不倫になるパパ活とは?慰謝料請求や払ったお金を取り返す方法を解説
最近、パパ活という言葉を耳にした方は多いのではないでしょうか。2018年に、茨城県の男性宅を訪れた女子大生が殺害された事件を覚えている方もいるかと思いますが、お金をめぐるトラブルもあり、パパ活をしていたのではないかと話題になりました。この記事に目をとめられた方の中には、ご主人がパパ活をしてお悩みの方もいらっしゃるかと思います。ニュースでは、パパ活をする女性側のリスクが取り沙汰されることが多いですが、男性側にもリスクがあります。
また、パパ活でお金を使うことが許せない、不倫に当たるのではないか気になる方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、ご主人がパパ活をしていてお悩みの方に、慰謝料請求やパパ活で使ったお金を取り返せるかなどについてお話ししたいと思います。
パパ活は犯罪か?売春や援助交際との違いとは
そもそもパパ活とは何か、援助交際や売春・買春ではないのか疑問に思われる方や、パパ活でご家族が逮捕されないか心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。パパ活とは、「肉体関係を持たず、デートや食事をするだけでお小遣いを渡すなどの金銭的な援助をする男性と交際すること」を言うとされています。
一方、「売春(買春)」は、お金を払って性的関係を持つことをいい、相手が18歳未満の場合は児童買春という罪に問われることになります。実際に本番行為があった場合はもちろんですが、性交に至らないわいせつ行為があった場合も該当します。相手が18歳以上の場合は買春で罪に問われることはありません。この場合は、売春をさせた側が売春防止法違反に該当する可能性があります。「援助交際」は、明確な定義があるわけではありませんが、広く児童買春に含まれると考えられます。
このように体の関係がないのがパパ活ですが、パパ活では逮捕される恐れがないかというとそういうわけではありません。パパ活の一環として、夜間女性と歩いているなどすると、「深夜の連れ出し」として青少年育成条例違反に問われる可能性があります、パパ活をする女性は、中学生や高校生、女子大生などすそ野が広いのが特徴で、18歳未満の女性が相手になることは少なくありません。買春や援助交際とは異なるからと言って、決して安心することはできません。
パパ活は不倫になる?肉体関係がない場合の問題点
パパ活は、肉体関係を伴わない交際です。このような関係が不倫になるかどうかですが、“法律上の不倫”には当たらないというのが結論です。法律上の不倫とは、不貞行為があったこと、つまり性交渉があったことを言います。この法律上の不倫があると、慰謝料の請求や離婚の原因になります。そのため、性交渉を伴わないパパ活は、不貞行為がなく法律上の不倫には該当しません。
一方で、「不倫」は一般的な概念なので、人によってさまざまな考え方があります。一緒に食事をすることから不倫、デートは浮気と考える人もいるでしょう。パパ活を“一般的な不倫”と考えて、パパ活で傷ついたことを理由に夫に慰謝料や離婚を請求して、夫側が素直に応じるのであれば、これは当事者同士の合意なので問題ありません。しかし、夫が応じなかった場合に、最終的に裁判になることを踏まえて、慰謝料や離婚が請求できるかというと、パパ活は“法律上の不倫”つまり不貞行為には当たらないため、不貞行為を理由にした慰謝料や離婚の請求はできないということになります。
パパ活で慰謝料請求する方法とは
上記で、パパ活は不貞行為、法律上の不倫に当たらないとお話をしました。不貞行為があった場合は、不貞行為をした夫とその相手に対して慰謝料を請求できるのが原則です。これは、夫婦はお互いに、配偶者以外の異性と性交渉をしないという「貞操義務」を負っているので、その義務に違反したことで相手を傷つけた精神的苦痛をお金で賠償する必要があるとされるからです。しかし、性交渉を伴わない男女の交際では、どれだけパパ活で妻が不快な思いをしても、基本的に慰謝料を請求することは難しいと言わざるを得ません。
裁判例では、性交渉はないけれど親密なデートを重ねていた男女関係のケースで、男性が離婚に至らなくても女性に対して40万円の慰謝料請求を認めた判決がありました。しかしこれは非常にまれなケースで、一般化するのは困難です。そのため、性交渉を伴わないパパ活では、夫とパパ活をしている女性に対して慰謝料の請求を求めるのは困難です。ただし、次にご説明するように、パパ活が原因で離婚に至った場合には、夫婦関係に亀裂を生じさせて離婚を余儀なくされたことで受けた精神的苦痛を損害として、離婚慰謝料が請求が可能と考えられます。
パパ活している夫が許せない場合に離婚する方法は
日本では、民法に法律上の離婚の原因が記載されており、「不貞行為」は離婚原因の一つと定められています。夫の不倫が許せない場合に、不貞行為があれば裁判でも離婚が認められやすいですが、肉体関係がないパパ活では不貞行為を理由にした離婚はできません。しかし、パパ活では離婚できないわけではありません。不貞行為を理由に離婚ができなくても、パパ活が「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると判断されれば、法律で規定された離婚原因の一つとして認められ、離婚が認められる可能性が高くなります。
「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、この状況で夫婦関係を継続することは難しいと言える理由のことをいい、具体的にはDVや性交渉の拒否、ギャンブル癖、性格の不一致などさまざまです。夫がパパ活にはまり、家庭を顧みない、妻との性交渉も拒否する、家計を圧迫するほどパパ活に費やしているなどの事情を証明することで、パパ活が夫婦の関係を悪化させていると判断され離婚が認められる可能性が高まります。
払ったお金を取り戻したい!パパ活の相場と返済要求の方法とは
(1)パパ活の相場とは
パパ活は、デートなどをする代わりに女性にお金を渡す交際ですが、いくらくらいが相場なのでしょうか。パパ活相手を募集しているSNSでは、「お金」とダイレクトに言わず、「お手当」などと言われることが多いようですが、交際の程度によって金額が変わります。
- カフェで過ごす場合…5千円~1万円
- ランチを一緒にする場合…5千円~1万円
- 夕食を一緒にする場合…1万円~3万円
- 旅行に一緒に行く場合…3万円~10万円
このほかにも、食事代や旅行代もパパ側が負担するので、出費はかなり大きくなると言わざるを得ないでしょう。
(2)パパ活で払ったお金の返済要求ができるか
パパ活で女性に渡したお金の返済を請求できるかどうかは、パパ側がどのような形でお金を渡したかによります。「サポートなので返済はいらない」などと言って渡していた場合には贈与したことになるので、女性側に返済の義務はなく、お金を取り戻すことは難しいと言えるでしょう。逆に、「そのうち返してくれたらいいから」などと言ってお金を渡していた場合は、お金を貸していたと捉えられるので、返済を請求できる可能性があります。この場合は、お金を貸したときから10年で時効が成立します。それまでに返済を請求するようにご注意ください。
パパ活で将来怖い思いをしないために知っておくべき危険性
パパ活は、基本的に女性の方から援助してくれるパパを求めてSNSなどで活動しているケースが多いですが、パパ側にリスクがないわけではありません。
(1)犯罪に当たる危険性がある
肉体関係を伴わないパパ活でも、相手の女性が18歳未満の場合、夜一緒に歩くなどしていると青少年育成条例に違反しているとして逮捕される恐れがあります。
(2)脅される危険性がある
パパ活が社会的に露見した場合、社会的な立場にあるパパ側の方がダメージを受ける可能性が高いです。パパ活をしている女性の中には、それを見越して高いお手当を要求したり、応じない場合にパパ活をばらすなどと脅してくる恐れがあります。
(3)ラブパパになると重い罪に当たる可能性がある
パパ活は肉体関係を伴わないのが基本ですが、女性の中には割り切って体の関係を前提にお手当を要求する人もおり、このようなパパ活は俗にラブパパと呼ばれます。相手が18歳未満の場合は、対価を払って性的関係を持つことは児童買春にあたり、逮捕は勿論、ネットに情報がさらされるリスクも格段に高まります。この場合、パパ活として女性側が割り切っていたとしても、法定代理人である親に謝罪したり示談を依頼することになり、さらに高額の示談金を要求されることもあります。
(4)不倫に当たる危険性がある
驚かれるかもしれませんが、パパ活をしている女性の中には既婚者もいます。既婚者同士でパパ活を行い、性的関係を持った場合は、相手女性の夫から慰謝料を請求される危険性があります。
まとめ
今回は、夫がパパ活をしている方に向けて、パパ活のリスク、慰謝料や離婚を請求する方法などについて解説しました。パパ活という言葉をニュースなどで目にはしていても、実際に発生しうるリスクや危険性について驚かれた方もいるかもしれません。夫には犯罪にもなりうるパパ活のリスクを理解してもらいたい方も多いでしょう。離婚原因にもなりうることを踏まえ、お悩みの場合は法律の専門家である弁護士に、まずはご相談されることをおすすめします。