不倫を弁護士に相談・依頼|慰謝料や離婚など5つの相談のタイミング
この記事に目をとめてくださった方の中には、夫や妻の不倫で悩み、弁護士に相談しようか考えている方が多いと思います。
弁護士への相談というと、敷居が高く感じ、どのタイミングで相談したらいいか悩んで躊躇される方も少なくありません。
しかし、そうは言っても専門家の話を聞いてみたい、弁護士のアドバイスが欲しい、相談のタイミングが知りたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、不倫問題を弁護士に相談したり、依頼したりする際の最適なタイミングについて解説します。
不倫が怪しいタイミングで弁護士に相談できるか?
みなさんの中には、すでにいくつかの弁護士事務所のホームページを見てみたという方もいらっしゃるかと思います。
今後の慰謝料や離婚の対策について書かれているものや、過去の裁判例などの記載を見ると、まだ不倫の事実がつかめておらず、怪しいタイミングで弁護士に相談できるか、かえって悩まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、不倫が怪しい段階でも弁護士に相談することができます。
この時点で弁護士に相談するメリットとしては、不倫の証拠集めについてのアドバイスを受けられること、不倫が事実だった場合の今後の対応のアドバイスが受けられることがあります。
弁護士への不倫相談をすべき5つのタイミングとは
(1)不倫が疑われるとき
夫や妻の不倫が疑われる段階は、弁護士に不倫相談できる最初のタイミングです。
前述のように、不倫の証拠集めについてのアドバイスを受けることで、不倫が事実だった場合に、慰謝料や離婚の請求を有利に進めることができます。
具体的には、ラブホに出入りする写真や、肉体関係があったことを示すメールのやり取りなどが有力な証拠になります。
しかし、特にメールやSNSのやり取りを証拠化する際には、相手のプライバシー権の侵害などに注意しなければ、せっかく証拠を入手しても裁判で使えなかったり、逆に損害賠償を請求されたりする恐れもあるので、事前にアドバイスを受けておくと安心です。
(2)不倫慰謝料を請求したいとき
配偶者の不倫が事実だった場合、不倫した配偶者と不倫相手に対して慰謝料を請求できます。
しかし、慰謝料が請求できる「不倫」については、勘違いをしている人がいるのも事実です。
そもそも慰謝料が請求できる不倫は、法律上の不倫である「不貞行為」、つまり性交渉があった場合に限られます。
キスやデートも不倫と考えて請求し、相手が払うのは自由ですが裁判では認められません。裁判では、一緒に食事や旅行に行ったものの性交渉がなかったケースで不倫慰謝料が認められた例がありますが、極めて例外的な事例です。
また、不貞行為があっても、夫婦関係が破たんしていたり、不倫相手が配偶者を独身と信じていたりしたような場合、時効にかかっていた場合などは慰謝料が請求できない場合もあります。
弁護士に相談することで、慰謝料が請求できるケースの見極めがつきますし、請求する場合の妥当な金額のアドバイスも受けられます。
また、弁護士名で慰謝料を請求することで、相手に本気度が伝わって早く支払いに応じるといった心理的効果も期待できます。
(3)不倫が原因で離婚を検討しているとき
日本では、離婚届けに署名押印して役所に提出すれば離婚が成立しますが、実際に離婚する際には決めなければいけないことが数多くあります。
具体的には、夫婦が結婚中に築いた財産を分ける財産分与や、年金の受給資格をわける年金分割、未成年の子供がいる場合は親権者の指定は離婚の条件ですし、養育費の支払い額や支払い方法、未払いになった場合に備えた対策も必要になります。
これらをあやふやなまま勢いで離婚してしまうと、本来もらえるはずの財産が相手に亘ってしまったり、子供の親権を不倫した配偶者に取られてしまったりなど、デメリットを背負いかねません。
離婚を検討している場合は、できるだけ早く弁護士に相談して、有利な条件で離婚ができるように対策を進めることをおすすめします。
(4)離婚後の子供の親権や養育費でもめそうなとき
前述のように、夫婦に未成年の子供がいる場合、親権者を決めることは離婚の条件です。
子供の親権者は、子供が落ちついてできるだけ変わりない環境で生活できるかという「この福祉」の観点を重視して決められます。
そのため、離婚原因が配偶者の不倫にあったとしても、この福祉から不倫した有責配偶者側に親権が認められることもあるのです。
また、養育費は、子供の年齢、人数、夫婦の収入で決まり、子供が成人するまで払われるのが原則ですが、8割が途中で未払いになるのが実情です。
しかし、養育費の取り決めをする離婚の時点で対策を取っておくことで、未払いになった場合でも確実に回収するプランを立てておくことができます。
子供の親権をとり、子供が安心して生活できるようにするためにも、子供のことでもめそうな場合は、まずは弁護士に相談してください。
(5)一旦不倫で離婚したが、離婚条件を変更したくなったとき
離婚条件は、当事者が合意したものなので、一旦決めた後は原則として変更できません。
しかし、その後に大きな事情の変更があった場合は、離婚条件を変更できる場合があります。
例えば、父親が無職だったが、離婚後正社員になり収入が増えたので養育費に反映させたいケースなどが顕著です。
このような場合は、弁護士に相談して、適切な方法で条件変更を進めるようにしましょう。
不倫で離婚したい場合に弁護士に依頼するタイミング
不倫で離婚したい場合は、離婚を検討した時点でまずは弁護士に相談しましょう。
そうすることで、上記でご説明したような慰謝料や財産分与、子供の親権などについてもあらかじめアドバイスを受けて検討を進めることができるからです。
なお、弁護士への離婚相談をより有効なものにするために、次のような準備をしておくとさらに具体的なアドバイスが期待できます。
①慰謝料の希望額と不倫相手の情報
不倫が原因で離婚する場合は、慰謝料請求と離婚を一緒にすることも多いです。慰謝料は、配偶者と不倫相手の双方に請求できるので、不倫相手の情報や、不倫の経緯がある程度わかっていれば、妥当な慰謝料額や請求方法についてもアドバイスを受けられます。
配偶者に対する慰謝料請求は、離婚慰謝料と不倫慰謝料を一緒に請求するのが通常なので、場合によっては後でお話する財産分与と一緒に、不動産などをあてることもあります。
ご自身の希望がある程度わかっていると、見通しを立てたアドバイスが受けやすくなります。
②資産状況の把握
財産分与の際は、夫婦の資産状況があやふやなままだと、本来受け取ることができる財産をもらい損ねることがありますし、特に、マイホームがあり、同時にローンも残っている場合は、時価とローン残高の家系で財産分与の方法が変わってきます。
今後の生活の拠点をどうするか、不倫慰謝料の支払いも財産分与に入れるのかなど、資産状況によって取るべき対応が変わってきます。
ある程度で大丈夫なので、資産状況を踏まえて弁護士に離婚相談をすると、より効果的な離婚の対策が取れるのでおすすめです。
③親権をどうしたいか
親権者の決定は、未成年の子がいる夫婦が離婚する際の条件です。親権を取りたい場合は、離婚後の生活拠点の確保と収入の確保は必須の条件になります。
特に、結婚中は専業主婦だったという場合は、離婚後に子供を抱えて生活することは大変なことが多いので、働くアテはあるのか、実家の支援は受けられるのかなど、ある程度見通しを立てたうえで弁護士に相談すると、親権獲得に向けた具体的なアドバイスが期待できます。
不倫問題をベストなタイミングで弁護士に依頼した場合の手続きの流れ
(1)話し合いの代行
当事者に代わって話し合いや交渉をすることは、法律家の中でも弁護士しかできない業務です。
弁護士に依頼することで、直接話したくない不倫した夫や妻、その不倫相手とご自身の代わりに話し合いをしたり交渉を進めてもらったりすることができます。
(2)慰謝料請求の代行
不倫(不貞行為)の事実がある場合は、不倫した配偶者とその不倫相手の双方に対して不倫慰謝料を請求することができます。
慰謝料請求は、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは書面で請求し、相手が応じなければ第三者を入れた話し合い(調停)や裁判井移行していきます。
この手紙も、弁護士が代理人として弁護士名で出すことで、相手に本気の度合いが伝わり、裁判所の手続きに移行する前に素直に支払いに応じやすいメリットがあります。
(3)調停や裁判の準備・出廷
当事者の話合いで、慰謝料や離婚について合意できなかった場合は、第三者を入れた話し合いである調停に移行します。
調停は、決められた日に裁判所の一室を使って行われます。弁護士に頼めば、ご自身の代わりに裁判所に出向き、調停の話合いを進めてもらうことができます。
調停は、通常3ヶ月程度で終了しますが、それでもまとまらなければ裁判手続きに移行していきます。裁判になると、長くて数年かかるので、負担も大きくなります。
しかし弁護士に依頼することで、裁判所に提出する書面の整備などの諸手続きから、本人に代わって出廷することまで、すべて任せることができます。
裁判では、出廷しなければ相手の言い分を認めて負けたことになってしまうので、弁護士に代わりに出廷してもらえることは、日常生活への負担を減らすうえでも非常に有効です。
(4)離婚後の生活に向けた対応
弁護士に依頼することで、離婚後に利用できる公的サポート支援のアドバイスなどを受けることができます。また、養育費の支払いが滞った場合などに備えて、いざというときに相手の財産を差し押さえられる書類を整備してもらうことも可能です。
不倫をいいタイミングで弁護士に相談したい場合の注意点とは
不倫問題を弁護士に相談する場合、多くの場合弁護士探しからネックになるのではないでしょうか。良いタイミングで弁護士に相談するために、弁護士探しの際のチェックポイントを抑えておきましょう。
①インターネットで弁護士を探す場合
「不倫」「慰謝料」「離婚」「弁護士」など、悩み事を検索ワードで調べ、これに加えてご自身の住所地の都市名を入れると、地元の弁護士で不倫問題を扱っている弁護士が見つけやすくなります。
②ホームページの見方
不倫問題を弁護士に相談する際には、不倫問題の経験豊富な弁護士に依頼したいものです。ホームページ上で、不倫に関して解説がされているか、場合によっては守秘義務に反しない程度で事例の紹介がされているかなど、知識や経験値をチェックしてください。
個別の相談先が見つからないときは、各都道府県の法テラスなどを利用するのも有効な方法です。
③明朗会計であること
最近は、法律相談料は無料という弁護士も増えていますが、相談料の場合は30分5,000円+税、1時間の場合は10,000円+税というのが弁護士会の相場です。
しかし、実際に依頼するとなると、弁護士費用は事務所によってかなり変わります。事件の成功・失敗に関わらず発生する着手金は幾らか、日当はどのように発生するか、報酬はどのくらいかなど、ホームページで確認し、更に法律相談できちんと答えてくれるか、しっかり吟味してください。
まとめ
今回は、不倫問題を弁護士に相談する際のタイミングについてお話させていただきました。早い段階から弁護士に相談できること、相談できる内容の幅広さに驚いた方もいるかもしれません。
不倫でお悩みの場合は、できるだけ早く専門家に相談することで、有効な今後の対策を講じ、安心につなげることができます。
配偶者の不倫でお悩みの場合は、まずはお気軽に弁護士の相談窓口を利用してみてはいかがでしょうか。