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離婚問題を弁護士に依頼するメリットとデメリットとは?

皆さんの中には、離婚問題を弁護士に相談したいけれど、費用や対応が心配で踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
また、弁護士に相談したいし、最終的には委任も考えているけれど、弁護士費用はできるだけ安く抑えたいという方もいらっしゃると思います。

そこで今回のコラムでは、弁護士に依頼した場合のメリットとデメリットはなんなのか、費用と頼んだ場合の効果を検討していただけるように、離婚問題を弁護士に相談した場合の比較ポイントをお伝えしたいと思います。

離婚は弁護士に頼まなくてもできる?

離婚問題でお悩みの方の中には、離婚でもめた場合は弁護士をつけなければいけないと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、離婚問題は当事者同士の話し合いは勿論、仮にもめて離婚裁判をすることになったとしても、弁護士をつけずに自分で法廷に立って裁判をすることができる「民事事件」という類型です。

なお、裁判で必ず弁護士をつけなければいけないのは、犯罪をして逮捕され、裁判を受けることになった「刑事事件」の場合です。
刑事事件の場合は、いくら犯罪をしたとはいえ、検察や裁判所という国を相手に個人で争うのは難しいので、弁護士という法律の専門家を味方につけて、自身の主張をしっかりできるように憲法で定められています。

しかし、離婚問題でも次のような場合は、問題が複雑化する可能性があるので弁護士に相談することをお勧めします。

  • 離婚原因が夫や妻の不倫にある場合
  • 離婚原因が夫や妻の不倫にあり、配偶者と不倫相手に慰謝料請求したい場合
  • 離婚原因がDVなどにあり、直接顔を合わせたくない場合
  • 未成年の子供がいて、親権を取りたい場合
  • 未成年の子供がいて、養育費をきちんと払ってもらいたい場合
  • 結婚前の財産があるなど、財産の分け方でもめそうな場合
  • 結婚中に買ったマイホームについて住宅ローンが残っている場合
  • 離婚問題に対処するために仕事を休むことが難しい場合

離婚を弁護士に頼む5つのメリット

ご自分でもできる離婚をあえて弁護士に頼むには、それなりのメリットがなければ費用を払う意味がありません。
ここでは、弁護士にしかできないことなど、離婚を弁護士に頼むメリットをご紹介します。

(1)相手に本気度が伝わり早期に離婚問題を解決できる

離婚は、いきなり裁判を起こすわけではなく、まずは当事者である夫婦で話し合いを行います。
このとき、弁護士に依頼していると、弁護士は「代理人」として依頼者の代わりに話し合いや書面のやり取りをすることができます。
弁護士から連絡をすることで、相手に離婚の意思の強さが伝わり、早期に離婚問題を解決できる可能性が高まります。

(2)離婚調停から裁判までの手続きを任せることができる

夫婦間の話合いがまとまらない場合は、裁判所で行う「離婚調停」という第三者を交えた話し合いの手続きへ移行し、それでもだめなら「離婚審判」という裁判官が立ち会って合意を勧める手続きに移ります。そして最終的に「離婚裁判」に移行して決着をつけることになります。

これらは、裁判所を利用する手続きなので、揃えるべき書面も多く複雑です。
また、仕事があると決まった日に出廷が難しいこともあります。
弁護士に依頼していれば、書類の手続きから、本人の代わりに出廷して主張を伝えてもらうことまで、すべてを任せられます。

(3)相手に会わずに離婚できるので精神的負担も減らすことができる

特に離婚原因がDVやモラハラ、悪意の遺棄(生活費を入れてくれない等)にある場合、相手に会うことが怖かったり、会うことで危険が生じたりする可能性があります。

このような場合は弁護士に依頼することで、代わりに相手と離婚に向けた話し合いや手続きを進めてくれるので直接会わなくて済みます。
また弁護士は守秘義務があるので、依頼者の情報を相手方に漏らすことはなく、安心して相談できます。

(4)子供の養育費や年金など離婚後のお金の問題も相談できる

離婚は夫婦の別離というだけでなく、お金の問題が大きく絡みます。まず、未成年の子供がいる場合は、親権者をどちらかの親に決めなければ離婚できません。

そして親権者にならなかった親は、なった親に、子供が成人するまでの生活費として養育費を払わなければいけませんが、残念ながら日本では80%が途中で不払いになると言われています。

弁護士に頼むと、親権の獲得に向けた活動から、適正な養育費の算定、不払いに備えて強制的に養育費を回収できる手続きまで任せることができます。

次に、離婚するときは、結婚期間中に夫婦で築いた財産を原則折半します(財産分与)。預貯金や現金だけなら等分すれば大丈夫ですが、特にマイホームのローン残高がある場合は、不動産時価とローン残高の比較が必要になるなど複雑な計算が必要です。
このような財産分与も弁護士なら対応できます。

(5)離婚後の生活のサポートも相談できる

離婚を検討していても、離婚後の生活に不安があり、踏み出せないという方も多いと思います。

しかし、自治体などで、様々な支援制度があるのをご存じでしょうか。

弁護士に頼むと、子供がいる場合の児童扶養手当の申請や税金の優遇措置、就労支援制度などにも強いので、離婚後の生活のアドバイスを受けられます。
また、不当な理由で支援が認められなかったような場合でも、弁護士が代わりに交渉することで、サポートを受けやすくなります。

離婚を弁護士に頼む2つのデメリット

上記のように、離婚問題を弁護士に相談するメリットは少なくありません。しかし、デメリットがあるのも事実です。
相談・依頼するかどうか、マイナス面も十分検討しましょう。

(1)弁護士費用がかかる

弁護士に相談する場合は、相談料がかかります。
最近は初回無料の弁護士も増えていますが、目安として1時間1万円+税というのが相場です。

弁護士に依頼すると、思うような条件で離婚できなかったとしても、依頼した段階で着手金などの弁護士費用がかかります。慰謝料請求に成功したり財産分与で利益を得られたりした場合はさらに報酬金が発生します。

(2)弁護士選びに失敗すると時間とお金がかかる

弁護士といえども、すべての弁護士が離婚問題に精通しているわけではありません。
医者を想像していただくと、身近で何でも診てくれるけれど、重病になると専門病院を紹介されることもあると思います。脳外科医・眼科医のように専門分野に特化した医師もいるでしょう。

弁護士も同様に、何でもやってくれる弁護士(いわゆる「街弁」)もいれば、専門に特化した弁護士もいるのです。もし、解決を焦って離婚問題の経験がない弁護士に頼んだり、知り合いだからと言って別分野を専門にしている弁護士に頼んだりすると、解決に時間がかかり、その分弁護士費用がかさむ可能性もあります。

離婚を弁護士に頼んだ場合にかかる費用の相場とは

離婚を弁護士に頼んだ場合、段階に応じて費用がかかります。
以前は、日本弁護士連合会という全弁護士が登録している団体が報酬基準を定めていたので、費用はおおむね同等でしたが、今日では弁護士費用は事務所によってさまざまです。

相場の目安として、以下をご参考ください。

(1)法律相談料

法律相談料は、弁護士に依頼する前に単発で相談した場合にかかる費用です。離婚問題を初回無料にしているところもありますが、有料の場合は、30分5千円+税、1時間1万円+税が目安です。

国が各都道府県に設置している法律相談窓口「法テラス」では、一定の資産状況を満たすと30分無料、有料の場合は30分5千円+税と決められています。

(2)着手金

着手金は弁護士に依頼し弁護士が活動を開始する時点でかかる費用です。前払いが原則で、最終的に解決しなくても返金されることはないのが通常です。

法律事務所によって着手金は異なりますが、目安としては離婚問題では20万~30万円が相場でしょう。
参考:日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド」https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/attorneys_fee/data/guide.pdf

弁護士によっては着手金が無料のところもありますが、その場合は他の報酬等でペイできるようにされていることもあるので、サイトの料金表や、法律相談の面談でしっかり確認しておきましょう。

(3)日当

日当は、弁護活動で外出した場合などにかかる手数料をいいます。具体的には、離婚相手の家に行ったり、役所に出向いたりしたなどした際の「出張日当」、裁判に出廷した際の「公判日当」などです。
日当は、一律で1回何円と決めているところもあれば、出張先までの所要時間をもとに算出するところ、活動に費やした時間でタイムチャージ制をとっているところもあります。

出張日当と公判日当では、公判日当の方が高い事務所が多く、1回あたり数万円~数十万円が相場です。タイムチャージ制の場合は、1時間5千円~3万円と差があります。
活動内容によっては想像以上に高額になったり、タイムチャージでメールチェックなど細かい金額を請求されたりすることもあるので、見積もりを出してもらい確認しておきましょう。

(4)実費

実費は、弁護活動で使った郵送料や交通費などの経費をいいます。
事件の途中では弁護士が立て替えて支払い、事件終了時に一括で清算するのが通常です。

(5)弁護士報酬金

弁護士報酬金は、事件が無事解決するなど成果が上がった場合に、事件終了時に払うお金を言います。裁判で全面敗訴した場合などは、払う必要はありません。
報酬金は、完全に勝った場合だけでなく、例えば離婚慰謝料を200万円請求して100万円だけ認められたような一部成功の場合でも発生し、この場合は成功の割合に応じて報酬金が決められるのが一般的です。

日本弁護士連合会(日弁連)のアンケート結果では離婚を含む男女問題の報酬金の相場は30万円程度ですが、実際は20~100万円とかなり幅があるのが実状です。
法律事務所によって、最初から金額を決めている固定報酬のところもありますが、経済的利益の10~20%等とされている場合は、慰謝料や財産分与の額が増えるほど報酬金も高くなります。

着手金無料の弁護士事務所では、このようなケースが多いので、事前に確認しておきましょう。

弁護士費用を安く抑えたい場合の注意点

弁護士費用を安く抑えたい場合、特に「着手金無料」で依頼できる弁護士は、敷居も低く魅力的だと思います。
ただし、次のような場合は、かえって最終的な弁護士費用が高くなることもあるので、依頼する際はしっかり確認して下さい。

  • 報酬金の支払いは固定報酬か
    成功、不成功に関わらず報酬金が制定されている場合もあるので確認しましょう。
  • 報酬金はいつ発生するか
    契約内容によっては、当事者の話し合い、調停、審判、裁判など、段階ごとに報酬金が請求される場合もあるので、特にもめて長引きそうな場合は確認しましょう。
  • 弁護士の活動拠点はどこか
    日当は、要した時間で計算する弁護士も多いです。遠方の弁護士だと、日当だけで思わぬ高額になることもあるので、どこで活動するか確認しましょう。
  • 日当の計算基準は適正か
    日当の計算基準は弁護士によって差があります。
    そのため、離婚問題が長期化したり出張の機会が増えたりすると日当が高額になることもあるので注意が必要です。

上記のように、弁護士費用はさまざまな項目や場面でかかるので、サイトを見てもよく分からないことも多いですし、離婚の状況や今後の見込みによっても個別に変わります。
契約前に法律相談を受け具体的な費用の見積もりを出してもらうことをおすすめします。

また、弁護士が信頼できなかったり、動きが悪く途中で解任したりする場合は、次に頼んだ弁護士にまた着手金を払わなければいけなくなります。
法律相談では、弁護士が信頼に値するか、離婚問題を任せられるかも、分からないことは遠慮なく質問して、しっかり吟味してください。

弁護士報酬が心配な場合に法テラスの利用方法や安い弁護士事務所の探し方

(1)法テラスで無料相談したい場合

法テラスという相談窓口をご存じでしょうか。
法テラスというのは、国や日弁連が設置した法律の相談の窓口のことで、各都道府県の県庁所在地には必ずあります。

法テラスでは、経済的に厳しい人は資産条件を満たせば無料法律相談が利用できます。また、「民事法律扶助」といって、経済的に弁護士費用を払うことが難しい場合に、国が弁護士報酬などの裁判費用を一時的に立て替える制度も利用できます。

立替えてもらった費用は、分割で返済します。利用するための条件は、以下をご参考ください。

①収入要件

申込んだ人と配偶者(以下、申込者等)の賞与を含む手取り月収の金額が以下の基準を満たしていなければいけません。
ただし、離婚など、配偶者が相手になる場合は収入を合算しないのがルールです。

人数 手取月収額の基準
(東京・大阪など生活保護一級地の基準) 家賃又は住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額
1 182,0000円以下(200,200円以下) 41,000円以下(53,000円以下)
2 251,000円以下(276,100円以下) 53,000円以下(68,000円以下)
3 272,000円以下(299,200円以下) 66,000円以下(85,000円以下)
4 299,000円以下(328,900円以下) 71,000円以下(92,000円以下)

②資産要件

申込んだ人と配偶者(以下、申込者等)の保有している現金と預貯金が以下の基準を満たしていなければいけません。離婚など、配偶者が相手の場合は合算しません。

人数 現金・預貯金合計額の基準(3か月以内に医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除)
1 180万円以下
2 250万円以下
3 270万円以下
4 300万円以下

その他にも、勝訴の見込がないとはいえないこと、単に相手方への嫌がらせの目的ではないことといった法律扶助の趣旨に適合する必要があります。まずはお住まいの都道府県の法テラスに確認してみましょう。

(2)安い法律事務所の探し方

弁護士の広告が認められて以来、多くの事務所がサイトに自社のホームページを上げています。
安い法律事務所を探す場合は、サイトで検索することが早く事務所を見つけやすいです。同様に、ポータルサイトには多くの事務所のサイトがまとめられているので、目的に沿って事務所を見つけやすくなっています。

その他にも、タウンページ(電話帳)に載せている弁護士事務所も多いです。タウンページでは、地元の弁護士事務所が見つけやすい反面、紙面では費用が分かりません。

サイトで見つけた事務所にしても、電話帳で見つけた事務所にしても、安い法律事務所を探すには、法律相談を利用して実際の見積もりを出してもらうことが欠かせません。
また、弁護士を途中で変えて、二度三度と着手金を払わなくてよいように、弁護士の人となりも確認しておくことも、最終的に弁護士費用を安く抑えるために重要です。

まとめ

今回は、離婚問題を弁護士に依頼するメリット・デメリットをご紹介しましたがいかがでしょうか。弁護士に依頼するメリットは自分でするには大変な手続きを任せられる反面、デメリットとして費用がかかることが大きなネックになります。

そこで、今回は、弁護士費用を中心にお話しました。弁護士に頼む場合は、費用対効果があるかどうか、むだな費用をかけずに解決したいものです。
離婚問題でお悩みの場合は、まずは、弁護士に費用のご相談やどこまでサポートしてくれるかの相談などをお気軽に問い合わせてみてください。

不倫慰謝料請求に強い弁護士

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