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不倫慰謝料請求された方|内容証明が届いたら無視は危険。取るべき対処法を解説

「不倫慰謝料」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。
ご自身がまさに今不倫をしている方も、漠然と、ばれたら慰謝料を請求されるとご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実際に内容証明郵便が届いたり、弁護士名義の書類で手紙が慰謝料を請求されたりすると、どう対応したらいいのか分からないという方は少なくありません。

無視している方もいれば、不安に苛まれて内容を精査せず言われるままに払ってしまう方もいます。しかし、どちらも適切な対応とは言えません。

そこで今回は、不倫がばれて慰謝料請求をされた場合にどう対応したらよいか、の問題点についてご説明したいと思います。

不倫相手の配偶者が内容証明郵便で不倫慰謝料請求してくる意味とは

不倫相手の配偶者(夫や妻)が不倫慰謝料を請求する方法には、電話、メールやSNS、不倫相手経由の伝言など様々あります。
その中でも内容証明郵便で不倫慰謝料を請求してくるのは、相手方が本気度を示したい場合と考えられます。

内容証明郵便とは、郵便局が、いつ、誰が、誰に、どのような内容の手紙を出したかという事実を証明してくれる郵便のことです。
以前は、同じ手紙を3通作って郵便局に持ち込まなければいけませんでしたが、最近はインターネットでも利用できます。

内容証明郵便も、普通郵便も、法的な効力に違いはありません。裁判所の判決のように、不倫慰謝料を払わせるような効果ももちろんありません。

しかし、内容証明郵便は、正式に金銭を請求するような場合によく利用され、外見も、「内容証明」という印が押された仰々しい封書で送られてくるので、届いたときのインパクトが大きいです。

また、もし裁判にまで発展した場合にも、いつどのような請求をしたのかという客観的な証明になるので、証拠になりやすいという特徴があります。
それだけに、不倫相手の配偶者としては、わざわざ手数料を払って内容証明郵便で不倫慰謝料を請求してくるには、自分の本気度を伝えたいという意味と、もし支払わない場合は裁判にまで持ち込む意図があると考えることができます。

内容証明で不倫慰謝料請求された場合にすべき3つのこと

内容証明郵便が普通の郵便の効力と変わらないとご説明しましたが、放置してはいけません。慰謝料請求されたらすぐに行うべき3つの対応をご紹介します。

(1)不倫慰謝料請求の内容を確認する

内容証明で不倫慰謝料請求の連絡が来ると、すぐに支払わなければと思う方もいるかもしれません。

しかし、まずは冷静に不倫慰謝料請求の内容を確認することが重要です。
というのも、不倫された配偶者からの請求は、必要以上に高額すぎたり、時にはそもそも支払う義務がなかったりする場合もあるなど、要求通りに支払う必要がないケースも多いからです。

また、弁護士の名前で内容証明郵便が届くケースでは、内容に法律用語が含まれ分かりにくい場合もあります。
内容を理解できないままに、弁護士がいうなら本当だろうと思って焦って支払うと、本来払う必要がないお金を払うリスクを負いかねません。

弁護士は、依頼者である配偶者の主張に沿っているため、そもそも配偶者の主張の根拠となる不倫の事実が誤っていることもあり得るからです。

(2)慰謝料請求に対して回答する

内容証明郵便で不倫慰謝料を請求され、慰謝料額が高くて支払えないとか、相手が誤解しているだけだと、無視すべきではありません。
相手の請求を無視すると、請求を認めたものと判断されたり、さらに放置したりしていると相手の怒りを高め、裁判を起こされる場合があります。

一方で、内容証明郵便が届いて、すぐに相手に連絡することも避けるべきです。
動揺した状態で連絡すると、相手と口論になって事態が悪化したり、相手に言質を取られたりして不利な状況に追い込まれる可能性があるからです。

配偶者からの慰謝料請求に納得できない場合や、支払うにしても減額を交渉したい場合は、不貞行為がなかったことや、既婚者と知らなかったこと、不倫相手に離婚寸前と聞いていたことなどを回答することが多いです。

(3)弁護士に相談する

内容証明郵便で不倫慰謝料を請求されたら、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

慰謝料請求の内容を見てもらい、請求内容が適正か、そもそも支払に応じるべき義務があるかどうか、確認してもらうことができます。というのも、不倫というのは一般的な概念で、キスやデートから不倫と考えてもいいのですが、法的に慰謝料請求ができる不倫は不貞行為があった場合に限られるからです。

また、不貞行為があった場合でも、不倫に至った経緯や不倫相手の関係性、夫婦の状況などから、慰謝料自体が発生しないケースや、減額されるべきケースがあります。

内容証明郵便で不倫慰謝料を請求されたら、送り主に連絡したり、請求通り支払ったりする前に、まずは弁護士に相談して下さい。

不倫慰謝料請求の内容証明を無視するデメリット

不倫慰謝料を請求されたら、すぐに支払いに応じるべきではありませんが、無視してもいけません。
無視していると、ご自身に不利になったり、裁判になって精神的にも時間的にも大きな負担を背負ったりするリスクが高まります。

(1)不利な判断がされる恐れが高まる

慰謝料請求の書面が内容証明郵便で届いたにもかかわらず無視すると、請求した配偶者からすれば、不倫相手が反論せず弁護士をつけるつもりがないと考え、自分の方が有利だと考えて、慰謝料請求の準備を本格化させることが考えられます。

相手のペースに巻き込まれると、後から対応しようとしても、準備不足などで不利な立場になりがちです。

(2)最終的に裁判を起こされる

前述のように、請求したのに無視されたと相手の怒りを増幅させ、最終的に裁判に持ち込まれるリスクがあります。
裁判では、慰謝料請求を無視したことが、配偶者からの請求を認めたと判断される恐れがあります。

また、裁判にも出ずに無視していると、民事裁判では出廷しない側は相手の主張を認めたものと扱われるので、実際に不貞があったかどうかに関わらず敗訴してしまいます。

配偶者の慰謝料請求を認める判決が出ると、支払わなければ財産に強制執行がかけられる恐れもあり、手遅れの状況になってしまいます。

内容証明で不倫慰謝料請求されても払わなくていい場合がある

不倫慰謝料を請求する通知が内容証明できても、不倫慰謝料を払わなくていい場合や、減額が交渉できる場合があります。
ご自身のケースが当てはまるか、以下をご参照ください。

(1)不倫慰謝料を払わなくていい場合

前述のように、不倫や浮気は一般的な概念です。キスから不倫、デートは浮気と考える人がいても構いません。

その人が、キスや不倫で精神的苦痛を被ったと慰謝料を請求し、任意で支払うのも自由です。

しかし、相手が応じない場合に裁判にもかけることができる、法的な請求権がある不倫は、以下の条件を満たす場合に限られます。

①不貞行為

法律的に慰謝料が請求できる不倫は、不貞行為があったことを言います。
不貞行為とは、配偶者以外の異性と性交渉をすることを言います。

裁判では、性交渉は絶対的な要件ではく、性交渉がない行為でも、夫婦関係を破壊させれば慰謝料請求の根拠になるとしたものがありますが(東京地裁平成17年11月15日判決)、同伴旅行やペッティングなどが前提で、キスやデートでは慰謝料請求の対象になるとは言えません。

②結婚していること

不倫慰謝料を請求するには、婚姻届を提出して法的に結婚していなければいけません。
夫婦同然の内縁関係は、「準婚関係」として不倫慰謝料を請求できますが、同棲や同居のカップルにとどまる場合は、原則慰謝料請求はできません。

③夫婦関係が破綻していないこと

不倫慰謝料は、不貞行為によって平和な夫婦関係が壊されたことで精神的苦痛を被った配偶者が、その損害を金銭でカバーするために請求するものです。

そのため、既に夫婦関係が破綻し、別居していたり、離婚手続きをしたりしているような場合は、そもそも守るべき平和な夫婦関係という利益がないとして、慰謝料請求はできません。

④不倫相手の故意・過失

不倫した夫や妻ではなく、不倫相手に慰謝料を請求する際は、既婚者だと知っていた故意があるか、容易に気付けたはずなのに気付かなかった過失があることが必要です。
夫や妻が独身と偽り、不倫相手に故意・過失がない場合は、慰謝料請求はできません。

⑤自由な意思に基づく関係

不貞行為は、自由な意思で行われたことが前提です。
もし、レイプや酔わされて関係を持たされたような場合は、当然不倫慰謝料に応じる必要はなく、逆に犯罪行為の被害者の立場として、告訴や慰謝料の請求を検討しましょう。

(2)不倫慰謝料を減額できる場合

不倫相手が既婚者と知って性交渉をした不貞関係にあった場合、配偶者は慰謝料請求をする権利があります。
その場合の慰謝料の目安は、夫婦の状況によって異なります。

  • 不倫がきっかけ別居や離婚をした場合:100万円~300万円
  • 不倫したけれど別居や離婚に至らない場合:50万円~200万円

しかしこれはあくまでも目安で、不倫の程度や夫婦の事情により慰謝料の額は変わります。
不倫したとしても減額を交渉できる自由としては次のようなものがあります。

①不倫の悪質性が低い

不倫期間が概ね半年以内と短く、不貞行為の回数も10回以下のような場合は、悪質性が低いとして、慰謝料の減額交渉をする余地があります。

②不倫当事者の立場

結婚している側が不倫に積極的で、不倫相手の方が消極的だった場合は、慰謝料の減額交渉をする余地がありますが、配偶者の怒りを増幅させないよう注意が必要です。

③不倫当事者の地位のバランス

不倫相手が配偶者の部下であるとか、収入が少ない場合は、慰謝料の減額を交渉する余地があります。

また、年収200万円なのに数千万円の慰謝料を請求された場合などは、公序良俗違反として慰謝料請求の無効を訴えることも検討できます。

④夫婦の結婚期間が短い

夫婦の結婚期間が概ね1年~数年の場合は、結婚期間が長い夫婦に比べて慰謝料は低くなりがちなので、減額交渉の余地があります。

⑤夫婦仲が破綻寸前

夫婦関係が破綻していた場合は慰謝料を払う義務はありませんが、破綻に至らなくても夫婦仲が悪い場合は、慰謝料を減額交渉する余地があります。

ただし、これらの交渉は、証拠を揃えて行う必要があり、交渉方法を誤ると、請求する配偶者の怒りを逆なでして事態を悪化させかねません。

当事者同士は感情的になりがちなので、慰謝料の支払い義務がないことを主張したり、減額を交渉したりする場合は、専門家である弁護士に依頼し、代理人として代わりに交渉してもらうことをお勧めします。

不倫慰謝料請求の内容証明が会社に送られてきた場合の対処法

不倫慰謝料を請求する内容証明郵便は、本人の自宅宛てに送られてくるのが通常です。

しかし、不倫相手の情報が、名前と職場しか分からないというやむを得ない場合だけでなく、不倫の事実を会社に広めて退職に追い込もうと考え、敢えて会社に送ってくる人もいます。

外部との諸連絡や管理に厳しい会社では総務部などが一定の手紙を管理したり、またそうでなくても誤って開封されたりしてしまうこともあります。
不倫慰謝料の請求は、本来会社の業務に関することではないので、会社に知られる必要はありません。

不倫慰謝料を請求する内容証明郵便が会社に送られてきたことでプライバシーを侵害されたり、名誉を棄損されたりしたと言った場合は、逆に損害賠償請求の根拠になる可能性もあります。

当事者同士で争うと益々会社での立場が悪くなる恐れがあることや、プライバシーや名誉は漠然とした権利なので、損害の発生を証明化して主張するのが難しい場合もあるので、会社宛に内容証明郵便が送られ不利益を被った場合は、弁護士に早急に相談してください。

不倫慰謝料請求された精神的苦痛を損害賠償請求できる可能性

不倫慰謝料の請求は、慰謝料請求の条件を満たす限り、不倫された配偶者の権利です。

そして、慰謝料請求の原因である不倫は、犯罪行為ではありませんが、夫婦の貞操義務(配偶者以外の異性とは性交渉をしないという義務)に違反し、平和な夫婦関係を壊したという損害を与えた不法行為(民法709条)です。

そのため、不倫慰謝料を請求されたことで精神的苦痛を受けたとして損害賠償を請求することは原則としてできません。

しかし、請求者側の対応によっては、損害賠償を請求できる可能性があります。
具体的には、配偶者が不倫の証拠集めの過程で犯罪行為をしたこと(盗撮、盗聴、住居侵入など)、会社にあることないことを言いふらしたり書面を送り付けたりするなどしたこと、慰謝料を払わなければ会社にいられなくしてやるなどと脅したことなどです。

配偶者は不倫慰謝料を請求する権利があるとしても、行きすぎた権利の行使は違法行為に該当します。
ご自身がそのような目にあった場合には、まずは現場を録音、録画する等証拠化し、弁護士に相談しましょう。

内容証明郵便で不倫慰謝料請求された場合に弁護士に相談するメリットと弁護士費用

内容証明郵便で不倫慰謝料請求された場合は、まずその内容を精査して適切な内容で回答する必要があります。

(1)弁護士費用の相場

不倫慰謝料を請求された側が弁護士に相談した場合、まず法律相談料がかかります。
相談料は有料の場合は30分5,000円+税というのが相場です。
最近は無料のところもあるので、ネット等で探してみるとよいでしょう。

依頼した場合は、着手金は10万円~50万円、成功報酬は経済的利益(減額した慰謝料額)の10%~30%というところが多いです。

成功報酬については、経済的利益の金額に応じて割合が変わったり、最低金額として10万円~50万円がプラスされたりするところもあります。

またこれ以外に、実費日当として、かかった郵送費や交通費、調停や裁判に弁護士が出廷した場合の出張費用が掛かるのが通常です。

(2)弁護士に相談するメリットとは

上記のように弁護士に相談、依頼すると費用は掛かりますが、内容証明郵便で不倫慰謝料を請求された場合に弁護士に相談、依頼するメリットとしては、次のようなものがあります。

  • そもそも慰謝料を払う義務があるかどうか教えてもらえる
  • 慰謝料を払わなければいけないとしても、金額が適正か教えてもらえる
  • 支払いの拒否や減額交渉をする場合の交渉を依頼できる
  • 依頼すれば代理人として交渉してもらえるので、直接配偶者と話をしなくてよい
  • 会社にばらされる等、不利益を被った場合に慰謝料請求などの対応を任せられる
  • 調停や裁判になっても代わりに出廷してもらえる

まとめ

今回の解説では、不倫慰謝料を内容証明郵便で請求された場合の対応方法や、注意点についてご説明しました。
不倫慰謝料はよく聞く言葉ですが、ある日突然内容証明郵便で不倫慰謝料を請求されたら、驚き焦ってしまうのが通常です。

しかし、慌てて相手の言い分通りに行動すると、本来被らなくてよい負担を強いられる恐れもあります。

一方で、不倫慰謝料の請求には、いつまでに払えと期限を区切ってあるのが通常です。
できるだけ早く、正しい解決をするためにも、内容証明郵便で不倫慰謝料を請求されたらできるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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