体関係があったことを証明する写真はもちろん、配偶者の同僚や友人から「不倫をしていた」という証言を取ることも大切です。
証言を取ることによって、裁判になった時に有利になることはもちろん、配偶者の周りの人から証言を取ることによって、「周りには味方がいない」と精神的に追い詰めることができるためです。
精神的に追い詰められた人間は「早く楽になって解放されたい」と考えるものですので、こちら側が提示した慰謝料請求に応じる可能性が高くなるのです。
まとめ
セックスレスは不倫の原因になります。そして、日本人の半分程度がセックスレスだと言われているため、不倫は半分の夫婦にとって無関係の話ではありません。
セックスレス状態にある夫婦は、問題の深刻さを理解して、関係の再構築に努めた方がよいでしょう。
セックスレス状態にあったとしても、不倫は不倫ですので慰謝料請求は可能です。
ただし、慰謝料は相場よりも低くなることが一般的ですので、できる限り高額な慰謝料を請求したい人は客観的な証拠を集めると同時に弁護士などに早めに依頼するようにしましょう。