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夫の不倫相手が妊娠した際の対処方法と認知のついての考え方

この記事を読んでくださっている方の中には、夫が不倫して不倫相手の妊娠が心配な方や、実際に不倫相手が妊娠を盾に離婚を迫ってきたなど、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ある日突然夫から不倫の事実を突きつけられ、しかも不倫相手が妊娠したと告白されると、パニックになってどう対処したらいいかわからなくなる方も多いと思います。

不倫相手が妊娠した場合、離婚するかどうかうや不倫慰謝料の問題に気持ちが行きがちですが、実は考えておくべき問題はそれだけではありません。そこで今回は、夫の不倫相手が妊娠した場合に、妻が取るべき対処法や気を付けておくべきことなどについて解説します。

夫の不倫相手が妊娠を告げてきたらーまずすべき1つのこと

(1)妊娠しているか病院で確認する

不倫相手が「あなたの夫の子どもを妊娠した」と言ってきても、直ぐに認めてはいけません。まずすべきことは、本当に夫の子どもを妊娠しているのかを確認することです。確認するための具体的な方法としては、病院に同行して妊娠の事実を確認するのが一番です。

中には、エコー写真を撮ったとそれらしき写真を送ってきたり、市販の妊娠検査薬の結果を示してくる相手、母子手帳の写真を送ってくる相手もいますが、これらを偽装するのは簡単です。不倫相手のなかには、実際には妊娠していないにも関わらず、こうした物を送ってくることで夫婦の仲を悪化させ、離婚させようと迫ってくる悪質な相手もいるので、まずは妊娠の事実を確認しましょう。

(2)確認できる期間

妊娠を病院で確認できるようになるのは、妊娠5週目以降です。生理が遅れているから妊娠したという不倫相手もいますが、最後の月経の開始日を0週として日数をカウントしていくので、時期を見て病院に検査に行きましょう。もし実際に不倫相手が妊娠していた場合は、子どもが生まれたあとでDNA鑑定をすることも検討しましょう。

不倫相手が妊娠したらその子どもはどうすべきか

不倫相手が実際に妊娠していた場合、子どもをどうするのか悩ましいところだと思います。妊娠している不倫相手の意思を確認することは必須ですが、妻側として出来る対応を以下で解説します。

(1)中絶を求める場合

中絶を求める場合は、夫との関係をどうするかまず検討しましょう。特に夫婦が離婚しない場合は、不倫相手に子どもが生まれることは大きな影響を夫婦間にも与えることになるので、中絶を求めることもあると思います。

ただ、この場合は、胎児の親である男性は、中絶する女性の精神上・身体上・経済面での負担を減らしたり解消する義務を負います。具体的には、中絶にかかる費用や、不倫相手が会社を休んだ場合の休業補償などの金銭的負担の半額分のサポート、メンタルケアなどがあり、過去の裁判では、これらの対応をしなかった男性に慰謝料として100万円の支払いが命じられたケースもあります。

夫が不倫相手を妊娠させていた場合は、夫がこの義務を果たさなければいけない事になるので、妻として覚えておきましょう。もっとも、妻としては、不倫相手への配慮など必要などないと怒りを感じることもあると思いますが、不倫のペナルティを負わせることとは別問題として考えてください。

(2)中絶するための期限とは

不倫相手が中絶をするとしても、いつまでもできるわけではありません。中絶ができる期間は、法律で決められており、妊娠5週から22週までとされています。なかでも、妊娠12週を超えると中絶の方法も変わり、母体への負担が大きくなるので、出来るだけ早く結論をだしてもらうように、上記でご説明した女性へのケアも進めていくこともポイントです。

(3)出産する場合

上記で中絶する女性へのサポートの必要性についてお話しましたが、不倫相手の女性が出産する場合はこれらの支払いは不要です。

ただし、出産した子どもを夫が認知する場合は、養育費の支払いが義務になります。認知しなくても自主的に払うことはかまいませんが、逆に何年も音沙汰がなかった不倫相手から子供の養育費をまとめて請求されるという話は少なくありません。また、認知した場合は、夫が死亡した場合は、認知された不倫相手の子どもも夫の財産の相続権を持つ事になります。相続分は、夫婦に子どもがいる場合はその子どもと同じ割合です。夫婦の問題だけでなく、子どもの将来にも関わる問題なので、よく考えて対応するようにしましょう。

(4)出産した場合に認知すべきか

上記の養育費や相続の問題は、夫が不倫相手の子どもを認知した場合に問題になります。認知しなければ、扶養義務が生じないので養育費を払う必要はなく、また相続権もありません。認知はしなければならないものではありません。「産んでもいいが認知はしない」などというセリフが小説やドラマなどでも見受けられるところです。しかし、認知しなければ、相手から「強制認知」の訴えを起こされ、裁判で認知をする事が命じられる可能性は極めて高いです。
強制認知」とは、父親に認知してもらえないケースで、子どもの側から父親の意思にかかわらず認知を強制できるものです。強制認知をするためには、まず家庭裁判所で「認知調停」という第三者を入れた話し合いをしなければいけません。調停でも父親が認知に応じなければ、認知を求める裁判を起こして、裁判所に強制的に認知を認めてもらうことになります。父親が自ら自主的に行う「任意認知」でも、「強制認知」でも、認知すると、戸籍にも載ることになります。

夫の不倫相手が妊娠した場合の慰謝料の目安とは

夫が不倫をすると、「貞操義務(夫婦はお互いに配偶者以外の相手と性交渉をしないという義務)」に違反したことになります。そして、そして、貞操義務に違反されたことで受けた精神的苦痛を賠償するための損害賠償として、妻は夫とその不倫相手に対して慰謝料を請求できるのが決まりです。慰謝料は、夫の不倫相手が妊娠したかどうかにかかわらず請求することができます。その際、不倫相手が妊娠したことが慰謝料の金額に影響を与える事があります。

(1)妻が請求できる慰謝料の目安

不倫された妻が夫と不倫相手に対して請求できる慰謝料額に法律上の決まりはないので、いくら請求しても構いません。総額100万円の慰謝料が欲しいと思った時に、夫と不倫相手に50万円ずつ請求しても、不倫相手にだけ100万年請求してもいいのです。

慰謝料の金額の目安は、夫の不倫で別居や離婚をしない場合は数十万円から100万円程度が相場です。もし、別居や離婚をする場合は、100万円から300万円程度というのが目安になってきます。ただし、不倫の慰謝料は、不倫していた期間が長い場合や夫の社会的地位が高い場合、夫婦に小さい子どもがいる場合、一度別れると約束した不倫相手と関係が継続していた場合などの事情があれば上がります。そして、不倫相手が妊娠したという事実も、不倫関係の悪質性の一事情として慰謝料が増額される理由となりえます。

(2)妻側が慰謝料を請求される場合がある?

不倫慰謝料は、あくまで不倫された妻が請求する権利を持っています。しかし、夫婦が離婚しない場合は、夫に対する慰謝料として「妻側」も請求される恐れがあるのです。妻側が慰謝料を請求されるケースとしては、次のようなケースがあります。

  • 夫が妻帯者であることを隠して不倫関係を持ち、不倫相手も妻帯者と知らなかった場合
  • 夫が相手の女性と無理やり関係を持って妊娠させた場合
  • 不倫相手が妊娠した夫の子どもを中絶することになった場合に、中絶費用などを折半しなかった場合

これらの慰謝料は夫が負うものですが、離婚しない場合は一家の財布から出費をしなければならないので注意しましょう。

夫の不倫相手の妊娠を理由に離婚したいなら

みなさんの中で、夫が不倫相手を妊娠させてショックを受け、離婚を考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。離婚は、勢いですると後で後悔することにもなりかねません。ここでは夫が不倫相手を妊娠させたことを理由に離婚したい場合の注意点をご説明します。

(1)離婚できる場合とは

不倫は何かというと、人によってキスから、デートからなど考え方は様々かもしれませんが、法律上では「不貞行為」、つまり性交渉を持ったことを言います。不貞行為は、上記の慰謝料のところでもご説明したように、夫婦の貞操義務に違反した行為になるため、慰謝料を請求できるだけではなく「離婚事由」にあたります。離婚事由とは、裁判になれば必ず離婚が認められる原因のことで、不貞行為の他にも、生活費を入れないなどの悪意の遺棄や、3年以上の生死不明、回復が見込めない重度の精神病などがあります。

夫が不倫相手を妊娠させたということは、必ず性交渉があり不貞行為があったと認められるので、夫が離婚に応じなくても、離婚裁判になれば必ず離婚が認められる離婚事由に当たることになります。

(2)離婚する場合のお金の流れー財産分与

夫婦が離婚する際は、結婚期間中に築いた財産は原則として半分ずつ分けるのが決まりです。これを「財産分与」といいます。財産分与できる財産の中には、家・マンションなどの不動産、車などの自動車、預貯金、株などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

特に結婚期間中にマイホームを購入し、住宅ローンがある場合、離婚したからといって家の名義が自動的に変わったり、借金がなしになったり保証人から外れるという事は無いので注意が必要です。具体的には、マイホームの時価がローン残高より高い場合は、住宅を売ってローンを完済し、残ったお金を折半すると簡単ですが、夫婦のどちらかが住み続ける場合は、不動産の時価からローン残高をひいた金額の半分を、住み続ける側が家を出る側に払い、名義も変更するのが通常です。

一方、マイホームの時価がローン残高より低い場合は、財産分与ではマイホームに経済的価値が無いと判断されます。家を手放す場合のローンの支払いの分け方は財産分与の問題ではないので、原則は現状維持ですが不満がある場合は協議で離婚後の支払人を決めることになります。夫婦の一方が済み続ける場合も原則として借金の名義人や保証人はそのままなので、住まない人が名義人の場合は、保証人から抜けるなどの協議が必要になる事が多いと言えるでしょう。

(3)年金分割とは

年金分割」とは、結婚期間中に夫婦の一方が納付した、厚生年金と共済年金の保険料の納付実績を離婚後に分ける制度です。ただし、国民年金、厚生年金基金などは対象にならないのでご注意ください。また、年金分割は、保険料を納付した記録を分ける事で、将来年金を受け取るときに、納付した実績を考慮して年金を受け取る事が出来るものなので、離婚後すぐに年金分が受け取れるといったものではありません。

(4)慰謝料

夫が不倫相手を妊娠させたことを理由に離婚する場合、妻は夫と不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。上記で、不倫相手に中絶を求める場合、夫が不倫相手にサポートをしなければ慰謝料を請求される恐れがあるとご説明しましたが、妻が請求できる慰謝料とは別物です。不倫(不貞行為)は、男性と女性、一緒にしなければ出来ない性質のものなので、夫と不倫相手の両方に対して請求できます。これを共同不法行為と言います。

離婚しなくても、不貞行為をされたこと自体の慰謝料を請求できますが、離婚する場合は離婚慰謝料として一緒に請求するのが通常です。ただし、不倫相手が夫が妻帯者であることを知らず、また知らない事に過失(不注意)が無かった場合には、不倫相手を責めることは出来ないので、慰謝料を請求することができません。

(5)夫婦に子供がいる場合の注意点

夫婦に幼い子どもがいる場合、夫と不倫相手に請求できる慰謝料額は高く考慮してもらえることが多いです。

また、子どもが未成年で妻が親権を持つ場合、夫に対して養育費を請求することができます。養育費は、子どもの人数と年齢、夫婦の収入によって決定します。残念ながら、養育費は8割が途中で不払いになると言われています。途中で支払いが滞った場合にもきちんと回収できるように、「強制執行認諾付きの公正証書」という書類にしておくと、いざとなったら夫の財産を差し押さえて支払いを受けることができるようになるので、準備しておくことをお勧めします。
強制執行認諾付きの公正証書」とは、もし支払いが滞った場合には強制執行をして、自分の財産から強制的に回収されても文句を言わないという文言を付け加えた公正証書です。公証役場で専門家が作ってくれる「公正証書」自体が、いざというときに証拠になる強力なものですが、これに強制執行を認める文言がプラスされることで、支払いが滞った際にはいちいち裁判をしなくても強制執行できる、とても強い効力を持つ書類です。

まとめ

今回は、夫が不倫相手を妊娠させた場合に妻が取るべき対処法についてご説明しました。

特に中絶を求める場合、夫が取るべきサポートをしなければ夫側が慰謝料を請求される恐れがあることに驚かれた方もいるかと思います。しかし、夫と不倫相手が不貞行為をして妻を傷つけたことに変わりはありません。妻が請求できる慰謝料はどのくらいなのか、離婚する場合にどういう対応ができるのかなど、知っておいて損はありません。不倫のショックに加え、法的対応をとることは難しい場合も多いと思います。そのような場合は、まずは弁護士にお気軽にご相談ください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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