LINEのトーク履歴は不倫の証拠になる？配偶者の不貞行為を追求する際の注意点

ネット全盛の現代社会では、浮気相手とのやりとりに電話や手紙といったアナログな方法ではなく、メッセージアプリを使います。

メッセージアプリの代表的ツールがLINEアプリです。LINEアプリのトークを使って浮気相手とつながり、不倫をする場所や日時などを連絡して肉体関係におよぶケースはめずらしくありません。

そこでこの記事では、配偶者に浮気された人や、配偶者の浮気を疑っている人に向けて、LINEトークの履歴を不貞行為の証拠として使う方法を紹介します。

不貞行為の証拠に必要な条件や、証拠集めをする際の注意点も詳しく説明しているので参考にしてください。

LINEトークの履歴は不貞行為の証拠になる

不貞行為を理由に、配偶者や浮気相手を責めたり慰謝料請求をしたりするためには、「証拠」が必要です。
証拠がなければ、ただの言いがかりになってしまうからです。

（1）不貞行為を証明するには証拠が必要

配偶者の不貞行為をバッシングするためには、不倫や浮気の事実を直接・間接に証明する証拠が必要です。

不貞行為相手との連絡手段として、特に利用されることの多いツールがLINEトークです。

ではLINEトークの履歴は、確固たる不貞行為の証拠になるのでしょうか。

（2）LINEトークの履歴を不貞行為の証拠にするには？

不貞行為を証明するためには、配偶者と不倫相手の肉体関係を示す証拠が必要です。

法律上、証拠には直接証拠と間接証拠があります。
LINEトークの履歴を不貞行為の証拠にするためには、直接証拠または間接証拠のどちらかに該当する必要があります。

そこでまず、直接証拠と間接証拠の意味を簡単に確認しましょう。

（3）直接証拠とは

法律が定める一定の効果（たとえば損害賠償責任の発生）の根拠となる事実を主要事実と言います。主要事実の存在を証明する証拠が「直接証拠」です。

不貞行為の直接証拠は、「実際に不倫があったこと」を証明できる証拠でなければなりません。

たとえば、配偶者が不倫相手と性行為におよんでいる現場に乗り込んで撮影した動画や写真などです。

（4）間接証拠とは

主要事実があるだろうと推認させる事実を間接事実と言います。間接事実の存在を証明する証拠が「間接証拠」です。

不貞行為の間接証拠は、直接証拠とは異なり、「実際に不倫があったかもしれないこと」を証明できる証拠で足ります。

たとえば、配偶者が不倫相手に対して、メールやLINEで「昨日のセックスは最高だった。次はいつにする？」といった文章を送っていれば、不貞行為の間接証拠となります。

（5）トークの内容次第

以上の理解を前提とするなら、LINEのトーク履歴が不貞行為の証拠になるか、なるとして直接証拠・間接証拠どちらになるかは、実際のトークの内容次第ということになります。

トークのなかで、性行為の様子を自撮りした動画や写真が貼り付けられていれば、直接証拠となるでしょう。

他方、単に文字情報だけの場合は、間接証拠にとどまります。しかも表現次第では、間接証拠にさえならないこともあります。

たとえば、「昨夜のあなたは力強くて素敵だったわ」といった言葉がトークに残っていたとしましょう。

このような言葉は、相手女性との親密さを証明する証拠にはなりますが、肉体関係があったことを証明する間接証拠にはなりえません。
「力強くて素敵」と書いた理由は、男性が女性の前で腕立て伏せを100回やってみせたから……かもしれないのです。

つまり、動画や写真を伴わない言葉だけのLINEトークが間接証拠となるためには、「あなたとはセックスの相性がいいみたい。今度はいつ会えるの？」といったかなり直接的な表現が必要となるわけです。

不貞行為の証拠になるLINEトークの具体例

一口にLINEトークの履歴といっても、内容は様々です。以下では、LINEトークの内容を段階的に挙げた上で、不貞行為の証拠として使えるかどうかを確認します。

（1）性行為の写真や動画

不倫相手との性行為をスマホのカメラなどで撮影したデータは、肉体関係の存在を直接示すものですから、不貞行為の直接証拠です。

脇の甘い配偶者だと、不倫相手とのLINEトークの中で、スマホで撮影した写真や動画をわざわざ貼り付けているケースもあります。
写真や動画を押さえられてしまえば、浮気をした配偶者はもう言い訳できません。

配偶者の浮気を疑ったら、まずスマホのLINEトークをチェックし、性行為を撮影した写真や動画がないか確認してください。

（2）性行為がすでに行われたことを示唆するトーク

LINEトークの中に写真や動画が貼り付けられていなくても、性行為がすでに行われたことを示唆する言葉があれば、不貞行為の間接証拠として使える可能性があります。

たとえば、「会社で仕事をしているときのあなたと、ベッドの中のあなたは、まるで別人ね」「昨日はどうしたの？いつもより何倍も気持ちよかった」といった言葉です。

こういったトークは、配偶者と不倫相手との間に肉体関係があったことを示唆しているので、間接証拠として使える可能性があります。

ただし後ほど触れるように、LINEトークの画面はアプリで簡単に偽造できるので、言葉だけのやりとりだと相対的に証拠としての価値が落ちることに注意してください。

（3）性行為がこれから行われることを示唆するトーク

LINEトークで、配偶者と不倫相手が「明日は何時に待ち合わせする？」「いつものホテルのロビーで」といったやりとりをしていたとします。

常識的な感覚では、このようなやりとりをする男女間には肉体関係があるだろうと推察できます。

ただ、このような言葉のやりとりだけでは、肉体関係の存在は推認できません。なぜなら、ホテルのロビーでの待ち合わせは、仕事でもしばしばあるからです。

もっと不貞行為を具体的に示唆する言葉がないかぎりは、不貞行為の間接証拠にもなりえないことを押さえておきましょう。

（4）不貞行為（不倫関係）を認めるトーク

LINEトークの中で、相手の女性が「私たちって、不倫してることになるよね？」と問いかけ、配偶者が「まあ……そうなるかな。
お前もわかってると思うけど、このことは絶対に誰にもバラすなよ？」などと答えていたとします。

このような言葉のやりとりに、肉体関係を直接うかがわせる内容は含まれていません。
しかし「不倫」を認める言葉はしっかり書き込まれています。

常識的に考えるなら、不倫関係とは「配偶者のある男性または女性が、配偶者以外の女性または男性と肉体関係を持つこと」とほぼ同義です。
したがって不倫を認めているLINEトークのやりとりは、不貞行為の間接証拠として使える可能性があります。

LINEトークの履歴を証拠とするための注意点

ここまでLINEトークが不貞行為の証拠となるかどうかを説明しました。
ただ、実際にLINEトークを証拠として使うためには、配偶者のスマホを操作し、トーク画面を撮影する必要があります。

そこで以下では、LINEトークの画面を撮影する際の注意点について説明します。

（1）自分のスマホで撮影する

配偶者のLINEをチェックしたら、知らない女性とのトークで不倫を匂わせていた……。
もしそうなったら、信じていた配偶者に裏切られたショックで、その場でトーク画面のスクショを撮影し、自分のスマホに送信しようと試みるのではないでしょうか。

しかし、その行動は間違いです。

LINEトークの画面は、アプリで簡単に偽装できます。したがって、不倫を示唆するトーク画面を撮影して、その画像を証拠として配偶者や相手方を追求しても、「アプリで偽装した画像だ！」と反論されてしまうでしょう。

もし裁判でこのように反論された場合、スクショ画像が本物であることを改めて証明する必要があります。

ではそのスクショ画像が、浮気をした配偶者のLINEトークを撮影したものだと、どうやって証明するのでしょうか？

トーク画面以外に、スマホの外観も一緒に撮影しているでしょうか？
トークで表示されているアイコンは、配偶者や不倫相手の名前を特定できるものでしょうか？

このように、スクショ画面を撮影した画像だけでは、偽造の可能性を排除しきれないのです。

解決方法は明確です。

LINEトークの画面を開いたら、その画面を「自分のスマホ」で撮影してください。
その際、配偶者のスマホであることが分かるように、スマホ本体の表裏も撮影します。

スクショ画面を開いた状態のスマホの外観と、スマホ本体の表裏デザイン等が一致してはじめて、そのスクショが配偶者のものだという推定が成り立つわけです。

（2）決定的なトークの前後も含む全体を撮影する

LINEトークで不倫を示唆するやりとりを撮影する際は、核心にせまるやりとりだけでなく、その前後のやりとりも含めて撮影してください。
これも偽造の疑いを減らすために必要なことです。

たとえばトークの中に「ベッドの上の君はまるでアスリートだね。すごく激しかったよ」といった言葉があったとしましょう。
この言葉だけなら、肉体関係を示唆していると言えます。

しかし、仮に「私、腕立て伏せには自信があるのよ。毎日ジムで鍛えてるんだから」といった言葉が続いたとしたら、肉体関係の間接証拠ではなく、単にベッドの上で運動をしていたことの間接証拠になるだけです。

このような失敗をしないためには、LINEトークの画面を撮影する際は、やりとりの全体を撮影することが肝心です。

（3）バレないように注意

配偶者のスマホを操作して、個別のLINEトークをチェックするときは、バレないように注意してください。

LINEトークを読むと「既読」と表示されます。これを放置すると当然スマホをチェックしていることが配偶者にバレてしまいます。
そうなると配偶者と不倫相手は、二度とLINEでやりとりしなくなるので、以後、浮気の証拠集めは難しくなるでしょう。

したがって、配偶者のLINEトークをチェックする際は、既読にならない手順を踏む必要があります。
「機内モードをオンにした状態で読む」など、既読をつけずに読める方法があるので、正しい手順を調べて、その通りに実行しましょう。

（4）パスワードでロックされている時の対応方法

浮気をするような配偶者は、LINEアプリやスマホ本体にパスコードロックを設定している可能性があります。
パスコードロックがかかっていると、解除しないかぎりトーク画面は開けません。

LINEアプリの場合、パスコードを知らない人がロックを解除するためには、アプリを削除して再インストールするしかありません。
この方法だと過去のトークがすべて消えてしまうので無意味です。

パスワードロックされている場合は、無理にロックを解除せず、「そういえば、なんでスマホにロックかけてるの？もしかして浮気してる？」というように、配偶者にあえて探りを入れてみましょう。

自分が潔白だと主張してきたら「じゃあロック解除して、LINEトーク見せてよ」と、さらに揺さぶりをかけてください。
配偶者が強く拒絶したら、浮気をしている可能性があります。

その場合は、スマホから証拠を押さえることはいったん諦めて、探偵を使った調査など他の方法を模索しましょう。

LINE以外のメッセージアプリも要チェック

不倫相手とのやりとりをするツールは、LINEアプリだけとは限りません。

Facebookのメッセンジャーアプリ、スカイプ、カカオトーク、バイバー等、様々なツールがあります。
もし配偶者のスマホにこれらのアプリが入っていたら、隙を見てメッセージの内容をチェックしましょう。

また、チャットワークやSlackといったビジネス用アプリにも注意してください。
ビジネス用アプリなので、「まさか不倫相手とのやりとりには使わないだろう……」とスルーしてしまいがちです。

しかしビジネス用のメッセージアプリには、LINEと同様に、個別にメッセージをやりとりできる機能が付いているので、不倫相手との連絡ツールとして十分使えます。
これは意外に盲点ですので、配偶者の浮気をチェックする際は注意しましょう。

まとめ

浮気をすっきり解決するためには、「はっきりした証拠」が欠かせません。
単に疑惑があるだけという状態で配偶者を責めると、もし浮気がなかった場合に夫婦関係が一気に冷え込みかねないからです。

また、不倫の証拠を押さえようとしていることがバレても、やはり夫婦関係に大きく影響します。

本記事の内容を参考にして、できるだけバレないようにLINEトークの履歴をチェックして、不貞行為の確実な証拠を押さえるようにしましょう。