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クレカ明細から不倫の痕跡を探すことができる?そのやり方と注意点

結婚相手が不倫をしているのではないか?そう思った時に真っ先に考えつく行動としては、不倫の証拠をつかむことではないでしょうか?
しかし、自分も生活をしている以上、四六時中尾行をするわけにもいきませんし、探偵に頼むとなると高額な費用がかかってしまう…という悩みがありますね。
不倫をする場合には、不倫相手にプレゼントをしたり、ラブホテルを利用したりすることが考えられますが、その際にクレカを使うことは充分に想定できます。
クレカを利用すると、明細が出ますので、ひょっとするとこれは証拠になるのでは…?と思ったことはありませんか?
このページではクレカ履歴から不倫の証拠をつかむことについてお伝えいたします。

不倫を相手に追及するのに証拠が必要な理由

まず、そもそも不倫を相手に追及する際に証拠が必要な理由を知っておきましょう。

(1)話合いの基礎になる

まず、不倫問題をどのような形で追及するにしても、きちんとした証拠がなければ相手に「不倫なんかしていない、気にしすぎだ」と言われてしまうとそれまでです。
根拠もなしに相手に詰め寄るのは、ただの感情論で交渉をすることになりかねないのです。

(2)裁判で必要になる(不貞行為があるかどうかの認定をするため)

離婚を相手に求めていく過程として、最終的には裁判所が法律に従って判断をすることになります。
離婚に関する事項については民法が規定をしており、離婚が認められるためには離婚原因がなければならないと民法770条で規定がされています。
その原因の一つとして不貞行為があったことが列挙されていますので、不倫をしていることは離婚原因になります。
最終的に裁判をする際には、不倫をしているので不貞行為としての離婚原因がある、と主張をするのですが、裁判では主張を裏付ける証拠がなければ裁判所は認定ができませんので、
この場合不貞行為はなかったという認定がされます。

さらに、裁判に至っているような場合には夫婦の関係は完全に破綻しており、離婚原因の一つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるといえます。

もし相手側から「一切不倫などしていないのに、証拠もなく不倫をしていると問い詰められ続けたことによって婚姻関係が破たんした」という主張がされた場合には、あなたが離婚原因を作った側であるという認定がされてしまう事にもなりかねないのです。

ですので、逆に証拠があるような場合には、裁判をされるような状態になるのは得策ではないと判断して、交渉も進めやすくなります。

以上からも証拠は重要であるといえます。

(3)夫・妻への慰謝料等のベースになる

離婚をすることになった場合には、離婚に伴って様々なお金に関する決定事項があります。
夫婦共有財産をどのように分けるかという財産分与の問題、子がいる場合には養育費に関する問題、そして離婚に伴う精神的苦痛に対する慰謝料という問題があります。
不倫といっても、夫婦関係が破たんした状態での不倫というものから、妊娠期間中に裏でこそこそ不倫していたものなど、その背信性には多様なものがあります。
また、1度っきりのホテルで会ったものよりも、何年もこそこそ裏で不倫し続けていたもののほうが、その背信性は高いといえます。
不倫があったという事実に関する証拠がどの程度集まるかによって精神的苦痛の程度も変わってくるので、証拠の有無・多さは慰謝料の額に関わるといえます。

(4)不倫相手への慰謝料請求で必要になる

ここまで、結婚相手との関係についてのお話しをしてきましたが、不倫は一人でできるものではなく、不倫相手が居てのことです。
その不倫相手が、結婚相手が既婚であると知っている・ちょっと調べればすぐわかるはずだったので過失がある、といえる場合には、不倫相手に対しても損害賠償請求権が発生します。
これは夫婦が離婚に至るか至らないか問わず請求できるものになるのですが、こちらも当然に不倫をして夫婦関係を壊したという内容の証拠がなければ、裁判所は不倫の事実を認定することができません。

クレカから不倫の痕跡を探す!どんな可能性がある?

以上のように証拠は重要なものであるといえるのですが、クレカの明細からどのような不倫の証拠が確認できる可能性があるのでしょうか。

(1)高額な飲食

夫婦になるとお金を使う事に対して抑制的になるのですが、デートとなるとついつい飲食店もオシャレな雰囲気のある店に行き、普段行わないような高額な飲食を行いがちです。
週末や忘年会シーズンなどどうしても飲み会があるような時期であれば致し方ないのですが、そういった出費が見込まれない時期の高額な飲食が続いているような場合には、浮気を疑っても仕方ない、といえるでしょう。

(2)プレゼント

高額な飲食だけではなく、指輪・ネックレス・洋服などのプレゼントも増えるのが一般的です。
当然自分が受け取っているような場合には心当たりがあっても、自分が受け取っていないような場合には誰かにあげていると考えるのが通常です。

(3)ホテル代

不倫をする場合にはどうしても場所が必要で、そのほとんどはホテルです。
そのためホテル代の支払いをするためにカードを利用している事も考えられます。

クレジットカードの明細を確認する

それでは、どのようにしてクレジットカードの明細を確認し、不倫の証拠を掴めるのでしょうか。

(1)明細書を開けてみる

まず、自宅に届いている明細書の中身を見てみることが考えられます。
ただこの点については、たとえ夫婦であっても一方当てに届いたものを勝手に開封する行為は、刑法で規定されている親書開封罪にあたります。
実際これによって逮捕される・前科がつくというのは考えづらいのですが、勝手に開封をして証拠を得たような場合には、逆に相手方があなたに不法行為であるであるとして、慰謝料を請求できる状態になるなど、不利な立場に立たされる事は知っておいてください。
たとえば相手に見せてもらえたりしたり、相手が開封したものを手に入れることができた場合の参照にしてください。

(2)ウェブを確認する

クレジットカードの明細も最近ではペーパーレス化の観点から、インターネットの会員専用エリアにアクセスして行うことがあります。
ですので、明細が見られるページにアクセスをして、過去のクレジットカード利用履歴を見てみます。
こちらも、不正にパスワードを手に入れるなどして、本人の意図しないアクセスを行うと、不正アクセス禁止法により定められている罰則に抵触するおそれがあります。
こちらも本人の承諾を得て行うようにしましょう。

明細の何を確認するか?

では利用明細の何を確認すれば良いのでしょうか。

(1)利用内容

まずは、利用履歴に関するものを確認します。
クレジットカードの履歴については、どこで利用されたものかの明細が記載されています。
あきらかに女性用のブランドであるような場合も当然なのですが、一見こういった利用履歴には見えにくいものでも、実は不倫の証拠になる場合があります。
たとえばラブホテルの利用履歴について、ラブホテルを運営している会社名前で記載があったような場合で、ラブホテル運営会社が◯◯商事などの商号であるような場合には、ぱっと見ラブホテルの利用によって発生した明細であることがわかりづらい場合があります。
このようなものについても、怪しいものである場合にはピックアップをしておいて、その名前をインターネットで検索すれば判明するような事もあります。

(2)利用金額

次に利用金額について調べます。
利用内容だけでは、どこで買い物したものなのかが判明しません。
そのため、レストランで食事をした履歴があったとしても、お昼ごはん分くらいの金額しか利用していないものについては、不倫の証拠とはいえないです。
逆に、たとえば近場への出張だと言っていたにもかかわらず、高額の航空券を購入したり・出張には合わないような高額なホテルを予約したりしていた、というような場合には、不倫をうかがわせる証拠になることもあります。
かならず、利用金額も併せてみておくようにしましょう。

(3)日時

クレカが利用された日時についてもきちんとチェックをしておくべきです。
たとえば、夫に聞いてみたときに、「一緒に食事をしたときの履歴でしょ?」と言われたような場合でも、その日時には本人は仕事だったというような場合もあります。
どのような明細がどんな日時に利用されているのかもきちんと確認しましょう。

クレカ履歴以外の証拠保全

クレカ履歴で不倫を疑わせるような明細があるような場合でも、直接の証拠に乏しい場合にはさらに証拠を獲得する必要があります。
クレカ履歴以外ではどのような証拠を保全しておくべきなのでしょうか。

(1)探偵を雇って写真を撮る

不倫の証拠として一番有力なのは不倫現場の証拠写真になります。
不倫現場の写真を撮るためには、どうしても尾行が必要になり、気づかれないように行う、かなりの日数を継続的に行うなど、負担の大きい行為ですし、気づかれてしまっては証拠写真の取得はできません。
ですので、尾行、撮影に関する知識・技術などが必要になる高度な行為です。
そのため、専門家である探偵に依頼をして、証拠写真の撮影をしてもらうことは重要な証拠獲得手段です。
たしかに、これらは非常に高額な費用がかかるものです。
しかし、離婚における証拠の存在は上述の通り非常に重要なものであるといえますので、必要経費であると考えておくのが妥当でしょう。

(2)ICレコーダーを利用する

ある程度不倫に関する資料をそろえた場合には、相手に素直に話してもらうような機会もあると思います。
単純に話を聞いただけですと、後に裁判になった際に、話合いの時にそのような事は言っていない等の言い訳の口実を与えることになりかねません。
ですので、ICレコーダーを利用して、本人や不倫相手が述べた事をICレコーダーに録音しておくことも重要であるといえます。

不倫の証拠があがった場合の離婚に向けた動き方

不倫の証拠があがった場合には、離婚に向けて動き始めることになるのですが、どのようにして離婚に向けての交渉をしてゆけば良いのでしょうか。

(1)証拠を押さえる

どの時点で証拠を押さえるかについては、協議をする訴訟を行う以前に行うことになります。
この時点で相手に離婚を突き付けたいと思う場合でも、ぐっと我慢して証拠集めを行うことにしましょう。

(2)離婚について協議する

資料が集まって不倫をしていることが決定的になったら、相手に離婚についての協議を持ち掛けましょう。
同居しているとどうしても冷静になれない場合には、実家に帰る・別の場所に住居を構えるなどして距離を取って、内容証明を利用した書面での協議を行うようにします。
離婚の協議について、法律的な主張をどのようにしてゆけばよいか、慰謝料や養育費の金額をどのようにしてゆけば良いかについてのアドバイスが欲しい場合には、弁護士に相談しながら行います。
また、交渉自体を弁護士に委ねてしまうことは、費用がかかるといった反面、法的な側面からの助力のみならず、相手との交渉というストレスになる事を避けることができるというメリットもあります。
交渉結果は必ず、離婚協議書という内容の書面に記載します。

特に養育費や慰謝料が高額であるような場合には、離婚後に支払いをしなくなる可能性が非常に高いです。
そのような場合には、民事裁判を起こして強制執行をかけることになるのですが、そのためには少なくとも6ヶ月以上の期間が必要になり、その間の生活費に窮するということはよくあります。

そのため、公正証書という裁判手続きを経ずに強制執行をすることができる書面で離婚協議書を作成することが望ましいといえます。
公正証書は公証役場という場所で作る法的な書面になるので弁護士に相談をしたり、書面の作成に関する依頼をしたりするのであれば行政書士でも専門性を持っている人がいます。

(3)調停・審判・裁判

交渉が上手くいかない場合には、裁判手続きを利用します。
ただ、離婚に関しては、裁判を提起する前に必ず調停を利用してくださいとする、調停前置主義が採用されておりますので、かならず調停を利用する必要があります。
調停というのは、調停委員という人を間に介した裁判所で行われる話合いです。

裁判官1名と専門的な知識を持っている民間人2名で構成される調停委員が、当事者から交互に話を聞きながら、妥協点を探っていくことになります。
当事者からの事情聴取と提案を聞きながら、最終的に調停案というものが調停委員から示されますので、それに応じるかどうかを選択します。
調停案には、離婚をする・しないという判断はもちろん、離婚をする場合の慰謝料・財産分与・養育費の内容についての提案がされることになります。

調停案に応じた場合には、調停内容を当事者が履行することになります。
調停案にどちらか一方でも反対する場合には調停は成立せず、裁判を利用することになります。
ただ、離婚については合意していても、慰謝料や養育費など、わずかな違いで合意ができずに不調となっているような場合には、家庭裁判所は審判手続きというものを利用させることがあります。

手続きの流れとしては、調停が不調だったときに、家庭裁判所の権限で審判手続きに移行することで行います。
審判という形で判断が示された場合には2週間以内に異議を申し立てれば裁判に移行します。
裁判手続きでは、訴状や答弁書・準備書面といった書面を作成して、証拠を添付して行います。

弁護士をつけている場合には、当事者への尋問などは弁護士・相手方弁護士の質問に答える形で進むのですが、弁護士をつけずに裁判をしているような場合には裁判長から質問されるような場合もあります。

(4)不倫相手にも損害賠償請求を

以上は結婚相手との関係に関するものですが、上述した通り、不倫相手に対しても損害賠償請求をすることができます。
これは不倫から派生するものですが、第三者との関係になるので特に先に調停をやらなければならない、とするものではありません。
損害賠償は内容証明を相手に送って、応じなければ損害賠償請求訴訟を起こすという流れなのですが、不倫相手が訴えられるのを防ぐために結婚相手が一緒に支払いをする(特に不倫をしたのが男性の場合)という事が通常です。

まとめ

このページでは、クレカから不倫の証拠を得ることができるか?という事を中心に、証拠の必要性・証拠はどの段階で集めるか、離婚に向けての手続き全体のイメージ、などについてお伝えしてきました。
クレカの履歴から不倫の痕跡を辿ることはできるのですが、あくまで証拠写真を補助する程度のものしか得られないことのほうが多く、勝手に開封やアクセスをすると刑事罰に問われることにもなりかねません。
不倫といっても一様ではなく、様々な形態があり、その証拠の集め方もそれぞれなので、専門家に相談するなどして、確実に有利な離婚交渉をできるようにしましょう。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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