不倫(不貞行為)を立証する方法とは?不倫の条件や証拠の集め方も解説
不倫を立証する目的は「離婚したい」「慰謝料を請求したい」「夫婦関係を改善したい」など、人によってさまざまです。
不倫を立証できれば、配偶者や不倫相手に自分の要求を飲ませやすくなります。
本記事を読んでいる方は「不倫を立証する方法が知りたい」「不倫を立証するために必要な証拠が知りたい」と考えている方が多いのではないでしょうか。
今回は不倫を立証する方法について、不倫の条件、証拠の種類や集め方とあわせて解説していきます。
不倫を立証して問題を解決したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
不倫の定義とは?浮気との違いについて
不倫を立証する前に、不倫と浮気の違いについて確認しましょう。
不倫に該当しない場合は、法的に離婚請求や慰謝料請求などが認められません。
不倫を立証するために、まずは配偶者の行為が不倫と浮気どちらに該当するのかを確認してください。
不倫と浮気は同じ意味のようで内容が異なります。
不倫と浮気の定義は以下の通りです。
- 不倫:配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと
- 浮気:配偶者以外と恋人同士のような関係になること
どちらも配偶者以外と親密な関係になることを指しています。
大きな違いは、配偶者以外の異性と不貞行為をしているかどうかです。
不貞行為とは以下のことを指します。
- 配偶者以外の異性と肉体関係を持つ
- 手淫や口淫といった性交類似行為を行う
キスをしたり腕を組んだりしているだけの場合は、不倫ではなく浮気に該当します。
また、先ほど「配偶者以外の異性」と記載した通り、同性愛の場合も不倫に該当しません。
以上が2020年2月時点で法律に定められている不倫の定義です。
配偶者の行為が不倫に該当すると判断できたら、不倫を立証するために行動しましょう。
不倫を立証する方法とは?
不倫を立証するというのは、配偶者が不倫したと証明することです。
不倫は貞操義務違反にあたる行為です。
貞操義務違反とは、配偶者が貞操を守らず不貞行為を働いた状態を指します。
配偶者が不倫していると立証できれば、貞操義務違反を理由に離婚、慰謝料、夫婦関係の改善などを要求しやすいです。
配偶者や不倫相手が素直に不倫を認めた場合は、証拠がなくても不倫を立証できます。
しかし、不倫を認めないこともあるので、まずは不倫したという証拠を集めます。
それでは詳しく見ていきましょう。
(1)不倫を立証するために必要な証拠を集める
証拠を集める方法は、個人で集めるか探偵事務所や興信所に依頼するかの2パターンがあります。
個人で証拠を集めるときは、以下の点に注意しましょう。
- 配偶者や不倫相手に気づかれないようにする
- 証拠はなるべく継続的に複数集める
- 法律を犯すような方法で証拠を集めない
配偶者や不倫相手に証拠を集めていると気づかれた場合、証拠を隠滅される可能性が高いです。
一度警戒されると証拠を集めづらくなるので、個人で行動するときは注意しましょう。
そして、証拠はなるべく継続的に複数集めてください。証拠の種類や数が多ければ多いほど、証拠能力が高くなります。
なお、法律を犯すような方法で証拠を集めると、裁判時に証拠と認められないことがあります。
盗聴、盗撮、窃盗などにあたるような方法で、証拠を集めないようにしましょう。
探偵事務所や興信所に不倫調査を依頼する場合は、個人で行動するよりも安全です。
メリットは以下の通りです。
- 配偶者や不倫相手に気づかれづらい
- 証拠能力が高い証拠を多く集めてくれる
- 法律を犯さない方法で証拠を集めてくれる
- 不倫調査報告書自体を証拠にできる
より安全に証拠を集めたい方は、探偵事務所や興信所に不倫調査を依頼しましょう。
具体的な証拠の種類や集め方については、後ほど詳しく解説します。
(2)不倫をより確実に立証するため弁護士に相談する
不倫の証拠を集めたら、配偶者に離婚、慰謝料、夫婦関係の改善などを交渉しましょう。
慰謝料は配偶者だけでなく、不倫相手にも支払い義務があります。
配偶者と不倫相手が要求に応じれば、特に証拠や訴状などの用意は不要です。
しかし、個人で交渉するとつい感情的になってしまったり、相手が不倫を認めなかったりすることもあります。
そんなときは弁護士を代理人に立てることで、より確実に不倫を立証して交渉しやすくなります。
不倫関係の案件に慣れている弁護士であれば、少ない証拠でも交渉を有利に進めてくれることが多いです。
法律や過去の判例などを持ち出して交渉するため、個人よりもスムーズに交渉を進めてくれます。
なるべく裁判を起こさないように交渉してくれるので、夫婦関係の改善も可能です。
また、配偶者や不倫相手が弁護士を立てる可能性もあります。
弁護士を立てておけば弁護士同士で交渉を進めてくれるため、個人で弁護士の相手をしなくて済みます。
不倫された側が弁護士を立てる場合は、成功報酬制で相談料や着手金が無料の事務所が多いです。
慰謝料を請求するために必要な書類作成や交渉を、代わりに行ってくれます。
1つでも不倫を立証できる証拠を持っている方は、一人で悩まず弁護士に相談してみましょう。
(3)相手が不貞行為を認めないときは裁判で立証する
配偶者や不倫相手が不貞行為を認めず交渉が決裂すると、裁判に発展します。
裁判では不倫された側が集めた証拠を用いて、配偶者の不倫を立証します。
集めた証拠が裁判官に認められれば、離婚や慰謝料などを請求可能です。
完全に不貞行為を働いていたと立証できなくても、民法770条第1項第5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を適用して離婚請求できることがあります。
不貞行為を働いていたと発覚する前に婚姻関係が破綻している場合は、不倫を理由に離婚請求できないので注意しましょう。
弁護士を立てずに不倫を立証して慰謝料請求できる?
慰謝料請求は弁護士を立てなくても個人で行うことができます。
弁護士を立てずに慰謝料請求する手順は以下の通りです。
不倫の証拠を集める
↓
慰謝料の請求書を内容証明郵便で郵送する
↓
交渉が成立したら示談書を交わす
先ほど解説した通り、配偶者や不倫相手が素直に不倫を認めれば、弁護士でなくても個人で慰謝料を請求できます。
しかし、つい感情的になって暴言を吐いたり相手を脅したりしてしまうと、名誉毀損や脅迫罪などで訴えられることもあります。
相手が弁護士を立てて、慰謝料の減額や請求取り下げの交渉を行ってくる可能性もあるでしょう。
個人で行動すると不利になるリスクが高いです。
慰謝料を請求するときは、不倫関係の案件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
不倫を立証するために必要なものや集め方
不倫を立証するための証拠について、証拠として認められやすいものや集め方とあわせて解説します。
個人で証拠を集める方は、ぜひ参考にしてください。
(1)撮影日時が分かる写真
不倫の証拠として認められやすい写真は以下の通りです。
- 肉体関係や性交類似行為を確認できる写真
- 配偶者と不倫相手が2人で旅行している写真
- ホテル、旅館、自宅などを2人で出入りしている写真
以上のような不貞行為を働いたと判断、推認できる写真が、証拠として認められやすいです。
なお、証拠として提出できる写真には以下の条件があります。
- 撮影日時を確認できる
- 複数回不貞行為を働いたと確認できる
- 建物に出るときと入るとき両方の写真を用意する
なるべく多くの写真を用意して、証拠能力を高めましょう。
(2)録画した動画データや録音した音声データ
写真だけでなく動画データや音声データも、証拠として認められるケースがあります。
配偶者と不倫相手が不貞行為を働いていると確認できる、動画や音声データは以下の通りです。
- 肉体関係や性交類似行為を確認できる動画、音声データ
- 不倫を認める動画、音声データ
- 不倫相手との通話の音声データ
- 配偶者と不倫相手が2人で旅行している動画データ
- ホテル、旅館、自宅などを2人で出入りしている動画データ
不倫を立証するためのデータなので、不貞行為を働いたと判断、推認できるものを用意しましょう。
不貞行為をしたと断定できないものでも、認められることがあります。
証拠は多い方がいいので、データを削除せずに保存しておきましょう。
(3)ラブホテルの領収書
ラブホテルの領収書は、単体だと証拠能力が低いです。
しかし、先ほど解説した写真、動画、音声データと日付や時間帯が一致すれば、相乗効果で証拠能力が高くなります。
見つけたときは破棄せずに保管しておきましょう。
(4)クレジットカードの利用明細
ラブホテルの領収書と同様に、他の証拠と組み合わせることで高い証拠能力を発揮します。
不倫の証拠として認められやすいクレジットカードの利用明細は、以下の通りです。
- ホテルや旅館といった宿泊施設の利用明細
- 宿泊施設周辺で使用したと判断できる利用明細
- 性行為で使用する玩具、避妊具、避妊薬などの利用明細
さらに以下の条件を満たしているのかを確認しましょう。
- 一度だけでなく複数回利用している
- 不貞行為を働いたと判断、推認できる
利用回数が多いほど、不倫を立証できる可能性は高くなります。
中でも、性行為で使用する玩具、避妊具、避妊薬などのクレジットカードの利用明細は、不貞行為を働いたと判断しやすく、証拠として認められやすいです。
不貞行為をしていた可能性がある期間のクレジットカードの利用明細は、なるべく多く保管しておきましょう。
(5)直接撮影した手紙やLINEなどの写真
配偶者が不倫相手から受け取った手紙やLINEといった文章の写真は、不倫を立証するための証拠として認められやすいです。
もちろん添付されている画像も証拠になり得ます。
手紙やLINEなどは加工しやすいため、文章や画像自体は証拠として認められません。
文章や画像を撮影した写真を証拠として提出しましょう。
後ほど注意事項を詳しく解説しますが、デジタルデータは加工、編集しやすいです。
そのため、デジタルカメラ以外で文章や画像を撮影しましょう。
なお、スクリーンショットも同様の理由で証拠として認められません。
証拠として認められやすいものは以下の通りです。
- 不貞行為を働いたと判断、推認できる手紙の写真
- 不貞行為を働いたと判断、推認できるLINEやメールなどの写真
手紙と同様に不倫相手から送られてきたプレゼントなども、証拠として認められることがあります。
文章や画像はデジカメ以外で撮影して、送られてきた手紙やプレゼントは本体を保管しておきましょう。
写真を撮影するときは、撮影日を確認できるようにしてください。
(6)探偵や興信所の不倫調査報告書
不倫調査報告書は証拠として認められやすいです。
探偵や興信所では、プロが裁判で認められやすいような証拠を集めてくれます。個人で集めた証拠よりも裁判で認められやすいです。
不倫調査報告書は、探偵や興信所に不倫調査を依頼するともらえます。
より確実に裁判で不倫を立証したい方は、探偵や興信所に不倫調査を依頼して不倫調査報告書を受け取りましょう。
不倫を立証するための証拠になりづらいもの
不倫を立証するための証拠になりづらいものを解説します。
あくまで証拠として認められづらいものです。他の証拠と組み合わせれば、証拠として認められるものもあります。
詳しく見ていきましょう。
(1)盗撮や盗聴といった集め方が違法なもの
盗撮、盗聴、窃盗といった違法な方法で証拠を集めると、裁判時に証拠として認められないことがあります。
法律を犯すと逆に訴えられることがあるので注意しましょう。
違法な証拠の集め方の一部を紹介します。
- 不倫相手の家に忍び込んで隠しカメラを設置する
- 盗聴器で電話や会話を録音する
- スマホ本体、SDカード、手紙などを盗む
- 配偶者や不倫相手のスマホのデータをコピーする
- 配偶者や不倫相手のスマホやパソコンの画面を撮影する
以上の方法で証拠を集めても違法収集証拠と判断されるため、証拠になりづらいです。
ただ、不倫を立証するための証拠は、違法な方法で集めざるを得ないものもあります。
そのため、裁判では集め方が違法な証拠でも認められることがあります。
配偶者や不倫相手と交渉する前に、弁護士に相談するのがおすすめです。
(2)不貞行為を働いたと判断できない手紙やLINEなどのやり取り
不貞行為を働いていたと確認できない手紙やLINEなどは、証拠として認められづらいです。
浮気の可能性が高くても不貞行為を働いていなければ、不倫に該当しません。
たとえば、一緒に買い物していたと分かる内容だけ記載されていた場合は、不貞行為があったと判断、推認しづらいです。
ですので、手紙やLINEなどを証拠として提出する場合は、肉体関係や性交類似行為を確認できる内容のものを提出しましょう。
(3)加工しやすいスクリーンショットやデジカメの写真
「直接撮影した手紙やLINEなどの写真」の項目で解説した通り、文章や画像などはデジカメ以外で撮影しましょう。
スクリーンショットやデジカメの写真は、デジタルデータのため加工、編集しやすいです。
そのため、証拠として提出するときは、デジカメ以外のカメラで撮影した写真を提出しましょう。
しかし、デジタルデータは証拠能力が低いとはいえ、他の証拠と組み合わせることで証拠能力が高くなることもあります。
デジタルデータで証拠を保存してしまった方は、念のためデータを削除せずに保管しておきましょう。
(4)風俗店を継続利用していると判断できない名刺やレシート
風俗店を複数回利用すると不倫に該当します。
風俗店でもらった名刺や店舗が発行したレシートが複数ある場合は、不倫を立証するための証拠として認められやすいです。
もちろん風俗店のクレジットカードの利用明細も、証拠として認められることがあります。
しかし、名刺、レシート、クレジットカードの利用明細が1枚しかない場合は不倫に該当しません。
1枚だけ見つけたときは捨てずに保管しておきましょう。
まとめ
不倫を立証する上で証拠集めは欠かせません。証拠の質次第で不倫を立証できるかできないかが決まります。
証拠は量も大切ですが、不貞行為を働いたと一目で分かる質の高さが重要です。
なるべく法律を犯さない方法で、証拠を集めましょう。
個人で証拠を集めると、配偶者や不倫相手に探っているとバレたり、集め方次第では逆に訴えられたりするリスクがあります。
証拠能力の高い証拠を十分に集められない可能性もあるので、探偵、興信所、弁護士に相談して証拠を集めるのがおすすめです。
証拠を立証できれば、離婚、慰謝料、夫婦関係の改善などを要求しやすくなります。
不倫をより確実に立証して解決したい方は、早い段階で探偵、興信所、弁護士に相談しましょう。