不倫調査の尾行は自分でできる?可能なケースと難しい場合の対処法
配偶者の不倫を調査したり、証拠を集めたりする過程では、しばしば尾行や張り込みといった手段が取られます。
確実な証拠を得るために有用な方法ですが、難度が高いため、不倫の証拠集めはプロの探偵や興信所などに依頼する方も多いです。
しかし、証拠収集をプロに頼むとなると、多少なりとも費用がかかるため状況によっては依頼が難しいことも。では、不倫調査の尾行を自分で行うことはできないのでしょうか。
この記事では、自分でできる不倫調査の尾行と注意点、難しい場合の対処法を紹介します。
自分での尾行を視野に入れられるケース
不倫調査の尾行を自分でできるかどうかは状況によって異なります。
では、どのようなケースであれば自分での調査を検討できるのでしょうか。
(1)デートの日時と行動が予測できる場合
自分での尾行や張り込みを視野に入れられるケースの一つが、不倫の日時と行動を絞り込める場合です。
行動を予測できるのであれば、調査での拘束時間や移動距離の削減が見込めるため、調査の難易度が低く、体力的・時間的な負担が軽く済みます。
デートの場所と時間は、過去の逢瀬の日の規則性やお気に入りのデートスポットなどから予測できます。
たとえば「自分が夜勤で家を空ける日にデートをしている」「〇〇ホテルをいつも利用している」といった具合です。
また、配偶者に「泊まりでの出張がある」などと家を空ける旨を伝え、浮気のしやすい日を作っておくのも有効な方法です。
(2)時間に余裕がある場合
不倫調査の尾行では、配偶者と不倫相手が「どこで」「いつまで」不倫しているのかわからないことも多いです。
調査の拘束時間が長くなり、後の予定も立てづらいため、時間の融通が利く場合のみ自分での尾行が可能です。
例えば食事の時間一つとっても、配偶者と不倫相手がいつまで飲食店に滞在するかは分かりません。
いつまで監視していればよいか分からず終わりが見えないため、後の時間に予定があると、尾行は難しいでしょう。
自分で尾行・張り込みする際のコツ
実際に自分で尾行や張り込みをする場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
コツを紹介します。
(1)普段使わない車や服装で尾行する
配偶者と同居している方が多いため、見慣れた車や服装は避けましょう。
配偶者の視界に入ると、車の色や格好から簡単に尾行がバレてしまいます。
なるべく普段とは系統の違う服を着たり、マイカーとは異なる車を使ったりするなど、気取られないようにしましょう。
車は必要に応じてレンタカーを利用できますし、服は新調したり、レンタルサービスを使ったりすることも可能です。
(2)浮気を問い詰めない
浮気の調査中は、配偶者と浮気相手のデート現場をたびたび目にすることでしょう。
不倫相手と会った後に何食わぬ顔で帰宅した配偶者を見ると、つい感情的になってしまうかもしれません。
しかし、不倫の調査を円滑に進めるために、家では冷静に対処することが大切です。
証拠のない段階で配偶者を問い詰めても、素直に不倫を認めるケースは稀。それどころか「浮気を感付かれている」と感じると、証拠隠滅を図ったり、以降のデートを控えるようになったりすることもあります。
浮気を問い詰めるのは、確固たる証拠をすべて揃えた後です。それまでは我慢するようにしましょう。
(3)GPSを利用できるケースも
浮気調査においては、GPSを有効活用できる場合もあります。たとえば、配偶者が夫婦で共有している車を浮気に使っているなら、車にGPS発信機を取り付けることで足取りを追えることも。相手の行動パターンを調べる、ホテルに入った時点で張り込みを開始するなど非常に便利に使えます。
ただし、浮気調査でGPSを使用できるのは、夫婦の共有財産に対してのみです。
不倫相手の持ち物や車に発信機を取り付けるのは違法行為となるため注意してください。
また、配偶者のスマホにGPSアプリをダウンロードし、無断で位置情報を取得するのも違法です。
「不正アクセス禁止法(第三条)」に違反する可能性があるため、やめましょう。
自分で尾行する際の問題点
前述のとおり、浮気調査の尾行や張り込みは、自分で行うことも可能です。
ただし、訓練を受けていない一般人には難度が高く、次のように複数の問題をはらんでいます。
(1)尾行がバレる可能性がある
もっとも危惧すべきリスクが、尾行がバレる可能性があることです。
距離を取って尾行したり、車や服装を変えたりすることで、バレる確率を下げることはできます。
しかし、たまたま配偶者が振り向いて目が合ったり、車での追跡中にミラー越しに運転席を見られたりすると、尾行を察知される可能性は十分にあります。
自分で尾行する場合、尾行対象に顔を知られていることがネック。第三者である探偵が調査するときと比べて、難易度は大幅に上昇します。
(2)見失う可能性がある
自分で尾行すると、配偶者を見失う可能性も高くなります。
「人混みにまぎれてしまった」「距離を取りすぎて曲がり角で見失った」「気付いたら店からいなくなっていた」などがよくある失敗例です。
実は、一人で長時間尾行するのは非常に難度が高いのです。探偵の場合は複数人で尾行したり、交代要員を配備したりすることで長時間の尾行を続行できますが、自分一人では集中力や体力の限界もあります。そのため、見失うリスクが高いのです。
(3)仕事を休まなければならないことも
浮気相手と配偶者のデートは、必ずしも自分が休みの日に行われるとは限りません。
不倫のために平日に有給を取ることもあるでしょうし、そもそも自分と配偶者で休日や勤務の時間帯が違う夫婦もいるでしょう。
こういったケースでは、二人を尾行するために、仕事を休まなければいけない可能性が出てきます。
一度ならまだしも、月に何度も有給を取得するのは難しい職場も多いのではないでしょうか。
浮気調査と仕事のバランスを取りにくい点も、自分ひとりでの尾行を難しくしているポイントです。
(4)写真をうまく撮れない場合がある
不倫の現場に居合わせても、証拠写真をうまく撮れない可能性があります。
不倫の証拠として活用するには「場所がはっきりと分かる」「配偶者と不倫相手の顔が明瞭に写っている」などの条件を満たす必要があります。
文章で見ると簡単そうに思えるかもしれませんが、不倫現場の一瞬を、気付かれず、かつ確実に捉えるには高い技量が必要です。
素人がスマホカメラで撮影してもうまくいかない可能性が高いといえます。
「手ブレで顔の判別がつかない」「夜間撮影のせいで写りが不明瞭」「小さすぎて顔が判別できない」などがあるある失敗例です。
探偵事務所の調査員は、撮影技術が高く、カメラも場面に適した専門のものを使用するため、撮影の成功率は一般人と比べて大幅に高いといえます。
しかし、自分で撮影するとなると、現場を抑えても撮影がうまくいかず、悔しい思いをするリスクが高いでしょう。
(5)通報・職務質問される可能性がある
尾行・張り込みを近隣住民などに通報されると、警察から職務質問を受ける場合があります。
事情を説明して分かってくれればよいですが、怪しいと思われたり、車に積んでいるもの次第では、駐在所に連れていかれたり応援を呼ばれることもあるでしょう。
職務質問にうまく対応できないと、目立って尾行がバレてしまうかもしれません。
最悪のケースでは不倫中の配偶者に身元引受を頼まなければいけない可能性もあります。
このように、職務質問は、尾行がバレる・見失うリスクをはらんでいます。
この点も一般人の尾行がハイリスクとされる一因です。
不倫調査で探偵に依頼するメリット
不倫調査の尾行は、探偵や興信所など、プロに頼むのが確実です。
では、具体的にどのようなメリットがあるのか整理してみましょう。
(1)裁判で利用できる証拠が入手可能
探偵の調査によって得られる報告書や写真は、裁判になった場合に証拠として提出できるハイレベルなものです。
それ一つで動かぬ証拠となるため、配偶者や浮気相手を追い詰めるのに有効活用できます。
探偵は尾行や証拠収集のプロです。そのためターゲットを見失ったり、不審な行動を見逃したり、浮気現場のシャッターチャンスを逃す確率は低くなります。
有用な証拠を確実に入手できるという点でメリットは大きいでしょう。
(2)不倫調査に生活が縛られない
探偵に依頼すれば、自分で尾行する必要はありません。
そのため、不倫調査に生活を縛られることがなくなります。
自分で証拠を集めるとなると、配偶者の行動に合わせて仕事のスケジュールを調整したり、休みを返上して調査したりすることも必要です。
仕事や子育てで多忙な方には、調査そのものが難しい場合もあります。
この点、探偵に依頼すれば依頼者が現場に赴く必要はなくなります。
一度頼めばあとは調査報告を待つだけなので、普段通りの生活を送りながら証拠収集が可能です。
(3)自分で尾行するより早く証拠の収集ができる
探偵の調査では、自分で尾行するよりはるかに効率的に証拠の収集が可能です。というのも、以下のような理由から最短で証拠を集めることができるためです。
【探偵の調査が早く進む理由(一例)】
- 配偶者の行動に合わせて確実に尾行できる
- 複数人で尾行するため疲労による中断がない
- チャンスで確実に写真撮影ができるため調査期間が延びない
- 顔を見られても調査員を交代できるため仕切りなおす必要がない
こういった理由から、探偵の調査は素人一人で行う尾行より大幅に早く調査が完了します。
より迅速に結果を知ることができ、得られる証拠の質もより高いため、メリットは大きいといえるでしょう。
探偵を頼みたいけれど予算が少ない場合の対処
「探偵に依頼すれば確実なのは分かっているけれど、予算をあまり確保できない…」こういった場合も、依頼の方法や前準備の有無で費用を節約することができます。
予算が少ないケースでおすすめの依頼方法を紹介します。
(1)弁護士照会を利用する
不倫相手がどこの誰か分からない場合、調査期間が延びて費用が高額になることがあります。
こういったケースでは、慰謝料の請求を前提とした弁護士照会により、不倫相手の情報を得ることが可能です。
弁護士照会とは、弁護士が紛争を解決するために必要な個人情報を、弁護士会を通して企業や団体などに請求できる制度のことです。
これにより、浮気相手の住所や氏名を入手できることがあります。
例えば、浮気相手が契約している携帯電話事業者に対し、番号を元に氏名や住所を請求する場合などが挙げられます。
なお、弁護士照会はあくまで「紛争解決のための手段」として用意されている制度です。
弁護士照会のみを目的とした依頼はできないため注意してください。
(2)自分に適したプランを選ぶ
探偵=高額な費用が発生する、というイメージが根強いのですが、用意されている中から適切なプランを選ぶことで、ある程度費用を抑えることができます。
探偵の調査プランは大きく分けて三種あり、それぞれ適するケースが異なります。
【時間単価コース】
一時間あたり〇円、と単価が決まっているプランです。短期間で済む調査に適している反面、難航すると費用が高額になります。
【パック料金】
〇時間調査まで〇円、とセット料金になっているコース。1時間あたりの料金は時間単価より割安ですが、早めに終了すると総合的な費用は高くなります。
【成功報酬プラン】
調査に成功したときのみ報酬が発生するプラン。事務所によって着手金が必要な場合や「成功」の定義が異なります。
料金は他のプランと比較して割高なことが多いです。
費用を抑えるには、自分の現在の状況や、浮気するタイミングなど前情報の有無などを考慮し、適切なプランを選ぶようにしましょう。
(3)自分である程度配偶者の行動を絞り込む
「いつ浮気しそうか」「利用しそうな施設はどこか」など、自分である程度配偶者の行動を絞り込んでおくと、調査期間が短く済み、費用を安くできるケースがあります。
たとえば「水曜日の退勤後は普段使わない〇駅で降りている」「〇〇というホテルのポイントをためている」などの情報がわかると、行動を絞り込むことができます。
探偵に任せきりにせず、事前に配偶者の行動履歴などを洗ってみましょう。
こういった情報は、カーナビの履歴や交通系ICカードの履歴、財布の中身などから入手できることがあります。チェックしてみてください。
(4)不倫のしやすい日を作る
配偶者が不倫をしやすい日をわざと作り、その日に調査を依頼することで、調査期間を短縮して証拠を確保できることがあります。
理由はなんでも良いので、不在にする予定を事前に伝えておきます。
「友達の結婚式で家を空ける」「甥っ子の子守りをするから妹の家に泊まりに行く」など、家庭の状況に合わせてそれらしい理由を考えてみましょう。
配偶者がいないと分かると、その日に羽を伸ばそうとする人は多いため、証拠収集のチャンスとなります。
ちなみに、なかには配偶者不在の間に、浮気相手を家に連れ込む人もいます。
思わぬ証拠が取れる可能性もあるため、このタイミングで防犯用カメラや見守りカメラなどを導入するのも一つの方法です。
(5)費用が明確な事務所を選ぶ
「探偵」という業種はサービスの詳細が見えにくく、相場も高額なのが一般的です。
そのため、探偵事務所のなかには「事前に説明のない高額な費用をあとで請求する」「調査に手を抜き追加の費用を徴収する」といった悪徳業者も一部存在します。
こういった業者に依頼してしまうと、料金を余分に払わされる場合や、酷いケースでは証拠を確保できず無用に調査期間を引き延ばされることもあります。
このような事態を避けるため、探偵を探す際は費用感が明確な事務所を選ぶようにしましょう。
現在はWebサイトを通じて集客している事務所も多いため、分かりやすい料金形態かどうかあらかじめチェックできます。
口コミサイトや比較サイトなども参考になりますので、評判を確認してみてください。
まとめ
不倫調査の尾行は自分でもできますが、プロに依頼した場合と比べて失敗しやすく、時間も長くかかる傾向にあります。
なにより時間的・体力的な負担が大きく、生活を不倫調査に振り回されてしまう可能性も否めません。
尾行による証拠収集は、基本的には探偵や興信所に依頼するのがおすすめです。
費用をあまりかけられない場合も、自分で前準備や事前調査をしておくことで、短期間かつ低料金で証拠を確保できることがあります。
なお、浮気相手の身元を特定するのが目的であれば、慰謝料請求を前提とした弁護士照会も検討できます。
「証拠が揃ったあとは慰謝料を請求する」と決めているのであれば、最初に弁護士に相談するのも一つの方法です。
現在は相談料・着手金無料の事務所も増えているため、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。