夫の浮気は放置しても大丈夫?放置後に起こる問題と対処法
夫の浮気を知ってはいても「事を荒立てたくない」「戻ってきてくれると信じたい」という思いから、問い詰めることをせず静観している方もいます。
しかし、基本的に浮気の放置は百害あって一利なし。取返しの付かない事態に陥る前に対策を打つことが推奨されます。
この記事では、夫の浮気を放置した際に起こり得る問題と、具体的な対処方法を紹介していきます。
夫の浮気を放置してはいけない理由
夫の浮気を放置してはいけない理由はいくつかありますが、夫婦関係が崩壊したり、心に一層深い傷を負わされたりと深刻な事態を招くことが多いです。
具体的にどのような事態が考えられるのか、詳しく見ていきましょう。
(1)浮気相手の夫が介入することがある
まず、夫の浮気は放置しているからといって必ずしも穏便に解決するわけではありません。というのも、浮気相手が既婚者だった場合、浮気相手の夫の介入が考えられるからです。
浮気相手の夫から自分の夫に対して慰謝料が請求されるケースは珍しくありません。
もし夫だけでは払いきれなくなった場合、家計から支払わなければならない事態も考えられます。
浮気問題の解決を決意し準備を始めた場合でも、途中で浮気相手の夫が介入することにより、思うように話がまとまらなくなることもあります。
第三者の介入により強制的に状況が動き出すことを防ぐため、浮気が深刻化する前に手を打つ必要があるのです。
(2)放置しすぎると時効成立の恐れがある
あまり知られていませんが、浮気の慰謝料請求権には時効が存在します。
そのため所定の期間経過後に浮気相手や夫に時効を主張されると、慰謝料を払ってもらえなくなる可能性が高いです。
浮気の慰謝料請求権の消滅時効は「浮気の事実と相手方を知ってから3年間」です。
法的な手段で時効完成までの期日を更新することもできますが、いずれ慰謝料を請求する予定であれば放置することは望ましくありません。
浮気の慰謝料請求権の消滅時効に関しては、以下の記事で詳細を解説しています。こちらも参考にしてください。
(3)夫の浮気がエスカレートする
夫の浮気を放置することによりエスカレートし、スムーズな解決が難しくなる可能性があります。
どのようにエスカレートするかは人によりますが「現在の浮気相手にさらにのめり込む」「人数が増える」などの状況の悪化が考えられます。
浮気が深刻化すると、いざ解決に乗り出した際に難航する可能性が高いです。
複数人と浮気をしていれば人数の分だけ解決までの時間と手間がかかりますし、精神的な不可も増すでしょう。
こういった事情から、夫の浮気の放置は非常にリスクが高いといえます。芽が小さいうちに摘み取っておくのが、解決への早道です。
(4)離婚を切り出される可能性がある
夫が浮気相手に本気になってしまうことも考えられます。この場合、浮気相手と生きるために妻に離婚するように求めてくることも考えられます。
不倫の恋は成就しにくく、不倫相手と結婚したからといってうまくいく保証はないのですが、禁断の恋に酔っている夫は、往々にして現実が見えていません。
離婚を視野に入れるようになってしまうと、訴訟や調停による離婚手続きを取る、家から出て行って浮気相手と生活するなど深刻な事態になりかねません。
このような状態に陥るのを防ぐためにも、早めに妻からの働きかけで浮気相手と別れさせる必要があります。
夫の浮気には法的対処が必要
夫の浮気に対処する際、話し合いと口約束だけで終わらせてしまう方も多いです。
しかし、この解決方法は再発を招くことからおすすめできません。
夫や浮気相手にしっかりとお灸を据えるためにも、合法的な方法で制裁を加えることが必要です。
浮気問題解決の際の法的対処と注意点を紹介します。
(1)浮気には慰謝料を請求できる
よく知られている方法ですが、既婚者の浮気に対して、配偶者と浮気相手に対して慰謝料を請求できます。
これは、不倫が不法行為に該当し、民法で規定されている損害賠償請求の対象となるためです。
浮気の慰謝料はケースによって異なりますが、一般的には100万円から300万円程度に収まることが多いです。
慰謝料は配偶者と浮気相手の両方に請求できますが、どちらか一方のみへの請求もできます。
慰謝料の請求は、相手に経済的にダメージを与えられます。
さらに「浮気は許さない」「責任を取ってもらう」という姿勢を示せることから、再発防止策にもなるでしょう。
とくに浮気相手に対しては効果的な撃退手段になりますので、検討することをおすすめします。
(2)期間が経つと証拠収集が難しくなる
慰謝料の請求には根拠となる証拠が必要なのですが、浮気から期間が経過すると証拠の収集が難しくなります。
そのため、思い立ったら早めに着手することをおすすめします。
たとえば、肉体関係を証明する証拠としてLINEやメールなどのやりとりが代表的です。
これらのサービスは期間が経つと履歴が削除される仕様になっているものも多いです。
もし夫と浮気相手が既に別れている場合などは、過去のメッセージを証拠として確保できなくなる可能性があります。
浮気の証拠は早ければ早いほど集めやすいため、早期着手が肝要です。
(3)浮気相手が本気になり事態がこじれることも
浮気には早期の法的対処が必要な理由として、早めに対応しなければ浮気相手が夫に本気になる可能性が挙げられます。
こうなると一筋縄では解決できなくなる可能性が高く、深刻な事態に陥る可能性が高いです。
本気になった浮気相手は、夫と別れることを拒否し、さまざまな方法で抵抗してくることが考えられます。
たとえば慰謝料の支払いを拒んで法廷闘争に持ち込んだり、酷い場合は妻に直接的・間接的に危害を加えたりしてくることも考えられます。
浮気相手が夫にのめり込むのを防ぐためにも、早めの法的対処が必要なのです。
浮気の責任を追求する方法
浮気をやめさせ、法的に責任を追及するために、どのような手順で準備をすればよいのでしょうか。解決までの手段を一つずつ確認してみましょう。
(1)浮気の証拠を集め慰謝料を請求する
先ほども紹介しましたが、慰謝料を請求するためには浮気の存在を裏付ける証拠が必要です。
具体的には、浮気相手と夫の肉体関係を客観的に示す物証が必要で、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 浮気相手と夫の性行為の画像や動画
- 肉体関係をにおわせるメッセージのやりとり
- 肉体関係の存在が分かる探偵の調査報告書
- 当事者からの自白の録音
LINEやメールなどで肉体関係を示すやりとりが見つかればよいのですが、基本的にはひとりでここまでの証拠をそろえるのは難しいといえます。
ケースにもよりますが、浮気の事実に確信を持っているのであれば探偵や興信所に証拠収集を依頼するのが確実です。
プロに依頼するには相応に費用がかかるため尻込みしてしまう人もいるでしょう。
しかし、夫の身の回りの情報から行動を絞り込み、スポット調査を依頼することで費用を節約できる場合もあります。
探偵への依頼や夫の行動調査については以下の記事でも解説しています。参考にしてください。
(2)弁護士を選ぶ
次に、浮気問題の解決をサポートしてくれる弁護士を探します。慰謝料の請求そのものは妻が自分で行なうこともできますが、解決まで一人で行なうにはさまざまなハードルがあります。
まず、不倫解決までにはさまざまな法的な書面を用意しなければなりません。
法的に有効なものを作成するには専門知識が必要なため、自分で作るのには不安がともないます。
また、不倫問題の解決と日常生活を平行しなければならない点も問題です。
家事や育児や仕事など、ただでさえ多忙な方はさらに浮気問題を解決する時間を取れない方も多いでしょう。
このように、一般人が浮気問題を一人で解決しようとするのはハードルが高いといえます。
信用できる弁護士のサポートを受けることで、より少ない負荷で円滑に解決が可能です。
具体的にどのように弁護士を選べばよいかは後程解説します。
(3)相手方と交渉をおこなう
浮気の証拠が揃い、無事に弁護士への依頼が完了したら、相手方との話し合い・交渉を行ないます。交渉までの一般的な流れは以下のとおりです。
- 浮気相手と連絡を取る
- 示談条件(慰謝料の請求など)に関する希望を伝える
- 相手方との条件交渉(あれば)
- 示談書を作成
- 対面での署名・捺印
- 慰謝料の振込を確認する
基本的には、浮気相手との交渉や連絡は弁護士を通じて行ないます。
浮気相手にも代理人の弁護士がいる場合、こちらもその弁護士を窓口として交渉します。
なお、以上はあくまでスムーズに進んだ場合の流れです。不倫相手から慰謝料の減額を要求される、慰謝料請求権の有無を争って裁判に発展するといったケースもあります。
この場合も適時弁護士と方針を相談しながら解決に向けて進めていきます。
浮気の責任追及をする際やってはいけないこと
浮気の責任を追及する際は、どうしても感情的になってしまいがちです。
そのため、浮気の責任追及の際はいくつかの注意事項があります。やってはいけないNG行為を見てみましょう。
(1)証拠が揃う前に問い詰めるのはNG
肉体関係が明らかな証拠を掴むまで、夫や浮気相手を問い詰めことはおすすめできません。
「浮気をしていない」ととぼけられれば追及の手段がないからです。
また、浮気に勘付いていると知られてしまうと、夫や浮気相手の以降の行動が慎重になり、証拠収集に支障をきたします。
前述のとおり、浮気の証拠には「肉体関係を客観的に評価できるもの」が必要です。
裁判に発展する可能性も考えると、法廷で証拠として提出できるレベルのものが望ましいといえます。
浮気の存在を知り、つい熱くなってしまうのは当然のことです。
ただし、そこで問い詰めてしまっては望む形での解決ができないこともあります。決定的な証拠を入手できるまではぐっと我慢してください。
(2)違法な制裁を加えることは避ける
浮気相手や夫に制裁を加える際、その内容が違法なものにならないよう注意が必要です。
浮気に対する合法的な制裁は慰謝料の請求や以降の接触禁止などが代表的です。
どのような解決を希望するかにもよりますが、それ以上の要求はできないこともあります。
たとえば、夫と浮気相手が同じ職場に勤めている場合、浮気相手の退職を望む方が多いです。
しかし、雇用関係はあくまで会社と労働者の間のものであり、個人的な不倫とは関係ありません。
職場の風紀を著しく乱した場合は懲戒処分の対象となることもありますが、妻の立場から退職を強要することはできません。
無理に要求すると刑事罰の対象になる可能性もあります。
また「再犯の際は命でつぐなう」「慰謝料を1億円支払う」といった示談条件も、公序良俗(一般的な常識)から逸脱していると判断され、裁判になると無効になる可能性が高いです。
公序良俗違反の要求や、直接的に権利のないつぐないを求めると、妻側に不利な形で解決となる場合もあります。
判断に不安を感じる場合は弁護士に相談し見解を聞いてみることをおすすめします。
(3)浮気相手と二人だけで会わない
基本的に、浮気相手と二人きりで面会することはおすすめできません。お互いに感情的になりやすく、落ち着いて話ができない可能性があります。
また、浮気相手の気性によっては妻に対して危害を加えてくる可能性もあります。
言葉による侮辱や、酷い場合は暴行を加える相手もいるでしょう。
こういったリスクを抑えるために、浮気相手と面会する場合は必ず弁護士をともなうことをおすすめします。
加えて、浮気相手との面会場所は人の多い場所を選びましょう。
どちらかの自宅など密室空間で面会すると、あとから「むりやり示談書に捺印させられた」などと主張される場合があります。
落ち着いた雰囲気のカフェやホテルのラウンジなど、静かで話し合いに向き、かつひと目のある場所が良いでしょう。
夫の浮気を解決する際の注意点
夫の浮気を解決する際、解決までの準備を進めるにあたりいくつか注意点が存在します。
具体的な内容を確認してみましょう。
(1)弁護士は誰を選んでも良いわけではない
浮気を解決するにあたり、パートナーとなる弁護士選びは重要です。
「とりあえず家の近くの弁護士事務所に相談する」という方もいるのですが、この選び方はあまり良いとはいえません。
まず弁護士は、人によって専門分野が異なるのです。
弁護士の職域は多岐に渡り、夫婦問題から企業法務・債権整理・相続問題など無数に存在します。
一人の弁護士でこれらを全てカバーすることは不可能なので、事務所ごと、弁護士ごとに得意分野があります。
弁護士を選ぶ際は、その弁護士が不倫問題に関する専門知識を持っているか、豊富な実績があるかを基準にしましょう。
(2)職場に突撃するのは控える
浮気相手の職場に突撃するのはおすすめできません。
浮気相手の職場に訪問することで浮気の事実が同僚に知れ渡れば、名誉棄損を理由に慰謝料の減額を要求される場合があります。
なお、浮気相手に対して裁判を起こすケースでは、浮気相手の住所が不明な場合など特殊なケースでは、訴状などの書類を職場に送ってもよいと規定されています。
この場合は違法とはなりません。
(3)浮気相手の求償権行使に注意
浮気の解決後も夫との再構築を望む場合、浮気相手にのみ慰謝料を請求することもあります。
このケースで注意したいのが、浮気相手から夫に対する求償権の行使です。
本来浮気は夫と不倫相手が共同して行なう不法行為のため、両者に慰謝料の支払い義務があります。
不倫相手だけが慰謝料を支払う場合「夫の支払い分を肩代わりしている」と解釈されるため、浮気相手は夫に対し、肩代わりした夫の負担分を払うよう要求できます。
これが求償権の行使です。
夫婦として再スタートした直後の求償権行使は、関係の再構築を阻害するものにほかなりません。
離婚しないことが確定しているのであれば、示談の段階で求償権の放棄を条件に盛り込んでおくことをおすすめします。
まとめ
浮気をされていても、夫を信じたい気持ちから浮気を放置してしまう方は一定数存在します。
しかし浮気を放置して改善されることは稀であり、エスカレートした場合は事態が悪化し深刻な被害をこうむることも多いです。
そのため、夫の浮気には早期に対処することをおすすめします。
一般的には慰謝料の請求により法的に制裁を加えることが主流です。
まずは、浮気問題に対する実績や知識が豊富な弁護士に相談してみましょう。