不倫相手との話し合いの注意点・決着をつけるために必要な準備や進め方を解説
配偶者に不倫相手の存在が判明した。不倫相手に何かしらの責任を取らせたい場合、避けて通れないのが相手との話し合いです。
とはいっても、不倫相手との話し合いに慣れている人はほとんどいません。
どうしたら良いか分からず不安な気持ちになるのも当然のことです。
「不倫相手の顔は見たくない。話し合いはしなければいけないのだろうか」
「どうやって進めたら良いのか分からない」
こんな方も少なくないでしょう。この記事を読むと、不倫相手の話し合いに備えてスムーズに準備をできるようになります。参考にしてください。
不倫相手との話し合いの目的
配偶者と離婚しない場合、そもそも不倫相手と話し合いをする必要は感じない、という方もいるかもしれません。
しかし、関係の再構築を目指す場合でも、不倫相手と話し合い責任を取らせるのは非常に重要です。
詳しく内容を見ていきましょう。
(1)事実関係の確認
不倫相手の話し合いの目的の一つは、不倫の事実を当事者どうしで確認し、不貞行為があったことを不倫相手に認めさせることです。
不倫相手にどのような責任追及を行うにせよ、まずは不倫の事実を認めさせることが必要になります。
不貞行為があった事実を確認しなければ、その先には進めません。
まずは不倫を認めさせることがスタートラインになります。
(2)不倫被害者からの要求を伝える
不倫の被害者からの要求を、不倫相手に伝えることも話し合いの重大な目的の一つです。
不倫の事実に対して、どういった償いを求めるのかを明らかにし、その内容を伝えます。
不倫相手に対してどのような要求をするかは自分の心次第ですが、要求として多いのは以下のような内容です。
- 不倫相手に対する慰謝料の請求
- 配偶者に近づかないよう接近禁止を求める
今後どうするのか、どのように責任追及を行うのかを不倫相手に通達することになります。
(3)誓約書・念書への署名
話し合いの時点で不倫相手に対する要求が決まっているのであれば、その内容を記した書面への署名を求めることができます。
郵送で送付することも可能ですが、犯したことの重大さを分かってもらうため、対面で署名させることが多いです。
- 配偶者に近づかない
- 慰謝料を期日までに支払う
- 不貞行為に対する謝罪
後からとぼけることができないよう、こういった内容に対する同意を証拠として残しておきます。
(4)慰謝料など今後の条件交渉
不倫相手との話し合いでは、不貞行為に対する賠償について、条件交渉も合わせて行います。
慰謝料に関する要求であれば、以下を詳しく決定していきます。
- 金額はいくら請求するのか
- いつまでにどういう形(一括か分割か)で支払うのか
なお、不倫相手との交渉では、慰謝料の減額を頼まれることも珍しくありません。
このような交渉も、不倫相手との話し合いの目的の一つです。
話し合いの前に準備しておくもの
不倫相手の逆襲を防止するためにも、話し合いに丸腰で挑むのはおすすめできません。
不倫を認めさせ適切に責任を取らせるためにも、ある程度の事前準備が必要です。
詳しく確認していきましょう。
(1)不倫の証拠
配偶者と不倫相手の不貞の証拠は、話し合いのテーブルにつく前に必ず用意しておく必要があります。というのも、証拠がなければ不倫そのものについて事実を認めさせることができないからです。
自分から不倫を認めて謝罪する殊勝な不倫相手はあまり多くありません。
証拠が揃っていなければ「ただの友人付き合いをしていただけ」「体の関係はない」などととぼける可能性が高いです。
具体的に不倫の証拠と言えるのは、例えば以下のようなものです。
- ラブホテルに入るところの写真
- 体の関係を匂わせる会話(メールやSNSなど)
- 探偵や興信所が作成した調査報告書
- 性交渉の最中の動画や写真
可能な限り決定的な証拠を集めてから話し合いに挑んでください。
(2)誓約書など各種書面
不倫相手に対する要求が既に決定しているのであれば、あらかじめ誓約書などの書面を用意しておくことをおすすめします。
また、不倫相手との交渉で要求が決定した場合は、その場で書面を作ってしまうのも良い方法です。というのも、後日書面を作って送付すると、あとから捺印を渋るリスクがあるからです。
不倫相手は、話し合いの最中は緊張から要求に合意しても、インターバルを挟むと強気に戻ることも多いです。
口約束を反故にされる危険があり「そんな約束はしていない」と開き直る可能性も考えられます。
こういったリスクが想定されるので、可能な限り事前に書面を用意しておき、その場で署名捺印してもらうのがおすすめです。
(3)ICレコーダー
会話の内容を録音するためのICレコーダーも、不倫相手との話し合いの必需品です。
せっかく署名させた書類を、後から「脅されて署名させられた」「偽造した書類だ」などと無効を主張される可能性もあるからです。
ICレコーダーは、話し合いが当事者の自由意思で適法に行われたことを証明してくれます。
なお、録音する際は、不倫相手に宣言した上で行いましょう。隠し撮りの音源でも裁判の証拠として利用は可能ですが、「録音されている」という意識は、逆上した不倫相手からの暴力や暴言を抑制する効果があります。
ICレコーダーを利用する際は、事前に動作チェックを行いましょう。
長丁場になった場合に備え、電池が切れにくく長時間録音できる商品を選ぶのがおすすめです。
(4)配偶者との今後の方針
不倫をした配偶者と今後どうするのかも、可能であれば決めておきましょう。
配偶者と離婚するとなると、慰謝料の金額が増額できる場合もあります。
あらかじめ決めておいたほうが交渉はスムーズに進むでしょう。
とはいえ「離婚するかどうかまだ迷っている」「不倫相手に会ってから決めたい」という場合もあるかと思います。
この場合は、無理に話し合いの日までに離婚するかどうか決める必要はありません。
場所選びのポイント
不倫相手との話し合いは、どこで行うのが適切でしょうか。当事者の自宅などで執り行うことも多いのですが、実はあまりおすすめできません。
不倫相手との話し合いの際、会場はどこでも良いわけではないのです。
この章では、不倫相手との話し合いに利用する場所選びのポイントを紹介します。
(1)自宅やホテルの部屋など密室は避ける
不倫相手との話し合いの場として、自宅やホテルの部屋などの密室は避けた方が良いでしょう。
万が一、不倫相手に「密室で脅迫された」「閉じ込められて無理やり合意させられた」などと嘘をつかれると、せっかくの話し合いが徒労に終わる可能性もあります。
また、密室で一対一だと、逆上した不倫相手から暴行を受けるリスクもあります。
できれば密室は避け、無関係の第三者が居合わせる空間を選んでください。
(2)おすすめはカフェやホテルのラウンジなど
不倫相手と話し合いをする場合、おすすめの場所は静かなカフェやホテルのラウンジです。
他の利用客の目があるため感情的になりにくく、比較的冷静に話を進めやすいのです。
ファミリーレストランなどでも良いのですが、近くに子供連れの利用客がいる場合や、休日で混雑している場合は少々うるさいかもしれません。
身近に利用しやすい場所を探してみてください。
話し合いを進める上での注意点
不倫相手と話し合いを行う場合、スムーズに進めるためにいくつか注意した方が良いポイントが存在します。
不倫の始末を行うという性質上、当事者全員が感情的になりやすく、なかなか話が進まないことがあるからです。
話し合いをスムーズに進め、可能な限りストレスを少なく済ませるためのポイントを三点紹介していきます。
(1)配偶者と不倫相手は別で話をする
話し合いを効率的に進めるために、不倫相手との話し合いと、夫婦間での協議は別で行うことをおすすめします。というのも、配偶者と不倫相手を同席させても特にメリットが無いからです。
- 配偶者と不倫相手がお互いを庇って真実を話さない
- 逆に喧嘩を始めてスムーズに話が進まない
- 被害者側も冷静に話ができない
基本的には百害あっても一利ありません。
また、夫婦の話し合いと不倫相手に対する条件交渉は、相互に無関係です。
この二つの話し合いを混同してしまわないためにも、配偶者と不倫相手は同席させない方が良いでしょう。
(2)ストッパー役に同席してもらう
話し合いの際は、不倫とは直接無関係なストッパー役に同席してもらうことをおすすめします。というのも、不倫相手を前にすると冷静で居られなくなる危険があるからです。
不倫の被害者にとって、不倫相手は自分の配偶者に手を出した許しがたい相手です。話し合いを進めるうちに、冷静さを失いつい相手を罵ったり、手を出したりしてしまうかもしれません。
このような事態を避けるために、無関係の第三者にも参加してもらいましょう。
具体的には、不倫相手と面識のない友人や親戚などが適しています。弁護士に依頼しているのであれば弁護士に頼んでも良いでしょう。
一方、自分や配偶者の親、不倫相手の配偶者などは、当事者に近すぎるためストッパー役としては向きません。
(3)話し合いはなるべく淡々と進める
不倫相手との話し合いは、できる限り淡々と進めるようにしてください。
不倫相手を目にすると冷静ではいられないかもしれませんが、熱くなって暴行や罵倒してしまうと、不倫相手から訴えられることも考えられます。
難しいかもしれませんが、話し合いはなるべく淡々と進め、隙を見せないようにしてください。
不倫相手との話し合いに弁護士の同席は必要か
不倫相手との話し合いを行う場合、弁護士に依頼した方が良いのでしょうか。
結論から言うと、話し合いを行うだけなら自分一人でもできます。
しかし、不倫相手に逆襲の隙を与えず、確実に責任を取らせたい場合は弁護士を利用するのがおすすめです。その理由を紹介します。
(1)話し合いをするだけなら一人でも可能
結論から言うと、不倫相手と話し合いをするだけであれば自分一人でも可能です。
ただ、一人だけでの話し合いには以下のようなリスクが考えられます
- 誓約書や念書など書類の作り方がわからない
- 法律的に有利に進める方法がわからない
- 慰謝料をいくら取れば良いのかわからない
- 冷静に話し合いができない可能性がある
何より、不倫相手が話し合いに弁護士を連れてきた場合が厄介です。
様々な方法を駆使して慰謝料の減額を求めてくることが考えられます。
また、最悪のケースだと不倫そのものの事実をなかったことにされるかもしれません。
交渉や法律知識によほど自身があれば別ですが、不倫相手にきちんと責任を取ってもらうためにも、弁護士に同席を依頼することをおすすめします。
(2)法的観点からアドバイスを受けられる
ご存知の通り、弁護士は法律のプロフェッショナルです。
不倫相手との話し合いに備えて、法律的なアドバイスや支援を受けることができます。
- 自分のケースだと慰謝料はどのくらいになるのか教えてくれる
- 必要な書面を作ってくれる
- 話し合いに味方として同席してくれる
- 配偶者と離婚する場合のフォローも受けられる
このような様々な面から手助けをしてくれます。
法律に詳しくない場合、不倫相手との話し合いでは何をどうすれば良いのか分からないケースは多いです。
こんな時に弁護士に依頼していると、心強い味方となってくれます。
(3)不倫相手と面会せずに済む
弁護士に依頼することの最も大きなメリットの一つは、不倫相手と面会せずに全てを終わらせられることです。
弁護士の職権の一つに、依頼者の代理人として必要な業務を行える、というものがあります。
つまり、依頼人に変わって不倫相手との話し合いや交渉を行うことができるのです。
- 「不倫相手の顔は見たくない」
- 「忙しいので不倫相手に関わっている暇がない」
- 「なるべくストレスを感じずに事件を終わらせたい」
こんな場合は弁護士に代理人になってもらうことをおすすめします。
弁護士を代理人に選任した場合、依頼者がやることはあまり多くありません。
弁護士に要望を伝えて、随時状況を共有しながら、解決まで動向を見守ることになります。
- 不倫相手をなるべく懲らしめたい
- 配偶者とは離婚しないので不倫相手が二度と近付けないようにしてほしい
- なるべく多く慰謝料をとって金銭的に制裁を加えたい
など、不倫相手に対する希望があれば、法律的に問題ないかも合わせて検討し、交渉をすすめてもらえます。
まとめ
不倫をした配偶者と離婚するのか、謝罪を受け入れやり直すのかは人によって考えが異なるところです。
どちらの場合も、再び前に進むために不倫相手との話し合いは必要になります。
話し合いを行う際は、弁護士に依頼して同席してもらうことが可能です。特に
- 不倫相手に会いたくないので代わりに話し合いをして欲しい
- 法律的に不利にならないようしっかりと相手の爪を抑えたい
- 不倫相手に書かせる誓約書や念書をどう作れば良いか分からない
こんな場合は専門家への依頼をおすすめします。
弁護士の利用は莫大な費用がかかるイメージもありますが、現在はリーズナブルな料金で依頼できる事務所も増えています。
依頼したいけれど料金が心配な場合は、着手金・相談料無料の事務所で、まずは話だけ聞いてみるのがおすすめです。
もしもの場合は、法律家の助けを得ることができるという点を覚えておきましょう。