不倫に伴う経済的リスクは300万円以上?不貞行為における価値
不倫をすることは経済的なリスクが大きく伴う行為です。
不倫する女性は、不倫について「精神的に辛い」「女としての大事な時期が無駄になるかもしれない」「いつか捨てられるかも」と精神的な辛さを味わっている人も多いと思います。
しかし、不倫のリスクは精神的なものに留まりません。不倫には経済的な大きなリスクが発生するのです。
慰謝料の支払いはもちろん、今の収入を失ってしまうことや、個人信用情報がブラックになる可能性すらあります。
不倫に伴う経済的なリスクについて解説します。既婚者と恋愛関係になる場合には、経済的なリスクも考慮して感情だけで判断するのではなく、経済的合理性でも判断できるようになりましょう。
不倫は違法行為
不倫は法律に違反する違法行為です。あまり認識がない人も多いのですが、不倫については民法709条や710条に違反する「他人の権利を侵害する不法行為」に該当します。
刑事罰がないので、「違法ではない」と考えている人も多いのですが、違法行為ですので被害者から損害賠償を請求される可能性がある行為です。
犯罪とまではいきませんが、民法という法律を犯しているとは言えるでしょう。
(1)不貞行為があった場合
不倫と法律上認識されるのは、既婚者との間に不貞行為があった場合です。
不貞行為というのは肉体関係があったということで、基本的には肉体関係がなければ不法行為に該当しないと考えて問題ないでしょう。
(2)相手の配偶者は慰謝料を請求できる
結婚するということは、配偶者以外とは性的交渉をしないということですので、既婚者と不貞行為をした場合には、不倫相手の配偶者からは権利の侵害をされたことになってしまいます。
不倫によって権利を侵害された配偶者は不倫相手や配偶者に対して、損害賠償を請求することができます。
不貞行為があった場合には、基本的に損害賠償から逃れることはできません。
金額の交渉をすることはできたとしても、支払いそのものから逃れることはほぼ不可能と考えた方がよいでしょう。
(3)不貞行為がなくても慰謝料請求されることも
過去の判例では、相手との肉体関係がなくても精神的に恋愛関係にあったというだけで慰謝料の支払いが認められたものもあります。
あまりない事例かもしれませんが、精神的な不倫であるプラトニックな不倫というだけでも、配偶者からすれば権利の侵害と解釈されることもあるのです。
そのため、「肉体関係がない」というだけで100%慰謝料を請求されないとは限りません。
慰謝料の支払い
不倫は不法行為で相手の配偶者の権利を侵害しています。
権利の侵害の賠償金として、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
慰謝料の相場は決まっていますが、不倫相手と配偶者の夫婦関係によってさらに高額になることもありますし、反対に少額になることもあります。
慰謝料の相場と慰謝料が上がるケースと下がるケースについて解説していきます。
(1)慰謝料の相場は200万円〜300万円
不倫慰謝料の相場200万円〜300万円が一般的です。
不倫をすると「200万円以上の支払いをしなければならない」という経済的なリスクは頭に入れておいた方がよいでしょう。
(2)慰謝料が高額になるケース
不倫慰謝料は上記の金額が相場ですが、不倫慰謝料は不倫相手の家庭事情は夫婦の状況によってはさらに高額になる可能性もあります。
具体的にどのようなケースで慰謝料が高額になるのか詳しく見ていきましょう。
①不倫相手に子供がいた
不倫相手の夫婦に子供がいる場合には、慰謝料が高額になるケースがあります。
不倫によって、子供も含めた夫婦関係に損害を与えたことになるためです。
②不倫によって良好な夫婦関係が悪化した
不倫前は良好だった夫婦関係が不倫によって悪化した場合にも慰謝料の金額は高額になる可能性があります。
そもそも良好だった夫婦関係を不倫相手が壊したのですから、配偶者からすれば権利の侵害の度合いが大きくなってしまうためです。
③不倫によって別居した
不倫のよって夫婦が別居にいたってしまった場合にも慰謝料は高額になる可能性が高くなります。
夫婦関係を別居という夫婦関係の破綻寸前まで追い込んだのですから、配偶者からすれば権利の侵害は深刻です。
この場合には、慰謝料は400万円以上になる可能性もあることを覚悟した方がよいかもしれません。
(3)慰謝料が少額になるケース
一方、慰謝料が相場よりも少額になるケースもあります。
①不倫前から夫婦関係不仲だった
そもそも不倫前から夫婦関係が不仲であったような場合には、「不倫による配偶者への権利の侵害の度合いが低い」と判断されて慰謝料が低くなる可能性があります。
②不倫前から別居していた
また、不倫前から別居しており、すでに夫婦関係が破綻状態だった場合にも慰謝料は少額になるか、慰謝料請求自体認められない可能性があります。
ただし、単身赴任など仕事の都合で別居しているような場合には、慰謝料が下がることはありません。
あくまでも夫婦関係の不仲によって別居していた場合に限ります。
既婚者と恋愛関係になる場合には、既婚者の結婚生活や家庭生活がどうなっているのかを把握しなければなりません。
そもそも不仲で別居状態の場合には経済的なリスクは低いと言えますが、家庭環境が良好な人と不倫することは大きな経済的なリスクを背負うことになってしまいます。
自分1人が慰謝料を払う可能性も
慰謝料というと、何となく「不倫相手が奥さんと離婚するために奥さんに支払うもの」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?
確かに不倫を原因として離婚する場合には、そのように慰謝料が支払われるケースも数多くあります。
しかし、慰謝料は自分1人が支払わなければならないケースもあるので注意が必要です。
特に不倫相手が逃げてしまい奥さん側についてしまった場合には、自分は不倫相手から裏切られ、経済的なリスクも負うことになるので、精神的・経済的なダメージは相当深刻です。
自分1人が慰謝料を払わなければならないケースについて詳しく見ていきましょう。
(1)慰謝料は配偶者と不倫相手双方に請求できる
不倫の慰謝料は配偶者と不倫相手双方に請求することができます。
そのため、不倫をされた奥さんは慰謝料全額を不倫相手に請求することができますし、配偶者へ請求することも可能です。
不倫相手の配偶者が感情的になり「不倫女に復讐してやりたい」などと考えた場合には不倫相手である自分だけに慰謝料請求が行われることもあります。
(2)不倫相手が逃げた場合は自分が払わなければならない
不倫慰謝料は不倫によって離婚する場合には不倫相手が「俺が払うから」と男らしく支払ってくれることもあります。
しかし、不倫相手が逃げてしまい、奥さんの言いなりになってしまったら全額自分に請求が来てしまうこともあります。
結局、不倫慰謝料は不倫がバレて追い詰められた時、相手がどのような対応をするのかによって自分の支払金額が大きく異なります。
そして、多くの場合、不倫中は相手が追い詰められた時にどんな対応をするか分かりません。
「妻とは離婚する」と言っている男性も結局別れずに、バレた時には妻の言いなりになるというのはよくある話です。
不倫は大きな慰謝料の支払いリスクと隣り合わせということをよく認識する必要があるのです。
職場に知られる可能性
さらに、不倫をして慰謝料を請求されると職場にバレてしまう可能性があります。
職場内不倫でもない限り、大きな騒ぎにならなければ不倫は周囲に秘密にすることができます。
しかし、不倫相手の配偶者に不倫がバレてしまうと、職場内不倫でもないのに職場に不倫をしていることがバレてしまうことがあります。
職場に不倫がバレてしまうリスクは深刻です。
出世に影響するかもしれませんし、会社の人から白い目で見られてしまう可能性が非常に高いので、何となく社内に居づらくなり、場合によっては会社を退職せざるを得ないことになってしまうケースもあるのです。
不倫によって職場に不倫を知られるリスクをしっかりと認識しておきましょう。
(1)慰謝料請求はある日突然やってくる
慰謝料の請求は、請求される前に何か予兆があるわけではありません。
ある日突然、慰謝料の請求が届くことが一般的です。
請求させる側とすればバレていないと考えていても、突然請求が来て「バレていた」ということを知らされ、突然数百万円もの高額な慰謝料請求が行われることになるので、心理的にはかなり動揺することになってしまうでしょう。
(2)勤務先に乗り込まれるケースも
また、請求の方法もこれと言って決まった形があるわけではありません。
内容証明郵便で届くこともありますし、自宅に突然不倫相手の奥さんが乗り込んでくることもあります。
また社内不倫の場合には勤務先に突然乗り込んでくることもあります。
どんな方法で慰謝料請求が行われるかは分かりませんので、不倫が会社にバレる可能性を完全に防ぐことは不可能です。
(3)裁判になったら職場にバレる可能性大
慰謝料の請求がくると、最初は当事者か弁護士を交えた交渉になります。
交渉が決裂すると裁判所を交えた話し合いである調停になり、調停でも和解できない場合には裁判になってしまいます。
裁判は誰でも傍聴することができるので、可能性としてはバレてしまうこともあります。
しかし、一般的に会社の人が「どんな裁判が行われているのか」ということを調べることもありませんし、傍聴することもないため、裁判自体が会社にバレる可能性は少ないでしょう。
しかし裁判は平日行われるので、裁判のたびに会社を休んでいたら会社に不倫裁判をしていることがバレてしまう可能性もありますし、弁護士を立てれば会社にバレる可能性は少ないですが費用がかかってしまうでしょう。
給与の差し押さえの可能性
不倫によって給料が差し押さえられる可能性があります。これは慰謝料を支払うことができない場合に起こりうることです。
慰謝料の支払いからは逃れることはできません。
約束した期日までに慰謝料を支払うことができないと、不倫相手の配偶者が怒って法的な措置に出てくる可能性があり、この場合には給料を差し押さえられる可能性があるのです。
なお、不倫による慰謝料トラブルを上手く会社に隠すことができた人でも、給料の差し押さえが行われると、確実に会社にはバレてしまうことになります。
どんなケースで給料が差し押さえられてしまうのか、詳しく確認しておきましょう。
(1)「お金がないから払えない」は通じない
慰謝料は和解や裁判所から支払いを命じられたら、必ず払わなければならないお金です。
このため、お金がないから払えないは通じません。相手との交渉によって減額や分割にすることができる可能性はありますが、相手が分割に応じてくれないような場合には一括で支払う必要があります。
(2)財産の差し押さえが行われることも
お金がないという理由で、慰謝料を支払わないと裁判所に申し立てが行われ、財産が差し押さえられる可能性があります。
また、慰謝料の支払いについて、公正証書で支払い内容を約束した場合には、裁判なしで財産を差し押さえられることも可能です。
「慰謝料を支払う」と約束したものに関しては、借金と同じ債務になりますので、債務を払わないと財産の差し押さえが行われる可能性もあるので要注意です。
(3)給料が差し押さえられたら確実に会社にバレる
財産の差し押さえは不動産や預金だけが対象になるわけではありません。財産の差し押さえは給料に対しても行われます。
給料は4分の1もしくは35万円を超えている場合には超えている部分全額を差し押さえることができます。
給料の差し押さえは裁判所から勤務先に対して通知がいきます。
給料が差し押さえられてしまうと確実に会社にバレて、社内の人の多くが自分が不倫していることを知る可能性があり、結果的に会社に居ることが難しくなり、収入の道が絶たれてしまうこともあるでしょう。
個人信用情報がブラックになる可能性
慰謝料を支払うことができないと、個人信用情報がブラックになってしまう可能性もあるということも不倫による経済的なリスクとして頭に入れておきましょう。
慰謝料を請求されることそのものは個人信用情報とは何も関係がありません。
しかし、請求された慰謝料を払うことができずに、財産の差し押さえが行われると、お金を借りている銀行が信用情報をブラックにするペナルティを課してくることがあります。
不倫によって個人信用情報がブラックになる具体的なケースをご紹介していきます。
(1)預金が差し押さえられたら銀行にもバレる
前述したように、慰謝料の支払いを行わないと、財産の差し押さえが行われることがあります。
預金や住宅などの財産が差し押さえられてしまった時、住宅ローンを借りていた場合には、銀行の抵当権がついている物件が差し押さえられるということです。
また、不動産が差し押さえられるということは、預金の差し押さえも行われるので、ほとんどの銀行へ裁判所から差し押さえの通知がいくことになります。
ここで銀行は住宅ローンを融資していた顧客が差し押さえの対象になっているということに気づきます。
(2)銀行は差し押さえに気づいたら代位弁済をする
銀行は融資をしている顧客が差し押さえの対象になったら、融資金の返済が危うくなると考えます。
そこで、貸し倒れを防ぐために、保証会社に対して代位弁済の請求をあげることがあります。代位弁済とは、融資金の残高を保証会社が銀行に保証(返済)することです。
(3)代位弁済で信用情報はブラックになる
代位弁済は金融事故情報ですので、代位弁済が行われると個人信用情報はブラックになります。
ブラックになると、以後どこからもお金を借りることができなくなり、スマホを分割で購入することや、保証会社付の賃貸物件を借りることもできなくなります。
ただでさえ慰謝料を払うお金がないのに、どこからもお金を借りることができなくなり、日常生活まで大きく支障をきたしてしまう可能性もあります。
慰謝料の未払いで財産の差し押さえまで行われるかどうかは分かりません。
しかし、相手が「絶対に許さない」と考えている場合には、徹底的に追い詰められてしまう可能性も十分にあります。
不倫から生じる経済的リスクについて十分に認識しておきましょう。
まとめ
不倫が相手方の配偶者に発覚すると、200万円〜300万円程度の慰謝料を請求されるだけでなく、会社にバレて仕事を続けられなくなったり、個人信用情報がブラックになってしまったりすることもあります。
不倫は精神的なリスクだけでなく、経済的なリスクが甚大です。感情だけでなく金銭的なリスクも十分に考慮するようにしましょう。