夫(妻)が不倫していることを知っているけど何もできないあなたに送る解決方法
あなたは、夫や妻が不倫している事実を知ったけれど、具体的に何をしたらいいかわからない、何もできずにお悩みかと思います。
不倫が発覚すると、すぐに慰謝料請求や離婚を考えがちですが、離婚後の生活や、子どもに与える影響、家族関係の悪化などを考えると、なかなか行動を起こせないという方も少なくありません。
不倫を知っても何もできない自分が悔しい、何かしたいけれどどうしたらいいかわからない、家庭を壊さずに何かしたいなど、やり場のない気持ちを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本ページは、配偶者の不倫を知っても何もできないとお悩みの方でもできる問題の解決方法をご紹介します。
不倫を知ってすぐに行動できなくても大丈夫。これだけやっておくべきただ1つのこと
配偶者の不倫を知ったけれどショックで何もできない方、離婚や養育費の問題など検討すべき事項が多すぎて何をすべきか分からないという方は少なくないのではないでしょうか?
そのような方も、次にお話しするただ1つのことをしておけば大丈夫です。
それは、「不倫の証拠集め」です。
家庭の事情や子どもの年齢、ご自分の気持ちが原因で今すぐに何かをできなくても、数年後、数十年後に状況が変わったり、歳をとってから配偶者の昔の不倫が思い出されて許せなくなったというケースもあります。今なにもできなくても証拠集めだけをしておけば、「いつか」のために備えることができます。
具体的な証拠集めの方法としては次のようなものがあります。
- ラブホに出入りする現場など、不貞行為の証拠写真を撮る
- 高価な買い物のクレジットカード使用履歴ややETCの仕事外利用の情報を集める
- 服のポケットに入れたままのラブホのレシートなどを集めておく
- スマホの電話履歴などを調べておく
- 探偵に不倫の調査を依頼しておく
不倫で請求できる慰謝料請求の権利は3年で時効にかかりますが、配偶者への慰謝料請求権は離婚するまで消えません。今証拠だけ確保しておけば、いつか状況が変わった時に、ご自身の希望に沿った対応がしやすくなります。
夫や妻に不倫された人がよく取る4つの対処方法
今どうしたらいいかわからなけれど、同じように夫や妻が離婚した人が通常どういう対応をしているのか知りたいという方もいらっしゃると思います。ここでは、よくある4つの対処方法をご紹介します。
(1)何も知らなかったことにする
配偶者の不倫を知った方の中には、事実を知っても何もしない、知らなかったことにするという方は少なからずいらっしゃいます。相手を問い詰めて夫婦関係を悪化させたくない、不倫は許せないが離婚すると生活できない、子どもが大きくなるまでは我慢するなど、状況や考え方によって理由は様々です。
配偶者の不倫を知ったからと言って、無理をしてでも何か行動を起こさなければいけないということはありません。あなたは、不貞行為によって慰謝料を請求する権利を持っており、その権利を行使するかどうかはあなたの自由なので、何も知らないことにしても構いません。
ただ、今は何もしなくても、いつか行動したくなった時のために証拠の保全だけはしておくことをお勧めします。
(2)不倫を許して結婚関係を続ける
配偶者の不倫を知ったけれど、話し合って相手を許し、離婚しないという方法です。この場合、離婚はしないけれど慰謝料は請求するという方も多いです。
慰謝料は、夫婦が互いに負う貞操義務に違反したことによる精神的苦痛を理由に請求できる損害賠償の一つで、ご自身の配偶者とその不倫相手の双方に請求できます。全体で200万円の慰謝料が発生した場合、配偶者または不倫相手にだけ全額請求しても、配偶者と不倫相手に100万円ずつ請求しても構いません。
(3)結婚関係を続けるが自分も不倫する
配偶者が不倫をしたことにショックを受け、自分も不倫をすることでバランスを取ろうとする方法です。夫婦関係や気持ちのバランスが取れるように思うかもしれませんが、これはとてもリスクの高い方法です。というのも、自分が不倫をすると、配偶者はあなたとその不倫相手に対して慰謝料を請求したり離婚することを求められます。不倫した配偶者であっても慰謝料を請求したり、離婚できることに変わりはありません。
また不倫相手も結婚しているダブル不倫の場合は、不倫相手の夫や妻(配偶者)からも慰謝料を請求されます。
(4)離婚する
不倫、つまり不貞行為は、法律で認められた離婚事由の一つです。そのため、配偶者が不倫を認めないとか、不倫を認めても離婚に応じないといった場合に離婚裁判になると、必ず離婚が認められます。
不倫が離婚のきっかけとなる場合は、結婚中に築いた財産を等分する財産分与や、将来の年金を受け取る権利の年金分割に加え、慰謝料を請求するのが通常です。ただ、夫婦に未成年の子どもがいる方は、離婚後の親権の獲得に注意してください。
親権を誰が持つかは、子どもの生活と将来のために、親の収入や生活環境をもとに判断されるので、状況によっては不倫をした有責配偶者側に親権が認められるケースもあるのです。離婚したいけれど親権を持ちたい方は、離婚後の住居と収入源を確保しておくことが、親権獲得を有利に進めるために重要です。
夫や妻の浮気相手に復讐できる?
夫や妻に不倫をされた側は、不倫をした配偶者や不倫相手に復習をしたいと考える人が多いです。
復讐することはできます。ただし、復讐方法はよく検討すべきです。
実際にあるケースとしては、不倫相手の家に押しかけて脅して別れを迫る、SNSに誹謗中傷を書き込む、配偶者や不倫相手の会社に押しかけるといったものです。しかし、これらは、暴行、名誉棄損、業務妨害などの犯罪にあたる可能性があり、民法上の不法行為にあたるとして損害賠償を請求されうる行為なので絶対に避けるべきです。
では、何が一番有効な復讐方法かというと、それは慰謝料請求です。慰謝料請求は復讐ではなく権利だと思う方もいるかもしれませんが、相手にダメージをあたえ、ご自身の今後に役に立つという点で、慰謝料請求に勝る復讐方法はありません。
慰謝料額は、離婚しない場合は数十万~100万円、離婚する場合は200万程度が相場ですが、相手の資産状況や不倫の程度によって100万~500万円と相場には開きがあります。経済的に余裕がない限り、こういった金額を払うのは簡単ではありません。
非正規社員などさほど給与が高くない相手に数千万円の慰謝料を請求するなど、社会的に妥当性を欠くケースは権利の濫用として認められませんが、相手にペナルティとなる金額を見極めて請求することはとても有効な復讐になります。
夫や妻の不倫が本気だったら?本気の不倫でとるべき方法
夫や妻が不倫相手に本気になり、相手から離婚を切り出された経験があるもいるかもしれません。不倫は一時の火遊びだと割り切って許そうとしていた方にとっては、とてもつらいことだと思います。
この場合にとるべき対応としては、次の2つの方法があります。
(1)できるだけ有利な方法で離婚する
配偶者が不倫相手に本気になり、夫婦関係が破綻している場合、できるだけ有利な方法で離婚に持ち込む方法を検討します。
具体的には、次のような対応が考えられます。
- 財産分与で、単純に資産を等分するのではなく、個人の能力や特別な努力をしたことで個別に築いた財産を明確にして分割対象から外す
- 慰謝料金額をできるだけ高く請求する
- 未成年の子どもがいる場合に親権を獲得するために離婚後の生活と収入を確保する
- 子どもの監護権を獲得し、養育費を配偶者に対して請求するために、自分と配偶者の収入金額を調べて確定させておく
- 子どもの養育費を適切な金額で請求するために学習計画を立てておく
(2)婚姻関係をつづけ将来の状況変更に備える
配偶者が不倫相手に本気になっても、離婚はしたくない、戻ってくるのを待ちたいという方もいると思います。その場合、今慰謝料を請求すると相手の態度をよりかたくなにさせ、関係悪化につながると心配される方もいるでしょう。
慰謝料請求の時効は3年ですが、配偶者への慰謝料請求権は離婚するまで時効にかかりませんし、不倫関係が続く限り、不倫相手への慰謝料請求権も消滅しません。そこで、次のような対応を取ることが考えられます。
- 慰謝料は今は請求しない
- 慰謝料を請求する場合であっても配偶者の不倫相手にだけ請求する
- 将来的に不倫が許せなくなった場合に備えて不倫の証拠を保全しておく
かえって不利になる?不倫を知ってもしてはいけない3つのこと
不倫を知って、怒りが抑えられない、慰謝料請求や離婚のためにできるだけ証拠を集めておきたいと思っても、自分自身のリスクになる次の3つの行為はしてはいけません。
(1)暴力行為
配偶者や不倫相手に暴力を振るう行為は、暴行罪にあたり逮捕される可能性があります。暴行は、殴る・蹴るだけではなく、胸倉をつかんだり、唾を吐く、突き飛ばす行為も含まれます。
結果相手がケガをした場合は傷害罪として一層罪が重くなります。どんな理由があっても、相手に手を出すことは絶対にしてはいけません。
(2)違法な不倫の証拠集め
不倫の証拠を得ようとして、相手に暴力を振るったり、脅すなどの行為は上記のように犯罪にあたる恐れがある上、証拠が得られても裁判で証拠として認められません。他にも、プライベートなメールやSNSをのぞき見する行為、データを全てコピーするような行為も違法なものとして証拠として認められなかったり、民法上の不法行為にあたるとして損害賠償を請求される可能性があります。
(3)不倫相手への嫌がらせ
現実として、不倫相手の誹謗中傷をSNSに書き込んだり、近所にビラを撒いたり、勤務先にFAXを送り付けるなどの嫌がらせをする人はいらっしゃいます。しかし、これらの行為も、名誉棄損や、FAX量が膨大だと威力業務妨害など、犯罪にあたる可能性がある上、損害賠償を請求されうるものです。
相手に不倫をしたという原因があっても、嫌がらせを受けて権利が侵害されたとして損害賠償を請求することはできるのです。復讐する場合は、嫌がらせではなく正当な慰謝料請求をしていきましょう。
不倫を知ったら対処方法を決めるために考えておくべき2つのこと
不倫を知った方にとって、配偶者を許すか許せないか、今後夫婦関係を続けていくかどうかが、ご自分の人生をどうするかということと合わせて一番の懸念事項になることが多いです。ここでは、どう対処すべきかを考える上で必要になる2つのポイントをご説明します。
(1)離婚後の生活
離婚した後、「どこで」「どうやって」生活するかは、必ず考えておくべき点です。特に未成年の子どもがいて、親権を取りたいと考えている場合は、衣食住の確保と収入減の確保は必須条件です。
現在住んでいる家に住み続けるとしても、名義をどうするか、ローンがある場合は残債務の支払いをどうするか、賃貸の場合は賃借人名義や敷金の返金は誰が受けるかなどを決めておきます。
また、特に結婚中に専業主婦だった方は、離婚後の生活費の算出から始めてください。日常の生活費だけでなく、年金や保険料もご自身で払うことになる場合、かなり支払いは増えるので、支出と収入のシミュレーションを立てておきましょう。
(2)離婚後に受けられる支援
生活が不安で離婚に踏み切れないという方は多いと思いますが、離婚後にシングルの生活を送る人への公的サポートがあります。
まず、離婚時に弁護士に相談したり、弁護士に依頼したい場合は、一定の資産条件をクリアすれば、各都道府県の「法テラス」という相談窓口で無料相談を利用したり、弁護士費用の立て替えをしてもらえる「民事法律扶助制度」を利用できます。
次に離婚後は、「児童扶養手当」「就学援助」「母子及び父子福祉資金貸付金」「女性福祉資金貸付制度」などの制度を市区町村で相談できます。
子どもがいる場合に利用できる制度、一定の年齢以下の方に特に設けられた制度、住宅や今後の就業に特化した支援制度など様々な種類があるので、まずはお住まいの都道府県の市区町村役場の福祉課で相談してみることをお勧めします。
不倫を知って対処方法で悩んだら―相談できる専門家とは
不倫を知って対処方法に悩む方に、お悩み別に相談に適した相談窓口をご紹介します。
(1)離婚カウンセラー
離婚カウンセラーは、別名夫婦問題カウンセラーといい、民間資格保有者が夫婦問題の相談にのっています。何をどうしたらいいかわからない、漠然とした悩みを抱えている方は、離婚カウンセラーのような幅広いトラブルを扱う専門家に相談して、まずはご自分の気持ちを整理し、そのうえで気持ちに沿ったトラブル解決のための専門家を紹介してもらうと、よりスムーズな解決が期待できるでしょう。
(2)探偵
不倫を知ったけれど確かではない、もやもやとした不安を抱えている方は、探偵に相談して、プロに不倫の調査をしてもらうことも検討してはいかがでしょうか。
プロが調査をしても不倫の証拠が見つからなければ心配が杞憂に終わったということで安心につながりますし、不倫の証拠が見つかった場合は探偵の調査資料は証拠として慰謝料や離婚の話し合い・裁判で有利に利用することができます。
(3)弁護士
不倫を知って、慰謝料を請求したい、離婚したいといった要望はあるけれど、どう対処したらいいかわからないというお悩みをお持ちの場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士に頼むことで、ご自身の代わりに配偶者や不倫相手と交渉してもらったり、調停や裁判になった場合は資料の整備を任せたり、代わりに出廷してもらうこともできます。
まとめ
夫や妻の不倫を知ったけれど、何もできないという方に向けた解決方法をお話しさせていただきました。家庭環境やお気持ちは人によってさまざまなので、今無理に何かをしようとしなくてもいいのです。
ただ、今後何かをしたくなった時のために今できることがあること、何もできない今でも相談できる専門家がいることは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。お一人で悩みを抱えているのが大変な時は、誰かに相談することで打開策が見える場合もあります。
1人で悩むのに疲れた時や大変な時は、まずはお気軽に専門家に相談して見てはいかがでしょうか?